遠い銀河のブレーザー 銀色の流星舞い降りる   作:銀色の流星に脳を焼かれた人

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第1話

日本某所、山間部。

今日もまた、平和な日常を脅かす怪獣の脅威が迫る。

 

〈ウルルルォォォ!〉

 

赤と青の軌跡を体に刻んだ銀色の巨人、ウルトラマンブレーザーが闘志を漲らせ、敵を見据える。

彼はこれまでと、ゲントと共に怪獣と戦い、そして勝利をその手に掴んできた。

 

遠い銀河の彼方から襲い来る大怪獣。はたまた冥府より蘇りし凶悪な大将軍。

ゲント率いるSKaRDの仲間に加えて、別次元のもう一人の銀色の巨人「ウルトラマンアーク」と手を取り合うことで、幾度も危機を乗り越えてきた。

 

そんな彼らが今回遭遇した怪獣は、いまだかつて遭遇したことのない新たなる未知。その醜悪な外見と凶暴性と内に秘めた捕食本能に従い人を喰らう宇宙からの来訪者。

こことは別の世界にて、彼らはこう呼ばれる。

 

スペースビーストと。

 

 

 

 

 

 

〈ルルルォォォォィイ〉

 

威嚇のように吠えるブレーザーに対して、白い蜘蛛の姿に似たスペースビースト「バンピーラ」もまた鳴き声を上げる。生き物としての鳴き声とは程遠いそれは、文字通り人の悲鳴が重なり合わせた酷く耳障りな甲高い音を発している。

複数ある白い足を揺らしながら、バンピーラはブレーザーに対して今にも飛び掛かろうとしていた。

 

ブレーザーは、構えを取りながら出方を窺う。いつもとは違う、冥府の怪獣とも違う肌で感じる異質さは、ブレーザーにこれまでにない緊張感を与えていた。

 

「アースファイア、発射用意!」

 

だが、ブレーザーは一人で戦っているわけではない。

 

「よし、そのままブレーザーを援護。これ以上街へ近づけさせるな!」

 

テルアキの号令により、操縦桿を握るアンリの手に力が入る。

 

「ウィルコゥ!よーし、行くよアーくん!」

 

『はい、準備はできています。』

 

「アースファイア、発射っ!」

 

 

アンリの掛け声とともに発射されるアースガロンの主力兵装「アースファイア」。

アースガロンの口からせり出された砲塔から放たれる荷電粒子砲は、バンピーラの背から生える脚を焼き切る。

それを見たブレーザーが雄叫びを上げながらバンピーラの頭目掛けて膝蹴りを食らわせる。そして膝蹴りの勢いをそのままに頭を掴み、バンピーラの体を強引に横に向かせると、CQCモードに移行したアースガロンの鋼鉄の右ストレートがバンピーラの目を撃ち抜いた。

バンピーラの左の複眼のうちいくつかが、体液を流しながらその機能を失う。限られた視界の中で、痛みとともに怒りを滲ませてバンピーラは反撃に移る。

 

口から白い粘性のある蜘蛛糸を吐き、ブレーザーとアースガロンをまとめて縛り付けた。

 

〈ルォォ…!〉

 

「うわぁ気持ち悪い!?しかも解けない…!」

 

〈ルォォォォイ!〉

 

「ぶ、ブレーザーが暴れて…!このままじゃバランスが崩れる!」

 

『転けます。衝撃に備えてください。』

 

「うわぁぁぁ!?」

 

糸に絡め取られたブレーザーとアースガロンが倒れる。信頼関係を築いていても、全てが以心伝心とはいかない。

アースガロンの倒れる衝撃により、コクピットに乗り込んでいるテルアキとアンリは悲鳴を上げる。

倒れてもなお暴れるブレーザーにより、コクピット内部の人間たちは溜まったものじゃない。

 

「なんとかブレーザーに、止まってって言えれば…!」

 

「目、目が回る…!?」

 

 

身動きの取れないブレーザーとアースガロン。この現状を打破するために、ブレーザーと融合したゲントは、ブレーザーブレスへと真っ赤なストーンをセットした。

待機音が鳴り響くブレーザーブレスを操作すると、ブレーザーの体に紅い光が迸る。

 

