TS転生ヴィランロリ、疲れ切ったヒーローを拾う 作:蓋然性生存戦略
それはそれとしてなんですが、もしかしたらスタレの周期演算でのデータ作りに集中して滞るかもしれません。
ご了承ください。
めちゃんこ暇です。
あの戦いからね、24時間動けないことが確定してるからね。
今もう数時間くらい経ってるっぽいんだけど。
思いっきりヒイラギに抱き潰されたから、ムラムラはもうないんだけど。
ヒイラギ今いないし。
ボクに黙ってどこ行ったの、寂しいよ。
泣いちゃうよ?
まあ、退屈は人生の敵なので、久しく使ってなかったアイテムを遠隔操作で呼び出します。
うぉぉぉお、来い!『身代わり人形くん13号』!
説明しよう!
身代わり人形くんは、ボクが憑依して動かすことができる緊急用活動端末だ!!
大破してもボクの意識は安全に戻ってくる対策付き!!
なんで13号かって?
今まで12機壊れたからだよ。
まあ、しばらくこれで出かけようかな。
なんかもう物騒だし。
怖いよ。
というわけで意識をダイブ。
さぁ、ひよっこどもを安心させてやらにゃあな。
「というわけでひよっこ諸君!!エソラ先生が様子を見にきたぞ!!」
時刻は午後7時。
食堂やらなんやらから生徒達が寮に戻ってくる頃合い。
談話室に群がっているだろう、ひよっこどもに顔を見せる。
「エソラ先生?!安静だって聞いたのに?!」
「大怪我したって聞いたんですけど大丈夫なんすか?!」
「大怪我は推定だって話だったでしょ!」
「あ、あのあのあの!守ってくれてありがとうございます!!」
「お怪我はありませんか?!」
なんだ、話に尾鰭がついてないか。
ボクは無傷だぞ、一応。
本体は一切動けないけど。
「ボクの心配をしようなど5億年早いわ小童ども!!お前らこそ怪我ないんか?死人はいないのは確認してるけどさあ」
「おかげさまで怪我はありません、サー!!」
「なんで生きてるのかわからない攻撃を受けていたと思うのですが、サー!!」
「まあまあ、生きてて儲け物だと思えばよろしい。途中から見捨てようか悩んでたしな!ワハハ」
「先生ひどくね?!」
「でも結局見捨ててない先生ツンデレかな」
「誰がツンデレだ。ボクがデレるのはヒイラギだけだぞ」
「詳しく」
「言わねーよ」
うんまあ、思ったより元気そうでよかった。
トラウマになる前に転送できたのがよかったか。
しかし悪くない気分だ。
「ところでゲーム持ってきたんだけど一緒にやらん?アナログボドゲいっぱいあるんだよね、気晴らしにどう?」
「うわ知らないのいっぱいある」
「こういうのも遊ぶんだ……」
「やる相手がなかなかいないんだけどねー。ネトゲの方がメインだし」
そそくさとボドゲを展開。
ルール説明とかをして回り、盛大に遊び倒す。
うん、良きかな良きかな。
「先生、このナナトリドリってなんすか?」
「ボクの故郷にあったゲームでね、早い話がカードをより早く使い切ったら勝ち。面白いのが、手札の並び替えをしてはいけないというところでね……まあ細かいことはやってみるのが早い、説明しながら相手してあげよう。あと3人くらい来ない?」
「あ、じゃあ俺も俺も!」
「やってみよっと」
クックック、ボドゲ人口も増やしていこうぜ……はーっはっはっは!!
――二時間後――
あれ?
なんか本体が動かされてる?
ちょっと待ってどゆこと?!
アジトに侵入者?!
いや普通に考えてヒイラギか。
帰って来たんかな。
じゃあお開きにしようか。
「っとごめーん!そろそろお開き!キリのいいとこでボドゲ集めてー!!」
「っす!今度また持って来てくださいよ」
「おっけー、色々持ってくるぜ。まったなー!!」
ボドゲ回収!
