TS転生ヴィランロリ、疲れ切ったヒーローを拾う 作:蓋然性生存戦略
アレは嘘じゃないし、ネタも貰って気が向いたんだ。
・追記
いつも誤字報告助かっております……!
午前五時。
それが、普段私が起きる時間だ。
エソラは当然のように寝ている。
だいたい夜遅くまで作業しているので、遅刻ギリギリまで寝ていることもザラだったか。
卒業した今、最早その枷は無い。
存分に惰眠を貪っている。
が、毎度の如く私の腕を枕にするので、起こさないように起きるのに苦労する。
もう慣れたものだが、最初の頃は何度か起こしてしまったか。
するりと腕を抜き、ポットに水を入れてお湯を沸かす。
その間、洗面所で顔を洗って歯を磨いて、ようやくはっきりと脳が起き出す。
沸いたお湯を使ってインスタントコーヒーを淹れ、糖分などを補給してから、朝の筋力トレーニングに励む。
私の肉体は異能を使わずとも強靭であるうえ、エソラの便利グッズでさらに鍛え上げられてしまったため、もはやアジト以外では準備運動にすらならないのが現状だ。
エソラはいつか私に真っ向勝負で勝とうと奮闘しているが、そもそもキミが私を鍛えているということに気付いているだろうか。
ウェイトが足りないからと注文をすればすぐに取り掛かるところを見るに、恐らく気付いていない。
そういう少し抜けているところが可愛いのだが……それではおそらくキミは一生勝てないぞ……。
夜の戦も、そろそろ慣れて来た。
反撃の時も近い。
なにやら企てているようだし、逆手に取るのも悪くないだろう。
楽しみだな。
さて。
筋トレが終われば、二人分の朝食を作るまでがセットだ。
ちなみにだが、ごくまれに完徹したエソラが、私よりも先に朝食を作っていることがある。
できればやめてほしい。
そんな状態でケガをしたら目も当てられない。
私の異能は医療系ではないのだから。
朝食を作るにあたって、どうしても暇な時間ができる。
その間、スケジュールを確認し、大まかなチャートを作る。
今日は特に急ぎの用事はなさそうだ。
大きな事件でも起きない限り、呼び出しもないだろう。
であれば、今日は配信の時間を長くとれそうだ。
何を配信しようか。
積んでいるゲームがいくつかあるから、そこから引っ張り出しても良さそうだ。
最近はMMOやソシャゲの類も手を出し始めているから、本格的に時間が足りない。
やりたいモノがどんどん積み重なっていくな……。
なんて、考えながら朝食を作ること十数分。
ベーコンエッグとトーストという簡素なものだが、朝の食事には十分だ。
時刻は七時。
悪くない頃合いだ。
エソラを起こすとしよう。
あまり生活リズムを崩させるわけにはいかないからな。
「起きろエソラ。朝食だぞ」
「あとごじかん……」
「起きろ」
「あだっ?!」
絶対にグズるので問答無用で起こす。
……今気づいたが、なんで裸で寝ているんだ。
服を投げつけてリビングに戻る。
はぁ~~……いや、恐らく私が悪かったのだろうが……。
未だ150に満たないどころか140後半にもならない小さな体で積極的なのはどうなんだ?
背徳感が凄まじいどころではないぞ。
何故か私の身長も伸びているから、未だに身長差40を記録している。
もし職質されたら捕まりかねん……。
まあ、エソラももう16歳、婚姻可能な年齢で身元もはっきりしている。
色々と言われるだろうが、まあ……きっと大丈夫だろう。
《テリトリア》からは『やはり幼女趣味だったか』『まあ、あのクソガキの猛攻にここまで耐えたことは褒めてやろう』『それはそれとしてクソガキを連れて来い。色々と言いたいことがある』などといろいろ言われたが。
「おぁよ~……」
「昨日は何時に寝たんだ、全く……」
「んー、午前1時?そんくらい」
「いくら学校が無いとはいえ、あまり乱すなよ」
「はぁい……」
作ったベーコンエッグとトーストを差し出し、コーヒーをもう一杯淹れて朝食の席に着く。
眠たげな目でもそもそと口を動かすエソラを眺めながら、自分も朝食を取る。
寝起きのエソラは……そうだな、愛らしいというのが適切だろう。
普段の明朗快活な姿からは想像できない愛らしさがある。
普段のエソラは、何かを演じている節があるからな。
寝起き一番のこの姿が、きっと本来の姿に最も近いのだろう。
「ひいらぎ、きょうのよていは~?」
「特にない。今日はゆっくりできるはずだ」
「そっかぁ……つみげーでもするかなぁ……」
どうやら、私とエソラの今日の予定の考えは一致したらしい。
積みゲーを消化しよう。
どれを消化しようか。
いくつか見繕っておこう。
「ごちそうさま……おいしかった」
「それは良かった。顔を洗って来ると良い、そろそろ目も覚めるだろう」
「ん……」
食器を食洗器に叩き込み、スイッチを押す。
簡略化できるところはしてしまうのが我が家の流儀だ。
さて、積んでいるゲームのリストは……意外とあるな。
ひぃ、ふぅ、みぃ……十個くらいか?
