【書籍化】男女比1:30の貞操逆転世界で身を挺して女の子たちを守ったら愛が重くなりすぎた 作:一森 一輝
その日から、俺たちは蛍火デコイの練習に取り掛かった。
地道だが、俺たちが無人島から脱出するための弛まぬ一歩だ。だからゆっくりでも確実に、みんなで訓練に勤しんだ。
良かったことは二つ。まず教える過程で、最近使っていなかった俺のブランクがすぐに埋まったこと。もう一つは―――
「テクトっ、今日も頑張りましょうね! 目にもの見せちゃうんですから!」
一緒の訓練で、リーフィともさらに打ち解けられたことだ。
昨晩はそんな調子で、メイも加えて三人でワチャワチャと訓練ができて楽しかった。俺とリーフィもそうだが、メイも愛嬌があるので、そこでも仲良くなってくれたのが大きい。
そんな風に考えながら、俺は早朝に起き出してきて、近くの川で水浴びに向かった。
普段ほぼ水着で過ごしているとはいえ、やはり汚れが溜まると、全裸でサッパリしたかったのだ。その方が衛生的だし、夏場は股間が蒸れると痒いし。
という事で俺は、川べりの木の上に水着をかけ、川中の大岩の後ろにで水浴びをしていた。
「ふぅ~、冷たい水が気持ちいいぜ」
普段、何だかんだ女の子と一緒で気を遣っていた分、一人での水浴びは解放感がすごかった。女のこの前でフルチンにはなれないからな。メイならともかくリーフィはダメだ。
俺は石鹸のように体を洗うのに使える植物を使って、上機嫌で体をごしごし洗っていく。
「よし、ある程度洗えたな。じゃあ戻―――っ!?」
大岩の後ろから川を出ようとして、俺は咄嗟に舞い戻る。
何故なら、そこには―――
「メイ! 川は足を取られると大変ですから、あんまり離れないで欲しいんですけど!」
「水浴びー、すっきりー」
恐らく俺と同じ考えで水浴びにきた、全裸のリーフィとメイが居たからだ。
「……こういう遭遇を警戒して、早朝に来たのに……っ」
俺は二人から隠れながらも、思わず二人の姿を脳裏に思い浮かべてしまう。
メイはまぁいい。子供だし、世話をするにあたって見慣れつつある。問題はリーフィだ。
俺の周りでは珍しいスレンダーな体形。ささやかな胸元や細いくびれからの、フリルに隠れていた大きなお尻。安産型。
油断していた、と思う。予想外の角度からの色気に、俺は「落ち着け、落ち着け……」と深呼吸する。理性を強く持て俺。キュッキュッボンもいいよなじゃないぞ俺。
ふと背後からザパッと不自然な水音がしても、全然反応できないくらい、俺は動揺していた。何だかんだ女の子の全裸をガッツリ直視してしまう機会が、少なかったのもあるだろう。
ともかく、深呼吸。深呼吸だ。俺は動揺を落ち着ける。
リーフィはメイと一緒に水浴びに来て、何となく大岩の裏を覗き、動揺していた。
「てっ、てててててっ、テクっ、テクトも水浴びに来てたんですけど……!??!?」
マズい。やってしまった。最悪だ。嫌われる。
そんな罪悪感を抱くと共に、リーフィの脳裏にはテクトの裸体が焼き付いていた。
すさまじい姿だった。高い上背、全身余すところなく鍛えられた肉体。そして僅かに見てしまった巨大なチ……局部。その魅力的すぎる姿に、特にチ、局部が目について離れない。
エロすぎる。いや、初対面から『うわエッロ……』とは内心思っていたが、親しくなって改めて裸体を見て思った。テクト、エロすぎる。体つきがあまりにもけしからん。
「んー? リーフィ、どうしむぐっ」
「いっ、いい子だから静かにしててくださいねメイっ。ホント、お願いですからっ」
どうすればいい、とリーフィは必死に考える。万一勘付かれてしまったとしても、せめて覗き目的で来たわけではないと信じて欲しい。
が、もう一度目に焼き付けておきたい、という下心がリーフィには湧いていた。
無論、しない。そんなことはしないのだが、無人島で禁欲生活を強いられ、ムラついていないとは決して言えない。ぶっちゃけ限界に近い。
そこに今回の事故である。リーフィの鉄の理性がなければ、すでにテクトに襲い掛かっていただろう。リーフィは自分が誇らしい。嘘だ。頭はテクトの全裸でいっぱいだ。
「……リーフィ? 目がこわいー……」
そこで、メイに言われて、ハッとする。危ない。メイが居てよかった。居なかったら、多分リーフィは過ちを犯していたに違いない。
しかし、どうすれば、と考える。気付かない振りをして水浴びをしていれば、向こうが気付いて、こっそり抜け出してはくれないか。あるいはこちらがこっそり抜け出すべきか。
そう考えていた時、「あ」とメイが言った。
「ご主人っ? ご主人がいた気がする。見に行ってくるー」
「えぇっ!? あっ、ちょっ、メイ!?」
想定外の動きをしたメイに、リーフィは焦りに焦り、メイを捕まえに追いかける。だが川の中では水に足を取られ、思うように速度が出ない。
だからか――――リーフィがメイに追いついた時、完全に手遅れだった。
「やっぱりご主人いた。ご主人も水浴びしに来てたの?」
「え、メイ? あ」「あっ……」
リーフィとテクトの目が完全に合う。お互いにガッツリ全裸を見せ合ってしまう。
それにリーフィは、ぎゅっと目をつむって―――
「ワタクシも女です。ボコボコにされる覚悟は、できてるんですからねっ!」
「しねぇよ!?!?!?!?」
過去一大きいテクトの否定が、川の中心に響き渡ったのだった。