TS転生ヴィランロリ、疲れ切ったヒーローを拾う   作:蓋然性生存戦略

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なんか日間で2番目とかにいるんですが(震。
ありがとうございます。
今話にて最終回、お付き合いいただきありがとうございました。


最終話:TS転生ヴィランロリの終幕

「……知らない天井だ」

 

目を覚ますと、見知らぬ場所で寝かされていた。

設備がどうにも仰々しい。

集中治療室か何かかな。

とりあえずナースコールと思い、癖で右腕を動かそうとして、右腕が無いことに気付いた。

マジか。

ついでに右足もないぞ。

マジか。

両利きで良かった~~、まだリカバリーできる。

 

……。

さて、現実逃避はやめようか。

 

「まさか、ボクが地球を滅ぼした張本人だったとはね……」

 

本当に勘弁してほしい。

一周回って実感が湧いてこないのがまだ救いだ。

推定数十億人殺害の大量殺人犯?

誰かボクを殺してくれ……。

けどこうして治療してもらったんだよな……。

し、死ぬに死ねねえ……。

くるしい。

 

とりあえずナースコール。

妙に動かない身体を動かして、ワンボタンをポチッとな。

すぐに医者がやって来て、状況を説明してもらえた。

 

ああ、そう言えばケラウノスが暴走しましたね。

そう言えばなんで生きてんのボク、おかしいだろ。

出力的に600%を記録してたが?

なに?おねーちゃんが守ってくれた?おねーちゃんも無事?

さいでっか……地球を丸ごと滅ぼせる火力の爆心地からボクを守って無事なんだ……。

こわ……ブ〇リーかよ……。

 

「それでですね。良いですか、落ち着いて聞いてください。エソラさん、貴女は四か月も眠っていました」

 

それで、え?アレからもう四か月経つんですか!?

道理で体が動かないわけだよ。

……。

……おねーちゃんに心配かけちゃったな。

 

事情説明の後、いくつかの質疑応答を経て、お医者さんたちは帰って行った。

そういえばおねーちゃんに連絡を入れたって言ってたような。

 

「エソラっ!!」

 

噂をすればなんとやら。

ガラッと扉を開けて、おねーちゃんが入って来た。

 

「あ、おねーちゃ、へぶ!?」

 

そしてあまりにも素早いハグ。

おねーちゃんはさ、ボクの頭を胸に埋めるのが趣味なの?

 

「……心配したぞ」

 

とはいえ、今回に関してはボクが悪い。

アイテムの不可解な暴走が原因とは言え、心配をかけたのだ。

ちょっと息苦しいくらい、なんということはない。

 

「ただいま、おねーちゃん。おかげで生きてるみたい。ごめん、心配かけちゃった」

「……良い。生きててくれたなら、それでいいんだ」

「……ありがと、おねーちゃん」

 

静かに流れて行った雫を、ボクは見なかったことにした。

ただ、残った左腕で、精一杯抱きしめ返した。

ボクがしてしまったことは、一旦後で考えよう。

今はただ、おねーちゃんを甘やかすことだけ考える。

 

「すまない……私は、わたしは……」

「何を謝ってるかは分かんないけどさ、良いよ。おねーちゃんに落ち度はないと思う。おねーちゃんが守ってくれなかったらさ、あそこでボク死んでたし」

「……それでも、わたしはキミと共に罪を背負う」

「あー……気付いちゃったんだ」

 

今までになく、おねーちゃんが弱っている。

ボクがやってしまったことの全容を、察したのだろう。

随分と心配をかけたみたいで、申し訳ない気持ちになる。

 

「退院、ちょっとかかるってさ。一緒に帰るにはまだかかりそう。そう言えば、アジトには入れた?クリアランス5あげたから、入れたと思うけど。何か困んなかった?」

「……」

「全く、甘えんぼさんだなあ。って、寝ちゃった?」

 

