東方神斬録   作:ayuアユ

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文化祭は無事終わったのでまた投稿します。
正直月の都編終わらす勢いでやります。


第九話 龍神「なにそれ知らん....怖...」

「…またか。」

 

つい二日前に見たような景色が眼前に広がっていた。

というか月夜見の空間である。

 

「スパン早すぎだろ、夢くらいは休ませろ。」

 

「せっかく会いに来たのに、その言い草はひどいんじゃないかい?」

 

真後ろから聞こえる声に少し驚きながらも振り返る。

そこには月夜見の姿があった。

 

「せめて次来る日くらいは教えろよ。

こっちは知らん事ばかりで疲れっぱなしなんだわ。」

 

「おっと、それは悪いことをしたね。

次からは気を付けるよ。」

 

反省のはの字も出さない月夜見に、俺は言葉を投げかける。

 

「それで、本題はなんだよ。

まさか単に世間話でもしに来ただけ、ってわけじゃないよな?」

 

「君との世間話は後日じっくりするつもりだけど、今回は違うよ。

君にいい知らせを持ってきたんだ。」

 

「いい知らせ?」

 

思わず聞き返す俺に月夜見は一拍おいて告げる。

 

「なんと、永琳が私に君の戸籍の申請をしに来たんだ。」

 

「え?戸籍?なんで?」

 

まだその言葉を正しく認識していない自分に、月夜見は答える。

 

「つまり、永琳の許可次第でこの部屋での隔離から解放されて

都市を出歩けるかもしれないってことだよ。

まぁ、少し時間はかかるだろうけど、

私と永琳の推薦があったら、許可は下りるだろうね。」

 

「本当か!?」

 

この代わり映えしない部屋にはいい加減飽き飽きしていたのだ。

気分が高ぶるが、いくつか気がかりなこともあった。

 

「で、でも、なんでこんなすぐなんだ?

つい最近壁とかぶっ壊したばっかだからむしろ警戒するもんじゃないのか?

第一身寄りのない俺が生きていけるのか?」

 

落ち着きのない俺の問いに、月夜見は少し引きながら答える。

 

「永琳から聞いてたけど、壁壊したの本当だったの....

って、それは置いといて、君は永琳の助手として、そのまま

彼女のところで預かってもらうことになるらしいよ。

なんでこんなすぐなのかは.....まぁ、彼女は研究者資質だからね。

何か君に有用性を見出したんじゃないかい?」

 

「有用性?」

 

俺にできること言えば、能力くらいだろうか。

でも別に俺ができることは大体再現できそうなものだが。

 

「まぁ、そういうことだから。この話は永琳からも伝えられると思うよ。

それじゃ、私は行くよ。仕事が結構溜まってるんでね。」

 

そう言い終わると、月夜見の姿は書き消えてしまった。

それと同時に、俺は意識を手放した。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「戻ってきたのか...」

 

もう見慣れた白い部屋を視界に収めながら、俺はゆっくり体を起こす。

永琳が帰ってくる時間は分からないが、さっきの話を聞いた後だ。

悪印象を与えないためにも一通りはすぐに済ませておこう。

とりあえず俺は顔を洗い、歯を磨いた。

そして朝食を食べ終わっても通信が来ないので、

しばらく部屋で待機することとなった

 

 

そんなこんなして一時間ほどたった時、

数日間真っ黒だったモニターが起動した。

 

「久しぶりね、碧

三日ほど開けてしまってすまなかったわ。」

 

そこには少し久しぶりな永琳さんの姿が映っていた。

まだ研究の疲れが残っているのか、すこし隈が見える。

 

「あ、あぁ。おかげさまで、退屈せず過ごすことができましたよ。

それより、永琳さんは大丈夫ですか?見るからに元気じゃなさそうですけど?」

 

「それなら大丈夫よ。このあとしばらく休暇を取っているから。

そんなことより、少し確認したいことがあるから、訓練室へ来るように。」

 

そういうとすぐに永琳さんは通信を切ってしまった。

三日ぶりなのでいろいろ話したかったのに、少し残念だ。

そういえば、少し声が上ずっていたように感じたが....

