TS転生ヴィランロリ、疲れ切ったヒーローを拾う 作:蓋然性生存戦略
「はい、というわけでね。スタッフのエソラです」
配信をつけて挨拶。
今日はおねーちゃんが急遽連れて行かれたので、予定していた配信ができなくなった。
ので、代わりにボクがやります。
『何がというわけだ、説明しろクソガキ』
『ヒイラギさんは?』
『裏方に帰れクソガキ』
「いやね、今日おねーちゃんいないのよ。急に《テリトリア》に連れてかれてさ。なんとかの耐久テストって言ってたけど」
《テリトリア》のくせに生意気だ。
ボクのおねーちゃんを連れてくなんて。
おかげで寂しいじゃないか。
「仕方がないのでボクが代わりに配信します」
『そこでなんでお前が配信するんだ』
『そうはならんやろ』
「なっとるやろがい。まあ?みんながおねーちゃんを楽しみにきてることは知ってるよ?おねーちゃん綺麗だもんね、ボクとしてもお化粧教えた手前鼻が高いよ」
『サラッとマウント取るなクソガキ』
『化粧っ気のなかったヒイラギさんを変えたのは貴様かクソガキ』
「ちなみにおねーちゃんの今日のコーデはボクが全部選びました。こちら画像になります」
『だからマウント取るんじゃねえクソガキ』
『くっそセンスがいいのがムカつく』
『この無駄ベルト、クソガキの趣味?お前とは握手が出来そうだ』
「おまいらにはできまい。おねーちゃんを好き勝手飾りつけることなどなあ!!がはははは!!」
画面の向こうの傍観者。
それがおまいらじゃ!フゥーハハハハハ!!
『このクソガキィ!』
『クソガキだけに許された特権マジで許せない』
『BSS!』
「何がBSSだ。空白の四か月でガールミーツガールしたボクが五億歩先行ってるから。おねーちゃんはボクの家で同棲してるから」
『こいつ言ってはならんことを!!』
『全世界のファンを敵に回したぞコイツ』
『クソガキィ!泣かされても文句は言えねえぞ!』
よし、良い感じにあったまったな。
というわけで用意していたスライドをドン。
「まあ?これだけ煽られて勝ち逃げされたらおまいらも悔しいだろうし?『分からせ』のチャンスをあげてもいいよ。というわけで今日考えてきた企画はこれです」
『分からせてみろよ、スマヒロ対戦会?』
『言ったなクソガキ』
『ボコボコにしてやる』
『どうした、早く部屋コード貼れよ、ビビってんのか』
クックック……見える見える、愚かな民衆の愉快な結末が!!
「負け犬未満がよー吠えるわー。ほら、部屋コードだぞ。かかってこいよ」
『乗り込めお前ら』
『クソガキを解らせろ』
『あれ?ちょっと待ってこのアカウントって』
『本物?』
『流石にないだろ』
あ、流石に気付いた奴いる。
でも現実逃避はダメだよーん。
ボクが
「それはそれとしてボクおねーちゃん以外に負けたくないから本気で行くね」
メインキャラをピック。
マッチレートも敢えて表記。
ボクは知ってるからな、総合掲示板で【誰かあのガキ】【わからせろ】って毎回付けてることを。
オラ、やってみろよ!!ボクはオン対の王だぞ!!
『ジャックジャックをピック?!』
『待ってキャラマッチレートこれガチじゃない?!』
『嘘だろオン対ジャック全一ってお前かよ!!』
『ふざけろクソガキ!!』
『そこはクソガキが強くちゃダメだろ!』
あー、高笑いが止まらないわぁー。
おねーちゃんを前面に出してボクは裏方で視聴者を煽りに煽り……。
満を持して登場!衝撃の事実を携えて!!
スマヒロオンライン対戦、
エソラ様だぁあああ!!
「お?もしかしてビビってる?まあ、おまいらにはチャレンジする勇気もないかぁ!!……ってあれ?この名前はっ」
なんて、ちょっと油断してたのが良くなかった。
『コアラのワルツ:一番槍、務めさせていただきます』
アイェ!?プロゲーマーアイエナンデ!?
アセリア代表アイエナンデ!?