ぽんぽんと背中を叩いていると、おねーちゃんはそのまま眠ってしまった。

腕から力が抜けていき、慌てて左腕だけで何とか優しくベッドの脇に頭を乗せてあげる。

少し乱れた前髪を持ち上げて見れば、目の下に酷い隈が出来ていた。

長い間眠れていないような、そんな印象を受ける。

そう言えば、拾った時もこんなだったな。

随分と印象は変わったけれど。

 

「……えそら……きみはわるくない……」

「……おねーちゃんがそう言うなら、信じてみようかな」

 

ああ、やっぱり。

 

「好きだなぁ……」

 

この人がいれば、ボクはまだ、生きていられる。

そんな気がした。

 

それから少しして。

ボクは退院した。

おねーちゃんと一緒にアジトに戻って、今まで通りの生活を送る。

そんなこと、許される気はしなかったけど。

きっと、罰が下る前の晩餐のようなモノだ。

そう考えることにした。

 

だって。

 

地獄を見た。

ある日突然、命を奪われた人たちの亡霊。

無かったことにされた、無辜の命の怨嗟。

 

悪夢を見た。

死んでしまえ、死んで死に続けろと呪う無数の声。

消えてしまえ、お前だけが消えろという当然の歌。

 

嗚呼。

亡霊たちの手が伸びてくる。

その手は、ボクの身体を引き裂いて……。

 

「ハァッ、ハァッ……夢か……」

 

そこでボクは飛び起きた。

見知った天井、アジトの自室。

退院して、戻って来た我が家。

 

はー、きっつい……。

アレだね、実感がないだけだね。

普通に夢に出る。

 

「エソラ……?眠れないのか?」

「ごめん、夢見が悪くて」

 

目覚めて退院からというもの、夜は一緒に寝ているから、おねーちゃんも気付いて起きて来た。

ごめんね……おねーちゃんも疲れてるのにね……。

 

「謝ることはない。市販の眠剤を取って来よう。本当は医者にかかったほうがいいのだろうが……」

「ありがと。医者は……話せない事も多いしね、根治は難しいんじゃない?」

 

本職にケアしてもらった方が良いのは確かなんだけど……話せないこと多過ぎてね。

おねーちゃんに甘えるしか出来ない。

自分から抱き枕になりに行く。

 

そう言えばなんだけど、手足は治した。

すっごく後悔したけど。

メチャクチャ痛かった、再生方法をナメ〇ク式にするんじゃなかった。

おねーちゃんに泣かれた、《ガーディアンズ》の医療施設まで持っていかれた、質問攻めにあった。

もう二度としない。

 

「水と薬だ。飲んで眠ってしまおう」

 

おねーちゃんが持って来てくれたので、パパっと飲む。

あ、これ市販にしては強い奴だ。

良いチョイスね……。

布団にもぐり込んでおねーちゃんに抱き着く。

速攻性が凄いな、もうねむい。

 

「おやすみ、ひいらぎ……」

「おやすみ……いや待て今なんて?」

 

むにゃ。

 

 

 

「ぴゃあああああああああああああああ!!」

 

待って!?

ボク寝るときおねーちゃん呼び捨てにしちゃった!?

あばばばば、眠さで知能低下してた、名前で呼びたいという願望ががががが。

 

「どうしたエソラ!?」

「なんでもないィ!!」

 

か、カリ〇マガード!!

布団で補強してカ〇スマガード!!

 

「あわわわわ……恥ずかしい……恥ずかしくて死にそう……」

「……大事なくてよかった。なんだ、昨日寝る前の言葉でも覚えていたのか?」

「あばーーーーーーーーーーーッ!!」

 

うぅ……。

 

「……ふふ」

「なんだよぅ」

「いや、な。キミがそんな風に感情を出すのは久しぶりに見たからな」

 

あっ……。

うん。

 

「心配させたよね。ごめんね」

「謝ってほしいわけではないんだが……致し方あるまい」

 

おねーちゃんはボクを持ち上げて、自分の膝にボクを乗せた。

抱き枕の構えだ。

 

