割れた鏡と奇跡の足音   作:何もかんもダルい

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一番好きな異能が「解脱」なので初投稿です。

史実に沿うならデビューはミラ子が一番早くて次にスティル・おユニ、そして間を置いてジェンティルの世代ということにはなるんですけれども、月単位はともかく年単位でずらしてしまうと作者の脳ではマジで収集付かなくなってしまうので同時期デビューに切り替えましてよ。
ティアラ3冠二人が激突確定してる時点でもう無茶苦茶なので今更っちゃ今更なんですけれども。黄金船は改めてちょっと思案中ですわ。ジェンティル出す以上出したくはあるんですけれどもね……戦績やっぱ頭おかしいって(真顔)


夢のつづき、奇跡の足音

「————こうして会うのもいつ振りかしら。懐かしいわね」

「お前は歳をとったな」

「あれから50年ですよ。当然のこと」

 

 豪邸の一室、威厳という言葉を形にしたような空間で壮年の女性と私は相対している。

 室内でサングラスを外さない不審人物そのものな姿を見て、女性はその特徴的な耳をぴんと立ててこそいるものの、表情は昔馴染みの友人との再会を喜ぶ穏やかなものだった。

 

「急に姿を消したかと思えば、存外すぐ近くに居たのね。まさか高校の教師だなんて」

「300年も生きていれば書類の偽造など慣れている。協力者も幾らか潜り込ませているしな」

「まあ。まるで物語の黒幕ね」

「あまり笑えない冗談だ」

 

 サングラスを外す。日本人らしい黒だったはずの瞳孔は、今や金に染まっていて。

 それを見た女性は、一瞬目を丸くしてからいつも通りの見定めるような鋭いものへ変えた。

 

「話には聞いていましたけれど、本当にそうなるのね」

「こうなってから光が目に痛くてな。サングラスが手放せなくなった……原因としては異界に足を踏み入れたせいだろうな。あの時に色々と狂ったんだろう。後代を導いて、漸く()()()()になったらしい」

 

 その変化は旧式端末からの脱却を意味するもの。正真正銘誰の言いなりでもなく己の意思で人生を歩み始めた証明。

 

 難儀なものだと嘆息する。生まれてこの方訳のわからない幻覚に振り回され、治ったかと思えばご意見番をやらされ、導かれるようにとあるウマ娘を導いたかと思えば真っ当な人ではなくなった。

 挙げ句の果てに何のエラーなのか突如吐き出された旧式端末の後継に全てを伝えて、それで漸くお勤めが終わった。

 

「何か()()()の気に障るようなことをしたかと幾度考えたか分からん」

「貴方は昔からそうでしたね。変化には機敏なのに、機微には疎い……ここへ来たのも、その瞳を見せにきただけではないのでしょう?」

「残念ながら金瞳(これ)だけだ。俺の役目は全て終わった、後は各々好きにすればいい」

 

 メジロ、シンボリ、サトノ、華麗なる一族……有名どころにはおよそ全て。あとは伝手のある中小の大半。300年という時間は馬鹿にならない。知識の方は進みゆく文明について行けず仕舞いだが、人脈はその限りではない。

 

 自分に出来ないことは、出来る奴に頼みに行く。俺に在るのは300年で積み上げた人とのつながりだけ。それもまたお役御免ということだ。

 

「まるでこれから死ぬみたいね」

「不老不死だがな。()()に、ようやく後腐れなく会いに行ける」

 

 異界の果てへ消えた少女。忘却という形で世界から消え去った一人の子供を探す旅。

 俺が望んだ、最期の()()()

 

「……妬けてしまうわ。ずっと昔を思い出してしまう」

「他の連中も言っていた。俺など居ても居なくても変わらなかっただろうに」

「ウマ娘が他のウマ娘に敗北すること、その屈辱がどれほどか……分からない貴方でもないでしょうに」

「分からんさ」

 

