なんかよく分からんけどここだけクッソ難産でしたことよ!
あんまり伏線ばっかりばら撒くようなことはしたくないんですけど過去のワタクシとかいうボケナスの敷いたルートが無駄に雑然としててお前これ何話かけて書くつもりだったんだとキレそうになりましたわ!!タイムパラドックス上等でしてよこの野郎!!!!(ゲーミングお嬢様)
色々と考えたんですが真面目に考えれば考えるほどいろんな時代を駆け抜けた名馬の名を持った子供たちが一堂に会しちゃってるので整合性がとか着順がとか考えるだけ無駄かなと開き直りましてよ。全編ドリームマッチでお送りしてやる気概。レジェンドレースがすなわち本編でしてよ。
どうもっす。ウインバリアシオンっす。
今私はあの金ぴかの後ろに隠れています。普段だったら死んでも御免っすけど、ぶっちゃけこの状況は相手選んでる余裕なかったっす。ちなみに当の金ぴかは仁王立ちしてますけど冷や汗だらだらっす。ちょっと可哀そうになってきたけど正直コッチも余裕ないので許して欲しいっす。あのフェノーメノさんですらゴールドシップさんを盾にした挙句ゴールドシップさんがガチの仁王立ちで構えてる時点で察してください。
眼前でぶつかる敵意と敵意、こんなのレースですら経験したことないっすよ。威圧とか圧力とか覇気とかそんなもんじゃないっす。お互いの脳天に銃口当てながら首筋に刃物を沿わせてるみたいなえげつない感情同士が激突して“領域”みたいになってるっす。
「あら、あらあら、あらあらあらあらあら……」
「あ?―――――ほぉ、成程。成程ねぇ……?」
ジェンティルドンナさん、素で怪力なので一挙一動が怖いのはそうなんですが……指一本を唇に沿える様で「殺される」と思う日が来るとは思わなかった。前掻きの仕草でかなり真面目にちびりそう。なんなんすか、トレーナーがバカにされてた時でもこんな圧力出して無かったですよね!? というかすぐそこに居るジェンティルさんのトレーナーさんもあまりの圧にビビってすぐそこにいたシンボリクリスエスさんの背後に行きました。仕方ないですよね。こんなの誰だって誰かを盾にしたくなります。
相対してる人は入構証を首に掛けたサングラスの人。いわゆるスポーツグラスってやつで、紫外線を大半反射するちょっとお高めで性能のいい品なので見た目がヤクザのソレっす。
閑話休題。この人もこの人で普通の人のはずなのに圧力が桁外れてるっす。背後に極太の鎖を幻視するくらいの威圧――――いややっぱりこれ“領域”っすよね!? にらみ合うだけで物理的に空間が歪みそうな衝突って何起きてるんすか本当に。
あっ
「悪ィ、一応確認なんだが――――
「――――ほほほ」
「ヒュッ」
ゴールドシップさんの喉から金輪際聞かないであろう悲鳴が漏れたっす。でも仕方ないっすね、今私心臓止まりかけましたもん。人って笑い声で無差別に心臓止めれるんすね。勉強になったっす。なんかもう1周回って冷静になってきたっすよ。
「申し訳ありません。私も貴方のことなど存じ上げず。えぇ、それはもう。そのような年がら年中雨を降らせて人間関係に泥濘を作っていそうな顔など」
「おう、俺も知らねぇ。日がな一日似合いもしねぇオホホ笑いしながら鉄球潰すのだけが趣味のゴリラなんてよ」
「目の病気なのかしら。目の前にいる存在が同じ人類であることすら分かっていらっしゃらないのね」
「残念、目ん玉どころか頭のネジ穴ミリ規格のところにインチネジぶち込まれてんだわ」
「あらなんて可哀想。引き抜いて差し上げましょうか?」
「要らねぇよ。お前に任せたら脳みそ丸ごとぶち抜かれる。機械修理とかこの世の誰より下手くそだろ、ぶっ壊すことしか出来なそうな手してるしな? 彼氏の手とか握った日にはそのまま粉になるんじゃねぇの?」
「ほほほ」
「ははは」
――――ガチで怖い。無理。泣きそう。なんで拮抗してるの……
冷静になったとか言ったけど錯覚でした。あっ金ぴかの膝震えてる……王の威厳のせいで逃げれないんだ、可哀想……
何でこんなことになったんだっけ、と回想する。元を辿ればただの見学だったはずなんすけど……
◇
レッスン後。特にこれといった異常もなく、女学生たちの喧騒が聞こえる中でも平静を保てる程度には穏やかな「違和感」の波に疑問を持ちながら解散となった。今は薪侘トレーナーの計らいで今後も出入りすること自体はあるだろうからと日和に校内の案内をしてもらっている。レース場に顔を出した事はあるが、学園のお祭りごとには関わったことすらないので知識が全くのゼロなのである。
