デルタへといたる道   作:natsuki

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第二話

 ハルカと俺の家は隣同士だ。というか、ミシロタウン自体がそれくらいしか家がない。とても長閑な田舎町になる。

 というか、あまり会いたくないのが現状。

 ずっと一歩先を行っていたくせに、「私は私のやることがあるから」などと抜かしてさっさと居なくなってしまった。

 俺にとっては侮辱と言ってもいい。だから、会いたくないのだ。

 

「……でもなあ」

 

 父さんの言うことを断るわけにはいかなかった。断ったが最後、ケッキングの猛攻をくらうのは確かだ。……となると、

 

「やっぱり行くしかない、というわけか」

 

 そんなつぶやきをして、俺はハルカの家へと向かう。

 

「やあ、おはよう」

 

 ……そんな時だった。

 目の前に、薄汚いマントをつけた少女が立っていた。

 傍らにはゴニョニョも居る。

 

「いやあ、いい場所だね。ミシロタウン。空気も綺麗だし!」

 

 俺のことばを挟むことなく、その少女は言った。

 

「……誰だ、おまえ?」

「私かい? 私の名前はヒガナ。まあ、きっとまた会うことになると思うよ。……それにしてもここはいいところだね」

 

 ずい、と一歩前へ動くヒガナ。

 ヒガナは耳元で囁くように言った。

 

「この世界と別の世界がある……そう言われたら、あなたは信じる? 信じない?」

 それを聞いた俺に、衝撃が走る。

 

「おい、それはいったい――!」

 

「それじゃ、またねー」

 

 

 ――俺の問いかけを最後まで聞くことのなく、ヒガナという少女はどこかへと消えていった。

 

 

 それにしても、あのヒガナが言った最後の言葉が引っかかる。

 

 

 ――この世界と別の世界がある

 

 

 それはつまり、俺が居た世界と今の世界を表現しているのではないだろうか?

 ふと俺は無意識に装着したリングを見る。リングに填められた石が鈍く光を放っている。

 この世界はいったい、何が起きた世界だというのか?

 俺がチャンピオンになった世界とは――どう違うというのか。

 俺はそれが知りたかった。

 生憎、ラティアスを持っている。空を飛ぶポケモンだ。

 先ずはホウエンを空から見るのも悪くない。そう思うと、俺はラティアスをモンスターボールから出した。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 上空からホウエンを眺めると、その光景は僅かに俺の知るホウエンとは違っていた。

 一番の変化といえば、キンセツシティ。

 俺の記憶が正しければキンセツシティはただの街だったはず。それが城塞都市のように壁に囲まれている。

 

「……先ずはあそこに向かってみるとしよう」

 

 もしかしたら何か手がかりが掴めるかもしれない――そんなのぞみをもって、俺はキンセツシティへ降り立った。

 


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