「どうやら、戻ってきたようだな。」
目が覚めると既に見慣れたいつもの白い部屋にいた。
周りの物の配置は変わってないことから、
どうやらさっきのは本当に夢に繋いでいたようだ
体を起こした俺を一番に迎えたのは、タブレットの着信音だった。
「そういや今日からしばらく永琳はいないのか。
流石に人と会えないのはちょっとさみしいかもな…」
とはいっても、まだ監禁三日目の身だ。
どうせカメラかなんかが部屋にあり、監視は続いていることは
容易に想像ができる。
改めて自分の立場を再確認しながらも、俺はタブレットを起動する。
どうやらなにかメールが送られてきたようだった。
『訓練室は修繕だけじゃなく、改良もしといたわ。
壁や人形をさらに丈夫にしといたから、昨日の様にはならないはず。
ただ、まだ不確定なことが多いから、武器は回収させてもらったわ。』
永琳からの連絡メールらしく、どうやらいろいろしてくれていたらしい。
あの剣が使えないことは悲しいが、まぁ、妥当な判断だろう。
ちょうど今日は霊力の訓練をしようと思っていたところだから都合がいい。
とりあえず洗面器(トイレについてる)で顔を洗い、朝食を済ませた後、
タブレットを起動する。
昨日送られてきた霊力についての説明を開く。
どうやら軍で使われている教科書から引っ張ってきたようで、
座学と実習編でまとめられていた。
実習編は訓練室で見るとして、まずは座学の項目を開き、
流し読みしてみることにした。
~20分後~
「とりあえずはこれで全部か...」
なんか途中で難しそうな数式なんかもあったが、
そこらへんは全部読み飛ばし、文字の部分だけを読んでいた。
簡単に内容をまとめると、
霊力は人間が持っている力であり、量や質は人によって異なるらしい。
それを動力に機械を動かすこともできるらしいが、
一般的な使い方は体に纏わせることでの身体能力や耐久力の向上や、
武器なんかに纏わせることで硬質化したりできるらしい。
また、妖怪は霊力を避ける本能があるらしいが、
よくわからん数式なんかがびっしりと書かれていたので、理由までは分からない。
まぁ都市では一般的な情報らしく、5歳までには親に教えられる内容みたいだ。
他に目を引いたのは能力者についての内容であり、
霊力とは別に特異な力を使える者をそう呼んでいるらしく、
希少ながらも都市にはちょこちょこいるらしい。
大体理解できた俺は、さっそく昨日の訓練用の服に着替える。
いつの間に洗濯されたのか、汚れがなくなっていたが、
もう驚かないことにした。
タブレットを持ち、部屋を出て訓練室へと向かう。
見た目は昨日と同じく人形も壁も真っ白だが、
永琳曰く耐久性は上がっているらしい。
昨日あった武器なんかはすべて撤去されたようで、
さらに無機質な部屋となっていた。
とりあえずタブレットで実習編を開いてみる。
いくつかのレッスンについてまとめられているようだが、
中でも気になる文字があった。
【霊力を知覚しよう】
あまりにも初歩に書かれていそうだが、
なんとこれ結構後のほうに書かれてあった。
説明を見ていると、なんでも生まれたころからある霊力を知覚するのは
とても難しいらしく、霊力を扱う際には、大半の人間は力集まれ~といった感じで
曖昧に使っているらしい。
よく読んでみると、同じく生まれたころからある体の中の血や臓器を知覚するのと
同レベルの難しさらしい。
なぜ霊力を全く使っていなかった俺が霊力をはっきりと知覚できているのか、という点
については、容易に理解できた。
龍神から霊力を後天的に与えられるということは新しい臓器が突然
生えてくるのと同じようなことなのだろう。
慣れない感覚が逆に霊力の知覚を可能にしているという、
皮肉のような結果になったのだ。
「てか血とか臓器知覚できる人が何人かいるほうがおかしいと思いうけど...」
口をついて出た言葉も拾う人はいない。
いかんせん会ったことのある人間は永琳(モニター越し)しかいないのだ。
認識に行き違いがあっても気づくことができないのは
これから生きる上でかなり不利になるだろう。
この先のことを考えて少し気分が下がったが、
ここには霊力の訓練のために来たのだと意識を切り替える。
まずは一番最初から試していこう。
~数時間後~
結構かかったが一通りは試せただろう。
霊力が知覚できるというアドバンテージはかなり有効なようで、
基本はもちろん、応用まで大体のことは試せた。