いやー楽しかった。
急いで帰るぞー、えっほえっほ。
ガチャっとな。
「たっだいm「随分と楽しんでいたみたいだな?」あ、はい」
ヒイラギ、なんか顔が怖いよ?
ボクなんかやらかした?
「帰って来たら、何をどうしても反応しないキミを見て、私がどれだけ焦ったか分かるか?」
あっ、えっと、その。
ちがうんです、ひよっこどもを元気づけようと思って……。
「私もいつ頃帰るか伝えていなかったし、すれ違いが発生したのは仕方がない。キミがやろうとしたことも立派だし理解できる。だがキミは今自分が動けないという状態に陥っている自覚はあるのか?理解するまで教えなければならないか?」
「ひぅ……ごめんなさい……」
膝詰めで説教された。
ボクが悪いのはそうなんですけども。
まいっか。
ヒイラギがいるし。
にへへ。
「何を笑っているんだ?本当に反省しているんだろうな?」
「ひぇ!反省してます!してるからぁ!!頭ぐりぐりはダメェ!!」
あだ、あだだだだ!!
まだボクその領域に達してない!いだだだだ!!
コツ、コツ。
冷たいコンクリートの階段を、《テリトリア》と監獄の職員に導かれて降りていく。
深く、深く、奥深く。
無数のセキュリティに封鎖された迷宮監獄を降りていく。
「ここまできて今更だが、本当に会うんだな?」
「ああ。現状、奴以上に知識を持ち合わせている者はいない」
「……ないとは思うが、妙なことはしないでくれよ」
「分かっている」
「では行って来い。別室で聞いている」
監獄の奥の、その最奥。
そこに、奴はいる。
幻楼院リンネ。
八年前、殺したはずなのになぜか復活し、監獄に叩き込むくらいしか出来なかった悪女。
かつて異世界を巻き込み、エソラがかつて生きていた世界を滅ぼす原因となった者。
その者は今や、アセリアが誇る大監獄、ヘルゲナ監獄の最奥に終身禁錮刑となっていた。
もう二度と、会うこともなかろうと思っていたが……。
「あら。珍しい来客だわ。私の退屈を埋めてくれるのかしら?あの子は連れてきてくれたかしら」
「さてな。貴様の好奇心を満足させるために来たわけではないが……それなりに話は弾むかもしれん。それと、エソラを貴様に会わせるつもりはない」
「言ってみただけよ、期待してはいないわ。まあ言ってみなさいな。天下の《ブレイディア》がこの私に教えを請いに来たのだから、ある程度は聞いてあげてもいいわ」
「相変わらず口先は達者なようだな」
八年前、幼子の姿で捕縛されたこの女は、監獄生活の中でもそれなりに成長し、エソラ……いや、リンカとの血の繋がりを感じさせる風貌となっている。
全く、やりづらいと言ったらこの上ない。
「先日、大規模な戦闘があってな」
「ああ、アレ?見てたわよ。断言するわ。奴ら、また来てるわね」
なんだ、見ていたか。
この全てを見通す目を持っている女が言うのならば、間違いなかろう。
この女にとっても、奴らは不倶戴天の敵だ。
……いや待て、異能封じの枷はどうした。
抜け道でも作られたか、全く。
「……あの死体を操る技術はさておいて、私たちの死体がどこから調達されたものか、それが分からない」
「ふぅん?心当たりがあるから私に聞きに来たのではないの?答え合わせに付き合ってあげるほど、私は優しくないわよ」
そうか。
ならば私のこれは答えと言っても差し支えなかろう。
あの悪夢の先が、あの死体の出所だ。
「だが疑問がある。それは技術的に可能なことか?平行世界に干渉し、あまつさえ時間すら超越するその行為は、私には可能だとは思えん」
「そうね。私もそれは疑問よ。けど、一応仮説はあるわ」
「ほう?」
「まず前提として、私たちが感じ取っている時間という概念は、必ずしも全てが一致しているわけではない、ということ。まあ、これは私の干渉技術がまだ不完全だから起きる現象だから、奴らも同じとは限らないけれど……今この瞬間に平行世界に干渉を行ったとして、その繋がる先が必ずしも、よく似た世界の同じ時代であるわけではない」
……エソラを連れて来るべきだったか?
