TS転生ヴィランロリ、疲れ切ったヒーローを拾う   作:蓋然性生存戦略

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最強データ作れたので投稿です。
奇物73から終盤に狂気トラペゾコンボ行けたのはデカすぎる。
ルパートなんていらんかったんや……!!
なんでや!ルパート揃ったデータが没で揃ってないデータが最強になることあるんか?!ショッギョムッジョ。


第七話:元TS転生ヴィランロリの暗躍

やぁやぁ、諸君。

なんだかんだとソシャゲ主人公並みに波乱万丈な人生なんじゃないかと疑い始めたエソラくんちゃんです。

でも最大の壁、人類最後のマスターがいるからな……背負ってるものが違い過ぎる。

まあそんなことはさておき。

 

実はボク、ヒイラギに黙って秘密裏に行動していたことがあります。

悪い子だからね、仕方ないね。

で、それがなんなんだという話なんだけど。

 

「やっぱこいつしかいねーよな」

 

急遽作り出したアイテムから送られてくるデータを睨みながら、ボクは呟いた。

もし、もし内通者がエイリアンの手先だった場合。

ソイツはもう死んでいる。

心臓は止まり、成長も止まり、そして未知の技術を埋め込まれている。

であるのならば。

特定は容易い。

容易いからこそ、ボクは秘密裏に動いている。

場合によっては、ヒイラギはとても傷付くと思うから。

 

「……やるか」

 

だからボクは、怒られる覚悟で、やろうと思った。

ボクが傷付くより、ヒイラギが傷付く方が嫌だから。

 

敵の手がどこまで伸びているのかは……多分きっと、かなり深刻なところまで来ている。

ヒイラギは表面上いつも通りを装っているけれど、どこか表情が硬い。

アジトの中であってさえも、だ。

加えて、ボクに頭を下げてまで《ガーディアンズ》にアイテムを供与してほしいと頼んできた。

ただ事じゃない。

頼んできたのも、エイリアンによってゾンビ化した存在を広範囲で探知するアイテムだ。

範囲指定は……可能であればこの星全域。

余程切羽詰まっていると見える。

本来ならば、突っぱねているところだ。

例えヒイラギのお願いでも、社会貢献するような形では、絶対にボクのアイテムは出さない。

それでも、恥を忍んでと、土下座までされそうな勢いだった。

 

そこまで必死になられちゃ、ボクだって応えないわけにはいかない。

当然、対価は要求したけど。

ヒイラギにお願いされたら何でもすると思われたら癪だからね。

ヒイラギではなく、政府に支払いをさせた。

『次ヒイラギをダシに使ったら分かってんだろうな?』という文書も添えて。

 

そんな必死なヒイラギを、追い込むようなシチュエーションには持って行きたくない。

八年前のあの日を、もう一度来させるわけにはいかないのだ。

何度あの日が来ても何度だって同じ行動をすると確信しているけれど。

二度もあんな日が来るのは願い下げだ。

 

それに、ボクがアイテムを出すということは、一度試運転をするということだ。

誤作動を起こしたら大変だからね。

だから、嫌でも目にしたよ。

ラセオの現状を。

そりゃ何が何でもなんとかしたいって気持ちはわかるよ。

ボクだって流石に危機感を覚えた。

 

だからまあ、ヒイラギの負担は少ない方がいいのだ。

行動するなら今だろう。

ヒイラギはなんのかんのと忙しそうにしている。

落ち着いて分析する暇がない今しかない。

さっさとケリを付けよう。

 

最大限の武装をしたうえでアジトから出て、標的を呼び出す。

幸か不幸か、それは一人しかいなかった。

 

「よっす。まだ()()()()?」

「生きちゃいねえよ」

 

それに、ヒイラギには任せられない。

だって、絶対ショックを受ける。

そんなの嫌だから。

 

入学初日、ボクとヒイラギに噛みついたクソガキを呼び出して、ボクは問うた。

ソイツが、内通者だと確信したから。

けれども、この子も()()()()()()()()()()

 

「死にながら生きているとでもいうべきなのかな。それとも逆?いずれにせよ、キミが内通者だったとはね」

「んだよ。気付くの遅ぇじゃんか」

「先日の戦闘がきっかけでね」

 

入学初日のあの日、きっと彼はうまく体を動かせなかったのだろう。

ゾンビ化されて、色々といじられて。

 

「その様子を見るに、自我は大分残ってるのかな?」

「もうだいぶ怪しいけどな。気付いたら違うとこにいたなんてザラだ」

「気休めだけど、今のところ学園での被害者はキミだけだ。よく耐えたね」

「そりゃよかった。ちなみに、親父がラセオ担当の外交官だ。そっからどこまでやられてるかは分かんねえ。少なくとも俺はやられちまった」

「そう……はー、やだやだ。同年代をおちょくるだけで良いって言われたのにさ」

「ウソだろ絶対」

「うん。とはいえ、護衛対象がとっくにやられてた、ってのはショックだよ」

「気にすんなよ。どうしようもねえ事故だ」

 

