「ユウキは解っていたんだ……。あの隕石が、煙突山の火山活動を止める程のエネルギーを持っているのならば、何かあるのではないか、と……」
ヒガナはゆっくりと話を始める。
それは俺には理解できなかった。
つまり、この世界のユウキは予見していたということか?
『その隕石は宇宙のエネルギーを秘めたもの。もっと言うのならば、二千年程前にルネシティ……だったか、あそこに落下した隕石と同じ物質だろう』
「レックウザが、何か言っているのかい?」
ヒガナが俺に訊ねる。どうやらヒガナはレックウザの言葉が聞こえないらしい。
俺はヒガナの言葉に頷いた。
ヒガナは頷くと、
「レックウザが隕石のことについて疑問を浮かべているのならば、それは正しいと思うよ。隕石はもともとルネシティに落下したものだった。それを流星の民が流星の滝へと持ってきたんだ。ソライシという博士が隕石を採掘していたが、それが見つからず、最終的に流星の民であるばば様に連絡を取って、それを研究のために譲り受けた。……その時、まさかそれがこんな重要な役目を果たしているとは思わなかったけれどね。それはきっと、レックウザのメガストーンだよ。レックウザのメガストーンが体内に蓄えられ、その力によりメガシンカを行う……。それを、レックウザに献上するんだ。そうして、メガシンカを行うはずだよ」
『その娘の言う通りだ。恥ずかしいことではあるが、今私にはメガシンカの力が無い。メガシンカをするための力が無い。だからこそ、その隕石を食らうことで……そのエネルギーを蓄えることが出来る』
そうか。
そうならば話が早い。
俺はレックウザにその隕石を献上する。
両手を掲げ、隕石をレックウザに捧げる。
そしてレックウザはそれを――食べた。
レックウザの体内から、眩い光が溢れ出す――!
そしてレックウザは見たことも無い姿へと変貌していた。
緑の皮膚はエメラルドに似た質感で輝いていた。
長い顎と金色に輝く細長い髭。
神聖にも思える、そのオーラ。
「……これが、メガレックウザ……!」
『然様。人間はこれをメガシンカと呼ぶ。私とお前の絆は、どうやらメガシンカをするほど有用だったらしいな』
「これで準備は整った……。そして、ありがとう」
ヒガナは俺に頭を下げる。
俺はそれを見て少しだけこそばゆかった。
「歴史が……、レックウザが選んだのが私ではなく……ユウキだったって事実は……うまく言葉に出来ないけれど、わかるような気もしているよ。……あなたは新たなる歴史の継承者になった、ということね。レックウザが真の姿になるための最後の カギを伝えるわ……」
ヒガナは落雷による怪我で歩くのもやっとだった。
にもかかわらず、俺のそばまで行って、小さく囁いた。
「ガリョウテンセイ――その言葉がカギとなる。レックウザが覚えている最強の技。……君がレックウザの制御が出来る、すでに心を交わしているということは、君は新たなる歴史の継承者……いや、途轍も無い力を持ったトレーナーなのだろうね。ユウキ、私は君が羨ましいよ。レックウザに選ばれて。ガリョウテンセイという技を使えば、きっと、隕石も破壊されると思う。さあ、急いで――そこへ向かおう」
「……向かおう、って……、どこへ?」
決まっているじゃないか、とヒガナは言って上空を指さした。
「――宇宙だよ」
次回、「デルタへといたる道」最終話となります。
ぜひ、最後までお楽しみいただければ幸いです。