「エソラ、大事なことを言うぞ」

「……ん」

「確かに、キミは何十億という命を消し飛ばした。それは事実だ」

「……うん」

「決して拭うことのできない罪で、キミの両肩に一生圧し掛かる重責だ」

「うん」

 

どうしたんだ。

ついに愛想をつかしてボクを断罪しに来たか。

良いぞ、ばっちこい。

 

「だがな、エソラ。今から私は、キミにとって最低なことを言うぞ」

「なに……?」

()()()()()()()()()()()()()()()

「ッ!?そんな事ッ!!」

「あるんだッ!!」

 

珍しく、おねーちゃんが声を荒げた。

普段、声を張らないおねーちゃんが。

 

「キミが滅ぼさなければッ!!逆にこの世界が滅んでいたかもしれないんだッ!!考えたことはあるか!?キミの前世が消えなかったことによって、生じるかもしれないこの世界の危機をッ!!そして、キミが消えてしまっていたかもしれない可能性を……!!」

「っ……!」

「だから、頼む……罪なら一緒に背負う……そんな、今にも消えそうな顔をしないでくれ……」

 

おねーちゃんに言われて、頭にガツンと殴られたような衝撃が走った。

地球による反撃、押し切れなかった時の万が一の敗北。

そのほか様々な可能性が頭に過る。

あり得たかもしれない未来を突き付けられて、ボクは今まで以上に寒気がした。

 

「……ごめん、おねーちゃん。全然、何も考えられてなかった」

「良いんだ……怒鳴って済まない」

 

それから、ただ何もしないでボーっとする時間が過ぎた。

ただ、重力とベッドに体重を預けて。

言葉にはいい表せない何かが、満たされた。

 

どれくらい時間が経っただろうか。

《テリトリア》が来た時のために取り付けてあったチャイムが鳴った。

少し気怠い体を動かし、インターホンを付けて、確認する。

 

『現エソラ。すまんが見逃すわけにはいかなくなった。同行してもらおう。《ブレイディア》、お前もだ』

 

そこには、大勢のヒーローを連れている、《テリトリア》がいた。

ボクを捕まえる気満々というか。

 

「まあ、そうか」

 

在野の世界を滅ぼせる人間(実績持ち)を放置するわけにはいかないもんね。

おねーちゃんを顔を見合わせて、肩を竦めた。

 

「どうしよっか」

「どうしような」

 

 

 


 

 

 

 

エソラが目覚めるまでの四か月。

大変だった。

《ブレイディア》がヒーロー活動に復帰したのは良い。

幻楼院リンネの復活を察知し、悪さをする前に捕縛して拘留。

重要参考人が確保できたので、良いことも多かった。

 

問題は、犯罪者を捕まえる際に、殺さないというだけの無慈悲な手段をとることが多くなったため、仕事が増えたというところか。

重犯罪が起きては急行して制圧して帰って来るため、後処理が追い付かない。

何故か通報が入るよりも先に制圧して帰って来るのだ。

どう考えてもあの小娘が残したアイテムを使っているに違いないが。

 

なにはともあれ、エソラが目覚め、《ブレイディア》の狂気的なまでの仕事熱心さは鳴りを潜めた。

ヒーロー業よりも、あの小娘の方が大事だということだろう。

実際、遠目に見てもあの小娘は不安定なように見えた。

《ブレイディア》が拙いながらもケアをしていなければ、今にも消え入りそうだった。

まあ、既に一緒に暮らしているのだ、そのうち安定するだろう。

だが……。

 

「……恐らく、あの熱意が私たちと完全に同じ方向を向くことは、もう無いのだろうな」

 

私たちが不甲斐無いばかりに、彼女の炎は一度消えてしまった。

それに再び火をつけたのはエソラだ。

例え《ブレイディア》がそうは思ってないとしても、心の奥底、無意識の部分で、《ガーディアンズ》よりもエソラに意識が向いているのは違いないだろう。

非常に悔しいことだが、その事実は飲み込まねばならない。

それは、私が今手に持つ書類からも、受け入れなければならない。

 

