デルタへといたる道   作:natsuki

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第二十二話

 

「……おや、どうやらその話をする前に来てしまったようだね」

 

 ミクリの声を聴いて、ルチアは上を向く。

 空にはダイゴが乗るボーマンダの姿があった。

 そして、ボーマンダはその空の柱の前へと着陸した。

 

「待たせてしまって申し訳ない。ちょっと手間取ってしまって」

「別に構わないよ。私も疑問に思っていたところだったからね。あのヒガナという少女……聞いた話だと、隕石をどうにかして破壊しようとしているのだろう? それも三千年前に生み出されたというエネルギーではなく、また別の可能性を考えているとのことだ」

 

 それを聞いてダイゴは頷く。

 

「そこまで解っているのならば、話は早い。……ミクリ、一つ相談がある」

「どうした、ダイゴ。そこまで畏まる仲でも無いだろ? 私にできることならなんでも言ってくれ」

 

 それを聞いて、ダイゴは微笑む。

 

「その言葉が聞きたかったんだ。ありがとう、ミクリ。……それじゃ、ルチアちゃん。少し話をするから、ちょっと離れていてもらってもいいかな? 大事な話になるから、ね」

 

 ルチアはそれについて何か気になった様子だったが、ダイゴの望みならばそれをかなえてあげるべきだ。そう思ったルチアは頷いて、二人から離れていった。

 

 

 

 

 空の柱はすぐそこだ。

 ヒガナからそういわれた俺は、その場所を見た。

 三角形になっている、古い塔。

 それが空の柱だった。俺が知っている空の柱とは様相が異なるようだが……やはりこれも世界線が違っているからなのだろうか。

 

「ここから入るんだ」

「空から入ることは?」

「無理だよ。何せ、乱気流が塔を覆っている。とてもじゃないけど、空からレックウザの場所へ向かうのは不可能と言ってもいい」

 

 そう言うのなら仕方ない。

 俺はそう思うと、空の柱の入り口へと降り立つため急降下したボーマンダから振り落とされないよう必死にしがみついた。

 

「待っていたよ、ヒガナ。それにユウキくん」

 

 そこに居たのは三人だった。ダイゴさんと……あとの二人は誰だ?

 

「まさかここに全員お揃いとはね。元チャンプにルネの民、ジムリーダーであるミクリ、それにコンテストアイドルまでいる。勢揃いというレベルじゃない。こんなに歓迎を受けるとはうれしいね」

 

 ヒガナがさりげなく俺に説明をしてくれた。成る程、あそこの風を感じそうなファッションをしているのはミクリだったか。あの世界と比べるとひどい変わりようだ。

 

「ユウキくん」

 

 ミクリはヒガナではなく、俺に訊ねる。

 

「君はほんとうに彼女とともに行動していくつもりかい? この先に何が待ち受けているのか、解っているのか」

「ああ、解っているよ。レックウザだろう? レックウザを呼び出し、隕石を破壊してもらう。いたってシンプルな方法だ」

「君はそれでいいと思っているのか?」

「それしか無いのなら……しょうがないだろう」

 

 俺は言った。

 ヒガナはそれを聞いて笑っているようだった。

 

「ほらほら、チャンピオンもこう言っているよ? その意志を君たち無視するつもり?」

「……まさかこういう形で再び戦うことになるとは思わなかったよ」

 

 ミクリはモンスターボールを手に取った。

 やはり、そうするしかないというのか。

 

「残念なことにここに入ることが出来るのはルネの民に認められた人間だけとなっていてね……。そのルネの民は私になっている。だから、私を倒さないと中に入ることは許されないんだよ」

「まあ、しょうがないよね。戦うしかないって」

 

 対するヒガナもモンスターボールを手に取る。

 解ったよ。戦うしかないのなら。

 俺もモンスターボールを手に取り、戦う準備をするほかない。

 

「ユウキくん……ルネの民であるこの私が、全力をもって、君と戦う! 君がこの空の柱に入るのがふさわしいのか、見極めるために!」

 

 それを合図に、ミクリとダイゴ、ヒガナと俺は同時にモンスターボールを空へと投げ上げた。

 


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