デルタへといたる道   作:natsuki

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第二十六話

 

 二階。

 そこではヒガナがすでに待ち構えていて、話をしてくれた。

 ルネという町は隕石が落下して出来たこと。

 そして、その石はとても強いエネルギーに満ち満ちていたこと。

 そして三階。

 

「巨大隕石に続いて、人々を更なる災厄が襲った。それは何だと思う?」

「……何だろうな。隕石が落下して地面が割れたとか?」

 

 俺の話を聞いてヒガナは指を弾いた。

 

「ご名答。その通りだよ。隕石の直撃によって、ホウエンの大地はひび割れ、奥底に溜まっていた自然のエネルギーがあふれ出した……。そのエネルギーは途轍もないものだったそうだよ。そして、そのエネルギーを求めてゲンシグラードンとゲンシカイオーガが目覚めてしまった」

「ちょうどこのときのようなことが起きた……ということか」

 

 頷くヒガナ。

 

「そうさ。そして、レックウザは人々の祈りに反応して、地上へ降り立った。そして、さらなる力を求め……、祈りをささげた。それによってなのかはわからない。ただ、祈りと七色の石……これは隕石のことだね。それと反応して姿を変えたレックウザは今までと違う、生命力に満ち溢れていたようだよ。人々の祈りと七色の石に反応して姿を変えた、レックウザ。祈りとは、目に見えない不確かなものだ。人とポケモンが祈りによって結ばれポケモンの姿が変化する。これは、ある行為に似ているんだよ」

「それが……メガシンカ、ってことか」

 

 そう、とヒガナは頷く。

 

 

 

 四階。

 ここでもヒガナは話をしてくれた。

 ゲンシグラードンとゲンシカイオーガの争いをレックウザが鎮めたこと。

 レックウザはその後元の姿に戻り、天空へと帰って行ったとのこと。

 

「この光景を目のあたりにした背の高い異国の男はこう言った。

『世の揺らぎより生まれしもの、即ちデルタ。……人の祈りと石の絆にて、世界に生まれし揺らぎを平らかにする』……と」

 

 その言葉が、俺の心に残る。

 そしてこの塔が、流星の民によって、過去二回の危機を救ったレックウザを称えるために、作られた。

 それをヒガナから聞いて、合点がいった。ヒガナがどうしてこの塔を知っているのか、これですべて納得がいったからだ。

 

 

 

 

 五階。

 ヒガナが最上階――すなわち屋上へと進む階段の前で立ち止まった。

 ヒガナは俺を見つめて、言った。

 

「いよいよ最終回。……あの時から、千年もの平和な時が流れた。人々は世界の危機をレックウザが救ったことなんてすっかり忘れてしまっていた。流星の民は今までの隕石から、今回の隕石は過去の二回よりも巨大なものだと予測した。そして、それを知った人間たちは科学技術でそれを『別世界』へと飛ばした。その先が、メガシンカの可能性が無かった世界に飛ばされたことなど知らずに――ね」

「メガシンカの可能性が無くても、レックウザが居たのならどうにかなったんじゃないのか?」

「隕石は世界の危機……とも言われているけれど、結局は違う。隕石にはあるポケモンが付着していたんだ。隕石はホウエン地方を破壊した後、そのまま沈む……。だが、その直前にポケモンは脱出していた。脱出したポケモンはカント―地方ナナシマにある、とある島に逃げ込んだそうだよ」

「隕石にポケモンが……?」

「そう。はっきり言って隕石が破壊するのはホウエン地方だけなのさ。確かその直前、ホウエン地方のポケモン預かりシステムが進化して、時空を操るシステムを開発したんだっけ。藍色の宝珠と紅色の宝珠から放たれるエネルギーによって時空が歪み……結果として、カントー地方のシステムと繋がったらしい。あいにくその世界とホウエン地方は地方差が大きくなかった。だから、通信システムがうまくいったそうだよ」

「隕石が落下する直前のホウエンと、隕石が落下した後のカントーがつながった……ということか?」

「ご名答。その通りだ。カントー地方はホウエンの災厄に悲しんでいたが、通信交換だけはホウエンと繋がっていた。それが唯一の手段だったともいえる」

「だったら、だったら……その時伝えることも出来たんじゃないのか? ホウエンに隕石が落下することも……」

「伝えることが出来たとして、どうなる?」

 

 ヒガナの回答は冷たかった。

 

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