TS転生ヴィランロリ、疲れ切ったヒーローを拾う   作:蓋然性生存戦略

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第七話:TS転生ヴィランロリと最強のヒーローの反撃

まず、最初に。

私の胃に穴が開いたことは確実だった。

先程から腹部が痛みを訴えている。

後で、などと言っている場合ではなかった。

どうしてこう、私は今回の件で常に後手に回るのか。

私が何かしたか?

《ブレイディア》のことに気付けなかったこと以外は至極まじめにやってきたつもりなのだが。

 

『現在、各地で戦闘が―――――』

『奇跡的なことに、建造物以外の被害は皆無とのこと―――――』

『各地での証言では、成人女性と小学生ほどの子供が―――――』

 

どうしてっ!!あの二人がッ!!暴れているんだッ!!!

死者が出なければいいというものではないぞ小娘ッ!!!

 

「先輩。自分の勘違いじゃなければ、あれって《ブレイディア》先輩の異能じゃ……」

「良いか、《フィクシオン》。《ブレイディア》は未だ行方不明で、今現在ニュースに映っている人影は無関係だ」

「先輩、無理がありません?明らかに顔色悪いですよ」

「うるさい、私は今自分の間の悪さと不甲斐無さと無能さに涙が出そうなんだ」

「……先輩、一回寝ましょう。もう三日くらい寝ないで処理に追われてたじゃないですか。胃薬と睡眠薬を飲んで一回寝ましょう?ね?」

「今、私まで寝たら貴様に全ての仕事が降りかかるが、それでも構わないな?」

「すみません、ちょっと勘弁してください」

「胃薬だけ貰おう……」

 

冷静になって考えてみよう。

あの二人が暴れている場所は、捕まえ損ねた残党が逃げ込んだと思われる場所だ。

となると、目的は絞れる。

 

「《フィクシオン》。留置所に対異能拘束具をありったけ用意するよう要請しろ。これから山ほどミノムシになった残党が来るはずだ」

「やっぱりあの人影って」

「無関係だ」

「無理がありますって」

「それでも無関係なんだッ……」

「先輩、やっぱり一時間くらい寝てください。辛そうです」

 

ピロロロロロロロ!

 

ふと、携帯端末が鳴る。

通話の着信音だ。

非常に嫌な予感がする。

出たくない。

出たくないが……ここで出ないともっと事態が酷くなる気がする。

 

「先輩、その……気の毒ですけど、出てください」

「……クソッタレッ!!!」

 

《フィクシオン》がそう促すということはそういうことなんだろうなぁ!!

この電話に出た方が因果が良くなるんだろうなあ!!

苛立ちながら電話に出る。

 

『Hey、ストーカーヒーロー《テリトリア》。これからご機嫌なプレゼントを《ガーディアンズ》本部前に積み上げる予定なんだけど、留置所の縄足りてる?ついでに前にした命令全部撤回するね』

 

案の定、小娘だ。

相変わらず腹が立つ。

 

「先ほど手配を要請したところだこのクソガキッ!!これは一体どういうことだ、説明しろ、()()()()()()ッ!!」

「え、幻楼院?」

『ごめんね~。ボクとしても本当は大事になる前に自殺するつもりだったんだけど。おねーさんが許してくれなくてさ』

「は?」

『力尽くで倒されてキズモノにされちゃった、キャ!そこまでされたら、もうおねーさんの要望を通すしか無いじゃない?』

「は……?」

 

脳が、理解を拒んでいる。

それはいったいどういうことだ?

 

『エソラ、言い方に悪意があるぞ』

『事実じゃん。ボクは全力で抵抗したのに、おねーさんったらあんなに激しく……』

「《ブレイディア》」

『待て、誤解だ』

「法廷で会おう」

『事情を説明させ【ブツ】』

 

よし、目が覚めた。

 

「あの、先輩?」

「なに、サッパリ目が覚めた……ようは幻楼院とクソガキとロリコンを捕まえればいいんだろう?」

「先輩、すみません、失礼します。先輩には休息が必要です」

 

ぐぇ……。

 

 

 


 

 

 

ボクの状況を一言で表すと、生殺しだ。

おねーさんがボクを肌身離さず置いてくる。

ボクの中身は思春期男子なんだ、やめて欲しい。

特にその思ったよりもデッカイ胸にボクの頭を埋めるのはやめて欲しい。

 

「そろそろ離して。逃げないって言ってるじゃん」

「ダメだ」

「もう消えるなんて言わないから。ボクの負けだから」

「……」

「渋々って感じの表情やめてね。ほぼ無表情だけど」

 

その、なんというか。

好きにしなよって言ったら、大体抱き枕にされるようになった。

軽く軟禁状態。

なに?病んだ?

