TS転生ヴィランロリ、疲れ切ったヒーローを拾う 作:蓋然性生存戦略
アヤメから、その言葉は発せられた。
「ねえ、ママ。どうしてわたしたちにパパとおとうさんはいないの?」
「ぶっふぉ」
シオンとアヤメをもうけてから5年ほど。
とある休日の朝、モーニングルーティーンであるコーヒーを飲んでいた時のこと。
いつかは来ると思っていた。
思ったよりも早かっただけで。
けど、実際に言われると言葉に詰まる。
アレをナニしてナニしたなんて言えないしぃ……。
「けほ、けほ……どうしてそう思ったの?」
「なんとなく?みんなパパとかおとうさんがいるのに、わたしたちにはママとおかあさんしかいなかったから」
「うーん……」
まあ、当然の疑問だ。
不思議に思うのも致し方のないことだ。
「なんのおはなししてるの〜?」
ありゃりゃ、シオンも来ちゃったか。
今ヒイラギは配信中だからボクが対応するしかない。
「パパとお父さんがいないよねってはなし」
「たしかに!どうして?」
く、くぅ……やり辛え。
別に深い理由とかがあるわけもないし、純粋にアレしてお互い産んだとかそう言う話なんだけど。
夜の事情を話すのはちょっとなあ〜〜!
「特に理由はないよ。まあそうだね。ママはママであると同時にパパだし、おかあさんはおかあさんであると同時におとうさんなんだ……こんがらがると思うけど、そのうちわかると思うよ」
「え〜!」
「よくわかんないよ〜!」
「ふふふふ、悩みたまえ、若人よ」
「ママのイジワル〜」
「イジワルママめ〜」
よし、切り抜けた。
うちの子は賢いからね。
はぐらかしモードに入ったら察して引いてくれる。
とはいえまあ、あんまりはぐらかしたりはしたくないけども。
「そういえばママ」
「なにかな〜?」
「アルガルルつよくてたおせない。てつだって」
「もうアルガルルまで行ったの?すごいじゃん」
「アヤメといっしょに!ふたりだとやりやすかったんだあ!」
「一緒にやったのかあ、仲良しだね〜」
「「にへへ」」
っしゃ、ママの強いとこ見せちゃうぞ〜。
とはいってもやりすぎても良くない。
うちの子達の装備とかを見つつ……。
え?この装備でアルガルルまで行ったの?
嘘でしょ?こんな雑魚装備で?
…………やだ、うちの子天才〜〜!
それだけ立ち回りしっかりしてるってことじゃーん!
「シオン、アヤメ。装備って作ってる?」
「?よくわかんないけどなぐればたおせるから!」
「あたらなければどうということはない、なの!」
「よし、ちょっとまずは装備作ろうか」
「つくるとどうなるのー?」
「なんと〜〜!強くなる!」
「やったー!」
「今までのいろんなボスを倒そうね。ゴゴガギゴ装備とか強いかんね」
「そうびもいっぱいつくってアルガルルたおす〜!」
このほぼ初期装備でアルガルルまで行ってんのすげーな。
武器以外初期装備で上位ディアブ◯スとか上位リオ◯ウス倒してるようなもんだぞ。
できなかないけど5歳児が2人がかりとはいえ、普通できるか?
いやできない。
実際、立ち回りは洗練されている。
被弾しないことを前提として、生じた隙に最大限の攻撃を叩き込む。
徹底してそれを行なっているわけだから、まあ立ち回りが強い。
「2人とも強いじゃん」
「ママのそうびかっこいー!ぼくもほしい!」
「アヤメもー!」
「っしゃ、作りに行こうか!とはいっても、ママの装備めっちゃ強いやつから作ったからまだ先だけどね?」
「いつかいく」
「ごーごー!」
まあこの子達なら装備を整えるという概念があればいつか行けるだろう。
ママは応援しているゾ。
と言うわけでダイジェスト。
「っし」
「やったぁー!」
「ママがいればヨユーヨユー!」
「このままどんどんいこー!」
「いいよ、ママに任せんしゃい!」
「まさかラスボスまで行くとはね……」
「ラスボスだあ!」
「がんばる!」
「ママたすけて〜!」
「や、やられる〜!」
「うーん、ごめんムリ!」
「がーん!」
「はくじょーものー!」
「その代わり見ててね……歴戦スレイヤーの背中を……!」
「「(おめめキラキラ)」」
どう見てもミラ系列のアレだがミラではないラスボスを相手に、ボクはパイルバンカーを握る。
やれるか?
子供達と三人マルチ分の体力、ボクの残機も残りわずか。
幸い、時間はまだある。
バンエナがないのが苦しいが……。
「できらぁ!!」
子供達にかっこいいとこ見せるんだい!!
『てぇてぇ』
『ヒイラギさんこれ無言で回してますけど』
『静かにしろのジェスチャー、無断ですねわかります』
『つかあの装備でアルガルルまで行ってんの血筋だなあ』
『ママのやってることマネしただけだよ?と言われた時のエソラの顔よ』
『すごく気持ち悪い顔してた(直球』
『あの頃のクソガキも今や立派に母親になって……』
『姉と弟妹だと思うだろ?母子なんだ……』
『??????』
『よう、ヒイエソチャンネルは初めてか?とりあえず座れよ』
視聴者がどうしても、と言うから少しカメラを回してみた。
Slash&Roid6をやっているみたいだな。
エソラと出会ってからもう17年ほどか?