「時期は未定ながらも、引退予定、か」

 

《ブレイディア》はそのうち引退すると、そう私に告げた。

もう自分はヒーローを名乗れないからと。

エソラと暮らす体制が整えば、区切りを付けて引退するらしい。

正当防衛だのなんだのと、理由を付けては暴れる未来が想像に難くないが。

きっとその後始末を私がするのも簡単に想像ができるが。

 

十年だ。

十年もの間、誰にもできない戦いを制して来てくれた。

少なくとも我々は、そこに追いつかなければならない。

彼女に頼ってばかりでは、それは達成できないだろう。

少し荒療治ではあるが、致し方あるまい。

 

「先輩~~!!《ブレイディア》先輩の引継ぎがぁ~~!!」

「残念ながらその女はもうだめだ。諦めろ」

「そんなぁ~~!!また治安に激震が走りますよ!?」

「仕方がないだろう。遅いか早いかの差でしかない」

 

……しかし、目覚めて良かった。

《ブレイディア》も活力が戻ったしな。

だが、エソラのアイテムの暴走の原因がわからんな。

それさえなければ、アイツも憔悴することは無かったろうに。

あの小娘のアイテムが暴走すること自体、考えられないが。

話を聞こうにも、あの二人は口を噤んだままだが……いや、待てよ?

エソラの時系列の前後と、幻楼院リンネが造り上げていた技術に関連性があるとしたら?

というか、そもそもなぜ幻楼院リンネは死んでいる?

《ブレイディア》は言っていたな?異世界を身代わりにしていたと。

なら、幻楼院リンネが死んだということはつまり、身代わりにするものがなくなったということであり……。

 

余波であろう超高熱で消し飛んだ旧オート郊外の光景が頭に過る。

 

「チッ……」

 

理由が何であれ、危険すぎる。

その事実に思い至り、私は決意した。

 

「《フィクシオン》」

「なんですか」

「今動ける奴全員に召集を掛けろ」

「今ですか!?」

「最悪の事態に備えたい。平和に終われば良いが」

 

私とて不本意だ。

だが、これが仕事だ。

やってられるか、クソッタレ。

本当になんだってこんなことになるんだ。

かつての大乱でさえ、ここまで辛いことは無かった。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()。《ブレイディア》による抵抗が予想される。そのつもりでいろ」

 

 

 


 

 

 

「あー、一応聞くんだけどさ、理由」

『貴様の能力が危険過ぎる』

「だよねー……」

 

《テリトリア》のやつ、何故今更……。

ああいや、違うな。

実感したのか。

私という抑止力がいてなお、危険だと。

 

「でもギアスが有効なの忘れてないよね」

『無論だ。だから私自身をいつでも無力化できるようにしてある』

「用意周到だね~~。そんなにボクとおねーちゃんが怖いのぉ~?」

『ああ、怖い。よく知っているからこそ怖ろしい。死地に追いやるようなものだと分かっていても、こうせざるを得なかった。貴様なら分かるだろう』

「分かるけどさあ……今ボクやっと吹っ切れたのに。おねーちゃんとの幸せな時間邪魔するんだ。豆腐の角に頭でもぶつけてどうぞ」

 

エソラはいつも通り振舞う。

もう大丈夫だと、そう示すように。

 

『それで、応じてくれるか?』

「いこっか、おねーちゃん」

「なんだ、素直だな。暴れるのかと思ったぞ」

「流石にこの数シバくのはダメだって」

「それもそうだな」

『勝てる前提なのが腹立たしいな!!』

 

私達は手を繋いで外に出た。

またしばらく、このアジトとはお別れだ。

 