 

「おねーさん様子おかしいよ」

「キミが負けたくらいで簡単に意思を曲げるとは思っていないからだが?」

「ちょっとボクの覚悟って奴を過大評価してない?意志薄弱精神よわよわヒューマンだよボクは」

「本当に意思が弱い人間なら、今頃キミは世の中をメチャクチャにしてる」

「ホンマか????」

 

つまりアレだ。

ある意味信頼されてるわけか。

まだ自殺しようとしてると思われてるわけだ。

んなわけあるかボケ。

ボクだって率先して死にたいわけじゃないが?

力尽くでNOと言われれば止める程度の意思しかないが?

はああああああ~~……(クソデカ溜息。

 

「……」

「そんな眼で見ないでよ。ホントにもう自殺とか考えてないから。それとも、信じてくれない?」

「……そう言われたら信じるしか無いじゃないか」

 

必殺『信じてくれないんだ……』を発動。

使いたくはなかったけど仕方がない。

 

「一緒にゲームしよ?ほら、まだ終わってないやつあったじゃん」

「……そうだな」

 

ボクがいつも通りゲームに誘うと、おねーさんはようやく笑った。

コントローラーを渡し、二人で並んでモニターの前に座る。

モニターとコンソールは別々だ。

おねーさんの分の機材も揃えたのだ。

データ共用して良いことはないからね。

で、遊ぶのはモン〇ンみたいなゲーム。

結構シリーズ続いてるんだよね、これ。

ボクは勿論、由緒正しきゲーマーなのでちゃんと購入しました。

 

「おねーさん何使う?」

「……最近はパイルバンカーばかり使ってたからな、たまには高周波ブレードを使うか」

「じゃあボクはレールカノン持って行こうかな」

「また一撃火力特化か?」

「今日は連射型」

 

カチカチと、慣れた手つきで出撃の準備を始める。

今日狩るのは、ストーリー上のラスボス。

異次元から呼び出されてしまった機械生命体だとかなんとか……。

 

「時にエソラ」

「なに、おねーさん。あ、ブレス来る」

「キミはどこから来たんだ?陣敷いておいたぞ」

「お、助かる~。で、なんで?」

「呼ばれたのならば、どこかにいたのかと思ってな。非存在達にも居場所はあったりするのか?」

「さぁ?ボクは色々と特殊例な気もするんだけど。呼ばれる直前の記憶は曖昧だし」

「そうか」

 

カチカチ、カチカチ。

雑談を交わしながら、ラスボスを追い詰めていく。

 

「とはいえ、前世と呼ぶべき記憶があるのは確かだよ。ほい、弱点露出」

「キミの年不相応な振舞いはそれが原因か。弱点は破壊しておこう」

「まあそんな感じ。呼ばれた時点では17年くらい生きた記憶があったかな。ちなみに前世は男ね。とーぜん、女の子が好き」

「……今思考が止まりかけたぞ。以前は男だったと?」

「そうだよ。おかげでこっちの心臓はいつ破裂するか分かったもんじゃない。おねーさん無防備なんだもの」

「そうか、それで頑なに一緒に風呂に入らなかったのか」

「一緒にお風呂とか犯罪でしょ」

「自称ヴィランがそれを言うのか。キミ、やっぱりなんだかんだで意志が強いな」

「えっちなのはだめ、しけい」

「死刑までは行かないが?!」

 

順調に、一つずつステップを進める。

巨大な機械生命体の機動力を奪い、とうとう動力部へと突入する。

 

「ともかくさ。おねーさんはボクの好みのドストライクゾーンでさ」

「それで?」

「恋愛対象としておねーさんが好きなわけですよ。ぶっちゃけちゃえば、えっちな目で見てるわけで」

「……」

「そんな相手にさ、力尽くでボコられて生きろって言われたらさ、流石に死のうとは思わないって」

「…………そうか」

「なに、その間」

「いや、その、な。私が好きなのか?」

「好きだけど?」

「……キミが結婚できるようになるころには、私は恐らく三十を超えているのだが?」

「気にするのそこなんだ」

「キミは気にしないのか?」

「別に子供欲しいわけじゃないし、気にしないよ」

「欲しくなったらどうするんだ」

「ボクが産めばいいだけの話じゃん」

「そういう問題か?性自認は男じゃないのか?」

「ボクはそれでも良いかなって。というか、おねーさんはどうなのさ。ボクとか恋愛対象として見れないでしょ」

「まあそれはそうなんだが。子供にしか見えないからな。親子ほどの年の差はないが、それでも良くて妹だろう」

「事実だけど腹立つ~~」

 