あの子の方がこの手の理解力は高いが……いや、やはりなしだな。
あの子はまだ感情が豊かすぎる。
「つまるところ、未来にも過去にも繋がる可能性があるということか?」
「そうよ。可能性として、奴らが異界及び平行世界からアナタたちの死体を用意したとして、それが完璧に狙って行われた行為ではない、ということもあり得る。そして、恐らくこの可能性はかなり有力よ。奴らを以てしても、完璧な干渉を行えるほどの技術はない。私はそう結論付けたわ」
「根拠は何だ?」
「だって、それができるならアナタたちを一人ずつ配置なんてしないわ。複数用意して一気に磨り潰すのが一番よ」
「……なるほど、確かにな」
ならば奴らの切り札は潰せたと見ていいのだろうか。
あまり楽観はできないが、そう見てもよさそうだ。
「それはそれとして、随分と警戒されているな?」
「そうなのよ。所詮見るだけの能力に何を恐れているのかしら」
「貴様の頭脳だろうな。よもや両手両足を封じられているとは思わなんだ」
「嫌になっちゃうわ、本当に。おかげで考えることしかやることがないじゃない。実験がしたいわ、実験。なんとかできない?」
「エソラに嫌われたくはないのでな、無理な相談だ」
「お熱いことね……あーあ、退屈だわ」
両手両足を封じられ、抵抗などできない状態になってなお、この女は変わらない。
土台からして思考が異なる存在だ。
理解は諦めている。
だが……。
「貴様は……何がしたかったんだ?」
ずっと、それが疑問だった。
幻楼院リンネという女は非道な実験を繰り返し、人道に外れた女だが、それと同時に人類の技術発展に貢献してきた存在でもある。
この女がいなければ、技術の発展は300年遅れていたとすら言われている。
異能封じの枷の基礎理論も、この女が提唱したものだ。
罪と同じくらい、功績がある。
だからこそわからない。
何がしたいのか。
何がこの女を駆り立て、何を目的としていたのか。
「何がしたいとか、そういうのじゃないわよ。ただ退屈なの、生まれた時から、ずっとね」
「……難儀なことだな。世界征服なんてものも、退屈凌ぎか?」
「世界を相手に暗躍するのはそれなりに楽しかったわよ〜〜。まあ、アナタ達のせいで全部台無しだけど……ああでもそうね。挫折という言葉を、悔しいという気持ちを教えてくれたのは、感謝してるわ。私だけじゃ知りえなかった知識だから」
「そうか。ならば、どういたしまして、とでも言っておこうか」
「なるほど、これが怒りね。感謝することが増えたわ」
だが聞いてみれば、ただ単純なことだった。
退屈凌ぎ。
この女にとってはそれが全てなのだろう。
全く、監獄生活でも元気なようで何よりだ。
たちが悪いと言ったらありはしない。
そのうち、《テリトリア》がうまく活用するだろう。
私が案ずることではないな。
そうさな。
これ以上話すことはない。
そう思って立ち上がろうとした私は、次の言葉で動きを止めた。
「……感謝ついでに言っておくわ。ラセオ共和国はもうダメね。陥落してる」
「なに?」
それは、とてもじゃないが、例え《テリトリア》に言われたとしても、簡単に信じられる言葉ではなかった。
ラセオ共和国が、陥落している……?
