《超常能力世界(サイキックワールド)》
人間の中に、わずかに超能力者が混じる世界。世界相はT=M=。
かつては、ダーザインの基準でT+に相当する文明力だったが、世界規模の戦争で衰退。
もはやその戦争が起きた理由すらわからず、時の濁流に押し流されてしまった。
だが、それでも世界は続いていく。
いずれすべてが忘却の彼方に消えていっても、やがて新しい何かが、その跡を埋めていく。
生き残った人々の中から、特殊な力に目覚める者たちがいた。
大戦で使用された大量破壊兵器によるオゾン層の破壊で、地表には宇宙線が降り注ぎ、その被曝者は先天的な超能力者となった。
超能力者も非能力者も、皆生きるため協力し合った。そして、新しい社会が生まれた。
人々が安定した生活を手に入れ、さらに時が経った現在。
かつて協力しあった人々だったが、「超能力者」と「非能力者」、「富裕層」と「貧困層」、「支配する者」と「される者」といった「差」が
社会に少しずつ歪みを生んでいった…。
…
……
………
「烈斗さん!ちょっと反対側持っててほしいッス~!」
「あいよ~っと!」
葛城烈斗、21歳。
・・・・・・・・・・・
肉体労働を生業にし、人足稼業で生計を立てている、この《世界》においてはしがない大学生。
今日も今日とて、学費の足しにするために日銭を稼いでいた。
「ふぅ~……蓮、今日はこのへんにしとくか?」
「そうッスね!こんだけの稼ぎがあれば、しばらくは飯にも困らないッス!」
烈斗の仕事の相棒である蓮は、同じく人足で、烈斗より1つ下だ。
蓮が烈斗に人足の仕事を紹介し、それを2人でこなすのが彼らの日常であった。
2人の稼ぎは、2人で稼いだ金の半分ずつがそれぞれの取り分となる。
「いつもすまねぇな、蓮。つーか、俺の学費稼ぎにお前まで付き合う必要なんてねぇんだぞ?」
「なぁーに言ってんスか!ガキの頃は、烈斗さんに助けてもらってばかりでしたし、恩返しできるのが嬉しいんス」
2人は学生時代に同じ不良グループに属しており、烈斗がその不良グループの頭だったのに対し、蓮がその舎弟といった関係性だった。
烈斗は人並外れた喧嘩のセンスで、昔から負けなし。蓮をはじめとする、学校のはみ出し者たちをまとめあげていた。
「みんな、今頃どうしてるッスかね~」
「さぁな、もう俺の知るところじゃねぇさ…」
烈斗の人望は高く、慕われていたものの、いつしかそんな日々は学生時代の終わりとともに去っていた。
烈斗は進学の道を選び、不良グループの面々はそのままそれぞれの道に歩んでいった。
ただ一人蓮を除いては。
こうして、蓮が烈斗と共に仕事をしているのは、烈斗への恩義と烈斗と一緒に仕事をしたいという想いがあったからであり、
烈斗にとってはそれが嬉しくもあり面映ゆかった。
「そろそろ帰るか。腹も減ったしな」
「おっけーッス~!あざっしたー!」
烈斗たちは仕事をあがり、夕食を決めるために街中をぶらつきながら雑談していた。
所狭しと並ぶ高層ビル、違法増築を繰り返したいびつな建築群、ネオン管とホログラム看板が乱反射する夜の街を、二人は肩を並べて歩く。
高層ビルの壁面には巨大な女性アイドルのセクシーポーズが投影され、瞬きするたびに瞳が潤む。
「あの子のファンクラブに入れば生配信も見られるらしいッスよ!」
「はぁ、俺はあんまりそーゆーの興味ねーんだわ…」
「えぇ〜!あんなに可愛いのに興味ないんスか!?」
メガコーポが垂れ流す、趣味の悪い広告だ。それを見て騒ぐ蓮に、烈斗は適当に相槌を打つ。
烈斗はどちらかというと無骨で単純な男であり、蓮のような俗っぽさとは程遠い存在だった。
「まぁいいか……ラーメンでも食って帰ろうぜ」
「そうッスね!」
二人は近くのラーメン屋に入るべく歩き出した。
『昨夜未明、セントラルシティ港湾区域にて、身元不明の遺体が複数体――