ギミックを踏破して、動力炉を破壊。

脱出ミッションが発生して、急いで走る。

 

「あ~あ、失恋かあ」

「キミはまだ若い。出会いなどいくらでもあるだろうに」

「さぁ、それはどうだろうねえ。おねーさんほど強烈な人は現れない気はするけど」

「……今後の人類に期待するか」

「無責任~~~」

「キミなぁ」

 

危うくゲームオーバーになりかけたけど、何とかクリア。

いやー、いい作品だった。

やり込み要素までやってトロコンしたいね。

 

「で、おねーさんこの後どうするの?」

「幻楼院の殲滅に向かうが」

「マジ?引き籠ってても良くない?」

「キミが安心して暮らせないのだろう?やるしか無いじゃないか」

「スゥゥゥゥゥ……おねーさん本当にいつか絶対泣かす」

「私は今、キミになにかしたか……?」

「ボクに気合を入れたね。出撃する前にちょっと待ってよ。呼ぶべきもの呼ぶからさ」

 

だから、明日を創らなきゃね。

 

 

 


 

 

 

「あはは、おっかし。《テリトリア》って面白いね」

「勘弁してくれ、エソラ」

 

あれから。

エソラは何かが吹っ切れたのか、今まで呼び出さなかった類の道具を呼び出し始めた。

重犯罪グッズと言っても差し支えないものだ。

そして、自分も殲滅に加わると言い始め、今に至る。

 

捕まえた大半の幻楼院を《ガーディアンズ》本部前に投げ込む前に連絡をしようということで一本電話を入れたのだが、エソラは《テリトリア》を盛大に揶揄った。

確かに事実しか言っていないが、言い方に悪意がある。

明日、私は彼女に逮捕されるのではないだろうか。

弁護士は呼べるのだろうな。

 

「んで、残りはどこだっけ」

 

けたけたとひとしきり笑ってから、エソラは真剣な表情で残りを聞いてくる。

私は端末を確認し、まだ捉えていない残党の居場所を探す。

 

「旧オートシティ郊外の廃工場地帯と表示されているが」

「あ?旧オート郊外?……ああ、あそこか~~」

 

場所を確認すると、苦い顔をしながら溜息を吐くエソラ。

まるで思い出したくない記憶でもあるかのような口ぶりだ。

 

「心当たりがあるのか?」

「実験施設だよ。ボクとリンカが逃げ出した場所」

「……」

 

拳に、力が入る。

エソラも同じ気持ち……いやそれ以上なのか、彼女が呼び出した武具から威圧感が漏れ出す。

 

「脱出に必要最低限な部分しか壊してないから復旧されてたか。面倒くさいな」

「丸ごと破壊するか?」

「どうしようね。被検体、もとい被害者がいたら困ったもんだけど。流石にあいつらの研究全部を把握してるわけないし……」

 

きっと、手っ取り早いのは建造物丸ごと消し飛ばすことだ。

誰かを殺めるという事実から眼を逸らして、無かったことにすればいい。

だが……。

 

「……」

「手が震えているぞ」

「うるさいやい」

 

できないだろうな。

エソラには、そんな風に誰かを殺める覚悟はない。

 

「私だけで決着を付けて来ても良い」

「それはダメ。絶対」

「我儘だな」

「ボクの最後の意地だぃ。おねーさんに任せっきりで全部終わってました、なんて」

 

だからこそ。

本当に、キミは。

 

「ダサすぎるでしょ」

 

ヴィランに向いてない。

 

「我儘な()を持つと大変だ。」

「はぁ~~???妹扱いやめてくれますぅ~~???」

「少なくとも、妹扱いをやめるには頭の位置が低すぎるな」

「ええい、頭を撫でるな!!」

 

手を弾かれてしまった。

仕方がない、頭を撫でるのはやめておこう。

 

「ほら行くぞ、()()()。敵は残りわずかだ」

「はいはい。今は姉妹で我慢してあげる。()()()()()()

 

 

 


 

 

 