単発で行けそうなのは……『リターン4ブラッド』か。
エソラが『うわ、懐かし~~!!B〇Bっぽい!!』と言って買っていたな。
ゾンビモノか……大乱でのある作戦が脳裏に過る。
友軍が次々と倒れては敵として復活する、地獄のような戦場だった……。
そうか、アレももう過去のものとして語られるくらいには平和になったのだな。
「よし、ばっちり目が覚めた!!って、どしたの、R4Bのパッケージなんか見つめちゃって」
「いやなに、時の流れを噛み締めていたのさ。今日はこれを一緒に配信しようかと思ってな」
「《テリトリア》呼んでからかおうかな」
「やめてやってくれ。今はどうか知らないが、確かゾンビモノは大乱でのトラウマがあったはずだ」
「あー……ごめん」
「なに、気にするな。あの作戦は公的記録に載せられないことも多かったからな」
彼女もまだ若い時のことだ。
敵になった友軍を見分けるために、常に能力を使って指示を出していたはずだ。
時には非情な指示も出したこともあって、一時期の《テリトリア》は行動不能にまで陥った。
懐かしいと同時に、少し苦い記憶だ。
「《テリトリア》もたまに見てるっていうけど、これ配信して大丈夫?」
「その程度ならば問題ないはずだ。自分でプレイしないなら」
「そっか。よし、じゃあこれにしよう。視聴者参加型にしてみる?多分鍛え上げたつよつよ視聴者もいるはず!」
「ネタバレの恐れは?」
「この手のゲームはストーリーなんてあってないようなもんだから大丈夫だよ」
「そうか。さっそく枠を作っておこう。時間はいつも通りで良いか?」
「おっけー。いやぁ、前世ではゲーム自体は面白かったのに途中で開発が終わっちゃったんだけど、こっちではどうかな~~?」
ゲーマーとしての顔を見せるエソラ。
実に楽しげで良い。
思わず頭を撫でてしまう。
ただ、気持ちよさそうに体を預けてくるのはやめてくれ。
そういうことではないんだ。
「そーいえばヒイラギ」
それはそれとして。
お互いに名前で呼ぶようになったのは、記憶に新しい。
まだ配信内では『おねーちゃん』と呼ぶようにしているが、勘の鋭いリスナーの中には勘づいている者もいる。
さて、どこまで隠せるか。
「なんだ?」
「いつ婚姻届け出したこと発表する?」
「キミなあ」
どうやらエソラには隠す気が無いらしい。
まあそちらの方が楽ではあるのは確かだが。
「まあ、やるなら早めがいいだろう。ツイーチーで呟いておくか?」
「そうしよっか。そっちの文書は作っておくよ」
作業は分担。
私達の生活は自給自足で成り立っているため、余人の手が入る余地がない。
逆に言えば忙しい時は本当に忙しいのだが、私たちの事情を鑑みれば仕方がない。
「うんにゃあ、しかし慣れて来たね、この生活にも」
「流石にな。もう7年目か?」
長いこと一緒に暮らしているモノだ。
もう一人暮らしがどうであったかなど、覚えていない。
……私も随分と変わったな。
「忘れた~~。時間の感覚が無いよー」
「私は時の流れをひしひしと感じているがな」
「衰えた?」
「馬鹿言うな。まだまだ全盛期を更新している」
「なんでや」
キミのせいだがな。
さて、この後は昼食と配信か。
昼食の下ごしらえだけしてしまおう。
後で楽になる。
―――――配信ダイジェスト―――――
「というわけでやっていくよ視聴者参加型R4B!」
「私たちは初心者だからな、出来れば控えめなビルドで頼む」
『お前らのような初心者がいてたまるか』
『はよレベル上げてもろて』
