見切り発車アクセル10割困ったときはアドリブでが信条のワタクシですけど結構重要事項が混線してきたのでプロットを雑に作りつつ、ウマ娘ストーリー読み返して整理したんですの。
Q.これティアラ3冠始まる前に人間関係の不発弾処理しないと昼ドラ始まって終わりでは?(他人事)
A.そっすね(他人事)
Q2.雨乞に数年遅れの青春させてる場合じゃなくならないこれ?(懐疑)
A2.そっすね(確信)
――――雨乞迫真マインスイーパー編、始まりますわよ。
なお処理方法は全部踏み抜いて爆破ですわ。真に愛するから壊すんですのよ雨乞。
これは持論だが、“嫌い”という感情はその制御が恐ろしく難しい。なぜなら、それは本能的に感じ取ることだから。
芋虫やミミズを目にした時に鳥肌が立つように。不快害虫を目撃した瞬間、その場に居ることすら嫌になることがあるように。あるいは、数多ある恐怖症が証明するように。人間という生き物は、根源的な“嫌い”を必ず持っている。
まず“嫌い”を感じ取ってから、後出しで理由を付ける。それ故に、理由を自分でも分からないレベルで誤認したまま嫌悪を膨らませることがあまりにも多い。
それが根本的な、それこそ生理的現象が絡むレベルの根底から生まれる嫌悪なのか。あるいは、成長し学習する中で生まれた“常識”の反証存在であるからなのか。その二択すら、人は容易く誤認する。長い時間を学習に当て、自我というものを大きくしていった人間の致命的なエラーともいえるかもしれない。
俺という人間、雨乞という男がジェンティルドンナに抱く嫌悪。敵意。それらはまさしくそういうモノで、それ故に“何故”の確定がまったくできない感情だった。
訳も分からないまま気に食わない。どれだけ自己分析しても沸いて出るのは怒りと敵意。どれだけ互いを理解しようとしても滲むのは嫌悪。魂どころか因果地平のレベルで気が合わない。
まるで火の傍に置かれたガソリン、顔を合わせるたびにきっとこうなるんだろうと、ただ1度の対面ではっきり分かった。
「その不躾な手と足、退けてくれませんこと?」
「バカ抜かせ。凶器振り抜く前に止めといて何が悪い」
「……」
下手くそな作り笑いを互いに向けた直後、ジェンティルドンナの利き足を反射的に踏み抜き、肩に手を当てツボを押し込む。回し蹴りと突発的な手の振り上げを阻止。
俺もコイツもやたらとイライラしているが、頭への血の上り具合でいえばコイツの方がずっと上らしい。日和からの前評判もすっ飛ばすレベルで手か足が出かねない状態だ。
「キレてんのは分かるぜ、俺だって同感だからな。お前みたいなのと長々くっ
はっきり言えば虚勢だ。抑え込んだって高が知れている。その気になれば五体ごと吹き飛ばされる。拘束の真似事をしたのは、あくまで衝動的・突発的な挙動を抑止するため。
今この瞬間、更に気を損ねれば最低でも骨か内臓が吹き飛ぶ。それだけの力の差というものが人間とウマ娘には有る。幼子の平手で大人の肩が弾ける、それがウマ娘だ。
だから訥々と言い聞かせる。正論を刺し込むのではなく、ただただ真摯に。
「分かるか、分かるよな? 俺が日和から聞いたテメェは賢いし常識ってやつがよく分かる奴だ。何から何まで気に食わねぇが、そこんとこまで否定するほど俺だって馬鹿じゃねぇ。これでも俺なりに認めてんだよ」
「――――ッ」
「言ったこと聞こえてたか。認めてるっつってんだよ。バカにしてねぇって言ってんだ。ムカつくし、口開けばテメェの悪口は幾らでも出てくるがよ」
みしりと音を立てて解けかけた拘束に臆することなく矢継ぎ早に言葉を繰り出す。
「俺はテメェが嫌いだ。腹が立つ、ツラすら見たくねぇ。だが認めなくちゃいけないモンがある。バカな話だけどよ、俺の方が先に大人になっちまったからな」
もう少し後でも良いかと思っていた本音を、今ここで洗いざらいぶちまけることにした。
腹は据わった、拗れる前に何とかする。二度会おうが五度会おうがどうせお互い沸騰するなら後回しにしたっていい事なんか欠片もない。
なんたって今は人生で一番調子が良いんだ。
コイツはコイツで日和が大事だった。そんでもって、長い目で見た場合間違っていたのは俺で、正しかったのはコイツだ。いつの世だってすぐに手を出す奴は嫌われ疎まれてて当たり前、あの場で然るべき行動とは物理的に手を挙げる速さではなく耐え抜く強さだろう。
「俺はあの日、
死んでも認めたくないが。本音では俺より先に介入して一発入れろやと思っている。けれど、そんなことをした我が子を褒めそやすような連中なんざ終わっている以外の何者でもない。
だから俺はあの時負けたんだ。コイツの耐えようとする心に、完膚なきまでに屈した。
だというのに。今、コイツは俺と同じ轍を踏んで自分から負けに行ってるんだぞ。
認められるかよ、そんなこと。
「だから、どんだけ頭に血ィ登っても手は出すな。俺がくたばるだけならともかく、日和の人生までパァにする気か?