〈ウゥルルルルルォォオオオオオ!〉

 

彼方より現れしファードランの力により、ブレーザーは太陽の如く燃え盛るファードランアーマーを身に纏う。

そのまま右腕に力を溜めると徐々に炎を纏い始め、バンピーラが吐き出した糸に燃え移り、ついにブレーザーとアースガロンを縛る糸を焼き切った。

 

「うぉぉ!?あっち!あち、あっちち!」

 

「アッつ!あつっ!?糸は切れたけど、熱すぎ!?これが終わったら冷房強化、絶っ対してもらいますからねヤスノブ隊員!?」

 

『冷却システム、fffffフル稼働、オーバーヒーtttト寸前ですssss。』

 

「えぇ!?ちょ、ほ、ほんとだ!?ヤスノブ隊員!これどうすれば!」

 

『流石にブレーザーの炎は想定外です!とりあえず兵装をオフラインにして、負荷を減らしてください!早急に!』

 

通信機越しにヤスノブが叫ぶ。

本来であれば怪獣を前にして武装解除と同義の兵装システムオフラインはご法度だが、アースガロンがオーバーヒートによる緊急停止をしてしまう方がリスクが高い。

テルアキとアンリはヤスノブの言葉に従い、アースガロンの兵装システム、それに加えて最低限の機能だけを残し全てをオフラインにした。

 

 

〈ウルルルオォォイ!〉

 

 

そんなアースガロンに対して、若干申し訳なさがあるのか、少しだけ視線を向ける。少し考え込んでからもう一度吠えると、ブレーザーは立ち位置を調整、吠え声によりバンピーラの注意を逸らし、アースガロンが狙われないようにバンピーラの視界から徐々に外すために円を描くように移動を始める。

 

ファードランが合体したチルソナイトソードを大きく振り、バンピーラに先程糸を焼き切った炎を意識させることでアースガロンへの注意をブレーザーに向けさせることに成功した。

 

悲鳴のような鳴き声を上げ、バンピーラは突進してくる。糸を吐き出し周囲の瓦礫や木を絡め取りながら背中の脚で糸を操作して、ブレーザーに投げつける。

 

だが、ゲントの冷静な戦術眼とブレーザーの直感にファードランの炎とチルソナイトソードによる手数の増加、今のブレーザーにそんな牽制は意味をなさず、斬って燃やして叩き落として、バンピーラを迎え撃つ。

 

そして、すれ違いざまの一閃。

 

 

バンピーラは体に真っ赤な一文字を刻みつけられ、苦悶の鳴き声を上げる。

 

 

〈ルォォ…!〉

 

 

残心を取り、ブレーザーは静かに佇む。

 

 

そして、バンピーラはその体を木っ端微塵に四散させ爆発を起こした。

 

『ブレーザー、ターゲットを倒しました。』

 

「おぉ!いよっしゃぁ!」

 

「あ、危なかった…」

 

アースガロンの報告を聞き、ガッツポーズを取るアンリと、アースガロンの戦闘中のオーバーヒートという危機を乗り越えられたことによる安堵でテルアキは大きなため息をついた。

 

『テルアキ、アンリ、無事か?』

 

「ゲント隊長!はい!私達2人とも大きな怪我もなく無事です!」

 

『それならば良し!アースガロンは本部から技術班がお迎えを手配してくれるそうだ。俺を拾ってからモッピーがそっちに向かうから、合流して今日は全員でモッピーで帰投する!』

 

「ウィルコゥ!」

 

通信機からゲントの声が聞こえてきた。それは戦いの終わりを知らせる連絡でもあり、こうしてアースガロンに乗る2人は本当の意味でようやく一息をつけたのだった。

 

「…ところで、エミさんはどこに行ったんでしょうか?」

 

「そう言えば、今回の作戦には最初から姿が見えなかったな。確か…ゲント隊長がエミ隊員は別行動だ。と」

 

「そ、そうでしたっけ?…それにしても、別行動だなんて、一体今はどこで何をしているんでしょうか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まさか……そんな……」