そう、このクソガキも被害者だ。

多分、今もどこかで抗っているのだろう。

きっかけさえあれば、すぐに気付けるくらいには、痕跡を残していた。

だから様子を見て……それを確認してから動いたのだ。

 

「あーあ、《テリトリア》になんて言えばいいんだか……」

「悪ィな。直接言えりゃよかったんだが……ことここに至るまで何も言えなかった」

「いいさ。ボクの方こそ、初日の言葉は撤回するよ。キミはとっくにヒーローだった」

「慰めか?」

「いいや?これから頑張るキミへの激励さ」

 

でもボクは悪い子なので。

とても悪いヴィランだった人間なので。

 

「皆には内緒だよ?」

 

ペンを取り出し、虚空に描く。

きっとバレたら大目玉だけど……。

 

「キミだけでも救う。ヒーロー育成校の臨時講師として、ボクのできる最大限の規則違反だ。この先秘密を抱いて生きていける自信が無いのなら、目を瞑っていると良い」

「そうさせてもらうぜ。今までが夢だったことを期待してな」

 

全部全部、癪なのだ。

外様が良い気になりやがって。

 

「キミはここに再誕する。ちょっとだけオマケも付けてあげよう。頑張ったヒーローには、報いがないといけないからね」

「……ッ!!!」

「自我が吸い取られた瞬間暴れ出すとか安直過ぎない?それとも不完全な埋め込みだったのか、いずれにせよ……チェックメイトだ。《天の鎖》、起動」

 

その死体は貰っていく。

技術の解析に必要だからね。

はーい、納棺しようね~~。

あとでボコボコにしてやるからな。

 

「ほい、全て終わったさ。身体に違和感とかないかな?」

「……お前、今なにした?」

「聞いちゃっていいの~~?せっかく目を閉じたのにぃ~~?」

「……そうだな。ありがとう」

 

さて、用事終わり。

あとはヒイラギに気付かれないだけの単純で難しいお仕事だ。

 

「ヒイラギにはうまいこと誤魔化しといてね。それじゃ」

 

さぁさぁ、次々お仕事やっていこう。

ヒーローどものお膳立てをしてあげようじゃない。

学園の警備体制強化、カリキュラムの見直し、他講師との連携、疑惑ありの職員の総洗い。

他にもいろいろある。

やることはいっぱいだ、頑張るぞー!!

ヒイラギが気づく前に全て終わらせてやるさ……バレたら怖いしね。

 

色々全部怖いけど。

怖いからこそ動かなきゃいけない。

それに、それにだよ?

ボクは怒っているんだ。

 

「……ヒイラギに手ェ出して無事で済むと思うなよクソどもが……!!」

 

何に手を出したのか。

その対価はキッチリ払わせる。

 

 

 


 

 

 

エソラは基本、興味の向いたことにしかやる気を出さない。

必要に迫られればやるし、仕事であれば最低限以上の労力を割くことはある。

だが、それらのことで最大のパフォーマンスを発揮することは、基本的にない。

だから、エソラが常にやる気に満ちている状態というのは、異常事態であるとも言える。

気が付けば、あっちへこっちへ忙しそうに走り回っている。

学園では最近、その姿が癒しになっているとかいないとか。

苦しそうではないし、充実した表情であるため、放っておいてはいる。

ただ、どこかしらで探りを入れた方がいいだろう。

何かが弾けてないとも限らんしな……悪戯を仕掛けているのなら、叱らねばならん。

まあ、その心配はないだろうが。

 

きっかけは《テリトリア》からの連絡だ。

学園の内通者は、心配する必要がなくなったらしい。

そんなバカなことがあるものか。

急に内通者が鞍替えでもしたと?

私の知らないところで何かが起きているらしいことは分かった。

彼女は頑として理由を話さなかった。

『話せない』の一点張りだ。

やれやれ。

おそらくエソラのギアスだ。

私に黙って何をしているのやら。

内通者の件は二人で進める予定のはずだったんだがな?

 

そこから、エソラの動きを探れば出てくる出てくる。

というかどこに行ってもエソラの話が出てくる。

キミはこの学園を掌握する気か?