ぎらついた瞳に理性の光が戻り、目の前の事実を噛み砕こうとしているのが分かる。
数秒の沈黙の後、呆れたような溜め息と共に込められていた力が抜けるのが分かった。踏みつけていた足を退けて距離を取る。
ひとまずの危機は脱したらしい。
◇
呆然とする。
負けた? 誰が? この男が、私に、あの日に?
「ち、が――――」
違うのか、本当に? 法治国家において暴力とは慎むべきもの。気に食わない相手へ平手を喰らわせる以外の手段など幾らでもあった。であれば、あの時真に負けたのはあの男。我慢が効かず手を上げたことが肯定されてしまっては法の敗北でしょう。
道理は通る。だが納得がまったくできていない。
混乱の最中、胸の裡で狂ったように炎が渦を巻く。
この男は、私のただ一度の敗北すら奪っていくというの? ただでさえ5年も
「――――」
至近距離で目を覗き込む。サングラス越しでも分かるほどに理性を灯した目は、今吐き出した言葉全てが肚の底から発されたものだと否が応にも理解させてくる。
そのせいで、頭はすっと冷えてしまった。これほどまで滑稽なことがあるでしょうか。自嘲すら浮かんでくる。勝った負けたではなく、どちらが負けたのかを競い合っているなんて。
本当に、救えない。勝つ気がないのではなく、その場の勝敗強弱などまるで頓着しないのだ。その上で“最期に勝つのは自分だ”と、人生最終の一試合に勝ちさえすればそれでいいとするその姿。
数多飲み下した泥水すら糧にする痩せた猟犬。それが自覚してなのか無自覚ゆえなのかは分からずとも……
「……貴方にだけは、勝てそうもありませんわね」
「ざけんな。いつだって勝ちはそっちだろ」
あぁ、やっぱり嫌いだわ。この男。
だってこんなにも何もかもが気に食わないんだもの。
◇
「……気は済んだか、ジェンティル」
「ええ、もう宜しいですわ。それより――――」
「何を年下の女子盾にしてんだよ」
「無茶言うな、あんなん直に浴びたら心停止だバカ野郎」
「あまり……責めないでやって欲しい――――私でなくとも、誰かが庇っていた」
褐色肌の女子を盾にしていた日和がそろりそろりと陰から出てくる。盾にされた当人がOK出してるから良いけど、お前が逃げてどうすんだよ。
……いや、逆に逃げて正解なのか? 下手に止めようとしたら日和の首が反射的に吹き飛んだとか冗談抜きで有り得そうだったし。
「言っとくが、あのレベルの圧なんてぶつけられるどころか見たことすら無いからな、俺」
「良かったじゃねぇか、これから正座説教されるとき心構えできんだろ」
「一生あってたまるか!?」
分かってるんだろうかコイツ。今
「……少々、幼馴染だからと贔屓目に見過ぎたかしら」
「節穴かどうかっつうんなら否定しといてやるよ。危険察知は一級品だ。下手に玉砕かますよか上等だろ」
「曲がりなりにも私のトレーナーであるのなら力で止めるべきでは?」
「ウマ娘と成人男性のパワーの差教えといてやろうか? 絶対ェ無理だから。逃げるが勝ちの最たる例だ、押し倒してみりゃ分かる」
「――――へぇ」
何故か一瞬ざわつく生徒達。常識の範疇の話だろうに、何てこと言ってくれるんだお前とばかりに突き刺さる親友の視線。
勿論ガン無視である。心底気に食わねぇがジェンティルドンナの首ったけっぷりを間近で見ても尚
「どう考えてもウマ娘の方が身体能力高ェんだからよ。マジで襲われたら一瞬だぞ? 中等部にすら俺ら力負けすんだから逃げ足の速さは長所だろうよ」
「そこを立ち向かってこそ私のトレーナーに相応しいと言っているのですが」
「なら立ち向かった結果パクリとイかれても良いんだな」
「潰しますわ」
「あっぶね」
最速で繰り出された
「そんなにキレんなっての。ものの例えだろうが」
「それが下世話だと言っているのです。もう少し慎みというものを知った方が宜しくてよ」
「悪ぃな、そういうの俺ムリなんだわ。
「おうコラ勝手に俺の人生払うな」
「どうせ8割方予約入ってんだから今払っても変わらんだろ」
「せめて3割は手元にくれよ」
「1割ですわね」
「終わったか俺?」
「今更だ」
首ったけどころかもうベタベタじゃねぇか。なんかだんだんムカついてきたなコイツ。中央トレーナーやってる時点でエリートだから普通に優良物件なんだよな。