 愛したのは、愛することが出来たのはたった一人。

 それ以外へは何一つ感じることが出来なかった。誰一人感情を揺らすことが無かった。それが最初からそういう風に破綻していたのか、そうなるよう誘導されたのか……真意は誰にも、それこそ三女神にすら分からない。

 

「俺が生きていると思えたのは、正真正銘彼女との3年間だけだった。お前たちには悪いが、それ以外の全て俺にとっては蛇足でしかなかった」

「……()()()。そういうところ、聞いた限りでは()()ではなくて?」

「血縁のない遺伝など笑い話にもならん」

 

 絡みつく願いを、祈りを、裾を掴んだ想いを。ひとつひとつ、ちゃんと向き合って捨てていく。

 俺という存在の(よすが)を、己の手で解いていく。 

 

「俺のことなど忘れろ。そして、お前の幸福のために生きていけ。それだけだ」

 

 吐き捨てるように――――わざとそう見えるように――――背を向けて言い、そのまま執務室を後にする。

 

 数滴零れ落ちたものを、切り捨てた。

 たった一人のために、海へと流した。

 

 

「面白くないのね」

 

 長い廊下を歩く最中、声に振り向く。

 見覚えがある。随分大人びた仔だった。あの時から随分上背が伸びて、すっきりとした顔つきになった。

 だが、どこか世間に飽いているようなその瞳は相変わらずか。

 

「最初からそうだったろう」

「えぇ、昔からずっと、面白くなかった」

 

 魔性の黒鹿毛――――随分大層な名前だ。そんな()()()を通すから、誰もが眼前の少女の真実を見落とす。

 意外性などと、笑わせる。

 

「冠を揃えれば俺が跪くとでも思ったか」

「目には留まるでしょう?」

()()()に話しかける趣味はない」

 

 にべもなく切って捨てる。

 原因は愛について変に語ったせいか、あるいは300年の間に見たものを、口が堅いと信じて迂闊に語ったせいか。

 走りに愛など感じない。競うことで示す愛など理解不可能。俺が愛したものは芝生(ターフ)の上には無い。ゆえに()()()()()()()()()()と、きっぱりと拒絶を突き付けたはずだ。

 だというのに、あるいはだからこそか。いやに執着されたものだと思う。

 

 もはや目を向ける意味もない。彼女には彼女の人生があり、そして駆け抜けたのだから。

 

「つまらないわ」

 

 ふと、すぐ近くから声がした。

 振り向けば、少女はジャケットの裾を細い指で掴んでいる。眉を顰めた顔ですら様になるのは親譲りか。

 

「そうか」

「つまらないと言っているの」

「知らん」

「……つまらない人」

「変わらんだろう、昔から」

「つまらない人だわ、貴方」

 

 裾を掴む力は強くなる一方。大人びたのは顔立ちだけか。そこに立っているのは、一人の少女でしかなかった。

 昔からこうだ。これほど()()()()()()のに、どうして誰もこの少女の内面に気づかないのかが疑問で仕方なかった。

 

「じきに面白くなる」

「貴方はつまらないままなのね」

「俺はそういう人間だ」

 

 ――――俺に愛を語っていい奴はもう満席だ

 

 見るべき方向をとうに定めているから、それ以外が目に入らない。その一方で自分に一切の視線を向けない相手に関しては鋭敏過ぎるほどよく分かる。

 自己完結したレースへの熱情、それ故に容姿に至るまで求めた完璧さ。万人へ己の愛を示さんとしたその意気は認めよう。

 

 だが、俺が愛を向ける相手はとうに別の相手と決めている。()()()()()()()()()()

 だから俺はまるで相手にせず、この少女は俺に視線を向けさせようとした。

 

「終ぞお前の愛とやらは理解不能だった。だから、ソレは分かる奴にこそ語るといい。安心しろ、すぐに現れる」

 

 

 裾を掴む手を振り払い、そのまま豪邸を後にした。

 

 

 

 

「悪ぃ、勝つと思ってたしレース見てなかったわ」

「ですよねー勝ちましたよこの野郎」

 

 その場でくるっとターン。片足腿上げ、後ろ蹴り。ギムレットちゃん仕込みの破壊を喰らえ。

 この野郎あれだけ焚き付けといてやることそれか。わたしの純情返せ。ゆるーくのんびりとかそういうレベルじゃないんですけど。

 

「せめてラジオとか! 何かあったでしょ!?!?」

「いやだって()()()()()()()使って負けたら多分この先無理ゲーだし? この最序盤でそんなもん使える奴とカチ合うようならお前に諦めろって言うレベルだわ」

「……はぇ?」

 

 等速……なんて?