――警察当局は、その残忍な犯行手口から、先月より発生している超能力者連続殺人事件との関連性を――』
ラーメン屋の、少し古びたテレビがニュースを流している。どうやら殺人事件らしい。
「最近どうも物騒だな」
「身元不明って…相当酷い殺され方したんじゃないスかね…」
最近、超能力者を狙った殺人事件が多発しているのは烈斗も聞いていた。
犯行現場は今烈斗たちが暮らしている付近とのことで、烈斗も他人事ではないと思っていた。
それにしても、先月から暴れている殺人鬼をひと月近く捕まえられずにいる警察は何をしているのか、
烈斗は昔から警察のことは信用していなかったが、改めてその体たらくぶりを見せつけられると呆れるしかない。
もっとも烈斗からしてみれば、「この街で警察を信用する奴のほうがどうかしている」という感想を抱くかもしれないが。
「ごちそうさん、さて帰るか…」
「はい!また仕事のときは呼びますんで、よろしくお願いします!」
「おう、頼むぜ、じゃあな!」
雑踏に消えゆく蓮を見送った後に、烈斗も帰路につこうとした、その瞬間だった。
ドッ……
烈斗に何かがぶつかった。
「ああ…??」
烈斗が目線を下げると小柄な少女がいた。ぶかぶかのハンチング帽を深くかぶってて、顔はよく見えない。
「…ごめんなさい」
「おう、気ぃつけろよ」
烈斗はその瞬間、強烈な違和感に襲われる。ポケットが軽いような…?
急いで自分の左のポケットを探る。
無い……財布がない!
ラーメン屋で支払いを済ませたから、確実にさっきまで持っていたはず!
まさか…
烈斗が後ろを振り向くと同時に駆け出す少女。
財布を盗んだことに気が付かれたことを察したようだ。
「てめッ…待ちやがれ!!!」
烈斗もすぐに駆け出す。しかし距離は縮まらない。
少女はその小柄さを活かすように、人混みに紛れ込む。烈斗は人混みを体で突き飛ばしながら追いかける。
「うわっ!?」「何を…!?」
「おいっ!邪魔だァ!!退いてくれッ!」
烈斗は追いかけながら叫ぶ。が、相手は当然止まる様子はない。それにしても速い……まるで獣のような速さだ。
烈斗は人混みを抜けだし、少女の姿を探すと、今度は雑多な路地の方へ走っていくのが見えた。
普段から逃げることに慣れているのか、軽快な身のこなしで障害物を超えてゆく。
烈斗は雑多な障害物を蹴散らしながら追いかけてゆく。
少女は建物と建物の隙間にあるさらに狭い通路へ飛び込んでしまう。
烈斗は通路に飛び込み、すぐに角を曲がる。そこは行き止まりだった。
少女の背後に建物の隙間はあるが、到底人が通れる大きさではない。烈斗は少女を追い詰めたかに思えた。
「はっ、ミスったなお前…別にボコしたりしねぇから、早く財布を…」
「お兄さん、やるね…でも私の勝ち」
その瞬間、少女の体が変形しはじめる。みるみるうちにその姿は黒猫へと変わる。
(しまった、『変身系能力(メタモルフォーゼ)』か!!)
そのまま黒猫と化した少女は建物の隙間へと消えていった。
…
……
………
(ふぅ、なんとかあのゴリラを撒いたわね)
隙間を通り抜けた黒猫は、再び少女へと姿を戻す。ここは路地裏の更に奥まった場所に存在する廃工場のようで、
屋根はすっかり抜けて無くなっており、使われなくなった無数の作業用重機が保管されている、さびれた場所だった。
少女は息を整える中、烈斗との追いかけっこを思い出す。
(最初は普通の一般人かと思ったけど……なかなか動ける人だった)
少女にとって、烈斗の予想以上の動きは完全に計算外だったのだ。
財布の中身を確認する。
現金は5000円ほどしか入っていないが、カード類と身分証もあるので収穫としては十分だろう。
(これだけあればしばらくは大丈夫…)
少女は満足すると路地裏を出るために歩き始める…その瞬間。
「甘ぇぜ!!」
少女の頭上から声がする。烈斗が、炎を噴射して飛んでいる。
(…しまった、飛行もできる能力者!?)