それだけ時間が経てば、シリーズも出ている。
6は確かハード合わせて家族全員分買っていた。
しかし驚いた。
どちらに似たのか。
ゲームは得意なようだ。
とはいえ、いろいろなことに挑戦してもらいたいものだ。
保育園からの便りを見る限り、運動神経もかなり良く、数の認識なども問題がないとか。
多くの才気に満ち溢れているが、それに胡座をかくか、努力するか。
いずれにせよ、将来が楽しみだ。
「しゃおらぁ!やったったぞ!」
「さすがママ!」
「やったぁ!」
「うごきはわかった、つぎはもっとうまくやる」
「ママみたいにつよくなる」
「嬉しいこと言ってくれるじゃないの〜うりうり〜」
「きゃ!にへへ」
「ママくるしいよお!にへへ」
『てぇてぇ』
『う。顔がいい』
『顔面の暴力やめてもろて』
『トートに行けば見れるんですか?』
『って思うじゃん。なぜか見れない』
『がっでむ』
さて、バレる前に退散するとしよう。
どうせアーカイブを見ればわかるだろうが。
配信部屋に戻り、カメラを定位置に戻す。
「とまあ、休日のエソラはあんな感じだ」
『正直なとこ言っていいすか』
『多分それ俺も思ってんだよなあ』
『俺もかもしれない』
『『『どうみても年の離れた姉弟妹』』』
「……それは私も思った」
『ヒイラギさんまでそう思っちゃったらアウトなのよ』
『エソラもオークニー家の娘だった……?』
『アレで25経産婦ってんだから信じられませんよ』
『それはヒイラギさんの方が……』
「ん?なんだ、開示請求か?」
『いえ、なんでもないです』
『すみませんごめんなさい』
『完全に俺らが悪かったです』
「まあなに、私もエソラも少々特殊だからな。それに、さすがの私も少し衰えを感じる」
『え!?全盛期を更新し続けているヒイラギさんが!?』
『衰えとかあったんだ……』
『てっきり人間辞めた何かかと』
「筋肉の育ち具合が悪くてな。食生活は変えてないし、筋トレも負荷がかかるように設定してるんだが……鍛えれば鍛えるほど筋肉がついた頃が懐かしい」
『それを衰えとは呼ばない』
『まだ衰えてねーから』
『成長限界に達しただけじゃねえの???』
『相変わらずムキムキじゃねーか』
「そうか?そういうものか。とりあえず、そろそろ配信は閉じる。午後は子供達を映画館に連れてく約束でな」
『っす、おつかれっす』
『ちなみになに見に行くんすか』
『ワンチャンチケットが同じかもしれない』
「大乱戦記だ」
『草』
『おかあさんアナタ当事者でしょ』
『メディアに言えないことも知ってる側じゃねーか』
『今なお伝説のヒーローだって自覚を持ってくれ』
「大衆からどう見えるのかを知れる機会だからな、二つ返事でOKを出した。エソラは微妙な顔をしてたがな」
『そりゃ実物知ってる奥様はそうでしょうよ』
『後方腕組み理解者面しても許される唯一の人間だし……』
『復帰はせーへんの?』
「しないし、するつもりもない。家族を守るので手一杯だ」
『ご馳走様〜!』
『はよ家族のとこ行けばーか』
『糖分濃度上がった、糖尿病になるわ』
「ふっ、ではな。次の配信で会おう」
・アルガルル
Slash&Roid新作の上位入門にありがちなリオ◯ウス的な存在。
場合によってはネギかもしれない。
シオンとアヤメはこいつをほぼ初期装備でしばこうとしてた。
逆に言うとここに至るまでほぼ初期装備でしばいてた。
5歳児のやることか?
・シオン=オークニー
オークニー家のお兄ちゃん。
存在しない記憶は溢れ出さないがイマジナリーフレンド(ガチ幽霊)に日常を侵食されている。
活発でいろんなことに興味を示し、見て学ぶことに長けている。
ママのプレイを見て覚えた技は多く、おかあさんは真似するだけ無駄だとすでに悟った。
見取り稽古の天才である。
保育園で既に顔が良くてモテているが、顔面偏差値の基準が母1、母2、幽霊、妹なのでどうにもそういった話にならない。
前途多難である。
・アヤメ=オークニー
オークニー家の第二子。
徹頭徹尾血の繋がりしかないが腹違い()。
比較的内気であまり他者と関わろうとしない人見知りだが、やって学ぶことに長けている。
おかあさんのプレイを真似て覚えたことは多く、ママのプレイは執念の賜物だとすでに悟った。
とりあえずやってなんとかなる天才。
保育園で既に顔が良くてモテているが以下略。
余談だが、兄共々最終セーフティネットリンカがいるのでイジメはすぐに告発されていなくなる。