「貴様は煽らねば死ぬのか?」

「死にはしないけど栄養素が取れるよね」

「牢獄に送ってやろうか」

「確かこの国では15歳未満に刑事責任無いよね」

「本当に小賢しいな貴様……」

「何年小悪党やってると思ってんのさ。ほら、連れてけよ」

 

エソラは一通りやり取りを終えると、両手を差し出す。

それが意味するところを、理解できない私たちではない。

 

「……戦闘になるか平穏に済むかの二択だった。異能封じの枷は持ってきていない」

 

だが、《テリトリア》は持ってきていないと言う。

彼女らしくない。

 

「オイオイ詰めが甘いんじゃない?」

「うるさい。そもそも貴様がアイテムを暴走させなければよかっただけの話だ」

「アレはボクも理由がわから……なくはないけど正確なことは分かってないんだよ!!検証しようにもできないし!!」

「させるか!?そんな検証で世界が滅びるなんてまっぴらごめんだ!!」

 

彼女も、彼女なりに情が移ったのだろうか。

少しだけ、ほほえましい。

 

「早く出発しよう。あまり根回しは済んでいないようだしな」

「……そうだな。撤収!!A班はこの二人が出てきた入り口の監視任務に当たれ!!どうせ誰も入れないだろうが、決して近づけるな!良いな!!」

「「「ハッ!!」」」

 

私達は、強さゆえに捕まった。

とは言え、旧オートでのやらかし以外は、決定的な物証がない。

そちらはうやむやになるだろう。

私たちが清算すべきは、表向きは旧オート郊外消滅の件だけ。

それですら、私はヒーローとしての独自行動権限で、エソラはそもそも15歳未満なので刑事責任が無いとして処理された。

 

問題は裏向きの話。

事情聴取の末、私たちは二人とも世界を壊すに足る能力を保有していると判断されたものの、その扱いは極めて難しいとされた。

というのも、エイリアンの再襲来、実在するものとして観測された異世界の存在、それらに対する最大戦力を手放すのかどうかという問題。

他にも私たちがやって来た功罪なども含めて、議論は白熱したらしい。

片や、かつて世界を救ったヒーロー。

片や、世界を破壊した実績を持つ子供。

それはもう議論が白熱するだろう。

とても長い時間をかけていた。

 

その間、私はエソラとSlash&Roidというゲームを二人で遊んでいた。

 

「なんか大変そーだね、あの人達。あ、尻尾切れた」

「ナイスだ。私たちのことだが、死ぬことは無いと確定しているようなものだしな」

「でもボクの存在だいぶ厄いと思うんだけど大丈夫かな。それはそれとして次角破壊するよー」

「キミがいなければ自殺するぞとでも脅しておけばいいんじゃないか?あと、角破壊したら狂暴化しなかったか、コイツ」

「じゃあ前足から。にしても大胆なこと言うねー。プロポーズ?」

「妹を卒業できてから言え。前足は破壊値溜まってるはずだ」

「ナイス~、ほな破壊。そしていつか絶対泣かしちゃる……」

 

そう、普通に遊んでいた。

だって仕方がなくないか?

処遇が決まるまで《ガーディアンズ》本部から解放されない。

そうなると暇になる。

トレーニング施設でトレーニングを終わらせたら、エソラと遊ぶしかなくなってしまう。

それを見た所属ヒーローの面々が、少しひきつった顔をしていたのは面白かった。

 

「良い身分だな、貴様ら。処遇が決まったぞ」

 

そんな日々を過ごすこと数日。

処遇が決まったらしく、《テリトリア》がやって来た。

さて、どんな判断が下されたのか。

 

「あ、やっと決まったの?会議でダンス躍ってるのかと思ったよ」

「そんなわけあるか。それで処遇だが……どうしようもないということで結論が下った。監視は付くがほぼそれだけだ」

「「え?」」

 

一瞬、理解できなかった。

本当にそれだけなのか?

 

「え、マジ?」

「マジだ。一応聞くが、仮に異能封じの枷を付けても無効化できるだろう、貴様ら」

「まあ、うん。割と何とかなる」

「まあ、なるな。素の身体能力で千切れる」

 

言われてみればまあ、そうだな?