「それで、例の幻覚マジで治まってるのか?」
「おう。気持ち悪いくらいに静かだ。何も見えも聞こえもしねぇ」
穏やか、というには語弊があるか。まるで凪だ。視覚情報を減らすために持ってきたはずのサングラスがただのお洒落アイテムと化している。
ただの喧騒が風に乗って響き、笑い合う子供の声は耳を優しく撫でていく。これまで悩まされ続けた日々は一体何だったのかというほどに全ての違和感が時間を経ることに鎮静し、遂には視界がクリアに晴れ渡っていた。
「保健室ぶち込まれたときはこんなんじゃなかったはずなんだがなぁ」
「……まぁ、割とオカルトな噂も多い学校だ。何かしらに中てられたんじゃねぇか?」
「なんでそこで思い当たる節があるんだよ」
「思い当たる節が出来る程度にはオカルト現象蔓延してるんだよ」
何それ怖い。……とはいえ、ウマ娘自体が半分オカルトに足突っ込んだような存在なのを鑑みればさもありなん、ということなのだろうか。思い浮かんだイメージが台風の目だったのは黙っておこう。
――――いや、待てよ。
「……
「……ドンピシャじゃねぇか、今の状況」
日和の言う通り、ドンピシャすぎる。周りが大荒れの中、嵐のど真ん中だけは気流の渦の関係で晴れ渡る空白地帯が発生する現象。
ノイズまみれでまともに認識できることが稀なほど荒れ狂う周囲と、不気味なほどに静まり返る学園内。構図としてはあまりにもピッタリだった。
「考えられるのは二つだな。一つは此処の「違和感」が高密度すぎて流石のお前の脳ミソでも情報をカットした」
「もう一つは、
つまりは、学園のどこかに中心が存在している。俺を20年以上悩ませてきた原因不明の幻覚、その正体が。
……なんて。格好つけてみたが、そんなもんある訳も無し。それで解決してるんなら俺の人生何だったんだと言いたくなる。灯台下暗しにも程がある。
「荒唐無稽すぎるけどな。俺
「ライセンス関連であるにはあるが……縁としちゃ弱すぎるだろうな」
無いとは言い切れないが、そうだと確定するには手掛かりが無さすぎる。今考えたところでどうしようもないのかもしれないが……
「見学ついでだ。オカルト関連の場所色々見て回っていいか?」
「色々不安はあるが……やってみる価値はあるな」
◇
「あったよ……」
「マジかよ」
嘘だろお前とばかりに(日和曰く)純白の石像を見上げて呆然とする。
三女神像。ウマ娘の祖だの何だのと言われるソレを祀った場所。昔から学園では
台風の目のように静まり返った中、この像の部分だけがぽっかりとくり抜かれて黒く塗り潰されたように俺には見えている。アナログホラーでたまにある、四角い黒で塗り潰されたものが動画に映っているあの感じだ。実際に撮影された、或いは記録された物の中に明らかな異常が紛れ込んでいるあの本能的恐怖が胸中に広がっていく。
理由は分からないが、
「日和、お前なんか見えるか」
「いや、何にも。お前は?」
「そもそも黒塗りでシルエットすら分からん。墨塗った看板で囲われてイタズラされたんじゃねぇかってくらいだ」
「そんな真似したらここの生徒でも停学だ」
そりゃそうか。学校の神棚とかにイタズラするような気の狂った真似するバカは流石にいないらしい。
とは言え、分かったのは原因だけだ。過程も解決策も何もかもが不明。“雑草が生える原因は外部から種が入って来たからです”と言われたのと同じ位にはなんの手掛かりにもならない。
「原因分かっても解決法分かんねぇんじゃあなぁ」
「ここに原因があるって親切に教えてくれてるだけ御の字かもな」
ごくわずかにでも期待があっただけに落胆も大きい。このふざけた頭の異常が解決すれば、マトモに過ごせるのかと思ってしまったから。
そうなった場合俺はミラ子達への指導の術を完全に失うわけだが、そんなもん無くなったくらいで何もできないからとアイツら見放すほど落ちぶれちゃいない。そもフォーム矯正やらはオマケ、最も重要なのは精神面の保護であり、こんな特別性投げ捨てられるなら四苦八苦する羽目になっても良いかと思う程度には腹は括っている。
理事長に捨てられたら? 靴舐めてでも借金してでもしがみつく。ジジイの思い出の土地だ、手放す訳ねぇだろ。
「……ま、後退してねぇから前進と思おうぜ。とっとと案内戻ってくれや」
「そう、だな」