旧オートシティ郊外。

廃工場跡に隠された研究施設。

そこに、エソラと《ブレイディア》の二人が踏み込んでいく。

 

「相変わらず陰気な場所。情報端末探してくれない?ハッキング仕掛ける」

「分かった。周囲警戒は怠るなよ」

「承知」

 

隠された扉を蹴り飛ばし、まずやることはハッキング。

エソラが少し自重をやめたため、犯罪レベルが数段上がった結果である。

 

「たぶん見つけたぞ」

「どれどれ……ほうほう、かなりご機嫌な奴だね。お任せあれ」

 

《ブレイディア》が端末を見つけると、エソラは嬉々として道具を取り出す。

それはUSBメモリのようなアイテムで、一見するとただの記憶保存媒体だが……。

 

「これがあればラジア〇タだろうがシビ〇ラだろうがカーデ〇ナルだろうがイチコロよ」

「具体的には?」

「接続さえできればこの世界の国家機密全部抜いてやるレベル」

「用が済んだら封印だ、良いな?」

「分かってる」

 

世界がひっくり返るハッキングアイテムだった。

ぜひとも、用が済んだら封印どころか消して欲しい。

 

「うっひょー、大当たりだ。中枢部以外の情報全部抜けたよ、おねーちゃん」

「中枢部は抜けなかったか」

「流石にクローズしてるでしょ。トーシローでもない限り一括管理なんかしないよ」

 

中枢部以外の情報を全て抜き取り、持ってきた携帯端末に収める。

エソラがサラッと中身を確認したところ、特に重要度が高いわけではないとされた研究の数々が出てくる。

 

「……吐き気を催す邪悪って奴?これで中枢部じゃないってんだから嫌になるね」

「研究成果ごと消しておくか?」

「……うん。もう、資料ごと消し去っちゃおう」

 

当然のように、非合法な実験の数々が並んでいる。

幻楼院という、長らく巣食っている病巣は、余りにも邪悪だった。

二人は、丁寧にその痕跡を消し炭にしていく。

データも、成果も。

失敗作も。

 

「……」

「休むか?」

「ううん、進もう。終わらせなくちゃ」

 

エソラの顔色は悪い。

《ブレイディア》は気遣うように問いかけるが、エソラは歩みを止めなかった。

 

ハッキングによって、中枢部以外の全区画は掌握済み。

トラップなども発動することはなく、順調に中枢部前に辿り着く。

 

「流石に厳重な扉で閉じられているわけですが……さてさてさーて、端末ちゃんはどこかな~~」

「壊した方が早くないか?」

「一応形は残しておいた方が後から《テリトリア》たちが楽になるから」

「一理あるな」

「お、あるじゃーん。って端子が無い!!ふざけやがって……」

 

エソラは端末を見つけ、しかし端子が無いことに憤る。

無い方が自然ではあることには言及してはいけない。

 

「まあなくても関係ないね。ブスリ」

「なくても関係ないのか……」

 

なお、無くても挿せる。

接触さえすればいいのだ。

 

「んー、入出記録と許可だけだな。クリアランス満たしてる研究員のデータは手に入ったけど……肝心の中枢システムにアクセスできないや」

「開けることはできるか?」

「モチ。これからはフルオープンだよ」

 

扉はすぐに陥落し、その役目を果たすことは無かった。

 

「ん~、システムにアクセスできそうな端末が無い。最悪回線に接続できればハッキングは終わるんだけど……」

「ここからは相手の妨害も考慮した方が良いか」

「ちょっと待ってね……、コード見つけた。……うわ、だるっ」

「どうした」

「ここ、ブロックごとにシステムが切り離されてる」

 

中枢部に足を踏み入れ、やはり最初にすることはハッキング。

どうにかしてアクセスすると、区画ごとにスタンドアロンなシステムが構築されていることが判明。

正攻法では、チマチマ攻略するしかないことが分かった。

 

「……エソラ」

「ごー、おねーちゃん。すべて破壊してしまえ」

「やはりか……」

 

無論、邪道で対応する。

《ブレイディア》が剣を振り、閉じられた隔壁をすべて破壊して行く。

 

「実験体はボクが処理しておくね」

「無理はするな」

「ボクがやるべきさ。幻楼院リンカの名代としてね」

「……そうか」

 

閉じ込められた実験体。

敢えて放り出された実験体。

既に肉塊と成り果てている実験体。

全て、全て、人として生きていくことは不可能なまでに壊された、被害者たち。

 

