独自解釈の塊すぎて書いてて「これ絶対「はよ言えお前ェ!!」案件になるよなマジで」と自分で自分に引いておりましたわ。
なのでそういう設定大好きクラブの御方はご覧になってくださいまし。めんどくせぇとなる方向けに言うなら「これを以て雨乞の病気は完治します」という宣誓の回ですわ。
「――――よう、待ってたぜ」
日の暮れた運動場。“誰も入れるな”と命じた――――命じる方法を理解したそこに、来訪者が訪れる。
今も尚違和感のない世界は続いている。今の今までへばりついていたものは消え失せ、代わりにその全てを請け負っていた頭脳がフル回転して現状を把握しようとしている。
思い返せば、全てが不自然だった。
――――それでもお前を信じるさ。お前は誰かの救いになれる、それが偶々今じゃなかったってだけだ。
信じるとは何を?
誰かとは誰だ?
偶々今じゃなかったとはどういう意味だ?
「違和感」に蝕まれた頭ではその言葉の真意を測るのは困難で、あの人なりの励ましだったのだろうと流した。
回転速度が上がる頭は、これまでのような頭痛を一切発症しない。耳目から入る情報を寸分たがわず処理して統合し、「違和感」の幻視幻聴がどれほど絶大な負荷を掛けていたのかを証明している。
一足飛びに理解する真意。ドキュメンタリー映画でも見ているかのように振り返る20年と少しの人生。
名前を見聞きするのが苦手だった。顔を覚えられなかった。アクセサリーなどをヒントに人を覚えていた。色々と原因はあるが、それでも
夜だというのに連絡に当然のように応えてやってきた男は、不気味なほどの微笑みを顔に貼り付けていた。
「恐ろしく早いな。あと2年ほどは掛かると推測していたのだが」
「ネジが狂った頭だと思ってたんだが、狂ってたのは本体じゃなくてOSの方だったらしいわ。お陰で今ははっきりとアンタが見えるぜ、
小太りの体躯。黒いスラックス。白いワイシャツを腕まくりし、髪を角刈りにした中年の男性。
俺の恩師だ。高校時代、俺を庇ってずっと味方をして、そしてトレーナーという生き方を勧めてくれた人。
――――では、
思い出せない、否、
「戸籍を偽造するのも楽じゃないんだ、そう簡単に見破られては困るんだがね」
「その調子だと外見通りの
いつも穏やかに笑っていて、滅多に怒らない人だった。でも一度でも怒らせるとどんな不良だって一瞬で黙らせてしまうから、体格も相まってヒグマ先生なんて呼ばれていた。
だが、今はそんな様子は微塵もない。開き切った瞳孔からは生気が感じられず、話す言葉は棒読み。金属の代わりに細胞を使ったコンピューターと話しているかのような不気味さが漂っている。
「誰だって社会で生きる以上は仮面を被るものだ。君とて覚えが無い訳ではないだろう」
「まぁな。つーか、アンタは極端すぎなんだよ。脳ミソにAIでも仕込んでんのか」
「おおよそ間違ってはいないだろうな。では答え合わせでもするとしようか」
一切の無駄を省いたような会話には温度が無い。意思疎通という点に関して相手に合わせる必要がないとお互いに察知しているせいで、傍から見ると会話が繋がっているか怪しい。
答え合わせ。この男はそう言った。つまるところ、それは――――
「最初から知ってたんだな、俺の違和感の正体も、それを消す方法も」
「
さも当然のように言い切る。ああ、
こいつも俺と同じ、「違和感」に苦しめられた人間だったんだ。あるいは現在進行形で苦しんでいるのか。だが、それにしては不気味なほど落ち着いている。おそらく今の俺のように、この男も「違和感」を消失させたのだろう。結果としてオーバースペックの頭だけが残された。
