TS転生ヴィランロリ、疲れ切ったヒーローを拾う   作:蓋然性生存戦略

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そういえばなんですけど……この舞台、地球ですらありません!!(クソデカボイス)
はい、それだけです。
エソラとヒイラギはアセリアというメリケン規模の国に住んでいます。
でもハウアイ島は別の国です。
あと日本にあたる国はヒイラギさんとエイリアン大艦隊の戦闘の余波で滅んだぜ!!
(え、じゃあなんで日本っぽい名前がデフォなんだって?規模がメリケン規模なだけ)

作者的に大事なことなので改めて……。


第四話:元TS転生ヴィランロリとネクロマンシー

なんか最近、ガキどもの聞き分けが良い気がする。

あれか、四神くんたちと戦闘したからか。

『実力もよくわからん生意気そうなガキ』から『実力はヤバイ生意気そうなガキ』に評価が進化したからか?

まあどうでも良いと言えばどうでも良いんだけど。

 

「ヒイラギと別々かあ……」

「仕方ないだろう?何度も学年合同というわけにはいかないんだ」

「それはそうだけどぉ~~」

 

今日は二期生たちの初めての大規模訓練の日だ。

疑似災害訓練施設で、実際に動いてみようって奴……まんまU〇Jやないかい。

ヒーローって奴が公的機関になったらそうなるのか……?

ボクにはよくわからん……だってヴィランだったのだもの。

……そういえば前世のネット小説でも魔法少女だのヒーローだの、公的機関になったら人気商売も兼ねてたりしてたよな……。

そういうものか。

 

「A組がヒイラギ、B組がボク。そんな感じで。通信機持った?」

「無論。そっちこそ、端末への同期は完了しているか?」

「もち。じゃ、頑張ろっか……」

「そうだな」

 

それはそれとして、ボクたちはかなり慎重に準備をしていた。

なぜかというと、まあヴィランが襲って来るならこのタイミングだよなという勘である。

あと、前々からヴィランどもがうごめいているという情報もあった。

じゃあもうこの準備しかないやんけと。

 

「スガヤさんに頼んでアナログ視点でも見てもらったけど、やっぱなんかおかしいんだよな……アオ〇マくんみたいなのがいないと良いけど」

「誰だそれは」

「クラスメイトの裏切者をさせられてた可哀想な男の子。終盤にはラスボス陣営に勇気を出して絶縁状叩き付けて熱いんだよ」

「……いないといいな」

「ホントにね。さて、一応日程は秘密のはずなんだけど、何処まで漏れてるか楽しみだねえ……」

「既に掃除の余地がありそうだがな」

 

多分いるんだよな、内通者。

まあいないと考える方がおかしい。

とはいえ、職員の内、《ガーディアンズ》から直接派遣されているヒーローは除外して良い。

引退間近ゆえの配属だが、誰もが大乱を生き抜いたヒーローだ。

そのため、『本物』しかいない。

正確には、『本物』しか残らなかった。

《テリトリア》が念のために入念に洗い、厳重なチェックを抜けて配属された歴戦の英雄だ、万が一もないだろう。

その辺、ボクは《テリトリア》を信用している。

新婚旅行をキャンセルさせて来るクソ無粋クイーンだけど。

 

問題は大乱後にヒーローになった者、《ガーディアンズ》直属のヒーローではない者、オペレーター科、サポート科の職員、あとは生徒。

洗うべき候補が多過ぎて困る。

 

「だがまあしかし、授業日程にアクセスできる存在はそう多くない。オペとサポは除外できないか?」

「たぶんできる。一応洗うくらいの感覚」

「なるほどな」

 

ちなみにだけど、ボクとヒイラギ、どっちがどっちに行くかは、今決めた。

そう、今決めた。

ボク達だけしか知らない、本当の本当に今決めたことだ。

これが重要だ。

この一手で、多くの事を知りうることができる。

 