「政府と軍部が軒並み押さえられているわ。一部企業も乗っ取られて、エイリアンが作ったヴィラン組織の資金源として活用されてる。この情報をどう扱うかは、アナタ達次第よ」
「……何をもってその言葉を担保する?」
「嘘だったら私の両目を抉ってもいいわよ」
「なるほど、貴様の命か」
奴の力の半分はその眼に頼り切っている。
それを抉るということは、生命線を失うに等しいにもかかわらず、この女はそう言い切った。
恐らくは真実。
最悪だ。
敵の手は、思った以上に大きく広がっていた。
よもやラセオが乗っ取られているとは。
「感謝する」
「あら意外ね」
「礼を言うべきは言うさ。それが許されざる悪だとしてもな」
「そう。せいぜい頑張ってちょうだい、ヒーロー。私、退屈だけど今の世界が好きなのよ」
面会を終え、私は踵を返して来た道を戻る。
引退などしている場合では無い。
「《テリトリア》、聞いていたな?」
「ああ。すぐに手配する」
「私も復帰する。上にも話を通せ。事態は逼迫している」
こうなっては復帰せざるを得まい。
ラセオに出向いてゾンビ化した存在を全て斬り捨てることも厭わん。
「気持ちは分かる。だが焦るな。お前にはエソラがいるだろう」
「だが!」
「だから焦るな。焦りでお前が命を落としたとき、あのクソガキがどんな行動に出るかわからんぞ。あのクソガキを歴史上に悪魔として残したくないなら落ち着け」
「……すまん。助かった」
「いい。大乱再びとなれば悠長にはしていられまい。早急に裏を取って各国の馬鹿どもをさっさと黙らせる」
時間はあまりない。
ラセオが陥落しているということは、周辺国家もマズいということだ。
よもや世界で二番目に栄えていた国が真っ先に陥落するとは、誰も思うまい。
このアセリア連合国がどれだけ迅速に対抗できるか。
そこに懸かっている。
「今しばらくは教鞭を執っていろ。内通者のあぶり出しを頼む」
「分かった……ゾンビ対策に関してはエソラに頼んでおこう。すぐに作ってくれるはずだ」
「……味方だと頼もしいな、本当に」
「全くだ」
不甲斐ないことに、エソラに頼らざるを得ないのも、また確かなようだが。
・身代わり人形くん13号
危険だけどどうしてもアジト外での活動をしたい時にだけ用いられる身代わり人形シリーズの13号機。
意識を憑依させての遠隔操作が可能な生体端末。
1から12の先輩人形くんは既に大破している。
一体何楼院のせいなんだ。
現状のエソラの姿をリアルタイムで再現しており、食事機能なども搭載されているので偽装が可能。
生体素材なので機械探知にも引っかからない。
維持費はそれなりにかかっていたりするが、いざという時に使えるのでいつでもスタンバイしてある。
ただしヒイラギ相手では身代わりに出来なかった。
ヒイラギが閃いてしまったためである。
・ラセオ共和国
アセリアの次にビッグな国。
エイリアンに人知れず政府と軍部を乗っ取られてエイリアン組織の温床となってしまった……。
幸いなのは、ラセオの有力なヒーローは脅威から逃れてレジスタンス活動をしていること。
なお、勘の鈍かった大乱後のヒーローは軒並み喰われている。
民間もそれなりにやられているもよう。
・幻 楼 院 リ ン ネ
ただ楽しいことがしたいだけの倫理観ゼロのエンジョイガールであることが判明した女。
自分と同じ存在を産み出す理論を第一部での決戦前に創り上げていたので某赤色さんのような芸当が可能になっていた。
放っておけば無限コンテして来る。
タチ悪ィ……!
エソラとヒイラギにコテンパンにされたので「どこでチャートガバったかなあ~~」と考えるのが今の生き甲斐。
ちゃっかり異能封じの枷も無効化して色んな場所を覗き見しては頭の中で理論を組み立てている。
実験ができないので机上の空論でしかないのがもどかしい。
ヒイラギが来て自分の仮説をお話ししたりできたので嬉しい。
それはそれとして悔い改めて。するわけないだろうけど。
両手両足を使えないようにガッチリ拘束されているので、マジで何も出来ない。
食事やトイレの時でさえ拘束は解かれない警戒のされようをしている。
本人は「まあお世話されてるし考えることに集中できていいや」などと思っているもよう。
なんだかんだで監獄生活を満喫している。
飽きたらたぶんどうやったか出てくる。出てくんな。