TS転生ヴィランロリ、疲れ切ったヒーローを拾う   作:蓋然性生存戦略

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【『デナアビ楽しくて執筆が進んでいませんでした』というプラカードを下げている】

というわけではい、お待たせしました。
日本では流行らないだろうなとか思いながら同志を探す日々です。
そしてまたデナアビやります。
完凸ニフル夫人強過ぎ〜、どこでも過剰火力〜。


第十話:TS転生ロリババアの簡単リンネ攻略(簡単ではない)

「はーい、というわけで始まります、エソラちゃんによるリンネ簡単攻略です」

「いきなりお前は何を言っているんだ?」

 

リンネの《観測者(オブザーバー)》は、超怖いけど全然怖くありません。

何を言ってるか分からないと思うけど、あいつは見ようと思えばこの世全てを見ることができる、超怖い。

けど、あいつは全部を見ることはできませんので、全然怖くない。

 

「エソラ、ふざけていないで説明をしろ」

「はい」

 

というわけでね、調子を取り戻したので後方勤務担当としてやるべきことをやろうと思うわけですよ。

で、だ。

 

「リンネって別に何でもかんでも見えてるわけじゃないんだよね」

 

はい。

あの女あたかも『全部見えてますよ』みたいなツラしてるけど、実のところ全部見えているわけじゃない。

 

「というのは今までに色々と証明ができてる。ボク達のアジトは見つけられてないし、そもそもボクとリンカが逃げた時、全てが見えているなら追手を簡単に差し向けることができたはずだ。つまり、アイツの眼はそこまで見えているわけじゃない」

「それは道理だが」

「つまり、アイツの眼には条件があり、その条件を満たせなければアイツは見ることができない。事実として、エイリアンたちの襲来は見通していなかったと考えられる以上、このアルスガル全てを見通せるとしても、宇宙までは届かないことが分かる。また、ボクのアジトの内部まで見通せていないが、異世界の観測を可能としていた以上、空間的連続性の無い個所を見るには、相応の条件が必要であることも分かる」

「結論を言え」

 

「《タルタロス》を改造して対リンネ兵器として起動する」

 

「「!?」」

 

そう。

奴は完全なる未知に対して観測できるわけではない。

であれば、確実に可能性があるのは《タルタロス》、つまりアジトの防衛機構だ。

 

「《タルタロス》は、そもそも幻楼院を迎え撃つために用意した防衛機構だ。万が一の時のためにと用意して、結局出番がなかった骨董品だけど、その能力はボクが作ってきたイレギュラーオブジェクトの中でもトップと言っていい。アイギスだろうがぶち抜く自信がある」

「だがエソラ、それはアジトの中身を多少なりとも晒すということでは?」

「いいや?空間的連続性の無い箇所を無条件では見れないという特性を利用する」

「……《タルタロス》によって生み出された現象『だけ』を、この地上に抽出するということか」

「そういうこと。さすが、理解が早くて助かるよ、《テリトリア》。ボクが《タルタロス》による殲滅攻撃を実行。その後にヒイラギたちが突撃。シンプルで良いでしょ?」

「シンプル過ぎて不安になるが」

「あの女相手にあーだこーだと細かいことを考えても仕方がないだろう。見抜かれて終わりだ。だったらシンプルに圧し潰す方が良い。戦力としては私がいれば過剰なくらいだ」

「お前の自信はどこから来るんだ」

「多分本当に人間をやめてしまってな」

「もうやだこいつら」

 

はい。

というわけで《タルタロス》を急速改造していきま……した。

やると心の中で思ったのならば、その時すでに行動を終えているんだッ!!

 

「いつでもやれる。《テリトリア》、合図ちょうだい」

「……結局、お前は動くんだな」

「前には出ないさ。最大火力を叩き込むだけだよ」

「はぁぁぁぁぁ……もう良い、やれ」

「りょっかー☆」

 

というわけでぇ~~、ポチッとな!

