ヒガナの言葉は俺の心に強く響いた。
それは彼女に特別な思いを抱いているからだろうか? ……否、そうではないだろう。
俺はヒガナに特別な思いを抱いていたとしても、抱いていないとしても、俺はヒガナを助けるだろう。
「……解った」
俺はうなずいた。
ヒガナは俺を見つめる。
というか、顔が近くないか。どちらかというと、ここまで近づいてくるのはどうかと……。
「俺は、世界を救う」
ヒガナの言葉を入れず、俺はさらに続ける。
「俺は、ヒガナと一緒にレックウザを呼び出す」
――ヒガナの表情が綻んだのは、言うまでもない。
ああっ、くそ、なんだかかわいいな。
こういう状況で会いたくなかった気がするよ。
ともあれ俺はこれからヒガナ同様追われる身だ。……だが、それもレックウザを呼び出し、隕石を破壊すればすべて終わることだろう。
「さあ、行くぞ。……というか、俺はどこに行けばいいんだ?」
俺の言葉に、ヒガナはあるものを取り出した。
それは宇宙センターで手に入れた機器だった。
「そういえば質問したかったんだが……それは?」
「かつてレックウザを制御する実験をしていたのを、聞いたことはあるかい? 第三の超古代ポケモン、レックウザ。ポケモン協会の権威は失墜しつつある。そのポケモン協会が手っ取り早く権威を取り戻すためには、ある方法を取るしかなかった」
「……それは?」
「翠色の宝珠……。聞いたことはないかもしれないね。なにせ、そこまでの話は都市伝説めいて語られるくらいだからね」
聞いたこともなかった。
藍色の宝珠、紅色の宝珠の別色なのだろうが、しかしそれは聞いたこともない。都市伝説であったとしても、少々出来過ぎているようにも思える。
「翠色の宝珠はレックウザを制御するために人工的に生成されたものだよ。……どうやらこの世界の人間はレックウザを制御して隕石を破壊する方法も考え付いていたようだね。しかし非現実過ぎて廃止されたのかもしれない。まあ、いずれにせよ、あの宇宙センターにそれがあったのは好都合だったよ」
「ちょっと待て! ポケモン協会がレックウザを制御することで、何をしようとしていたんだ!? まさかあの災害を予測して……」
「ああ、その通りだ」
俺が考えている最悪のシナリオを、ヒガナはあっさりと告げた。
「ポケモン協会はカイオーガ・グラードンによる災害を予見していた。だからこそ、第三の超古代ポケモンであるレックウザを、ポケモン協会が制御しようと考えたわけだ。……そして、開発されたのが、これ。『宝珠』とは言うけれど、これじゃただの機械よね」
そう言って、ヒガナはその機械を一瞥した。
「……まだ時間がある。少しだけ話をしよう。それは、マグマ団の書庫に残されていた、ある計画の一ページであり、ポケモン協会もその計画を断片的に再現しようとしていた、ものだよ」
「その計画の名前は?」
「プロジェクトAzoth。その計画によって終わりは始まりとなり、始まりは終わりを生む。人間が考えた、最低で最悪で、下らない計画のことだよ」