「回りくどすぎるだろ。なんでわざわざトレーナーなんて目指させた?」
「それが最短だと踏んだからだ。他の案も考えたが、いち教師が教え子を誘うにはやや不自然が勝ると判断した。警戒され、距離を置かれれば俺は君を助ける手段を失う。それは本意ではない」
「なら、試験に落ちた後悪化したのは何でだ」
「ぶり返した風邪が近いだろうな。一度は消え始めたそれが、治療を止めたことで悪化した」
「治療だぁ?」
そうだ、と男は言う。俺にトレーナーを目指させたことが、「違和感」の治療につながると。
「三女神が要なのは分かるな。あれの影響下に近づくのに一番手っ取り早いのがトレーナーを目指すという行為だった。そして、
「……あぁそういう。アレが原因だってのは直に像見た時に分かったが、二度目で俺の違和感が消えたのは……」
「「
三女神の権能――――すなわち、ウマ娘を導くこと。それはトレーナーにも通ずることで、
普通だったら一笑に伏すかもしれないが、これまでさんざん原因不明に苦しめられてきたんだ。今更“そんな馬鹿な”なんて言う気も起きない。
「要はウマ娘を導くってのが鍵だった訳だ。行いに同調することでわざと俺たちという
「やはり、同じ道を辿った者同士話が早いな」
この男の目的は終始それだったのだ。
「違和感」を持って生まれた者をウマ娘を導く道へと誘導し、それによって「違和感」というエラーを三女神へ認識させ、修正を起こさせる。
一つの疑問が氷解した直後、次々湧いてくる疑問。解決するには今しかないと察していたから、それを投げ付けることを躊躇わない。
「アンタがなんでいきなりトレーナー勧めてきたのかは分かった。じゃあ本題いこうぜ」
「『違和感』とは何なのか、だろう。端的に言えば、アレ自体はエラーではない。正常な挙動ゆえの苦痛だ」
男は語る。「違和感」とは、単なる幻覚ではなく、
「次元の向こう側、別宇宙……並行世界とでもいえば良いか。我々は、常識そのものが根本的にズレた場所と今この世界、そして可能性世界の3種を同時に見ている。その齟齬が引き起こす現実への拒否反応――――まさしくアレルギー症状と言っていいだろう」
「スティ子やユニ子とかの話聞いた時に違和感悪化したのはやっぱ
「“領域”観測による劇症もだ。アレは私も肝を冷やした」
別宇宙には絶対に存在しないものを見て拒否反応を起こしているのに、さらにそこへ拒否反応を起こす要素を重ね掛けされた結果として、命を脅かしかねないほどの過負荷が脳に発生したのだ。
ユニ子が触れた時に急激にその症状が治まったのは、言うなれば過負荷でCPUが壊れる前に電源切断を強行したような理屈だろう。情報処理そのものを最初から無かったことにしたのだ。どうやったのかは分からないが、少なくともユニ子はそういうことが出来るのだろう。それは今は関係ないので置いておく。
「処理したくもない情報を無理やり頭に叩き込まれて、処理自体は出来ても頭痛や不快感って形で拒否反応が出てくると」
「裏を返せば、入ってきた情報を処理できなければ脳が沸騰して死ぬ。事実、過去に存在した何百人もの同類は幼少期の時点で過負荷に耐え切れず高熱によって一生を終えた。俺やお前のように、素の脳の処理能力が常軌を逸していなければそもそも受信自体に耐えられない。耐えられても精神が脆ければ自害して終わりだ」
「……っっとに、マジで……」
性根が腐っているとしか表現できない。ふざけるなと苛立ちが込み上げてくる。