『コアラの兄貴?!』
『アセリア代表?!』
『一番槍が強過ぎる』
「なんでいるんだよこの時間にトッププロが。ちょっと企画ミスったかな……」
流石にプロ相手はきつい。
主に削られるメンタルが。
『コアラのワルツ:流石に6:4で負け越してるのは悔しいので挑ませてください』
『え、アニキで負け越し!?』
『ジャックゼンイチは色々と伝説だからな……』
『ジャック使用時の戦績だけ見るとオン対全体常に勝率7~8割とかいうバケモノ』
『オン対に限った話だけどプロ相手にも5割落としたことないんだよジャックゼンイチって』
「言っておくけど戦績だけ見ればそうなだけであってプロ相手は疲れるんだけど!?」
いやだー!!
コアラさんはボクのジャック対策を一番進めている人と言っても過言ではない!!
それでも6割キープしてるけどそろそろ切る!!いやだ!!やりたくない!!
「あのさ、せめて大将辺りのポジにいようよ。コアラさんが先鋒はダメでしょ、立場的に。今期三大大会三冠達成者が先鋒に来ちゃダメでしょ。一番槍に来るならオン対の人でしょ」
『クソガキがまともっぽいこと言ってる』
『なんだぁ、ビビってんのか』
『それはそれとして確かに一番槍に来る人ではない』
『さっくりレイ:あ、二番手貰って良いです?』
やりたくない人もう一人出て来た。
やめてよ。
「総合マッチレートゼンイチが二番手に来るなよ。お前どんなに下げたって副将じゃん」
『なに?いきなり頂上決戦始った?』
『非公式世界大会やめてください』
『クソガキに群がる世界の猛者ども』
『オン対の神まで来るの魔境過ぎるだろ』
『オン対の王VSオン対の神、アツすぎる』
「おまいらボクの肉体が小学生ボディであることを失念してないか。体力持たないよ」
なんでぇ?
コンナハズジャナカッタ……。
『アニキとオン神を割と本気で嫌がってそうな辺りこの辺の相手は本当にしんどいんだなって』
『さっくりレイ:ジャックゼンイチにだけはまだ数回しか勝ったことなくてェ……そもそもマッチする機会が少ないのもそうなんですけど』
『コアラのワルツ:このあと知り合いだいたい全員来るらしい』
『ワロタ』
『プロと大会常連が大挙して押し寄せてくる』
「……オーケイ。配信タイトル変えておくね」
ぽちっとな。
【プロ連中が列をなして幼女を大人げなくスマヒロ対戦でイジメてくる配信会場】
『あ、こいつ!!』
『こーれやってます』
『自分が幼女であることを盾にしやがった!!』
『紛うことなきクソガキ』
『勝っても負けてもダメージ入る奴だ』
『汚い、流石クソガキ、汚い』
キメるか……アレ。
「ちょっと待ってね、バンディットエナジー持ってくる」
『バンエナ!?』
『ゲーマー御用達合法ドリンク』
『キマったようだな……”覚悟”が』
『マズい思った以上にこの幼女ゲーマーだ』
『やめろエソラ!気分を鎮めろ!!』
『バンエナはゲーマーの最後の砦なんだ……それを抜かせたらおめぇ、ただではすまねえよ』
『コアラのワルツ:バンエナチャージしたジャックゼンイチはちょっと見てみたい』
『さっくりレイ:分かる』
『ヒイラギ:エソラ。空けて良いのは三缶までだ。破ったら覚悟しておくように』
『保護者出て来た』
『それ以上はしっかりダメージ出るの草』
『バンエナ三缶までならノーダメなのつよ。胃が弱い人は一缶でダウンです』
「よっこらせ。はい、取って来ましたバンエナ1ダース」
『待て』
『待て』
『待って』
『保護者ストップは流石に止まれ』
『ヒイラギさんに怒られるぞ』
『ダメだこのクソガキ、目の前に並んでる相手しか見てない』
『これが現代の覚悟ガンギマリ幼女ですか……』
『ヒイラギ:そこまで用意するのは初めて見たな……今までの最高は八だったか……あの時は大変だった……』
『#早く止めてヒイラギさん』
『一瞬でトレンド1位なの笑う』
「ボクは全ての屍の上に立つ……そう、ボクこそがオン対の王……」
カチッ、プシュッー!!