 

(まぁ、気にしても仕方ないだろう。とりあえず、着替えて向かうか。)

 

月夜見からの話はまだ確かめられていないが、追々話されることだろう。

着替えた俺は訓練室に向かった。

 

 

 

 

訓練室に来た俺を迎えたのは、さまざまな物体だった。

ボールのようなものや、元からあった人形の大小さまざまなバージョン。

見るからに複雑そうな機械なんかもあった。

 

「今回行うのはあなたの能力の再確認よ。」

 

「再確認?物を斬る程度の能力のことですか?」

 

一瞬今更とも思ったが、永琳の前ではあまり行ったことはない。

それについてだろうか?

 

「それもやりたいけれど、今回違うわ。

この数日間、あなたの訓練を見ているうちに、特異性がいくつか見つかったの」

 

やっぱり監視は継続していたようだ。

というかそれより気になることが出てきたな。

 

「特異性?って何ですが。自分の能力以外でなにかあると?」

 

「えぇ、そうよ

例えば、あなたの特異性の一つは霊力が底無しに多いところよ。」

 

「霊力が底無しに多い?

それは、一般に比べてってことですか?」

 

「一般…というより。都市の誰よりも多いわ。

あなたの使っていた飛ぶ斬撃なんて、かなり消費が激しいわよ。」

 

「いやまぁ、霊力が減ってる感じはしなかったけど....

そんなに多いとも感じなかったぞ。」

 

「それは、あなたの練度が足りないからよ。

霊力を一度に多く扱える技量がまだ無いって言い換えたほうがいいかしら。

とはいえ、1パーセントも減っていなかったようだけど。」

 

「えぇ…まじで…」

 

正直よくわかっていないが、それだけ規格外というわけなのか。

十中八九、俺に霊力を備わした龍神の仕業だと思うが。

 

「次に、霊力の正確な知覚ができることよ。

私でも5年かかったのに、ついさっき知ったあなたが使えるのは異常以外の何物でもないわ。

まぁこのことは自覚したみたいだけれど。」

 

「まぁ、そうですけど…」

 

永琳もできるのかよ、一応、体内の臓器を意識できるくらいの難易度らしいが....

これまでの経歴的を見るに、この人はかなりの天才なのかもしれない。

 

「とはいえ、これまでの点はまだ許容範囲内。

一番確認したいことは....」

 

「ことは....?」

 

えらく深刻そうに話す永琳さんの言葉に集中していると、彼女はついに口を開く。

 

「あなたに新しい能力が在るかもしれない、ということよ。」

 

「へ?新しい能力?」

 

予想外の展開に思わず思考が一瞬止まる。

 

「能力....って俺の物を斬る程度の能力じゃなくて?

ていうか、なにを根拠にそんなことを....」

 

「まぁ、一回落ち着いて頂戴。

こういうのは映像を見せたほうがいいかしら?。」

 

そういうとすぐに永琳を映していたモニターの画面が書き換わる。

そこには俺と真っ二つになった人形の姿があった。

 

「これって....初めて飛ぶ斬撃使ったときか....?」

 

「そうよ。そして、見てほしいのはここから。」

 

画面の中の俺が真っ二つになった人形のそれぞれの断面を合わせると、

断面が引っ付いたのか人形が直っていた。

 

「この人形はただの的として設計されたものよ。

ただ耐久を上げる改造をしただけ。自己再生なんて高度な機能は

この人形に積みこんでいないわ。」

 

「え....じゃあ、なんで....?」

 

「そこが本題なの。この人形が再生した理由としては、

あなたの能力以外にありえないという結論が出たわ。

本当に何も知らないの?」

 

「いや、俺の能力は確かに物を斬る程度の能力だけで....」

 