 

『《プロトコル・テューポーン》実行開始。《タイフーンブラスター》、装填完了まで5、4、3、2、1……完了』

「突撃部隊の準備はOK?」

「ああ」

「発射ァ!!」

『《タイフーンブラスター》、発射』

 

さらば旧ラセオ。

嵐に飲まれて消えるが良い……。

 

「ゲート開放まで10秒。同時に突撃を開始。グッドラック」

「ああ」

 

無数のリンネがいる場所を、衛星軌道上から砲撃。

可能な限り被害は出ないようにしたが、まあ誤差だろう。

このレベルの大規模破壊を見せるのは初めてだが……まあ、致し方あるまい。

こうでもしないと今のリンネは仕留めきれない。

追加のナノマシン探査により、現在稼働しているリンネ、及びスペアは二桁前半まで減少していることは分かった。

居場所はリアルタイムで端末に表示。

《神話武装》に対応できるヒーローのみで構成された突撃部隊が、既に攻撃を開始している。

突撃部隊にはボク謹製の《魔女の遺産》対策アイテムも持たせた。

間違いなく王手だ。

 

「(ドヤ)」

「見せびらかすように大規模破壊攻撃をしおって。後々苦しいのはお前だぞ、エソラ」

「分かってるよ。()()ももう歳だしね。ま、そこは自分たちの課題だね」

「分かっているなら良い。それで、戦況は?」

「流石にリンネは手強いね。ま、このままいけば問題はないでしょう!ただ、懸念点が一つ」

「なんだ」

「《非業の天命》の思念体がいない。《非業の天命》自体はまだ健在だから、温存でもしているのかな?」

 

怖いねえ……。

だがしかし。

今のヒイラギにボコボコにされた奴が今更出てきてどうなるというのか。

何も出来やしないさ。

 

「勝ちは揺るがない。持ち直せばこっちのモンだ。ボコボコにしちゃる」

「油断はするなよ」

「もちろん。捕縛を考えないで殺すつもりで臨んでいる」

「……それもやむなしか」

 

《テリトリア》も致し方なしと判断するその所業。

幻楼院リンネ、やはり存在してはいけない生き物だ……。

 

さ、て。

如何に群体として進化したといえど、最後の一匹になっては意味があるまい。

ここから逃がすようなヘマはしない。

確実にここで仕留める。

 

レーダーに映る最後の一匹。

咄嗟にシェルターにでも隠れたのか。

そこには、《非業の天命》も存在する。

 

「《タルタロス》。指定座標を《タイフーンブラスター》の収束モードにて砲撃。近隣ヒーローには1㎞以上離れるよう通達」

 

送信は恙無く終わった。

これで詰みだ。

これで、ボクたちとあの女の因縁も終わる。

 

『やればできるじゃない』

 

と、思ったのだが。

あの女、通信をジャックする余裕があるとはな。

 

「チッ、この期に及んで回線をジャックしやがって。何の用だ」

『別に?最後にお話くらい、良いじゃないの』

「辞世の句でも詠むか?それくらいは付き合ってやるよ」

『悪くないわね。だって、私はこれから《非業の天命》を使うのだもの。つまり、そういうこと』

 

なるほどな。

流石にこいつも手詰まりか。

《非業の天命》。

《魔女の遺産》としてのその能力は、寿命を代償に強大な肉体を手にするというもの。

破れかぶれならば悪くは無かろう。

相手がヒイラギだということを考慮しなければ、だが。

 

「それでヒイラギに勝てるわけないだろ」

『そりゃね。人でありながら人をやめて、この世にありながらこの世を逸脱した存在。そんなもの、私の眼を以てしたって見えやしないわ。そんな矛盾した存在、何をどうしたって正しく見れるわけが無いもの』

「お前にしちゃ殊勝な物言いだな」

『流石に詰みだもの。この私をして、打開策が思い浮かばない。予備プランまで念入りに潰されては流石にお手上げだわ。《非業の天命》も、ヒイラギにやられた傷が深すぎて動けないようだし。ま、私の限界という奴ね。如何に私が天才と言えど、異能の差を埋めるには限りがある。全く、私が欲しかったわ、その異能』

「くれてやるモノかよ」

 

間違ってもこの女に《例外認定》を渡してはいけない。

この世の中がめちゃくちゃになることは間違いないのだから。

 

『でしょうね。だからこそ、アナタが呼ばれたのだから』

「……?」

『こっちの話よ』

 

だから、ボクが呼ばれた?

