俺はヒガナの言っている言葉の意味が理解出来なかった。そこにいるポケモン――ゴニョニョのシガナは人間だと言う。そんなことが実際に有り得るのだろうか?
「有り得ない……そう思ってしまうのも当然なことかもしれない。それでも、私はこれを真実だと明言出来る。……だって私はシガナを信じているから」
信じている、と言われてもなあ。
やはりそう簡単に信じることなど出来ない。あまりにもすっとんきょう過ぎるからだ。百歩譲ってポケモンたちの楽園かあるとしても、シガナが人間だったということについては……。
「理解出来ない。或いは受け入れることが出来ない……って顔をしているね?」
「……済まない。言っている感じは本気なんだろうが、俺にはどうにも理解することが難しいようだ……」
ヒガナに見透かされた俺の心は、きっとどす黒く汚れていたに違いない。彼女が『メガストーンなるものを奪った』というだけで、彼女の言葉を受け入れようとしなかったのだから。
ヒガナの話は続く。俺が狼狽えていても別に構わない……そんな風にも取ることが出来た。
「まぁ、仕方無いことだよ。最初は信じることなんて出来やしない。だが、出来ることならば早いうちに信じて貰いたい」
「何故だ」
俺は短く訊ねる。
「その時が直ぐそこまで迫っているからよ!」
「その時……って宇宙センターで言っていた、隕石のことか?」
ヒガナは頷く。即ちヒガナは今までその隕石による被害を食い止めるために動いていた……ということだ。
ただし、気になることが未だある。
「なぁ、質問しても構わないか?」
ヒガナは柔和な表情で頷く。
「私が答えられることには限りがあると思うけれど。それでもあなたのために凡て教えてあげる」
「一つじゃなくて何個かあるんだが……先ず一つ目、∞エナジーとは何だ?」
「私が知っている限りの情報を言うと、三千年前にあったと言われている最終戦争で使われたエネルギーのことだよ。そのエネルギーの源は、ほかならないポケモンの生命エネルギーだよ。それを使い凡てを破壊しつくそうという組織もいた……。だが、これは人間が扱いきれるものじゃないんだ」
「∞エナジーはどこで手に入るんだ?」
その言葉を言った途端、ヒガナは眉をひそめる。もしかしたら聞かれたくなった言葉だったのかもしれない。なら、悪いことをしたな……。
「あまり言いたくないのなら、言わなくて構わない。……悪いことを訊いてしまったみたいだな」
「∞エナジーは海中に沈んでいるよ」
しかしあっさりと、ヒガナは俺の質問に答えてくれた。
さらに話は続く。
「ホウエンを取り囲むように海中に∞エナジーは沈んでいる。それも莫大な量。それをスプーン一杯分用意しただけでも小さな街の電力を一週間は持つ……それくらいのエネルギーを持つ。そんなものを良く使おうと思う人間も居れば、悪く使おうとする人間だってこまんと居る。そしてそのエネルギーはポケモンの生命エネルギーから出来ている。即ち、多数のポケモンの命を元に、私たちは『便利』を手に入れた……ということになる」