思わず言葉に詰まる。

龍神からの手紙に書いてあったのは確かにそれだけなはず。

でも、俺の脳裏にはある記憶が浮かんでいた。

あの妖怪に斬られた右足が治っていたのだ。

あの時は気にしなかったが、今考えると明らかに変だ。

 

「心当たりがあるようね?」

 

「…でも、何の能力なのかは知らないんだ。

俺もたぶん使ったのはこれ合わせて二回だし....」

 

「そこについては大丈夫。能力の大方予想がついてるわ。

あなたのもう一つの能力は、たぶん【霊力を変換する程度の能力】ね。」

 

「【霊力を変換する程度の能力】?」

 

やはり聞き覚えのない能力だ。

というか確実に龍神の手紙にかいてなかったよな。

 

「っていうか、霊力は分かるが変換ってどういうことだ?」

 

「そのままの意味よ。あなたは霊力を全く別の物質に変換できるの。

例えば、さっきの人形をくっつけたときなんかは、霊力を人形と同じ材質に

変換して、元の状態とほぼ同じになっているの。」

 

「…でも俺は人形に霊力を付けたりはしなかったはずだが....」

 

「それはあなたの斬撃に含まれた霊力が微量ながら断面に付着したからでしょう。

断面を埋めるだけなら十分な量だった、というわけね。」

 

まさか物を斬る程度の能力以外に力があったとは。

というかこの能力....

 

「使い方次第ではかなりやばいんじゃないか?

俺の霊力次第で物の質量増やせるってことだろ?」

 

「それを確かめるためにも、今回訓練場に呼んだの。

時間が惜しいわ、あなたの目の前のもので片っ端から検証していくから、

私の指示通り動いて頂戴。」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

あれから数時間経った頃。

ようやく俺は永琳さんの言う能力の検証から解放された。

 

「これで大体試したいことは試せたわ。

能力は正直想像以上だったけれど、かなり使えることも分かった。

後のことは明日伝えるから、今日はしっかり休みなさい。」

 

「は、はい。」

 

はぁ~長かった。霊力は依然として減った感じはないが、心は限界だ。

なんとかベットに倒れこんだ俺は、今日の検証のことを頭の中でまとめることにした。

 

俺の新しい能力、霊力を変換する程度の能力は、

文字通り霊力を別のものに変換する力だ。

この力は霊力を媒体として使うので、今回俺は霊力を付着させるのに、

霊力放出でできる霧をつかった。

この能力は大きく分けて二つの使い方がある。

一つは、霊力を付着させた部分からそこと同じ材質を増やすことだ。

これを使うことで地面を盛り上がらせたり、壁に使うことで足場を作れたりできた。

もう一つは、対象を治すことができる点だ。

これが超ぶっ壊れであり、さっきの人形のように空いた隙間を埋めるのはもちろん、

元の形状に自動で戻せるのだ。これにより、傷に霊力を変換させて直したり、

複雑な機械も直すことができる。

また、霊力を変換した物質は俺の意思で消すこともできる。

しかもこれらの使い道は、物を斬る程度の能力と同じく、

すべて頭の中で思うことで発動できるという新設設計なのだ。

 

(でもなんで俺にこんな能力が…?

そういえば手紙にどんな病気にもならないとかあったな。

もしそれがどんな病気にも適応できると解釈するなら、

その性質が霊力に載ることで、能力として発現した…のか?)

 

考察っぽいことをしてみるが、こういうのはやはり根拠に欠ける。

そういえば、戸籍の件などは明日言われるかもしれない。

有用性ってもしかして、これのことなのだろうか....?

そんなこんなでぐるぐると考えていた俺はやがて、

疲れからくる眠気に耐え切れず、そのまま眠ってしまった。

 

 




ということで新しい能力です。
更新滞ってしまい申し訳ないです。

よければ評価と感想よろしくお願いします。

月夜見さまをボクっ娘に....

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