 

エミは遥か地球の裏側、アメリカはテキサスの地にて奇跡を目撃していた。

先程まで共にいた男が、紅い光と共に、その身を銀色の巨人へと変貌させて、地球防衛隊が秘密裏に命名したコードネーム「スペースビースト」が戦い始めた。

 

〈ジュワッ!〉

 

銀色の巨人、エミの知る限り3人目のウルトラマンはその腕の突起に光を満たし、スペースビーストを斬りつける。

 

しかし、青く硬い装甲を持つスペースビーストには全く歯が立っておらず、スペースビーストはその手に生えた爪をめちゃくちゃに振り回し、ウルトラマンに攻撃する。

 

「エミ隊員!退避してください!ここは危険です!」

 

体系上は同じ組織となる地球防衛隊の一員であるシュウに急かされながらエミは走り出す。

 

「この先でユウマ隊員が車を待機させています!とにかく今は、この戦場から離れることが先決です!」

 

「わかってますって!でも、仮にも捜索対象を置いていくのもッ…!」

 

エミはそう言いながら、走るスピードはそのままに後ろを見やる。

 

〈ジュッ!〉

 

夜の闇の中で真っ赤な弓形のカラータイマーが輝く。ウルトラマンが腕に蓄えた光のエネルギー、それは先程よりも大きな刃となり、大きな弧を描いた。

関節に向けて光の刃を当てながら、肉薄し、その腕を逆に捻り折る。

どれだけ装甲が分厚くとも、生物の体を成しているのならば、関節を壊されてはひとたまりもない。

 

「イシドウさん!エミさん!早くこっちへ!」

 

前方から若い隊員の声が聞こえた。そこには走る二人を待ちながらすぐにでも走り出せるようにと黒い装甲車の運転席に乗り込むユウマの姿があった。

 

「ユウマ隊員早く出して!」

 

「了解!」

 

アクセルを全開に踏みながら、装甲車は荒野を走る。

 

「捜索対象者、真木瞬一。彼も…いや、彼がウルトラマンだなんて」

 

「こんな爆弾情報、本部の誰もつかめるわけないわよ。もともとエリア51がきな臭いから調べて来いって話だったのに、どうしてこんなことに!」

 

エミは集めた情報をSkaRDに秘密裏に設置してあるサーバーへと送信しながら、日本支部の上司たちへ緊急コールを掛ける。

 

「彼がいたのは結局エリア51でしたし、やっぱりあそこで何かの実験をしていたのでは?もしかしたらウルトラマンに関する奴かも」

 

「ユウマ隊員の言う通りかもしれませんが、憶測の域をでません。ですが、状況証拠だけを見るとそのようです。」

 

シュウは、窓から夜の闇を切り裂いて飛ぶ光の刃を見た。

 

異世界からの来訪者「ウルトラマンアーク」に続く、ウルトラマンに変身する力を手にした二人目の人間。

 

「言うなれば、ウルトラマン・ザ・ネクスト。」

 

「…それは2番目って意味ですか?それを言うのならば3人目でザ・サードでは?」

 

「いえ、すみません、私の独り言です。」

 

エミの追及の眼がシュウを貫く。

しかし、それに対して顔色を少しも変えずに、シュウは返答した。

あの時会った彼の事は、結局誰にも伝えていない。

 

「ふーん、まぁ、いいです。うちの隊長なら、名前はあることが大事だって言いそうですし。現場判断ですが、あの巨人のコードネームは「ザ・ネクスト」にでもしましょうか。」

 

「え、イシドウさんの呟きがコードネームになるなんて、すごいじゃないですか!」

 

「いえ、別にそれを狙ったわけでは…ただ、少しあのウルトラマンを見ていたら、私自身少し思うことがあったので」

 

「良いじゃないですか、ザ・ネクスト。ブレーザーって名付けたゲント隊長のセンスに通じるものがあるかも」

 

エミのその発言に対して、シュウとユウマは二人してエミの方へ視線を向けた。

 

ブレーザーの名付け親ってあの人だったのか。

 

 

 

 




(多分あとから口調修正かかります)
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