TS転生ヴィランロリ、疲れ切ったヒーローを拾う 作:蓋然性生存戦略
学校に通い出して早一年。
最近、悩んでいることがある。
いや、別にどうでも良いと言えばどうでも良いのだけれど。
できれば関わりたくない部類の悩みではあるのだけど。
「なんでボクを置き去りにして非日常生活始めるかな、こいつら」
なんか、ボクの所属している中学校、私立
おねーちゃんが引退してからというもの、何故か異能力発現者が右肩上がりだそうだ。
それに比例して、異能犯罪もまあまあ増えているのだとか。
《テリトリア》が愚痴っていたから間違いない。
で、公権力の手が足りない、即ち《ガーディアンズ》を筆頭としたヒーロー組織の手が足りなくなりつつあるというのが現状らしい。
最近では、軽異能犯罪を専門に取り締まる下部ヒーロー組織を作る動きもあるらしい。
それに合わせてヴィラン側も動きが活発化しているとか。
うちの学校にも異能発現者がかなりいて、そのうちの何人かは既に政府から声がかかっていたりいなかったり……当然ヴィラン側も狙うので、非日常に導かれているらしい。
おい待てよ。
非日常の塊がここにいるやろがい、なんでボクを無視してそっち行くねん。
いやまあ来てほしいわけではないが。
決して、来てほしいわけではない。
だが、だがしかしだよ。
この容姿端麗、眉目秀麗、文武両道、偽装しているとはいえパーフェクト異能持ちのボクを差し置いて非日常に導かれているのはどういうわけだ。
確かに?ボクの異能は要人たちによって詳細は徹底的に秘匿されているし、ボクもそれに協力して思いっきり偽装しているよ?
でも見て?某ロードの至上礼装だよ?情報確定させてないけどめっちゃ強いよ?
政府の人が来ないのは分かる。
でもヴィラン側が来ないのはどういうことやねん。
なんだ?おねーちゃんにビビってんのか?
辞めちまえよヴィラン、ボクはやめた。
んでまあ、クラスメイトや後輩たちが地球の1990年代や2000年代頃に出てたローファンタジーな戦いに赴いているわけですよ。
隠してるつもりだろうけどバレバレなんよね。
随分とまあ精悍な顔立ちになっちゃって……それなりに付き合いがあるから感慨深いものがあるよ。
で、ここからが本題。
「よう、ガキ。可愛い子つれて仲良くデートか?」
なんでヴィラン君は最初アウトオブ眼中だったくせに今更巻き込もうとしてくるんですかね、バカなのか?
わざわざボクが一緒にいるタイミングで襲ってくるのはなんなんだお前。
言っておくがボクはゲームでならおねーちゃんに勝てるんだ。
つまり反応速度自体は負けてないんだよ、分かるか?
髄液装備のボクに勝てると思ってんのか馬鹿が。
「っ!?現さん、下がって!!」
「あ、そう?」
でも非日常フレンズな同級生、
陽気なゲーム友達だったんだけどな、即座にボクを庇うなんて立派になっちゃって……。
キミ、ヒーローの才能あるよ。
それはそれとして同級生が頑張っているので援護くらいはします。
「カッコいいねえ。だが、足手纏いを連れて勝てると思ってるのか?」
「勝つさ……!!」
ひゅー、カッコイイ。
でもゴメン、やっぱボク早くおねーちゃんのところに帰りたい。
「ごめんちょ」
ゴー、髄液くん!!
高速水銀ビンタだ!!
骨の一本や二本や十本は覚悟するんだな。
「なっ!?」
はいずごーん。
並の能力で、高速で振るわれた水銀密度に勝てるものか。
最も密度の高い液体とまで呼ばれる液体金属やぞ。
カッターモードを使わなかっただけ温情と思え。
「う、ぐッ……」
「まだ意識あるんだ。頑丈だね?身体強化系の異能かな?悪いけど、おねーちゃんに比べたら全部雑魚だからちょっと頑丈なこと以外、違いが分かんないや」
「き、貴様!無能力者ではなかったのか……!?」
「いや、そんなこと一度も言ったことないけど。というか今時ボクを無能力者だと思ってる奴情弱過ぎない?考察スレ民の方がまだ考える頭を持ってるね」
至上礼装ヴォ〇ルメン・ハイド〇グラム……を模した液体金属武装。
ボクが防犯のために独自解釈を交えて呼び出した、非存在武装。
ボクの異能だと誤認させる目的でも呼び出した、およそボクが扱う限り余程の事がなければ無双できる個人規模装備だ。
総量約100L、重量にして1.4tとクソ重量装備にしたが、重量を無視するアイテムボックスくんに活躍してもらった。
必要な時にアイテムボックスから飛び出す親切設計。
なお、水銀と同じ密度の未知の流体金属なだけであり、常温で揮発しにくい性質を持ち、なおかつ毒性もない。
自爆の危険性はないぜ!!