「……だがエソラ、この作戦は……」

「分かってる。正直怖い」

「……中止してもいい」

「ダメだよ、仕事なんだから」

「キミはそういうところばかり大人びていくな。無理はするなよ」

「もちろん。ボクが無理をしたことなんて、()()()()()()()()()()()()()だ」

 

勿論、どんな作戦にも欠点はある。

今回の場合、それはリスクがボクに傾き過ぎているということだ。

もし、二期生を狙う大規模攻勢が行われた場合、確かに情報提供者を大幅に絞ることができる。

だが……それは必然的にヒイラギよりも圧倒的に直接戦闘力に劣るボクの方が狙われるということだ。

まあ仕方がない。

それに、ボクの偽装先の異能は一対一、一対多、近距離から中距離まで対応できる攻防一体型のPerfect礼装だ。

そう簡単に負けてやる気はない。

フハハハハハ。

 

「どうしてもだめだったらまあ……逃げるよ」

「そうか」

 

それでもダメならボクは逃げるさ。

遁走には一家言ある。

八年間逃げ続けた力を舐めるなよ。

 

「んじゃま、あとで会お?」

「ああ」

 

なんて、フラグだったかな?

 

 

 

第2疑似災害訓練施設にて。

 

「めんどくさ……」

 

案の定というか。

ボクの方に殺到してきたよね。

 

「ヒイラギ、聞こえる?」

『ああ。こっちも襲撃を受けているが……どうにも時間稼ぎという雰囲気が否めない。こっちは捨て駒だろうな』

「だよねー。ちなみにこっちは二個中隊規模(だいたい200人)が見える」

『急いで避難を完了させてそちらに向かう。無理はしないでくれ』

 

アレ全部能力者かなあ?

だとすると面倒以外の何物でもないんだけど……いや、火器で武装してるのが結構いるな。

非能力者と能力者の混成部隊ってところか?

だったらまだ何とかなるけど。

 

端末を確認。

同期ヨシ、敷地内に伏兵なし。

これはヒイラギの方にも共有されているはずだから、撤退ルートもスムーズなハズ。

ヒイラギが本気を出せば、あの程度の数は何もさせずに殲滅が可能だ。

電波妨害もされてるっぽいけど、ボクの秘密道具は生憎とそんなもの使ってない。

既に応援の通達は行っているはず。

大乱生存組も今向かって来ているっぽい。

 

っし、何とかなるか。

 

「全員固まって。じゃないと守り切れないからね」

「でも、エソラ先生……!」

「まかせんしゃい。ボクは強いんだぜ?」

 

だがしかし、困ったことにだ。

ちょっと1000Lじゃ足りないんだよな。

1000Lって聞くと凄そうに聞こえるじゃん?

でもね、実際はそうでもないんよ。

ぶわわわぁ!!って出る量じゃないんよ。

よく考えてみて欲しい。

60Lが1/4湯舟ということは、250Lが1湯舟とちょっとで、そう考えると1000Lは4湯船くらいしかないのだ!!

この礼装の特性上、攻撃よりも防御の方にリソースを割かざるを得ないのは自明であり、そうなって来ると30名前後のひよっこを守り切った上で迎撃するにはちょっと物足りなさが先立つ。

 

「……全く、学園講師生活一か月で、早々に奥の手を切る羽目になるとはね」

 

アイテムボックスから、一つのアイテムを取り出す。

それは、仮面。

ボクがこの異能偽装をするにあたり、きちんと用意したコスチュームセット。

仰々しく顔に装着すれば……ボクの衣装は切り替わる。

 

「ヒーロー育成校の臨時講師だからね、ヴィラン衣装は流石に常用できないってことで、お色直しさ」

 

シルクハットの燕尾服風のドレス。

さぁ!

 

「It's Show Time!!Come on 10,000 Hydrargyrum!!」

 

本気のコスチュームのボクは、ちょっと強いぞ?

追いつけるものなら追いついてみな、HAHAHA!!

