デルタへといたる道   作:natsuki

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第二十三話

 

 ミクリが出したのは、ミロカロス。

 ダイゴが出したのは、メタグロス。

 ヒガナが出したのは、ボーマンダ。

 そして俺は、サーナイトを繰り出した。

 四人はそれぞれ別のポケモンを繰り出し、各々を見た。

 

「……成る程、やはりみんないい感じではあるね。いいよ、いい感じだよ」

 

 ヒガナは言った。それを聞いて、ミクリは舌打ちする。

 

「ミロカロス、『みずのはどう』!」

「サーナイト、『10まんボルト』!」

「ボーマンダ、『りゅうのはどう』!」

「メタグロス、『コメットパンチ』!」

 

 四種四様の技を繰り出した。サーナイトが繰り出した電撃は、寸分の狂いもなくミロカロスへと命中させ、ボーマンダの放った彷徨はメタグロスへと命中させる。それぞれ急所に命中させた。

 

「……さすがだね」

 

 ミクリの言葉を俺は聞き逃さなかった。

 ミクリは突然、モンスターボールにポケモンを戻した。それはミクリだけではない。ダイゴも一緒だった。

 

「……どうして?」

 

 俺は疑問に思い、訊ねた。

 ダイゴは言った。

 

「僕たちは、ヒガナの行動を見て最初は最低の人間だと思っていた。言動もなっていなかったし、僕としても協力するべきではないと思っていた」

「ならばどうして……」

「話は最後まで聞くものだよ、ユウキくん。僕たちは流星の民について調べた。ヒガナ、君を調べた結果たどり着いた一つのキーワードだった。そして僕はその民が住むハジツゲタウンへと向かった……。ハジツゲタウンに住む流星の民という方に話を聞くことが出来たよ。そして、少しだけ僕も君のことを解ることが出来た」

「やめろ」

 

 ヒガナは短く否定する。

 それ程言われたくないことがあるのだろうか。

 あれ程俺に話をしたというのに。

 

「……君はある時ハジツゲにやってきて流星の民である彼女を欺いたようだね。『別の世界からやってきた』などと低俗な嘘を吐いて。誰にだって解る嘘を吐いて、ね」

「何を言っているんだか、全然解らないよ。少なくとも私は流星の民であることには間違いない。別の世界からやってきたというのも確か。そのために私はマグマ団にグラードンを復活させようとしたのだから」

「たとえ別の世界からやってきたのだとしても、そうであったとしても……言うべきことがあったのではないかな」

 

 ダイゴはゆっくりと近づく。

 そして、

 ヒガナの頬を思い切り引っ叩いた。

 

「な、何を……」

 

 ヒガナは叩かれた頬を抑えながら、ダイゴの顔を見た。

 ダイゴは泣いていた。

 見たことのない彼の表情を見て、俺は何も言えなかった。

 

「もしそうだとするなら、なぜ僕に相談しようとしなかった。すべてを言ってくれればまだ何とかなったかもしれない。なのに、どうして、ここまで何も言わなかった。言う機会は幾度と無くあったというのに!」

 


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