日和も日和で相当落胆しているあたり、ちょっとだけ期待していたのかもしれない。俺の異常を間近で見せられ続けてきた一人だし、何かしら思うところはあったんだろう。
安心しろよ。俺はお前が心配するほどヤワじゃねぇ。
「後でメシでも奢るわ。なんか今日お前に迷惑掛けっぱなしだしよ」
「そりゃこっちのセリフだ。お前の邪魔ばっかしてんだろ、今日」
「この程度邪魔の範疇に入るかよ。こんなもんで邪魔になるんだったら今頃縁なんて切れてるわ」
それに今は気分がいい。人生で久々か、あるいは初めてかというくらいに見聞きする音や色が透き通っているんだ。しみったれた事を考えるのは後でもいい。
頭の痛みもない今のうちに、真面目な話はとっとと終わらせようと口を開く。
「念のため確認だ。あいつらのメイクデビュー、何時だっけ?」
「四月末だな。まーぶっちゃけるとそこはあんまり心配してない。ポテンシャルは全員負けず劣らずだ。ただ……」
「お前の担当、か」
「あぁ。こっちだって担当の人生預かってる。レース会場は分けて確実にデビューは勝つ……ただ、目指す場所的に、初っ端から最後まで激突することになるだろうな」
「オイまさかティアラ超えて獲れるもん片っ端から掴みに行く気か」
「そのまさかだ。しかもそれが出来るだけの能力がある」
ジェンティルドンナ。コイツからの又聞きでしか無いが、秘めているポテンシャルは相当――――否、
……正直に言えば、策はある。
あるが、大博打だ。
「アイツ――――スティ子の件、聞いてんだろ」
「あぁ、“本能”だっけ」
「おう。アレを完全制御できればだが、ワンチャンはあるぜ」
「…………マジで言ってんのか」
貼り付く感情は警戒。間近でジェンティルドンナの実力を見てきたんだ、又聞きの俺よりその辺はずっと正確に測れているだろう。
「ありゃ異常だ。バグっつってもいい。どんな奴にもワンチャンある、そんなレベルのガチの呪いだ」
「……こう言っちゃなんだが、ウマ娘にはオカルトを味方に付けて走る奴なんて幾らでもいる。それでも尚か」
「言ったろ、
俺自身、幾らでもウマ娘は見てきた。その中でもアイツ――――“本能”の異質さ、特異性は現状唯一無二だ。
ジャイアントキリングの化身、周囲に伝播し委縮させる常軌を逸した狂気と執着。物理的な限界を超えて精神へ牙を届かせ得る猛毒と表現していい。
「ティアラの先なら……ユニ子だな。アイツ頭いいから上手いことやれんだろ」
「急に投げやりになったなオイ」
「ぶっちゃけアイツに関してはやりたいようにやらせた方が上手くいくんだよ。自分がどういうことすりゃいいのか、傍から見てる俺らよりよっぽどはっきり見えてる。この間なんか薪侘さんのトレーニングメニューの目的ドンピシャで当ててたんだぜ? 資料カンニングされたのかと思ったわ」
ユニ子の武器は視野の広さと頭の回転の速さだ。そして、それをレース中でもきっちり発揮し切れるだけの心肺がある。体温が上がりにくいというのはそういうことだろう。多分心臓が出鱈目に強いのだ。実際の走りやスタミナはこれからどんどん仕上げていかないとダメだろうが、レース中に掛かることはまず無いだろうという信頼がある。
「ま、どっちにしろワンチャンだな。やってみなきゃわからんし、いいとこ無しで終わる可能性だって十分ある」
「他人の子でギャンブルやんなよ」
「バァカ、俺の勝利条件なんざハナからレースにゃねぇよ。勝てりゃ更にいいってだけだ」
日和は担当をレースに勝たせなければならない、勝つことが大前提。だが、俺の場合は違う。あいつらが無事に帰ってこれたのなら、あるいはそこを超えて学園卒業まで導けたのならそれが勝ちだ。
日和が“最強の証明”であるのなら、俺は“無事之名バ”。証明の過程で勝利が絶対条件なのは日和の方で、俺はあくまでオマケなのだから。
……とはいえ、アイツらが勝ちを望むのならそこは応えてやらないといけないだろう。あくまでこれは“俺の勝利条件”であって、“アイツらの勝利条件”じゃない。そこんとこの折り合いは今後絶対必要になる。
「……って、トレーナーでもねぇのに何を大っぴらに口開いてんだかな」
「良いんじゃねぇか? 先生がメニュー組んだりしてるとはいえ、最終的にあの子たちが帰ってくるのはお前のトコだろうし」
「家ならそれぞれ実家あんだろうが」
「そういう意味じゃねぇよ」
じゃあどういう意味だよ。帰るべき家がそれぞれあるんだから俺の
