【書籍化】男女比1:30の貞操逆転世界で身を挺して女の子たちを守ったら愛が重くなりすぎた   作:一森 一輝

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武の精霊の加護環

 パンテラ含む盗賊団を五ねぇが持ってきたロープでぐるぐる巻きにした俺たちは、当然の権利ということで、砦の倉庫を漁っていた。

 

「これ闇商人に売る素材ですかね!? いいモノ仕入れてるじゃないですかぁ~!」

 

「武器も中々よ!? うわー! これ相当な名剣じゃない! 初めて見たわ!」

 

「宝石や指輪なども、すごいですよこれ……。有名貴族から盗まれたものもあります」

 

 パンテラは派手に色々やっていたらしく、倉庫は財宝にあふれているようだった。何せ三人娘が大はしゃぎで荒らしているほどである。

 

「五ねぇは欲しいもんないのか? パンテラにトドメ刺したのは五ねぇなんだし、戦利品は盗賊退治の成果として、法的に認められてるって話だぞ?」

 

 被害者に返す分とかもあるが、大体半分くらいは貰っていいらしい、というのがシアの話だった。かなりあるけどな。本当に半分貰っていいのだろうか。

 

 すると五ねぇは、「あ、うん……。ちょっと疲れちゃって、あはは……」と笑う。

 

「……そうだな。お疲れ、五ねぇ」

 

 俺は労う。それから立って、「ゆっくりしててくれ。俺も少し見てくる」と歩き出した。

 

 さて、戦利品タイムである。俺は何か面白いものはないかな、と見て回る。

 

 だが、一番期待した武器のエリアには、気になるものはなかった。思えば呪刀と比べても優れる武器となると、そうそうないのだから仕方ない。高威力ならパイルバンカーだし。

 

 そんな風に腕を組んでいると、不意に視界の端に月明かりの反射が見えて、視線をやった。

 

 そこにあったのは、指輪だった。目立つ部分に交差する剣とメイスがあり、その背後に盾が刻まれている。

 

 俺が指輪を見ていると、シアが話しかけてきた。

 

「それは……値打ちものですね、テクト。武の精霊の加護環ですよ」

 

「武の精霊の、何だって?」

 

「武の精霊の加護環、です。武器の性能を高める効果を持った、指輪型のアーティファクトですわ。付けるだけで効果がありますから、かなり価値のあるものです」

 

「おぉ~! それは嬉しい。かさ張らずに武器が全体的に強くなるのか。それはデカイ」

 

 喜ぶと、シアは「良かったですね」とコロコロ笑う。

 

 返す返す俺は指輪を見つめ、それから早速指に嵌める。すると呪刀がピクリと反応したのが分かった。

 

「お? 何だぁ~? お前早速切れ味上がったりしたのか~?」

 

 呪刀の柄に触れ、何となく撫でる。すると喜んでいるのか、ピクピクと呪刀が震える。

 

 結局それ以降俺が欲しいものはなくて、他のものはみんなに任せることになった。

 

 翌日は学校を急遽休んで、シアの要請で騎士団を呼び、収拾を付けることとなった。

 

 驚いたのが、パンテラが目を離した隙に消えていたこと。

 

『テクトはしばらくあんたに任せるよ、未来のお義姉さん』

 

 そんな殴り書きが五ねぇのポケットから見つかったらしく、いつの間に細工をしたのか、本当は奇襲され返したらまずかったのではないか、と俺たちは震えあがった。

 

 ともかく、俺たちは五ねぇを取り戻し、ついでにたくさんの戦利品を持ち帰った。ウィズなんかは、「これで血統発表会に出す発明品が作れます!」とむせび泣いていた。

 

 そして俺たちは数日掛けてやっと学園に帰り、いつもの日々に戻ることとなった―――

 

 

 

 

 

 その、翌朝のこと。

 

「ご主人、ご主人。もう朝だよ、起きて」

 

「ん、んん……?」

 

 普段なら早朝一番に起きる俺だが、昨日一昨日とてんてこ舞いだったのが祟ったか、すでに日が昇っている。

 

「ご主人、早く。いっつもこの時間には起きてるでしょ。早朝訓練の時間だよ」

 

 だからか、誰かが俺を揺すって起こそうとしている。しかし同時、俺は思うのだ。

 

 ……誰が俺のことを起こそうとしてるんだ? と。

 

「ご主人、お寝坊しないで。早く、早く」

 

「……」

 

 俺は、薄目を開け、俺を起こす人物の顔を見た。

 

 それは、知らない少女だった。痩せぎすの、アイギスよりは少し大きいくらいという、かなり小柄な幼い少女。それが、全裸で俺に馬乗りになって俺を揺すっている。

 

「……、――――ッ!?」

 

 それを理解して、俺は飛び上がった。

 

「な、な、な、だっ、誰!? どなたさん!?」

 

「あ、起きた。おはよう、ご主人。いっつももっと早くに起きるのに、お寝坊さんはダメ」

 

 少女は淡々と俺に言う。俺は、少女について様々なことを考える。

 

 少女は、肌も髪も真っ白な、十歳前後くらいの幼い少女だった。淡々として表情が乏しく、真っ白な髪は地面につくほど長い。そしてあろうことか、全裸で居る。

 

 俺は、前世だったら即俺が逮捕される状況に震えあがるが、今世だとむしろ少女の方が危ないのか……? と思考をバグらせながら、問う。

 

「え、えっと、もう一回聞くな? 君は誰だ? どこから来たんだ?」

 

「? 変なご主人。どこからも何も、ワタシはずっとここにいた」

 

「は? ずっとここに……?」

 

 俺は首をひねる。何? この部屋の地縛霊とか? いや、だとしたら、少女の『ご主人』呼びに説明がつかない。どういうこと。

 

 そう思っていたら、少女が指をさす。

 

 棚の上――――いつも呪刀・明鏡止水を置いていた台を。

 

「朝はモンスターの血を吸わないと目が覚めない。早く訓練に出て、朝ご飯食べさせて」

 

「……えっと、さ」

 

 俺は、呪刀の台を見る。台には鞘があるだけで、刀そのものがどこにもない。

 

 そして、少女の『ずっとここに居た』という話。『ご主人』呼び。俺の頭の中で、点と点が線で結ばれ始める。

 

「もしかして、なんだけど……お前、明鏡止水、か?」

 

 俺が問うと、ほとんど無表情ながら、誇らしそうに胸を張って、少女は言った。

 

「その通り。ワタシこそご主人の一番の愛武器にして、王たるを示す聖剣、明鏡止水」

 

 そして、俺の手を取る。

 

「さ、分かったらさっさと早朝訓練に行こう。魔物の血は良い朝ごはんだから」

 

 言ってることが完全に聖剣じゃなく魔剣だろとか、何で美少女形態になったんだとか、謎は尽きないが――――ひとまず。

 

「……ええ?」

 

 部屋に全裸の美少女がいる状況は、どうすれば解決するのか、と俺は頭を悩ませる。

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