まず大きな枠組みとして技術の中には自己強化系と放出系という二つの技術があるらしいので、
まずは自己強化系の技術について細かくまとめると、
・部分強化
これは自己強化系の初歩中の初歩らしく、体の一部に霊力を纏わせることでその部位の
耐久力や俊敏性などの強化ができるらしい。
説明では目的の部位に霊力を集めるイメージだと書かれていたが、
俺は霊力の貯まっている部分(これ以降霊核と呼ぶことにする)
と対象の部位だけに霊力を直接循環させることでそれっぽい感じに
再現することができた。
試しに腕全体に部位強化を施して人形を殴ったら、人形がすっ飛んで行って
壁に激突したのはまだ記憶に新しい。
威力の増加は明白だが、殴った時の痛みがなかったので耐久力の上昇も確認できた。
余談だが、人形と壁には傷一つついていなかったので、
図らずも永琳の技術力を再確認できた。
ちなみにこの技術を使った応用もいくつかあるらしく、
一つ目は身体強化。
こちらは部位強化の範囲を体全体にすることで、
運動能力、耐久力の底上げが見込めるのだとか。
こちらはとても難しいらしく、応用編にまとめられていた。
ちなみに俺は体全体に霊核を中心として渦のように霊力を循環させることで
再現ができた。
使用してみた感じ部位強化が体全体についた感じで、
体が身軽になる感覚があった。
しかし攻撃される状況はどうしても作れないので、
体の隅々まで耐久力が増加されているかは不明だ。
もう一つは道具強化。
文字どうり道具に部位強化を施すらしく、
耐久力の上昇や重さの軽減にも使えるらしい。
しかし体外の物質の内側に霊力を通すのは難しいらしく、
こちらも応用編にまとめられていた。
ちなみに軍の中では道具強化を補助してくれる武器を支給しているようで、
疑似的に使える人は多いのだとか。
要は永琳に借りた霊力を自動で纏う剣もその一部だろう。
まぁ武器類などが撤去された今の状況では試せなかったので、
これはいったん保留だ。
そうしてもう一つの放出系の技術についても細かく触れてみると、
・霊力放出
こちらは放出系の初歩の技術であり、
霊力そのものを飛ばすという文字道理のことだという。
試してみてわかったが、これは妖怪に浴びせた霊力の霧と
同じ現象らしく、すぐにマスターできた。
ちなみに、部位強化は霊力を扱えるほとんどの人が使えるのに対し、
霊力放出は得意不得意が激しいらしく、使えるのはかなり少数だとか。
霊力放出は霊力の霧を放つだけであり、自分のように能力でも持っていない限り
単体で使うことはないそうだ。
その使い道として次のような応用があるらしく、
一つ目は霊弾
こちらは霊力を圧縮して一つの球として飛ばす技術であり、
何個も形成して弾幕を作るのが一般的な使い方らしい。
しかしこれに関しては、俺は一切の習得ができなかった。
いくら圧縮して飛ばそうとしてもまとまった濃度の高い霧が出ていくだけで、
球なんかが出てくる気配はなかい。
一応霊力放出ができれば簡単にできるらしいが、ここでも感覚の違いが出たらしい。
都市での一般的な霊力使いは霊力を固めて飛ばすようなイメージでやっているらしいが、
こちらは細い糸のような繊細な霊力の操作が可能であるのだ。
これが裏目に出て糸をいくら集めても密度が足りない状態にあるというわけなのだろう。
そして二つ目はビーム。
これを聞いて男心を震わせたが、これは霊弾を何段階にも進化させた
超高等技術らしく、霊弾を使えない俺ができるわけがなかった。
これを使えるのは軍の精鋭くらいらしく、参考程度の記述らしい。
「霊力が細かく知覚できるのって楽なことばっかじゃないんだなぁ。」
肩を落としながら訓練室を後にする。
収穫も大きかったが、飛び道具系を使えないことに対する落胆は大きい。
何てったってこちらは格闘技ド素人で、喧嘩もしたことがない。
そんなやつに超人的な身体能力を与えても宝の持ち腐れという奴だ。
慣れない霊力操作で疲れた俺は、着替えて飯を食べた後
気絶するようにベットに倒れこんでしまった。
今回はけっこう面白みのない内容かもしれないですが、
これを起点にしていろいろつなげていくので、
設定資料だと思って許してください。
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月夜見さまをボクっ娘に....
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