凝固点はマイナス100度、沸点は2800度にも耐えられるようにしました。
とんでもなく素晴らしいものを呼び出してしまったな。
宇宙空間でもない限り活動できるだろこれ。
その分呼び出すのも苦労したけど……。
工程を分けるという発想が出たのは我ながらグッジョブだ。
追加でベチベチ。
ついでに拘束。
お前が!気絶するまで!!髄液くんで殴るのをやめない!!
オーラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ、オラァ!!
「ぐ、ご……ぁ……」
「あっ」
やべ、ちょっと殴り過ぎた。
生きてる?生きてるね、よし。
頑丈なのも考え物ね、加減が分からない。
生きてるからオッケーです、ヨシ!
「コホン。さて四神くん、キミがこの後どうするかは任せるよ。ボクは帰る」
「ま、待ってくれ現さん!今のは一体……!」
「《
まあ、真っ赤な嘘なんですけどね!!
すまない、四神くん。
ボクとキミの間に、そこまでの関係値は無い……(無慈悲)。
「じゃーね。ヒーロー研修も程々にしなよ~~」
それじゃあ退散退散!!
おねーちゃーん!!怖かったよ~~!!慰めて~~~!!
髄液くん、自転車モードだ、行くぞ~!!
爆速帰宅!
「たっだいま~!」
「エソラ、先ほど《テリトリア》から連絡があったんだが」
「あ、うん。巻き込まれたから髄液くんで撃退した」
「事情を知らない暫定下部組織の人間が問い合わせをしてきたらしい」
「あー……本人にやる気なしってことでひとつ」
「そう伝えておく」
もう情報が回ってるのか。
早いね。
ちなみにこの世界にラテン語はないからボクの異能の名前は『よく分かんないけどカッコいい響きの造語』でしかないぜ!!
水銀自体はあるからスレ民が勝手に考察して広めてくれるだろう。
ボクの異能偽装工作もより完璧になるわけだ。
ふっふっふ……青い奴らだ……。
ちなみにボクの異能に関してアナログ・デジタル両方で資料が残っていないか逐一確認しているのでボクの情報がセキュリティ面で漏洩しているということはない。
お偉いさんの頭の中にだけ情報が存在する。
裏切りが怖いねえ!!
ということにいつだったか気付いたのでギアスを設けました(ニッコリ)。
世界の平和のためだ、飲んでくれましたよ、げへへ。
「しかし、キミの言う通り、裏で動いていることが多いな。法整備も急速に進んでいるらしい」
「ひぇー、怖い怖い。いつの日か管理されちゃう日とか来るのかな」
「さてな。囚人生活のようになる日が来ないと良いが」
全く、しばらくは沈静化というか大人しかったくせに、ここ最近はやたらと活発だ。
そろそろ、本格的に駆り出される日が来るかもしれないね。
それはまだ少しだけ遠いだろうけれど。
……その前にゴールインしたいね。
仕事漬けで甘い同居生活が出来ないのは嫌だ!!
やはり焦るべきか……!!
「?」
おねーちゃんをぐちゃとろにして、『おねーちゃん』ではない呼び方ができるようにするんだ……!!
幸いにして、この国の女性の婚姻可能になる年齢は16歳である。
あと2年、ラストスパートをかけて行けばよいのだ……!!
頑張れボク、最近ではなんか意識し始めたのか若干挙動不審だし、行ける!!手ごたえはあるぞ!!
うぉぉぉおお!!
「ところでなんだが、エソラ」
「ん?」
「宿泊行事は行ってもらうからな」
「えっ」
ウォォォォォォォン!!
いやだあああああ!!ギャオォォォォォォォォォン!!(ジン〇ウガ)
・現エソラ(中学二年生の姿)
最近まわりが非日常に導かれているので悩んでいる。
首を突っ込みたいわけではないし、巻き込まないでほしいけど、大体それなりに仲がいいクラスメイトなので巻き込まれ度が高めになりつつある。
漫画だったらやたらと強い謎に包まれた助っ人クラスメイト枠。
なお、エソラが非日常に導かれないのはヒイラギというバックと噂程度に流れていた髄液くんが原因。
下手に手を出したらボコボコにされるので避けられていた。
今回現れたのは情弱のバカ。
ヴィラン組織の下っ端も良いところ。
エソラの能力がどんなもんか知りたいので使い捨てにされた、可哀そうに。
予想以上に本人が強過ぎるので完璧に撤退を決めこまれた。
お前が非日常に巻き込まれることはもうない。
だがお前が卒業したらこれが日常になる。