三女神によって修正パッチが当てられているということは、三女神それ自体が原因ではない。俺が観測した、
「じゃあ、俺たちは何なんだ。何のためにこんなクソみたいなハンデ背負わされて、挙句わざわざ取り上げられなくちゃならねぇ」
「……話せば長くなる。座るといい」
そう言って、懐に入れていたのだろう缶コーヒーを投げて寄越してくる。昼間と違い寒さの強い時期だったからか、缶は冷めてぬるくなっていた。
整備されたターフの上に座り込むと、それに習うように恩師も腰を下ろす。そのまま恩師は自分の分の缶コーヒーを一気飲みして、深いため息とともに再び口を開いた。
「……そも、三女神とは何なのか。分かるかね」
「今のウマ娘全ての始祖だとか、今も導く存在だとか言われてる3人だろ。不勉強でも聞き齧りはする話だ」
「そうだ。そして、我々は
「……は? あーいや待て、ちょっと待ってくれ。そいつはまさか」
「流石に俺の
この男の機械的な挙動。一定以上のスペックを要求し続ける機能。エラー、修正パッチという言い方。
ああ、それはつまり。
「
「厳密には名残だがな。俺たちはその役目をとうに失っている」
あまりにも古いシステム。とうに役目を終えて廃れているはずのそれが稼働しているが故の歪みだと、男は語る。
「仮に旧式と呼ぶが、それはあまりに無慈悲で酷薄だった。三女神が新たに生み出したシステムの方が成熟した人間社会には合致していて、そして旧式よりはるかに人道的で効率的。我々は廃れた方が良いと旧式自ら認める程度には、とても優しい構造だった」
「なら何でその旧式がまだ動いてるんだよ。止めねぇのか」
「
「それが俺と?」
「あぁ。突如として再起動したかと思えばお前に違和感、すなわち多重観測能力を貼り付けてさっさと寝てしまった訳だ」
何の創作だと頭を抱えたくなる。気の狂った男の妄言だと一笑に伏したい。だというのに、「違和感」を排除され本来のスペックを取り戻した頭がそれらがすべてを事実だと喚いて止まらない。
そんな俺の姿を知ってか知らずか、男は訥々とこの世界について知っていることを語っていく。その姿はまさしく歴史の教師で、皮肉にもコイツの担当教科は世界史だった。
「三女神の伝承が成立したのは17世紀から18世紀とされている。
「はっ、端末が三女神を諸手を上げて歓迎したわけだ。そんなもんふざけんなって言いたくなる」
「だろうな。私もそう思うとも。そして、だからこそ廃れていった。三女神が成立し、新式が稼働した後は旧式の端末たちは修正され、自分が端末であった事すら知らずに只人として生きていく……」
「……はずだった、ってか」
事実を知らされてなお抗う術はなく、ただウマ娘を導いて没していく。使い潰される。そのためだけに生み出され、そして生まれるまでに数多の命が食い潰される。当時の端末たち――――つまりは俺や眼前のこいつの先祖たちは、それはもう世界を恨んだのかもしれない。
だからこそ旧式は自らの稼働規模を縮小させ、最後には完全停止した。
「俺が最後の端末のはずだった。だが、お前という例外が数百年ぶりに生まれてきた……三女神から緊急で連絡が入った時は驚いたとも。私にとっても想定外だったのだから」
瞑目し、カメラじみた瞳が遮られる。その姿は何かを深く思案しているかのようで、どうにも急かす気になれなかった。
ちびちびと飲み下していた缶コーヒーが空になる頃、男はようやく再び言葉を紡ぐ。
「……何らかの要因によって、三女神ではなく旧式の助けが必要な事態が発生したという結論に至らざるを得なかった」
「つまり、何か?