なんか相手の装備がゴツいけど、なんとかならぁ!!

さぁガキども、髄液くんに包まれてね!

逃ぃげるんだよぉ!!

 

え?戦わないのかって?

やんないやんない。

少なくともお荷物がいる状態じゃやりたくない。

ばいばーい。

 

 

 


 

 

 

端末を見れば、撤退ルートを容易に読み取れる。

防衛という観点から見れば、これほどありがたいことはない。

友軍と敵軍を簡潔に見分けられ、なおかつ正確で新鮮な地形情報まで記されているのだから、敵からしたら堪ったものではなかろう。

 

生徒たちと引率の担任、そして今回の担当のヒーローの様子を見つつ、迎撃しながら撤退を進めていく。

できれば私が殿として残り、生徒たちを一気に避難させたいが……内通者がどこにいるかが分からない。

ひとまず、二期生ヒーロー科の関係者のどこかにいるのは確定した。

問題は、何人いるのか。

そして私とエソラ、どちらの方にいるのかだ。

おかげで撤退速度がもどかしいと言ったらありはしない。

いや、そもそもさっさと殲滅できれば話は早いのだ。

内通者がどこにいるか分からないから踏み切れないだけで。

応援が来てくれれば安心して動けるのだがな。

 

『うわ、マジか』

「どうしたエソラ」

『やーばい、対物徹甲弾だアレ。メッタメタにボクをメタりに来てんじゃん。ひぇ~~防御にリソースが持ってかれる~~!!』

 

どうにもエソラの方はマズいらしい。

護衛対象が多くいる関係上、強みを生かせない状況下か。

まあ、軽口を叩けるくらいには余裕はありそうだが。

 

「逃げられるか?」

『髄液くんで包んで今避難輸送中。ただ、流石に追撃して来るね。まったく、軍用ジープを使うたぁ豪勢だねえ!ま、ライフルのAP弾程度なら全然防げるさ。でも、生徒の生け捕り目的で来てるわけじゃないのは確定だね。生け捕りで徹甲弾持ち出すとか正気の沙汰じゃないよ』

「ある意味分かりやすくて助かるがな……合流は可能か?」

『流石に遠い。校舎まで到達する方がベネ。それまでに応援のヒーローが到着するはず』

「了解」

 

しかし軍用ジープか。

私の方で目視したヴィラン達も、画一された装備を身に纏っている印象があった。

表の大きな組織と繋がりがあるのは確実か。

それも軍事品に手を出せる組織。

かなり絞られてきそうだ。

どこかの国の制式採用銃ではなかっただけまだ朗報か。

国際問題になりかねんしな。

 

「私の方はもうじきなんとかなる。第3は近くて助かった」

『おっけおっけ。ほんじゃま、後ろの方々をおちょくっていこ、う……』

「エソラ?」

『……()()()?』

「エソラ!!」

『あっ……まっず……!!』

 

轟音。

通信機を通さずとも聞こえるほどの大音量。

音がした方を振り向けば、キノコ雲が立ち上っている。

 

「エソラ!無事か?!応答しろエソラ!!」

『ってぇ……っざけやがって……ブチ殺すぞダボ共がァ!!!!』

 

何が起きた。

エソラが豹変している。

純度百、殺意剥き出しのエソラなど、よほどのことがない限り……。

 

【……リンカ?】

 

直前に聞こえた呟きが、脳裏をよぎる。

いや、そんなはずはない。

ありえない。

()()の遺体は今も工房にある。

ではエソラが見たものはなんだ……?