そしてそのまま少女を掴み床に押さえつける。
少女は突然のことに驚き抵抗しようとするが烈斗の剛腕からは逃れられない。
「俺を撒いたと思ったみてぇだが…甘かったようだな」
「ひっ……」
少女の目に涙が浮かんでいる。烈斗は少女を解放する。
「おいおい……そんな泣くなよ。大人しく財布を返してくれたら許してやるからよ」
「…アンタも甘いね」
解放した瞬間、少女は目つきを変え、烈斗にサマーソルトキックを浴びせる。
「てめっ…!!演技だったか…!!」
少女は再び黒猫に変身し、逃走を図る。しかし…
烈斗はジェット噴射のように炎を吹かし、高速移動を行い少女の前に立ちはだかる。
「俺が甘ぇのは、お前に負けないって自信があるからだ」
「…っ!!」
「まだ追いかけっこするか?」
「……」
少女は観念したように変身を解く。黒髪のツインテールにまだ幼さが残る顔。
歳は10代前半くらいだろうか?服装はパーカーを着ている。
「やっと観念したか……ほら財布返せよ」
「嫌」
少女は意固地になっており財布を返す素振りを見せない。
烈斗はため息をつく。このままでは埒があかないと思い、脅し文句を使うことにする。
「おいおい……こっちも暇じゃないんだよ。返してくれないと痛い目見るぜ?」
「…………」
本当に殴るつもりはないが、烈斗は拳を握り締める。掌から炎が立ち昇る。
「…俺の能力、『闘気之焔』。ただ殴られるよりも、はるかに痛いぜ?」
「………わかった……返せばいいんでしょ……」
観念したのか、少女は渋々財布を渡す。烈斗は中身を確認する。
「現金も、カード類も揃ってるな…もう二度とすんなよ」
そう言い残し去ろうとしたときだった。
コツ…コツ…
靴音だ…。こんなひと気のない場所に。
烈斗たちは身構える。こんな場所に用事のある人なんて、到底まっとうな人ではない可能性が高いからだ。
やがて暗闇の中から、人の姿があらわになる。
黒いコートに、顔にはガスマスクをしており、表情は見えない。肩幅はあるため、男だろうか。
考えを巡らすが、その容姿からやはりまともな人でないことは確かであった。
「ふむ、ターゲットは1名だけのはずだったが、これはどういうことか…」
ターゲット?一体何のことを言っているのか。
それにしても、変声器でも使っているのだろうか、やけに機械的な声をしている。
男は「どういうことか」言いつつ、ガスマスク男は黒猫少女の方に目をやる。あいつの仲間か?
「は?アンタ誰よ!!」
黒猫少女の態度を見るに、知り合いでもなさそうだ。
「…まぁいい、貴様も能力者のようだな、
ならば葛城烈斗共々、我らの革命の糧となってもらおう」
「てめっ…なんで俺の名を!?」
尋常ならざる殺気を感じる。まさか例の連続殺人鬼……!?
「実験開始だ」
そう言うと男は装置を取り出し、何かしらスイッチを押した。
その瞬間、乗り物酔いのような強い不快感を覚える。まるで、空間そのものが揺らいでいるかのような。
いや、本当に空間が蜃気楼のように揺らいでいる、奴の超能力だと言うのか?
