敏腕ハンドラーである俺は勇者の扱いを心得てる   作:バショウ科バショウ属

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検閲済:運用番号917

※共和暦2年3月8日検閲済

 

【番 号】917

【本 名】マルティナ・ファーナム

【性 別】女

【誕生日】不明

【出 身】オリエント第8群島

【所 属】旧王国軍第2遊撃戦隊

【人物評】

 運用番号917、本名マルティナ・ファーナムは旧王国軍に所属していた戦術勇者である。

 出身地とされるオリエント第8群島は第4次降下強襲によって壊滅的打撃を被り、生存者の多くは浄化処置が施され、記録資料も残されていないため、詳細な出自を確認することは不可能だった。

 マルティナの存在が公の記録資料に現れたのは、オリエント第6群島にある孤児院の運営録である。

 浄化処置から逃れた彼女の傍らに両親の姿はなく、マーガレット・ハウ初代院長が親の代わりを務めた。

 ハウ院長は熱心な教育者として知られ、孤児たちへ平等に愛を注ぎ、それはマルティナに対しても同様であったことは想像に難くない。

 事実として、孤児院から孤児たちの楽しげな声が絶えることはなかったという近隣住民の証言もある。

 この幼少期が彼女にとって最も幸福な日々であったかもしれない。

 慈善事業の名目で運営される旧王国軍の揺り籠で育てられた彼女は定期勇者選定で適性を見出され、運用番号917となる。

 選定に携わった監督官が残した走り書きには、適性の高さに加えて旺盛な戦意とある。

 王制解体後、ハウ院長と孤児院の調査が行われたが、偏向教育の形跡はなく、マルティナは自発的に勇者へ志願したと考えられる。

 彼女が如何にして勇者への羨望を抱くに至ったかは不明。

 マルティナは短い教練期間を経て、オクシデント方面を担当する第2遊撃戦隊に配属され、■■との戦いに身を投じた。

 運用番号917に発現した能力は長距離砲戦に特化しており、■■の分厚い外殻を貫通するだけでなく、降下前に撃墜する精度も有していたとされる。

 同戦隊に所属していた勇者からの評価は高く、後衛としての役目を果たしながら前衛にも立ち、勇敢に戦った模範的勇者と評されている。

 ただ、その周囲の期待に応えるため戦闘時間を過少に報告し、連続戦闘に従事していたことが判明しており、戦隊長は自己を顧みない奉仕精神に危機感を示している。

 模範的勇者であり、戦隊最年少のマルティナは先任の勇者たちから目をかけられていたようで、戦隊の活動写真から当時の様子を知ることができる。

 

※旧王国軍記録資料削除済

※旧王国軍記録資料削除済

※旧王国軍記録資料削除済

 

 王国歴305年3月、第2遊撃戦隊はオクシデント第16群島の第5次降下強襲で回復不能な損害を被った。

 戦術勇者を3名残すだけとなり、第2遊撃戦隊は事実上消滅する。

 この戦闘でマルティナは勇者の名に違わぬ戦いを繰り広げ、多くの島民と清浄を守った。

 しかし、激しい戦闘負荷により呪度汚染が急激に進行し、身体の変質が認められた。

 これにより旧王国軍は浄化対象となった彼女の運用番号を抹消し、浄化処置を実施。

 勇者マルティナは人々に惜しまれながら天井世界を後にする。

 彼女は旧王国軍の戦術勇者ではあるが、オクシデント第16群島の救世主であることは疑いようがない。

 共和国の礎を築いた者の行末に幸あらんことを。

 

※旧王国軍関係者への同情的視点は排除し、事実のみ記述せよ。

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