『うわ、一気』
『ようじょこわい』
「かかって来いヤァぁァアアアア!!!」
「エソラ」
「はい」
「言いたいことは分かるな?」
「はい」
「私は常々、バンエナは一日三缶までと言ったはずだな?」
「はい」
「それ以上空けたら数日眠れなくなるのも分かっていたはずだな?」
「はい……」
「キミの体調を心配してのことなのはわかってくれているはずだな?」
「はぃ……」
「どうして我慢できなかった?」
「あいつら大挙して連コしたらボロクソに勝てると思われそうなのが嫌だったので」
「キミはアレだな、自信を持っていることに関してはとてもプライドが高いな」
「はい……」
「私が言えた義理ではないが、ある程度折り合いは付けるんだ」
「わかりました……」
『クソガキのとても珍しい叱られシーン』
『クソガキにとても甘いヒイラギさんがしっかり怒る貴重なシーン』
『今回も対応するタイミングは甘いぞ。挑戦者のプロ連中全員薙ぎ払った後に声かけたからな』
『全部薙ぎ払ってるのは何?』
『そりゃおめぇバンエナ1ダースのパワーよ……いやおかしいな?』
『ヒイラギさんちゃんと保護者できるんだな』
『本当にダメなことは怒るタイプの保護者』
『何がおもろいって配信つきっぱなしなのが一番おもろい』
『やっぱりファッションクソガキじゃないか』
『言うほどファッションか?メチャクチャプライド高いぞこのクソガキ』
『半分くらい素じゃないかこれ』
『ていうかバンエナ四缶以上の代償が不眠で済むんだな』
『地味にヒイラギさんも折り合い付けるの苦手ウーマンなのね』
『何?懇々と膝詰め説教してる方もされてる方も似た者同士ってこと!?』
『ちなみに界隈ではこの映像も脳破壊案件です』
『クソガキとヒイラギさんの関係見せつけられるだけで勝手に脳が破壊される界隈当たり判定デカすぎる』
・スマヒロ
ほぼスマ〇ラ。
ヒーローが実在する世界なので過去の歴代ヒーローたちがファイターとして収録されている。
バランス調整が神懸っている熱心なヒーローファンが制作人に関わっており、パーティー対戦ゲームとしては満場一致の金字塔として知られている。
・ジャックジャック
スマヒロに収録されているヒーロー。
DLC第四弾に収録されており、Tier表では割と下の方にいるキャラ。
遠近復帰機動力バースト全てに隙がないが、全キャラ中最も軽いという弱点を抱えている。
なんとプ〇ンより軽い。
しかも操作難易度もかなり高いので『ポテンシャル的にはTier1だけど使いこなせる奴がいない』という評価が付きまとう。
が、どっかのクソガキはポテンシャルをパーフェクトに引き出してしまった。
ジャックジャック対面研究のほぼすべてがエソラジャックによって進んだと言っても過言ではない。
・バンディットエナジー
ゲーマーの最後の砦、合法ドリンク、カフェイン成分が強い。
プラシーボでしかないがエソラの場合はキメるとゾーンに入る。
普通にエナドリ12本飲むのは健康に悪いからヒイラギさん止めてください。
・コアラのワルツ
スマヒロ今期大会ゼンイチ。
ジャックジャック対面研究の第一人者。
そろそろエソラジャック相手にダイヤグラムをひっくり返せそうな男。
エソラジャックにボコられてからジャック対面を熱心に研究しているが、そもそもエソラほどジャックジャックを使いこなせる奴がいない。
・さっくりレイ
スマヒロオンライン対戦の神。
ありとあらゆるキャラを使いこなす変幻自在のスマヒロプレイヤー。
どのキャラ使っても5割を落としたことが無いが、エソラジャック相手にはボコボコにされているのでジャック対面研究に加わっている。
・エソラジャック
対面研究が進んでなかったからオン対の王になれた。
実際に研究が進んだらダイヤグラムはイーブンちょい不利くらいまで落ちる。