「うぅ…!」
黒猫少女も似たような不快感覚えているのか、地面にうずくまってしまう。
次の瞬間には、聞いたこともない音を立てて空間に穴が開いた。
さらにはその穴から、亡霊のようなおぼろげな何かが出てくる。
べちゃっと音を立てて、穴から地面に落ちてきたそれは、生きているのか、ゆっくりと立ち上がってこちらに迫ってくる。
乗り物酔いのような強い不快感に慣れてきた烈斗はすぐさま臨戦態勢に入る。
「なんだてめぇ…!?」
「…むっ!?」
臨戦態勢に入った烈斗を見て、ガスマスク男は驚いた様子をする。
まるで、本来は抵抗できないはずと言いたげな様子で。
「ォ…ォオ…ッ!!」
亡霊のようなソレは、烈斗に急速に距離を詰めてきた。
烈斗は躊躇せず、炎を纏った拳でソレを殴り飛ばす。
「…魔愚南無(まぐなむ)…ッ!!」
「ォオッ!?」
強烈な一撃をあびたソレは、やがて形が保てなくなったのか、ドロドロに溶けて消滅していく。
「…《現象体》に《感染》することなく抵抗できるとは…まさか、能力持ちか…」
「ああ?俺が超能力者だって知ってて襲ってきたんじゃねーのか!?」
烈斗たちが行使する超能力とは異なるニュアンスで、能力という言葉を使っているように見えた。
「まぁいい、この程度は想定内だ…プランBに移す」
ガスマスク男が再び装置を操作する。次の瞬間
ドォン…!!
大きな音を立てて、烈斗らの地面に巨大な空間の穴が形成される。
「しまっ…!?」
うずくまっていた黒猫少女共々、その穴に飲み込まれていく。
「やべぇ…あのガキだけでも…!!」
烈斗の必死の抵抗むなしく、吸い込まれるように二人は穴の中へと消えていった。
「うわああああああああっ!!!」
…
……
………
上下左右前後、自分の体がどこ移動しているのかわからない。空間の穴の中でかき回されているような感じがする。
その中で烈斗は黒猫少女を探して必死に手を伸ばす。しかし虚空を掴むだけで何も掴めない。
穴に落ちてから何秒、何分経ったのかもわからない。そもそも自分がちゃんと五体満足で生きているのかさえあやふやになるような感覚に襲われる。
しかし、意識だけははっきりしていた。
急に視界が開けた。
ゴウッ…!
今度は強い風圧に烈斗は反射的に腕で顔を庇った。
自身を引っ張る重力を感じる。どうやら空中に投げ出されたようだった。
「おいおいおい!何が起こってるって言うんだよ!!?」
徐々に空間認識能力を取り戻してきた烈斗は、あたりの状況を確かめようと見渡す。
空に穿たれた巨大な穴が見えた。どうやらあそこから自分は投げ出されたようだ。
穴からはいろんなガラクタが投げ出されているのが見える。あの瞬間、穴に巻き込まれた物品のように思えた。
そして、そのガラクタに混じって…
「…いた!まってろよガキんちょ…!」
黒猫少女を発見した烈斗は、自身の能力を発動。炎の噴射で体勢を整えつつ、滞空。
その後一直線に少女の元に向かい、救出した。
烈斗は少女を背負い、安全に地上へと着地した。
少女は気を失っているようだが、息はしっかりとあった。
地上に降り立った烈斗は改めて周囲を見渡す。
そこはセントラルシティのような街並みに見えて、あそこよりもはるかに整然とした美しい街並みであることに気付いた。
烈斗はセントラルシティ以外に、セントラルシティ以上に整備の行き届いた街を知らなかった。
知っているようで知らない場所であることに、そして何よりも、街並みにまったく人が居ないことに気味の悪さを感じていた。
「ここはどこだって言うんだ…どうやったら元の場所に…」
ドォン…!!ドォン…!!
街の奥から、繰り返し衝撃音が響いてくる。
誰かいるのかもしれない、烈斗は少女を背負ったまま音源へと向かおうとした瞬間。
ドォン!!!