「導く者が要らなくなったが故に旧式は稼働を止めた。逆説的に
「そっちの方がたまったもんじゃねぇよ。何か目的あった方が万倍マシだろ」
「だろうな。私も同感だ」
スチール製のはずの空き缶をまるで紙屑のように小さく握り潰して恩師は立ち上がる。非人間的な膂力を見せつけながら、お前にも出来る事だと一言告げた。
それは暗に語れるのはここまでだとも告げているようで、こちらも溜め息を吐きながらターフに二足で立つ。
そして、次に語られた言葉は此方の予想を優に超える胡散臭いものだった。
「――――雨乞。この世界を動かしているのは、
「何だ、宗教勧誘か?」
「真面目な話だ。そして、俺たちの存在理由にも繋がる」
突然色ボケたのかと思ったが、どうもそういう空気じゃない。不気味に収縮を繰り返して光量を絞る瞳を此方へ向けながら、男はその根拠を語っていく。
「ウマソウル。その名前を聞いて、私は別世界から魂が渡ってくるのだと思い込んだ。だが、おそらく魂だけが渡ってくるわけでは決してない」
◇
――――ウマソウル。別世界から渡り、この世界のウマ娘に宿るという何か。
だが、魂という概念から連想して輪廻転生の類として考えるにはいささか不自然な点も多い。
輪廻転生とは1つの宇宙の中で魂が循環してこそ成立するシステムだ。閉じた宇宙の外側に流してしまえば、当たり前に魂という名のアカウント数は減っていく。
存在の忘却や消失といった現象も確認されているのだ。仮に別宇宙から取り込むことでやりくりしているとして、せっかく持ち込んだ魂が消えてしまっては循環も何もあったものではない。システムとして破綻している。
あらゆる命に生まれ変わるはずの魂、その総量がいかに少量ずつであろうと減り続ければ、最後に待つのは生命の消失だろう。本来許されて良いはずはなく、故にウマソウルとは魂そのものではないと考えた。
では、仮に魂そのものが渡ってきている訳ではないとしたら、一体何がこの世界に来ているのか。
憎悪や怨嗟は不可能だろう。悪意というものは、結局のところその宇宙の中、それを向けるアカウントがある次元でのみ影響力を持つもの。外に出た時点でただの八つ当たり以下に成り下がる。
本能の類でも不可能。そもそも本能とは生物の反射であり、つまりは肉体にこそ宿るものだ。肉体では次元を越えられない。これもまた、一つの宇宙の中で完結するものだ。
あるではないか。たった一つ、あまりにも自然に世界を超えていくものが。
「『どうか来世で健やかに』……その言葉、想い、祈り、願い。それが世界を超えるのだとすれば……その根底にあるものを、『愛』以外にどう表現しろという」
「……言葉遊び、とも言い切れねぇか。
「そして、祈りや願いが世界を超えることが立証されれば、他の願いが世界を超えうる足掛かりにもなる」
『あの栄光をもう一度』『あの名勝負を再び』『生きてさえいてくれたら』『あの惨事を超える手があったのなら』『あの病を克服する手があったのなら』……それら全て、根源に悪意があって成立するものでは決してない。どんな形であっても対象へ向ける愛があってこそ発露する願いだろう。愛によって生まれる祈りが来世へ渡ったという前例がある以上、それら1つの魂へ向けられた想いが同じように宇宙を超えても何らおかしな事はない。
「愛だけが、世界を超えてやってくるのだ。来世での幸福を願う祈りが、あるいは再びの栄光を願う想いが、この世界で息をする」
「ロマンチックなこった」
「だが、君も嫌いではなかろう」
「まぁな……
苦笑する後代。気持ちは分かるとも。世界に振り回され、世界を恨みたいのに……気がつけば
「だが、これらは呪いと表裏一体だ。仮に『あの復活劇をもう一度』などと願ってしまえば、復活劇のために挫傷する過程が発生する呪詛に転じてしまう。愛ゆえに、ヒトを傷付ける呪いが生まれ得る」
「故意で生まれた訳じゃない事故だな。……あぁ、なるほど? それを現地で撤回するか、あるいはリカバリーするためのトレーナーで、旧式端末か」
「無事之名バに越した事はない。それが出来ずとも、怪我や病の後にも健やかでいて欲しい。そのために導く誰かが必要だと、三女神と旧式が出したその結論には否はない。だが、旧式はそのための犠牲があまりにも多かった。端的に、本末転倒だったのだ」