 

「無理に殺そうとすれば暴れるだろう、貴様ら」

「うん」

「そうだな」

 

死にたくはないから当然だな。

 

「人質も無意味だろう、貴様ら」

「おねーちゃんのために社会を滅ぼすね」

「エソラを救うために犠牲は厭わんな」

 

今の私はエソラのために動くからな。

 

「だからだ。放っておいた方が一番被害が出ないという結論だ。犯罪を犯さなければ好きにしろ、どこへなりとも行ってしまえ。私の決意は何だったんだ、クソが」

 

それでいいのか。

いいのだろう。

そう判断されたのだから。

 

「だがまあ、条件がある」

「なにさ」

「有事の際は必ず手伝え」

「なんだ、そんなことか」

「仕方がないなあ、人類ってばクソ雑魚だから」

 

有事の際の強制徴兵を条件に、私達は許された。

私達はまた顔を見合わせ、肩を竦める。

 

「てことはさぁ、おねーちゃん」

「なんだ?」

 

そして、エソラは何か思いついたようだった。

 

「晴れてボクは小悪党を廃業なわけで」

「そうだな。元から廃業してるようなものだったが」

「それは言わないお約束だろ!!で、おねーちゃんもヒーロー止めて無職なわけで」

「そうだな……仕事を探さないとな」

「じゃあゲーム配信しよ。《ブレイディア》のネームバリューはきっとバズるぞ~~」

 

もう、エソラの顔に陰はない。

今を生きようという、活力があった。

 

「全く。ついこの間まで死にそうな顔をしていたとは思えないな?」

「ご心配おかけしまして。おねーちゃんが暮らすこの世界を守れたこととトレードオフ。そういうことにしておきました」

「そうか。じゃあ、帰ろう」

「帰ろっか」

 

私達は、来た時と同じように、手を繋いで家に帰った。

 

 

 

 

 

 

――――Fin




ハイというわけでちょっと駆け足ですが終わりです。
これ以上はグダるかなって……。
気が向けば後日談を書きます。
本当に突然ネタが降って来て衝動で書き始めたのでどうしようかなって。
書き終えれたのは僥倖。
ボリューム的にはラノベ半分くらい?
結構書いたな……。

ちょくちょく感想欄は見てました。
エソラの能力に関して「あ、すっごい、ほぼ答え」という推察をされている方もいましたね。
なんか《テリトリア》ラスボス説とかもあって「お前は本当に不憫だなあ」と思ったり。
《テリトリア》何もわるくないよ!能力だけ見ればマジでヴィランだけど。

ちなみにケラウノスの暴走は世界による辻褄合わせですね。
こちらも感想でコメントしてる方がいましたね。
エソラが生まれている以上は、地球は滅びなければならない、という理屈です。
《テリトリア》悪くないよ、アイツ純度100のヒーローだよ。
でまあ、エソラの記憶に存在する地球の滅びを再現することによるパラドックスの解消を無理矢理実行されたわけですね。
まあそんなもん作中人物が知るわけないのでうやむやに描写しました。
唯一理解できたかもしれない人物は死にましたし。
な、リンネ!!二度と出て来るな。

リンネの話で思い出したんですが、これはリンカもですね。
どっちも転生に繋がる言葉が名前になっているわけですが、これはエソラが産まれる原因だからな、くらいの気持ちで付けてます。
どっかで生まれ変わってるかもしれないけど。
あとゴロが良かった(オイ。

実のところ、ラスボス候補はまあまあ悩んでいて。
最悪どっかの大蜘蛛モドキでも出そうかなって思ったんですよ。
でも人類耐えられないな、って思って……結局リンネとかいう女に全て押し付けました。
便利だな、でも二度と出て来るな。

さてまあ裏事情はこの辺で。
後日談ではなんか深堀できればなーって思います。
それでは。
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