何かがビルの外壁をぶち破ってきた。それと同時に土煙の中に人影が見えた。
「誰だ…アイツは…!?」
和装に身を包み、刀を持つ少女だった。歳は今背負っている少女とそう変わらないくらいだろうか。
何かと戦っていたのか、負傷している様子だった。
そして、その少女の後を追うように姿を現したのは、なんと先ほどまでいた廃工場に保管されていた重機だった。
先ほどの穴に巻き込まれて一緒に落ちてきたのか…。
しかし様子がおかしい、烈斗が直前で戦った幽霊のように、その存在はおぼろげに揺らいでおり、
おまけに人が操縦していないにも関わらず勝手に動き回っていた。
あの少女は、あの重機と戦っていたのか…?
ダンッ!!ダンッ!!
今度は幽霊重機に向かって銃弾が撃ち込まれたようだった。
銃声の元を見てみると、今度は緑髪にメガネの男がずいぶんと古めかしい銃を使って戦っているようだった。
メガネの男が和装少女に向かって声をかける。
「ずいぶんとタフな《現象体》だね、一点集中で攻撃してみようか、藍くん」
「はいっ、ソニドリさん!」
和装の少女が返事する。二人は体勢を整え、同時攻撃を仕掛けるようだ。
「…ソニドリング砲ッ!!」
「舞姫っ!!」
息の合った連携で連続攻撃をかわりがわりに浴びせる。
これには頑丈な幽霊重機もたまらず沈黙した。
「…!やりましたね!」
両者とも、それなりに戦闘慣れしているのか見事な身のこなしであった。
助けに入らねばと烈斗は考えたが、その必要はまったくない…に思えたが、
「ッ!!藍くん!!まだだ!!」
沈黙したはずの幽霊重機が再び動き出す。
メガネの男がいち早くそれに気づき、反射的に銃弾を撃ちこんだが、それをものともせず暴れだす!
「きゃ…!!」
重機の腕が和装少女に振り下ろされようとした…
「魔愚南無…ッ!!!」
烈斗はそれよりも迅く、炎を纏った拳で正拳突きをする。
幽霊重機はその衝撃で宙を舞い、激しく地面にたたきつけられ、今度こそ沈黙したのであった。
「……よぉ、お前ら大丈夫かよ」
両者とも、突然の介入に驚いた様子だったが、はっとした様子をして返答した。
「…すみません、助かりました」
「おお!ナイスフォローだよ
…それにしても、君も、その背中の子も、初めて見る顔だね?どこの部隊のかな?」
メガネの男が尋ねる。部隊?なんだそれは。自分はただの迷い人だ。と、烈斗は困惑する。
しかし、一体どこから何を説明すればいいのやら…
「あ~えっと、俺たちはその、セントラルシティってとこからやってきてな、
ここに居合わせたのは偶然っていうか、帰り道を知りたくてな…」
「セントラル…シティ?」
和装少女は聞き覚えのない単語を聞き返す。
どうにも自分の境遇について伝わっていない様子だ。
すると突然、和装少女とメガネの男の携帯端末が鳴る。
「はい、こちら『太刀花双輪華』の藍です」
「『十本眼鏡』のソニドリだよ、何かあったかい?」
2人は通信相手としばらく話していたが、徐々に表情が険しいものになる。
やがて通信が終わり、こちらに向き直る。誰か今の状況について二人に説明してくれたのだろうか?
「あ、あのよ、ここは一体どこ――――」
「動かないでください」
烈斗が喋り終わるまえに、和装少女から首元になにかを突きつけられた。
金属の冷たい感触…彼女が携えていた刀だ。
「は…?へ…?」
烈斗はますます困惑する。
「いやぁごめんね?これ以上君の自由を許すと、余計ややこしいことになっちゃうみたいでね」
メガネの男もいつのまにか、烈斗の頭に銃口を向けている。
「助けていただいた方に、このようなことをするのは大変心苦しくありますが…どうか、同行願います。」
「…は、は…はぁぁぁぁぁぁぁあ!!?」
元ヤン in Wonderland。ここは《中央世界(カノニカル)》。
形はどうあれ、烈斗のバースセイバーとしてのファーストステップが踏み出された。