どういう意味だ?

 

『まあ、精々私を踏み越えて幸せになりなさいな。楽しかったわよ、アナタたちとのお遊びは』

「くたばれクソ女。言われないでもボク達は幸せだバーカ」

『ふふ……《鮮血の恐怖》は使わないでおいてあげるわ。それじゃあ、サヨナラ』

「……お前がいなきゃボクもリンカも産まれなかった。そこだけは感謝してやる。あばよ、クソババア」

 

通信は、それっきり応答がなくなった。

どうぞというわけだ。

遠慮なくぶっ放す。

目標、未だ健在。

カメラを回して確認。

……なんだあれは。

 

「ヒイラギ!!」

『わかった!!』

 

見て分かった。

アレはヒイラギ以外に対処できない。

《非業の天命》、その代価故に軽視していたが……アレはヤバイ。

 

「某月世界線に足突っ込んだか?アルスガルの人間と言えど、そう簡単に太刀打ちできる存在じゃなくなってるんだけど」

 

紫電を纏い、髪を波立たせて立つリンネの姿は、一目で異常とわかるモノだった。

ヒイラギ以外、太刀打ちできるとは思えないほどの。

 

「《テリトリア》、すぐに突撃部隊を下がらせて。アレはヤバイ、無理だ。《リーパー》でも防戦で手いっぱいになる」

「そこまでか」

「むしろアレ相手に防戦になる《リーパー》がおかしいんだけど。ヒイラギが相手する、はやく下がらせて」

「全部隊、一時退却!」

 

うわやっぱりか。

《リーパー》より速いな、アレ。

技術もへったくれもないからヒイラギにボコられてるけど。

黒王vs狂戦士みたいになってら。

もちろん、黒王側はヒイラギだけど。

 

「……すさまじいな」

「ボクもここまでとは思わなかった。目で追うのがやっとだ」

「私はもう追うことすら敵わんよ。ヒイラギの優勢で合っているか?」

「うん。《非業の天命》も慌てて出てきたけど、まとめて相手して有利取ってる。大丈夫そうだ」

 

さて、音声でも拾おうかな。

 

『こ、このバケモノ……!!』

『お前が言うセリフか?』

『ふ、ふ……アナタも、十分バケモノではなくて?』

『さてな。人も怪物と何ら変わらん。その境界線は、他者が引いたものに過ぎん』

 

あの遺産にバケモノ呼ばわりされるの可哀想かも。

念入りに壊したろ。

 

『エソラ、どうする』

「始末するよ。今からそっちに行く」

『……そうだな』

 

《テリトリア》の方を見て、目線で会話する。

彼女は肩を竦めて、行ってこいと促した。

ありがとね。

 

ゲートを潜り、現地へと足を差し向けた。

 

「やっはろー。見届けに来たよ、負け犬ども」

 

ゲートの先には、倒れている主犯2人。

けっ、ザマァないぜ。

 

「あら。私的には大勝利よ?最後に楽しめたもの」

『くっそ、なんか知らんけど持ち直してるし。あーあ、私の世界滅亡計画もここまでか』

「オラ、とっととその首出しな」

『キャスちゃんに一言だけお願いしても良い?』

「構わんよ、その場で大声で言うならな」

『ちぇ……』

 

往生際悪いな、このゴースト。

はよう壊れなさい。

 

『気が向いたらやっちゃって。それだけ』

「はいはい。全く往生際が悪いことで。それじゃ……《タイフーンブラスター》、最小指定破壊出力」

『地獄で会おうぜ!』

「Hasta la vistaってね」

 