 いや、流石のわたしも聞いたことくらいはある。けどそんなの教えてもらった覚えなんてない。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()とは雨乞さんから教えてもらったけど、そんな大技教えてもらったことなんか絶対ない。

 

「等速ストライドっつーにはだいぶ雑に過ぎるから言わなかったんだけどな。お前にやって欲しかったのは高回転でエンジンぶん回して暖気をさっさと終わらせることだし。だからわざわざ名前まで言わなかったのはある」

「……」

「ジト目やめろ、こんなとこまで嘘つかんわ」

 

 本当かなぁ。煽てて欲しいって言ったのはわたしだけど煽てるためにわざと情報伝えないとか素でやるしなぁこの人。特に自分のことになると露骨に騙くらかしてくるしなぁ。

 

「まぁ無理を言うなら変速したまま定速で走る感覚っつーのを掴んで欲しかったのはある。お前は特にスタミナあるからな、多少の無駄遣いはできる方だ。ズブいならズブいなりに小細工の基型あった方が楽だろ。同じやり口(すりつぶし)一辺倒で勝てるほどお前のライバルバカじゃねーしそこまで実力差あるわけでもねぇぞ、多分」

「う……」

 

 それはまぁ、たぶんその通り。仮想敵にユニヴァースちゃんが入ってくる以上、何かしらの策がとれないと厳しい。

 

「薪侘さんとも話したが、こっから先しばらくお前は等速ストライド()()を掴んでもらう。高回転で暖気爆速で終わらせながらロングスパートで周りを捩じ伏せる。言葉にすりゃ簡単だろ」

「言うは易し行うは難しってやつですよねそれ」

「おう」

「おうじゃないですよ」

「心配すんなって。ジュニア期の間はお前がやれそうなレースはあんま無い。試す時間はそれこそ山ほどある」

 

 わたしの走り方は今まで通り雨乞さんがメインになって見て、薪侘トレーナーの下で体を作りつつ、幾らかレースに出て経験値を積みつつ、ひとまずの大目標としてGⅠ1勝を目指す。何処を目指すかは……まぁ、おいおいで。そんな感じでミーティングは幕を閉じた。

 

 

 

 わたしのメイクデビューからしばし、雨乞さんのトコの運動場を使ったトレーニングの後。クールダウンを終え、シャワーの順番待ち。雨乞さんのトコはシャワールームの数が足りないから3人だと誰かがあぶれちゃうんだよね。毎回順番争いのジャンケンは白熱します。

 

 期待された分だけ頑張りたい、なんて言ったはいいけど、じゃあどこを目指して頑張りたいのと言われると未だに頭を抱えてしまう。それこそ雨乞さんや薪侘トレーナーが獲って欲しい賞なんてものがあれば良かったんだけど……

 

「あるわけねーだろ俺に。つーかそれこそお前が決めるんだよ」

「ですよねー」

「あくまで俺らは道を舗装するだけであって、実際にそこ歩くのはお前らなんだから」

 

 レースに出るからには勝ちたい。でも何を勝ちたいのかと言われると、正直なんも無いのである。

 どうしよっかなぁ、なんて考えていると、雨乞さんが急に頭を掻き始める。

 

「……って、またトレーナーみてぇなこと考えてんな俺」

「雨乞さんって意外と手馴れてますよね。それこそ本職のトレーナーみたい」

「こんなんでも2年間研修受けてっからな。まー誰でもできることは一通りやれる」

 

 雨乞さん曰く“トレーナーの真似事はむず痒い”のだとか。出来る出来ないは置いておいて、やりたいかどうかで言うと微妙。自分から担当したい子を見つけて3年間頑張るなんてやってらんない、でも向こうから来たなら別。正直自発的な目標が無いのでやる気になれない。だからトレーナーにはならないんだとか。

 

 けど、その一方で一度でも真似事をし始めるとついつい熱が入ってトレーナーみたいに振る舞ってしまうんだとか。それはもう天職なのでは?

