デルタへといたる道   作:natsuki

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第九話

「レックウザを呼び出すためにカイオーガとグラードンの戦いを再現した……。それはなんて恐ろしいことなんだ……!」

 

 ダイゴさんは狼狽える。確かにカイオーガとグラードンの争いは酷いものだった。それは、俺自身も実感していた。

 

 それを実現したのがヒガナだというのか?

 

 ヒガナの話は続く。

 

「私は別にあなたたちの考えを否定するつもりはないんだ ……ただね、きちんと考えてほしいんだよ。必要な犠牲と、不必要な犠牲……そのふたつがあるということを。……やるせないな、ここは宇宙センターだろう? これだけの知恵と技術を持つ人たちが集まっているのに。0から1を生み出さず、考えなしに過去の過ちを繰り返し……その結果、新たな過ちさえも 犯そうとしている。その事実にどうして気付こうとしないの? どうして目を背けようとしているの?」

 

「……何を」

 

 ダイゴさんはヒガナを睨みつける。

 

「ここが宇宙センター……ふうん、オモチロイことになっているんだなあ♪」

 

 声が聞こえた。甘だるいような、狂ったような、声だった。

 

「君は……確か!」

 

 ダイゴさんは見たことがあるらしい。

 

「元チャンピオンに……博士に……君は見たことないけれど、その後ろにいるのは……ああ♪ まさかここで出会うなんてネ」

 

 紫色の髪をしたタイトスカートを履いた女性だった。その格好は特徴的なフード、全体的に赤く、その格好をしている人間等たった一つしか見受けられなかった。

 

 マグマ団。まさかこの世界でも活動しているとは、知らなかった。まあ、グラードンとカイオーガが復活したということは、マグマ団がいるということは確定事項だったけれど。

 

「オモチロイ、オモチロイ♪ まさかこんなトコロで会えるなんて思わなかった。こんなところでリーダーマツブサの復讐ができるなんて思えなかった♪」

 

 笑みを浮かべて俺に近づいてくるマグマ団団員。

 

 ……あいつはいったい誰なんだ?

 

「そうか、そういえば幹部のカガリとやらもメガストーンを持っていたね。……だったらそれも使ってしまうのが一番、だね!」

 

 ヒガナは腰につけていたモンスターボールを手に取ると、それを投げた。

 

 そこから姿を現したのは、ボーマンダだった。

 

「ボーマンダ!?」

 

「……………………アナライズ、します」

 

 対してカガリ――ほんとうにカガリなのか? 俺の世界で見たカガリとはまったく別人に見えるのだが……――もそう言って、モンスターボールを投げた。

 

 出てきたポケモンはバクーダだった。

 

 そしてお互いにキーストーンに触れる。

 

「メガ……シンカッ!!」

 

 バクーダとボーマンダが七色の眩い光に包まれる――!

 

 

 

 

「これが……『メガシンカ』……?」

 

 俺は思わずそう呟いていた。

 

 ヒガナのボーマンダの翼が違っている。強いて言うなら、『メガボーマンダ』か。

 

 カガリのバクーダも身体が倍近く膨れ上がっているようになった。強いて言うなら、『メガバクーダ』といえばいいだろうか。

 

 お互い、メガシンカした姿は、メガシンカ前の姿とは別のものとなっていた。

 


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