いやそれよりも。

 

「エソラ、聞こえるなら返事をしろ!!状況はどうなっている?!」

『あぁ?!……ヒイラギか。ごめん、ちょっと我を忘れてた。咄嗟にアイギスを張ったからなんとか全員無事。でもまずい。髄液くんが()()()()

「なに?!」

『流石に緊急事態だ、神話武装(ミシック・ウェポン)の許可ちょうだい』

「……確実に撃滅できるか?」

『逆。使わないと抵抗すらできない』

「許可する。5秒持ち堪えろ」

『はっ、余裕』

 

私は、援軍の合流を待たずに全速力で駆け出した。

再び見えるキノコ雲。

その音とすれ違い、エソラの元へと急行する。

先ほどよりも規模が大きい。

いかにアイギスといえど、それを扱うのはエソラである以上、負担が大きい。

移動含め5秒で済ませる。

 

「《唯》ッ!!」

 

踏み込み。

 

「《一文字》ッ!!!」

 

振り抜く。

それだけでいい。

そのはずだった。

 

ガキン!!

 

そんな音を立てて、()()()()()()()()()

思わず目を見開く。

私の太刀筋を止められる存在がいるなど、私は知らない。

いるとすればそれは……

 

「なっ……私?!」

「んなわけあるか!ヒイラギは一人だけだっ!!」

 

横合いから、雷が迸る。

私の刃を止めていた私のような存在は、それを避けるために大きく退いた。

 

その先には、エソラとそっくりな少女もいる。

 

「これは一体、どういう状況だ」

「ボクが知りたいよそんなの!!コピー対策は入念にしたっていうのにこのザマだ、ちょっとわからんとです」

「キミそっくりの彼女は、能力までそっくりか?」

「どうにもそうみたいだね。ただ、使い方がなっちゃいないけど」

 

私とエソラ対、私とエソラ。

ドリームマッチと言っても過言ではない状況だが、生憎とこちらには守らなければならないモノが多過ぎる。

 

「エソラ、緊急事態だ。転送を」

「おっけ。ぽちっとな」

 

もはや四の五の言ってられない。

エソラの秘匿などと言ってる場合ではなくなった。

 

「《テリトリア》には?」

「比較的安全で状況が分かる場所にスガヤさんがいる。もう伝わってるはず」

「すでに動いてくれてると良いが……」

「ちなみに今分かった良いニュースと悪いニュースがあるんだけど、どっちから聞きたい?」

「悪いニュースから聞こう」

 

何かしらで解析を行ったのか、相手の情報を知ったらしい。

伊達メガネのようなアイテムが光り輝いている。

流石と言ったところだ。

 

「恐らくカタログスペックはあっちのヒイラギの方が上です。やーね」

「それは実に悪いニュースだ。で、良いニュースは?」

「まず間違いなく動かしてるのはボク達じゃないってこと」

「なるほど、ご機嫌なニュースだ」

 

それならば勝ち目はある。

なんとでもなろう。

 

「あともう一個。胸糞悪いニュースがあるんだけど」

「なんだ?」

 

だが、エソラはまだニュースがあるらしい。

……胸糞悪いと来たか。

 

「アレ、正真正銘ボクらの身体です。しかも死体」

「……原理はよくわからんが……尊厳にかかわる問題なのは分かった」

「ムカつくよね」

「ああ、実に腹立たしい」

 

なるほど、胸糞悪い話だ。

 

「というわけでさぁ、そろそろ中の人喋ってくんない?人の死体でごっこ遊びしてんじゃないよ」

「……」

「どうやらお喋りではないらしい。何がどうなって私たちが生きているのに私たちの死体が生まれるのか。気になるところではあるが……」

「ボクの故郷では遺体は火葬でね。景気よく燃やそうと思うんだけど、どうかな?」

「悪くないと思うぞ」

「……」

「だんまりかよ。つまんねぇ奴だな」

「死人に口なしと?ならば動くものでもないぞ?」

 

戦いは、私達の怒りが最高潮なまま、始まった。




そういえば関係ないんですけど、参考までに一般的な25mプールで422000Lです。

え?ゾンビヒイラギとゾンビエソラ?
未来の姿とかそんなんじゃないですよぅ、信じてくださぁい。
作者嘘吐かない、ホントホント。
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