幸福を導くためにその何十倍の不幸を起こしてどうする。端末たちのその意思に応えるように、新式の稼働に伴い旧式はその規模を縮小させていった。
だというのに、今更になってたった1つの端末を一発勝負で作り出して野に放ったのだ。
「正直なところ、旧式が何を見たのかの詳細は俺にもまるで分らん。先程言った通りただのバグやエラーという可能性も十分にある……事実、三女神の修正パッチ自体は正常に機能したのだからな」
「機能停止したってんなら解体とかしなかったのか」
「できなかったのさ。古すぎて手の出しようが無かった」
ノイズまみれの世界、何も見えず聞こえない地獄。だというのに我々はごく普通の人間として生きることが出来る。出来てしまう。
脳が発狂を許さない。人間と呼ぶにはあまりにも明晰すぎるその回路が、常人ではあっという間に脳が茹って死ぬであろう情報量を当たり前に処理してしまう。
「違和感」を失い、只人となった彼には今や無数の可能性がある。望むがままに生きていいのだ。
その一方で、正真正銘最後の端末として異常の原因を探ってほしいのも本音。
どちらにせよ、行先を選ぶのは彼だ。
最後の選択権は彼に在る。私には無い。
「今でこそこんなザマだが、私も一人の女性を愛したことがあった。皮肉な話だが、それもまた旧式と三女神が背を押したウマ娘だった。だが、それでも私は幸せだったのだ。たとえ始まりがとうの昔に確定させられていたのだとしても、誰かの幸福を願うことが幸福だと心の底から思えた日があった」
だから、あくまでも私の持論を語る。そこから何を見出すのかは、彼に任せるとしよう。
背を押されたからには従わねばならず背くことに命を賭けなければならない時代なんていうのは、もうとっくに終わったのだから。
「私が
愛ゆえに寄り添い、愛ゆえに背を押され、愛ゆえに肩を並べ、愛ゆえに明日を生きていく。
そして、愛ゆえに呪われ、愛ゆえに歪められ、愛ゆえに狂ってしまう。そんなことが起きるのは少しばかり悲しいじゃないか。せっかく愛されたのに、結末がそれでは……祈りや願いすら、報われない。
「
全く同じ道、全く同じ名誉を願うのなら、カタチを変える必要など無かっただろうと、私は思う。
永遠に畜生道を流離う中でも何度でも運命と出会えばいい。それで生まれる愛だって、偽物ではないはずだろう。
だが、そうはならなかった。ヒトの子として形を得て、理外の者と化してなお理の中に生きようとした理由がちゃんとある。
「
「壊す、ね」
「誰かの願いを踏み躙り、たった一人を悲劇から引き上げる。それもまたある種の愛だろう。摂理として、背反するが故に切り捨てられる想いというものは何にだって存在している」
一息吐いて、元教え子に背を向ける。
伝えられることは全て伝えた。
「……話せば話すほど、蛇足のような人生だったと後悔するよ。こんなくだらない舞台の裏側なんて知らないに越したことはない。知る必要も無かった。だが、君のようなタイプは納得するまで追求しながら彷徨うだろう? それをかわしたところで悲劇を呼び込むだけだ。それなら洗いざらいぶち撒けて、受け止め方を探させる方がずっと良いと判断した」
「全部見抜かれててぐうの音も出ねぇよ……」
「若人に必要なのは過去の事実ではなく教訓だろう。だが、その事実を蔑ろにしてしまっては伝わるものも伝わらない。そういう意味で俺はこの手の行いに関して一度失敗している。適当に流しても不安を膨らませるだけだぞ、雨乞」
「全部バレてんじゃねぇか、ストーカーでもしてたのかアンタ」
「三女神が茶飲み仲間なものでな。全て筒抜けだ」
「タチ悪ぃ……」
頭を抱えているのであろうということが想像できる声色だ。タレコミがあったのは事実だが、残念ながら先達として君がやりそうなことはおおよそやっているんだよ、雨乞。
「……待てよ。じゃあ幽霊見えるのも過去の覗き見レベルの読心も旧式端末の機能か」
「ある訳ないだろうそんなもの」
知らん機能を暴露するな。後者はおそらく観察眼由来の共感覚だろうが、それすら端末の機能だったら下世話に過ぎる。
次回、核地雷炸裂。