《非業の天命》、破壊完了。

汚染チェック。

オールクリア。

 

「はいこれ、《鮮血の恐怖》よ……はぁ、疲れたわ」

「お前に疲れたって概念あるんだな」

「私も驚きだ」

「人をなんだと思っているのよ。一応人間なのよ、私も」

 

残りの寿命はもうわずか。

《非業の天命》の代償を受けてなお、余裕そうな顔を見せるリンネは、40年にも渡って決着をつけられなかった、因縁の相手としての風格を保っている。

とりあえず《鮮血の恐怖》は破壊しておく。

もう一回チェック。

問題なし。

 

「楽しかったわ。次がないのが悔しいくらいにね」

「次があってたまるか」

「ふふ……世界は廻るのよ。繰り返し、そしてまた、今日になる」

「どういう意味だ」

「理解する必要はないわ。無意味だもの。魔女の残した遺産を、正しく壊してみなさいな。その時にやっと、意味が見出せるというものよ」

 

こいつは……一体何を見た?

 

「それじゃ、いずれ……また、あい……ましょう……」

 

謎を残したまま、リンネは逝った。

今度こそ、この世から、完全に消えたのだと、確信した。

 

「エソラ。帰ろう」

「そだね。帰ろう」

 

帰ろう。

残る遺産は一つ。

焦ることはない。

一度腰を落ち着けて、しっかりと休息を取るべきだ。

 

「さて、色々と、考えないとね」

 

寿命のこと、これからのこと。

最後に残る、遺産との決着。

リンネの世迷言は気にしなくて良いだろう。

あの女が無意味という言葉を吐いたのならば、それは真なのだ。

 

退屈に支配された許されざる哀れな咎人。

それが幻楼院リンネであり、それが無意味と断じたのならば、かけらも意味を見出せず退屈だったということの証左なのだから。

 

「さぁて!後始末が大変だ!微力ながら、《テリトリア》を手伝わないとね!」

「そうだな。キミがやらかした分も含めてな」

「うぐっ……そっすね……!」

 

今は今を見よう。

明日は明日見ればいいのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『しかし、()()()()()()()には狙いがあった……ってな」




いつだってエソラがその気になれば、リンネの始末は簡単だった。
被害への配慮という良心が、いつだってブレーキになっていただけに過ぎない。

だが今回は違う!(ギュッ

既に滅びた旧ラセオ、居るのは犯罪者かリンネにされた犯罪者だけ。
遠慮は不要、大規模破壊を行使するのに躊躇は無かった。


・《プロトコル・テューポーン》
《タイフーンブラスター》を発射するにあたり、制定されたプロトコル。
多重のロックが掛かっており、民間への被害が少しでも出る、もしくはアルスガルの危機でなければ発射できないようになっている。
余談だが、このプロトコルとは別に、《プロトコル・エキドナ》が存在する。

・《タイフーンブラスター》
嵐と炎によって地上を焼き尽くす衛星軌道砲撃。
エソラが持つ最大最強の火力と言っても差し支えない。
アイギスを以てして防御は不可能であり、その攻撃範囲は旧ラセオ全域を覆って有り余る。
リンネの眼の効果範囲を推定した結果として衛星軌道砲撃になっただけであり、ぶっちゃけエソラの手元からでもぶっ放せる。
広域殲滅モードと収束砲撃モード、最小指定破壊出力モードが存在し、収束砲撃モードは誰が相手でも倒せるとエソラは自負している。

しかし、どっかの誰かは「ギリ斬れんこともないか」と考えていた。


・ギャラクティック猫
キャスパリーグ。
全ての猫の原点に立つオリジンオブキャット。
遍く猫の始発点。
あくまで数多く持つ名前の一つがキャスパリーグなのであって、キャスパリーグ本猫ではない。
真名はまた別。
軍門に降った味方ヅラして何かを企んでいた……!
あと猫の最後のセリフのカッコは誤字ではありません。
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