職員室では資料などがまとめられ。

寮では生徒や寮監との交流に励み。

各科では講師の相談に乗ったりし。

当然実技科目では完璧に授業をこなす。

キミは一体何を目指しているんだ。

 

まあ、臨時講師としての活動にいそしんでいるのなら、微笑ましい。

そう思って、数か月ほどが過ぎた。

 

何かがおかしいと気づいたのは、夏季休暇が終わろうかという時期だ。

相も変わらず精を出しているエソラは、何事も無いように見える。

だが、何かが違う。

何か、何かが異なって見えた。

その違和感の正体を、私は掴めずにいた。

既視感があったのだ。

どこかで見たことがあるような、しかし初めて見るような。

 

だから、直接聞くことにした。

はぐらかされようと、誤魔化されようと、逃すまいと思って。

 

「エソラ、何か隠していないか?」

「なんのこと?」

「いや、なんでもない。思い過ごしならな」

 

変化はない。

表情、目線、鼓動、呼吸、仕草。

その全てが正常であると理性は告げる。

だが、嘘を吐かれた。

直感的にそう思った。

 

あくまで直感だ。

証拠はない。

だから、信じたい。

けれども……。

 

「どうしたのさ、ヒイラギ」

「……本当に、隠し事は無いんだな?」

「ナイナイ。ホントにどうしたの?独占欲でも湧いちゃった?」

「そうかもしれんな」

 

どこか嘘くさい。

そんな印象が拭えない。

なぜだか、酷く痛みを覚えた。

 

「少し、夜風に当たって来る」

「そう?夕飯準備しとくね」

「ああ、すまんな」

 

一度、冷静になるべきだ。

恐らく今、私はかなり感情的になっている。

どこかで整理した方が良い。

 

「……《テリトリア》にでも愚痴るか」

 

そう思って携帯端末を取り出そうとしたところ。

ちょうど着信音が鳴り響く。

噂をすればなんとやら。

《テリトリア》からかかって来た。

なんとはなしに出る。

 

「ヒイラギだ。どうした」

『……状況報告ついでに、聞きたいことがあってな』

「何かあったのか?」

 

スッと身構える。

彼女が聞きたいことがあると言う時、大抵の場合において、何かしらの出来事が発生している。

今は状況が状況であるため、どうしても身構える。

 

『ここのところ、行方不明者が増えている。世界的に、だ。共通する項目として、直近でラセオに立ちよっている』

「続けてくれ」

『そして、エソラに供与されたレーダーで、ゾンビ化していると判明した者だ』

「……なるほどな。エソラが何かしてはいないかと?」

『疑いはある。だが、全てが全てではない。放置されている者もいる。聞いておいてくれないか?』

 

可能性としては最も疑いが濃厚だ。

私に聞いてくるのも頷ける。

エソラが何か隠している可能性が、更に高まった。

だが、間が悪い。

 

「……私が聞いても誤魔化されるだろうな」

『なんだと?』

「確証はない。ただ、先ほど嘘を吐かれた可能性がある」

『あのクソガキが、お前にか?』

「私の気のせいであればいいんだがな……どうにも疑念を拭い去れん」

『……可能性として、エソラの対処も考えなければならないわけか』

「ギリギリまで任せてほしい。恐らく私が解決すべきことだ」

『ゾンビ化していない民間にまで被害が及ぶ前にケリを付けろ。他ならないお前の手で、始末する羽目になるぞ』

「分かっている」

『ではな』

 

《テリトリア》との通話を経て、少し落ち着いた。

それでもやはり、疑念は拭い去れない。

もしこの疑念が真実であった場合。

何がなんでも嘘を貫き通すという意思が、エソラにあることになる。

裏で何が起きているのか、想像もつかない。

 

一つ一つ、思い返そう。

エソラの何に、既視感を覚えたのかを……。

いつも通りだ。

何もかもいつも通りなのに、何かが違った。

その何かを、明確に見つけることができれば、きっと答えはすぐそこだ。

 

夜風に当たって、考え込み……気付けば意外と時間が経っていた。

そろそろ戻るか。

そう思って来た道を戻り……ガチャリと音を立てて、エソラが出て来た。

 

「随分長かったね。そろそろ呼ぼうかと思ってたんだよ?」

「悪いな。考えることが増えすぎた」

「もう……無理はしないでよ?」

 

最後の一瞬だけ、エソラの嘘くささが消えた。

私を案ずる声だけは、嘘ではなかった。

同時に、元に戻っていく空気を感じ取り、理解した。

 

「……エソラ。キミは何に怒っているんだ?」

「……なんのこと?」

 

怒りだ。

幻楼院リンネを相手にした時にすら見せたことが無いような怒りが、エソラを支配している。

それを悟られまいと押し込めて、押し込めて……その結果が、この嘘だ。

 

「後で話そう。夕食が冷める」

「……そうだね」

 

怒りの矛先は私ではない。

それは確実だ。

であれば、その矛先は……。

いや、まさか。

エソラ、キミは……。

 

 

 

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・入学初日イキリクソガキ
本名:ケイン=カイルマン
入学時には既に自我ありゾンビにされてた子
初日からマーキングされるように敢えてイキリ散らし、エイリアンの制御下で痕跡を残すなどしていた


・エソラ
できごと思い返してたら地雷原しかなかったので怒りが静かに爆発してしまった。
でもどこかちょっとだけ客観できている自分がいて、こんなとこヒイラギに見られたくない気持ちがある。
怒りをうまく消化できない世界滅ぼせる系TS少女になりつつあり、悪い子街道まっしぐら。
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