 

「ウマ娘が一度走り始めたら熱入るのと一緒だぞ、話にならんわ。“走るの好きなら三冠目指そうよ”とか言われたらお前どうよ」

「えぇ……それは……ちょっと……」

「だろ? 同じだ同じ。熱入るからって目指したところで周りと気合の入れ方違って萎えるだけだ」

 

 横から口出すくらいでちょうどいいんだ、なんてしたり顔で宣う。字面だけ見たらホントに最低なんだよねこの人……

 

「でも結局ちゃんとわたし達のこと見てくれてますよね。色々調べたりもしてくれてるし」

「まぁな……アレだ、面倒見てくれって言われたのに適当やって放り出すのはちと違うだろ」

「わたしの場合は?」

「俺が期待するとか言ったからだが」

 

 茶化したらノータイムで返してきおる。しかも真面目腐った顔で。やっぱりズルい人だよなぁって思った。

 睨みつけていると、扉の開く音。体が温まった二人が居住スペースへと戻ってきた。

 

「シャワー、上がりました……」

「『DRYR(ドライヤー)』……『お手入れ』を“求める”をするよ」

「自分でやれっつの。髪は女の命とか何とかじゃなかったっけ……?」

「わたしに聞かれても」

 

 ユニヴァースちゃんはいつも通り。何のかんのと理由を付けては雨乞さんに構って欲しがる。意外と甘えたがりなのかな……?

 そしてスティルちゃんはそんなユニヴァースちゃんをどことなく羨ましそうに見ては何やら悶えている。結構気にしいな子みたいだし、“やって欲しいけど迷惑じゃないかな”とか考えちゃってるのかな。

 

「おいミラ子、お前もとっととシャワー浴びてこい。そんでもって3人そろってさっさと帰れ。門限過ぎてまたガチ説教喰らっても知らんぞ」

「あ、そうだった。行ってきまーす」

 

 ぐちぐち文句を言いながらも慣れた手つきでドライヤーと櫛を手にユニヴァースちゃんの髪を乾かしていく雨乞さん。何度も強請られたからか最近手際がすごい勢いで上達していた。

 そんな光景を尻目に部屋を出て、シャワールームへ向かう。

 

 ……なんというか、最近すごくいろんなものがよく()()()気がする。わたしこんなに観察力とかある方だっけ……?

 

 

 

 

 

 軽く水気を拭き取ってから、ドライヤーの風を低温で当てつつ櫛を通していく。初めてやってくれと言われたときは頭を抱えたものだが、何度も何度も言われるうちになんかもう慣れた。最近は尻尾のケアまでさせられている。俺はスタイリストか?

 

「~♪」

「ご機嫌だなオイ」

 

 お気に入りらしい曲を口ずさみながら、黙って尻尾の毛をされるがままにするユニ子。女子なら髪とか他人に触られるの基本嫌がるもんだと思っていたんだが……()()()()が特別なだけか。そう思っておこう。この距離感が普通だと思ってたら何かが狂う気がする。

 

「スティ子、いつも思うがそんなにチラチラ見るくらいなら最初から強請っとけって」

「で、ですが……そんなご迷惑を」

「迷惑っつーんならコイツの手入れさせられてる時点で今更……おいコラ尻尾振り回すな、当てるな! オイル付くだろうが!」

「……」

 

 べしんべしんと音が付くくらい振り回されて鞭のように叩きつけられる金色の尾。こいつらの尻尾の毛って1本1本が硬くて太いから見た目以上に威力あるんだよな。端的に言うと普通に痛い。鞭のようにというか鞭そのものだ。