「《ケラウノス》。死を自覚させることなく、焼き尽くせ」

 

雷を纏って、エソラは歩く。

右手に握るのは、神話の武装。

世界を灼く雷霆。

そのレプリカ。

雷鳴が轟いて、哀れな命たちを終わらせていく。

 

「……これを見るとさ、思うんだ。せめて、リンカだけは人らしく死ねたんだって」

「エソラ」

「言わないで。全部終わってから、お願い」

 

エソラの心を、ガリガリと削りながら。

最奥部まで突き進んでいく。

 

「ここで最後だ。エソラ、準備は良いな?」

「……任せてよ。チェックも終わってる。行こう」

 

世界中の誰もを置き去りにして、二人は最奥の扉を潜った。

そこに、最後の幻楼院がいる。

 

「よく来たね、リンカ。それに《ブレイディア》。まさかセキュリティの数々をこうも容易く突破されるとは思わなかったけれど」

「笑わせないでよね、幻楼院リンネ。アレでセキュリティのつもり?」

「アナタの性能データはちゃんと取れてないのよ。そもそもが未知数の研究だったしね」

「あっそ。とりあえず、お前にはブタ箱で暮らしてもらうけど」

 

エソラを成長させたら、そのままその姿になりそうな存在。

そんな人物が、最奥にはいた。

 

「お母さんとは呼んでくれないのね」

「誰が呼ぶか。実の子を実験台にしたやつなんて親と呼べるかよ」

 

幻楼院リンネ。

幻楼院リンカの、実の母親。

彼女こそが、今回の黒幕である。

 

「あらあら……《ブレイディア》を味方につけたからと強気になっているの?こうして対面した以上、逆らうことなんてできないのに。『《ブレイディア》を殺しなさい』」

 

故に。

リンネはセーフティを設けていた。

もし、自らの創造物が、逆らうようなことがあった場合。

即座に盤面を巻き返せるように。

 

しかし。

 

「くっ……」

「あら、まだ抵抗するの?」

「くはっ」

「?」

「アーーーーッハッハッハッハッハ!!」

「!?」

 

エソラは、幻楼院リンカではない。

彼女の、代替品として例外的に呼ばれた存在である。

リンカは、制御装置のことなど、欠片も知らない。

故に、エソラにそのセーフティは存在しない。

 

「まだ抵抗できると思っていた、お前の姿はお笑いだったぜ!!」

「なぜ……!?なぜ制御装置が作動しない!!」

「んなもん最初からねーからだよバァァァァァァカ!!」

 

怒りと嘆きを通り越して、エソラはハジけた。

リンカに、そんなものが埋め込まれていたという事実に。

 

「所詮クズはクズってこったなァ!!神話武装(ミシックウェポン)、フルファイア!!死に晒せェ!!」

 

こうして、最後の戦いの火蓋は切られた。

特大の地雷原を、爆発させて。

 

「……一瞬、本当に操られたかと思った……良かった……」

 

《ブレイディア》の、一瞬心臓が止まりかけた事実を、置き去りにしながら。




・自重をちょっと(?)やめたエソラ
自重をやめたので犯罪レベルが急上昇した。
もう小悪党名乗れないね。
それはそれとしておねーさんが好き、でも玉砕。
なんと地味にラッキースケベは全て回避している実績持ち。
最初は容姿が好みなだけだったが、今は内面も含めて好き。
決定打は喧嘩。
余談ではあるが、呼び出した武装を使ってもツヤツヤコンディションのおねーさんには勝てない。
普通に対応して来る。
何なんだアイツ。

・復活した最強の《ブレイディア》
エソラのおふざけによってロリコン疑惑を擦り付けられたおねーさん。
弁護士はちゃんと呼んでもらえる。
エソラのことはどう頑張ったって妹まででしか見れない。
好きだけど恋愛ではなく親愛。
全部終わったら、エソラとヴィランとして一緒に過ごすか、エソラを表社会に連れ戻して本当に妹にするか悩んでいる。
たいがい矢印がデカいけど、決して恋愛感情ではない。
どうせ気の迷いだと思って甘く見てる。
遠い未来に泣かされる。

・脳破壊《テリトリア》
突然のNTR(寝てから言え)で脳を破壊された可哀想な人。
目を覚ましたら冷静になって旧オート郊外まで来てくれる。
けど多分エソラの自重なしアイテム見たら卒倒する。
頑張れ《テリトリア》!社会の安寧はキミの手にかかっている!!
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