「ぎゃー!!何こいつブ〇マーよりタチ悪い!!」
「見つけ次第排除だな」
「ひぃ、ひぃ、もうやだよ、感染者の中にウィ〇チが混ざってるのはやだよ……」
「存在しない記憶が混ざってるぞ」
『このゲロデブと比較できる存在を知っているクソガキは何』
『ウィ〇チってなんだ……?』
『クソガキがトラウマになるレベルの存在……?』
「し、視聴者ニキネキ助けて~~!!ビルド事故って火力が足りない~~!!」
「ローグライクも悪くないな。今度からこういうのもやるか」
「言ってる場合か~~!?」
『歴戦視聴者ニキネキつっよ』
『やっぱ中の人がなんぼ強くてもこのゲームはビルドなんすよ』
『クソガキのリアクションが良いからヒイラギさんの冷静なプレイが際立つんよな』
『良いぞもっと引き立て役になれクソガキ』
「はい、キタコレ、これで持ち直せます」
「強いな、そのカード」
「や↑ったぜ」
『本当に持ち直せるカードじゃねえか』
『悲報:クソガキが苦しむターン終了のお知らせ』
『朗報:ヒイラギさんも同じカードを引く』
『ここから楽々ですわよ』
「っしゃおらぁ!!二度と顔出すなクソ耐久ボスめ……」
「なにかフラグを踏み損ねた気もするが……」
『なんで勝てんねん』
『ギミック解除一切なしで……?』
『弾薬が無制限に降って来るとは言えやれるものか?』
『やっぱ中の人も強いと潰されるんやな……』
『P3ニキ:なんで勝ててるんですかね』
『P4ネキ:わかんない……』
『ニキネキも困惑してて草』
ふぅ……。
想定よりも長丁場になってしまった。
時刻は既に24時。
軽食でも取って寝た方が良いか。
「うーん、ボクの個人配信の方ではしばらくやりたいねえ、これ」
「楽しかったか?」
「お値段分以上の価値がある」
「それはよかった」
エソラはご機嫌なようで何よりだ。
「さて、何か作って来るよ」
「軽めのもので頼む……ふぁ……」
が、ここで見逃したのはダメだったな。
眠気が判断を鈍らせたか。
ここ最近は寝ないで活動することも減ったからな。
眠気に耐えられなくなってきていた。
「ほい、どーぞ」
「ありがとう」
夜のエソラ相手に油断などしてはならないというに。
私が差し出されたおにぎりを口にすると、ニコニコと笑い始めた。
「エソラ?」
そこで異変に気付く。
随分と頬が上気している。
「まさか」
「それ食べるまでは待てるからさ、ね?」
「はぁぁぁ……」
仕込んだな、これは。
今後活かすべき反省点として覚えておこう……。
それはそれとして、そろそろお仕置きだ。
いつまでも良いようにされるわけにはいかないからな。
目が覚めて来た。
「さて、ベッドに行くぞ」
「あれ?ちょ、ま」
「待たない」
エソラをとっとと抱えてベッドに行く。
余計な装備は持たせない。
「えっと、ヒイラギ……?」
「覚悟しておけ」
「ひぅ……」
その日の夜は、私の勝ちだった。
・リターン4ブラッド
L4〇2の敵たちとBack〇Bloodのシステムで戦う感じのローグライクCO-OPシューター。
後半やたらと強化されたウィ〇チやタ〇クが恐ろしく強い。
・下剋上:夜のヒイラギ
夜の戦の反骨心から段々Sっ気に目覚めて来た。
余計な道具を持ち込ませないことで圧倒的な勝利を手にする。
お仕置きターンなのでクソガキの懇願は聞かない。
・被下克上:夜のエソラ
逆転されてちょっとMっ気に目覚め始めた。
やっぱり道具が無いと自分は勝てないことを分からされた。
でもこのまま負けが込んだらヤバいかもと思っている。