ところ変わってトクサネ宇宙センターではダイゴとソライシ博士が話をしていた。
「あれはいったいどういうことなんですか! チャンピオンであるユウキくんが、この宇宙センターに突如やってきた人間と一緒にいて! そしてその人間は各地でメガストーンを盗んでいるではないですか!」
「ソライシ博士がお怒りになる気持ちも解ります。……ですが、まだ解りません。彼はどうして彼女とともに行動しているのか……。もしかしたら何か裏があるのかも」
「まだそんなことをおっしゃっているんですか! そんなこと言っていると被害はさらに拡大しますよ。何だったのですか、彼女が言ったあの言葉の数々は! まるで我々の知らないことを悠々と語っていきましたよ! 自分が世界のすべてを知っているとでも……本気で思っているんでしょうかね!?」
ダイゴは考えていた。悩み、苦しんでいた。そんなわけはないと思っていた。
ユウキとダイゴはかつてチャンピオンの座をかけて戦った。だからこそ、二人はお互いのことをよく知っているつもりだった。
知っているつもりだったからこそ、今回の事態についてひどく動揺した。どうして彼がそんな罪を犯した人間と一緒にいるのか、解らなかった。
(ユウキくん、君はいったい何を考えて……)
ダイゴは虚空を見上げる。しかし、彼の考えはユウキに届くことなどなかった。
「さー、ここが秘密基地だよ。入った、入った」
ヒガナの言葉を聞いて、俺は半ば強引に秘密基地へと入らされた。その秘密基地の広さは俺の持っている秘密基地よりも広い。もしかしたらグッズが置かれていないから広く感じただけなのかもしれないが……まあ、今はそんなことどうだっていい。
とにかく今はヒガナから話を聞きたかった。どんなことでもいい。俺が居た世界へ戻る手段があるのなら、少しでも手がかりがあるのなら。
「……まず一つだけ言わせてもらうと、私はあなたが元の世界へ戻る手段を知っているわけではない。明確な手段を知らないというだけで、私もその手段を欲している……とでもいえばいいかな」
「欲している? ……平行世界へ飛ぶ手段を、か?」
「うん」
ヒガナは笑顔で頷く。そういえばあまりこうやって顔を見たことがないが、言動以外は普通に可愛いんだよなあ……。言動さえ無ければ。いや、少しだけ違う。言動さえ正してくれれば。
「私はこの世界の住民じゃないんだよ、チャンピオン。そういえば君も正確にいえばもとはこの世界の住民ではないはずだ。この世界に住んでいたユウキという少年が消えた。その代わりに君は飛ばされたんだと思う」
端的に述べられたその言葉を、俺はすぐに嘘だと思った。
いや、嘘だと思いたかった。
俺が――正確にはこの世界に居たという『俺』が、消えた? 死んだとかそういうわけでもなく、ただ消えたというのか?
その事実を俺は理解できなかった。理解したくなかった。きっとヒガナが俺に吐いた嘘なのだろう……俺はそう思うことしかできなかった。
「事実だよ、それは残念なことにね。……正確にいえば、ユウキという少年は煙突山の火口に落ちて死んだよ。だけれど、その情報を知っている人間は少ないから、君が死んだという事実は世界的に公表されていないけれどね」