ちなみに先述の通り逃げ足は一級品だから生存能力は高い。お陰で俺もコイツのことは大して気にしなくても“まぁ大丈夫だろ”と楽観していられるのはある。ただし破滅逃げの類なので
その後、いろいろと駄弁りつつ、周囲の生徒も気が緩んだのか途中から少しずつ会話に混ざりながら、最終的に日和はジェンティルドンナに首根っこ掴まれて連行されていった。この後が昼休みを挟んでトレーニングなんだとか。
予想はしていたが、まぁ
熱量ヤバすぎじゃねぇのとは思う。億が一にも無いだろうが日和が浮気なんてしようもんならもう自由な人生とか一生ないんじゃなかろうか。あいつがそういう過ちを犯さないことを切に祈るし、やりそうになったらガチ目に殴ってでも止めた方が良いかもしれないと思った。8割と言ったが9割9分くらい予約入ってるぞ、お前。
ああいうのを愛と呼ぶのだろうか。たった一人、心に誓った相手を、始まりの理由など何一つ関係なく自らのものにすると情熱を燃やすこと。
俺には正直分からないかもしれない。ああまで他人にマジになれるだろうか。
そういう点では、やっぱり――――
「……ミラ子、おまえが恋しいよマジで」
あの適当さ加減……本人曰くゆるーくのんびり、だがやるべき時はやる気出す。そんな雰囲気くらいの方が俺は好みだった。まぁそもそもジェンティルドンナと俺は一切反りが合わないのでアイツの愛情にも付いていけないのはさもありなんでもあるんだが。
何だかんだ案内も終わったしそろそろコースに行くかと歩き出したころ、周囲の気配がざわめいたのをなんとなく察した。
違和感を察知できないってこういう時はダルいな、周りが何考えてるかさっぱり分からん。
◇
――――なんか、凄いもん見た……
多分、その場の全員の感想がこれでした。全員が惨事を予見して、たとえ自分がどうなろうと飛び掛かってでも止めんと気を張っていた――――とはいえビビって腰砕けになったのは事実っすけど――――中で、ほとんど言葉だけであの怒り様を止めてしまった。
もしも自分があんな状態になるまで怒り狂っていたとして、言葉だけで冷静になれるだろうか。反対に、ああなる程に怒り狂ったウマ娘を言葉だけで止められるだろうか。
正直、私はどっちも難しいと思います。そのくらいウマ娘の精神性は競争や闘争に偏っていると多かれ少なかれ誰もが自覚するくらいですから。
「……ところで、あの人誰だったんすかね」
「いい加減手を離さぬか貴様」
腰が抜けてて今手を離したら立てなくなるんで許して欲しいっす。
「日和Trainerの親友――――そう、聞き及んでいる」
「クリスエスさん」
「事情があり――――トレーナーではないが、カウンセリングを請け負っていると」
さっきまで日和トレーナーの盾にされていたシンボリクリスエスさんが口を開く。曰く、訳アリの子のカウンセラーとして理事長から雇われた人だとか何だとか。
となると、あの一瞬での制圧と説得もウマ娘相手のカウンセリングの一環みたいなもんなんすかね。それにしては直前の圧怖すぎでしたけど。
「手を退けろ戯け」
「ぎゃんっ!?」
考えていると突然金ぴかに手を払われ、そのまま尻餅をついてしまった。尻尾を巻き込んじゃったせいで余計痛い。なんてことするんだこの暴君。
「文句があるのは此方だ。いつまで余を杖にしている」
「そうカリカリすんなってオルちゃーん? シラスみてぇになっちまうぞー?」
「道化の戯れに付き合うほど余は暇ではない」
金ぴかの機嫌もあまり良くないようで、ゴールドシップさんの言葉を一顧だにせずつかつかと歩き去ってしまった。その割に尻尾は機嫌よく揺れていたような……
…………男の人って、押し倒したら勝てないんだ……
「バリちゃんよ、ムリヤリは駄目だとゴルちゃん思うの」
「喧しいっす」
ジェンティルドンナのヒミツ
実は、日和との初対面は一目惚れ。
日和トレーナーのヒミツ
実は、ジェンティルドンナとの初対面は一目惚れ。
ヒシミラクルのヒミツ
実は、最近後輩や同期に心配されることが増えた。
雨乞のヒミツ
実は、女子のタイプは平凡な子。
スティルインラブのヒミツ
実は、この場に居た。
一目惚れって割と好きなんですのよね。そこから色んな側面を知って尚愛情が続いてると某汎用ウマ型変態走者が如く昇天しますわよ私。