 ちょっとムカついたので先端を握って強制鎮圧。感覚の鋭い部分を軽くとはいえ引っ張られたからか耳が天井へ向けて立つが知ったことか。振り回したお前が悪い。

 

「……とにかく。一人やってんだから二人も三人も変わらんわ。やって欲しいならそう言え。はしたなくも迷惑でもねーから」

「……では、是非」

 

 ユニ子の手入れが終わり次第尻尾を退けて、スティ子の方を向く。さっきからタオルでぐしゃぐしゃにしまくってた割に髪はあまり絡まっておらず、ドライヤーで風を当てれば簡単に乾いて櫛がすんなり通っていく。少し癖毛入ってる割に随分手入れされてるな。

 

「今更だがこんだけしっかりケアしてあんのに俺に触らせていいのかよ。自分でやった方が勝手分かるだろ」

「……その、えっと……気分転換、です」

「何のだよ……ほれ、尻尾は? 自分でやんのか?」

「…………で、では、お願いします」

「はいよ」

 

 …………やっぱり距離感おかしいよな、コレ。尻尾って言っちまえば腰の延長線上だぞ。パーツの付いてる場所的にも身内ですら触って良いか相当微妙なライン。それの手入れ任されるって絶対おかしいよな。俺間違ってないよなミラ子? 薪侘さん?

 日和? アイツはダメだ。ジェンティルドンナに毒されて指標にならん。手足の爪まで手入れしてんのはおかしいだろ。

 

 とは言え、一度やると言っちまったのを放り出すのもはばかられる。頭を埋め尽くす疑問をとりあえず隅に置いておいて、無心で専用オイルを塗っていく。

 

「――――っ、~~~~ッ!」

「ほれ我慢しろって。変な声出すな、俺が社会的に死ぬだろうが」

 

 

 

 

 3人の中で一番年下の癖にやたらと艶っぽいスティ子の手入れまで終えて、コーヒー片手にスツールに腰かける。ミラ子はまだかかりそうだし寮の門限まで余裕もあるので二人にちょっとした連絡を伝えておくことにした。

 

「ミラ子がひとまずメイクデビュー1着、お前らもそれぞれ来週に来るんだから続いて欲しいとこなんだが……」

「なにか問題が……?」

「あぁいや、問題っつーほど問題でもねぇ。ただ日程がダブってるってだけだ」

 

 レースが開催される場所が微妙に遠いのだ。バイクで飛ばしても普通に間に合わない。つまるところ……

 

「どっちかがあの不審者で、どっちかは俺が付き添いになる」

「「……!」」

 

 なんか寒気したな。まあいいか。

 こいつらのデビュー戦が始まるということは、当然日和や薪侘さんとこの子らもデビュー戦が順次始まっていくということ。さも当然のように思って失念していたが、同じレース場だったりでスケジュールに余裕が無いとあの二人に付き添い頼むのは今後も難しそうだ。

 

「薪侘さんは自分のチームのウマ娘のデビュー戦だからお前らには付き添えないし、日和も同じ。だから消去法でそうなるわけだが……ぶっちゃけお前らどっちがいい?」

「……」

「……すぅ……」

 

 にらみ合うこと数秒。徐にソファから立ち上がり、妙な動きでそれぞれ柔軟を始めた。

 そうして再び向き合い、腰だめに拳を構えて……

 

「「最初はぐー、じゃんけんぽん!!」」

 

 ……スティ子がパー。ユニ子がチョキ。

 勝者はビクトリーサインを天に掲げ、敗者はそのまま地に崩れ落ちた。どんだけあの不審者のこと嫌だったんだよ。気持ちは分かるけど。

 

「ふぃ~上がりましたぁ…………何ですこれ?」

「知らね」

  




「恩師」のヒミツ1
実は、導いたのは一人だが関わった数は星の数。

「恩師」のヒミツ2
実は、最愛のウマ娘は亡くなっている……ということになっている。それ以上に表現する方法がなかったからだ。
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