そう言ってやると、日和はなんかすごい顔で此方を見ていた。さっきのワンチャンある発言よりよっぽどな顔をしている。俺何か変な事言ったかよ。
「クソボケってこういうこと言うんだろうな」
「どういう意味だテメェ」
「金魚すくいでゲットした金魚寿命まで育てたくせに“勝手に育った”とか言いそうだなっつったんだ」
「例が訳わかんねぇよ」
説明を求めていると、何が癪に障ったのか勝手に話を切り上げて歩き始める。昔からたまにこういうとこあったんだよな。ちょっとばかし久々すぎて忘れてたが大概コイツも気性難の気があると思うんだが。中学の時俺のこと説明不足って怒ったことあったが、人のこと言えねぇだろ。
「……まぁいいや。次どこ行くんだ?」
「元々のルートから逸れちまったからな……とりあえず教室棟でも見とくか?」
「お前の合流速すぎてミラ子の案内途中で止まってたからな。頼むわ」
「OK、んじゃ行くか。こっちだ」
「……おう」
――――そう。
最初の顔合わせ、あの時のアンケートでレースに出たいという意思は一緒だったが、“勝ちたい”とまで宣したのはスティ子とユニ子だけ。ミラ子は“出れたらいいな”止まりだった。
アイツは誰かの期待の分だけ駆ける、そういうタイプだ。羨望は有れど競り合ってまで勝ち取りたいものが無い。その分を誰かが埋めねばならず、つまるところ、現時点においてアイツに期待したと言えるのは俺一人なワケで。
――――……そ、そこまで、言うなら……
――――ちょー……っとだけ、頑張ってみようかな、なんて……
「……ヘタをしたら、俺の博打に付き合わせるんだな」
俺の勝利条件にアイツを利用することになるかもしれない。今初めて、それを怖いと思った。やっぱりやーめた、なんて言って欲しいと思った。
だが、背中を押しちまったのは俺だ。あいつの“冠を被る姿が羨ましい”という想いに火を点けてしまった。
今更俺がやっぱりやめたと言うのか? “お前なら出来る”と言った俺が。そりゃちょっとダメだろう。俺自身納得できないし……きっと、ミラ子はそれを悲しいと思うだろうから。
“やっぱりそうですよね~”なんて口で言いながら耳をヘタらせている姿がありありと想像できる。それが我が事のように寂しくて……流石にちょっと絆され過ぎかとも思うが、少しでもその可能性があるのなら嫌だと心が叫んでいる。
アイツを勝たせないといけない。きっと死ぬほど難しくて、アイツに嫌な思いを沢山させることになる。ミラ子のことは存外気に入っているが、そのせいか生まれて初めて
「……気合、入れるか」
自分の頬を叩いてサングラスを弄る。
吹き飛ばせ、そんな弱気。嫌われるなんざ今更だろう。ジェンティルドンナやスティ子――――正確には“本能”にだが――――に嫌いとほざいておいてミラ子に嫌われたくないは筋が通らねぇ。二律背反にビビんな、イカサマ掌返しダブスタ上等、テメェが最後に後悔しない道を意地でも何でも掴みに行け。人生に言い訳すんな。
やっぱりこれも分が悪い賭けだが、アイツに
「――――あら」
歩きながらそんな風に考えていたせいか、いつの間にか俺は生徒で溢れた廊下を歩いていて。
いつの間にか横に避けていた日和に一瞬視線をやって、初めて俺の目の前に一人の女学生がいることに気づいた。
「あら、あらあら、あらあらあらあらあら……」
「あ?―――――ほぉ、成程。成程ねぇ……?」
やけに意匠の凝らされた赤と黒のメンコ。
やや暗めの油絵のような艶のある鹿毛。
そして―――――忘れもしない、違和感によってノイズまみれとなろうともはっきりと見えていたあの紅の瞳。
きっと向こうも同じ感想を抱いているだろう。
目を見ただけで、顔を合わせただけで、そしてその声をはっきりと聞いただけで。
心底から湧き上がる、いっそ清快なまでの純粋な
「悪ィ、一応確認なんだが――――
「――――ほほほ」
あぁ、この感覚。日和の何してんだという口パク。
確定だ。コイツが――――ジェンティルドンナか。
日和トレーナーのヒミツ
実は、最近ジェンティルの鉄球が持てるようになった。
日和はジェンティルのアプリトレーナーを原型に、ウマ娘たちは色々資料漁って「こんな感じかなぁ」と書いていくことは出来るんですけど雨乞に関しては自分で疑問抱いて自分で回答して執筆してるから余計訳わからんくて頭抱えましてよ。セルフ無量空処ですわ。脳内が同じ機材にコードの両端ぶっ刺してるアレの絵になってますわよ。
ある意味一番のイレギュラーですわよコイツ。