「でも、これからどうするんですか?」
ハルカの言葉にダイゴは首を傾げる。
「そこが問題でね……。実は未だ情報を仕入れきっていないんだよ。何処かの倉庫だということは聞いたが、それがどこであるかはさっぱり……」
「それじゃ、手がかりも何一つ無いんですか?」
ハルカの言葉にダイゴは首を横に振り、あるものを取り出した。それはトレーナーならば誰もが持っているものだった。
ポケモンマルチナビ。
通称ポケナビ。地図やコンディションなどポケモンのありとあらゆる情報を観測することが出来るマシンのことだ。
「ポケモンマルチナビ……ですよね? これがいったい、何だと言うんです?」
「ハルカちゃんは手厳しいなぁ。何をするのかと言えば簡単なことだよ。これで情報を持っている人間と連絡を取る」
「取る……って、ポケモンマルチナビにそのような機能がついていたんですか?」
「バージョンアップ、ってところかな。それによってポケモンマルチナビは新たな機能を手に入れたこととなる。……その機能の名前は『エントリーコール』。何と一度記録さえしておけば半永久的に登録が残るというわけだ」
「成る程、エントリーコール……ですか? 因みに……ですけれど、ユウキに連絡を取ることは出来ないですよね?」
それは藁をもすがる思いだったかもしれない。
何れにせよ彼女はユウキの手がかりを僅かでも見つけたかった。ダイゴなら連絡帳に登録しているのではないか……そう考えたのだ。
でも、それは甘かった。そもそもの話、もし登録されているならばとっくに連絡を取っているはずだから。
「残念ながら彼は今、ナビの電源を切っているらしい。切っていない、或いは電波の届く場所に居るのであれば、一目でそれが解るはずだからね」
そう言ってダイゴは、彼女にポケモンマルチナビの画面を見せた。
そこにはエントリーコールの連絡帳があった。そして先頭に――彼女が一番知っている人間の名前が書いてあった。
ユウキの名前は灰色に塗られていた。ほかの人間は緑色になっていたり黄色になっていたりと、割かし様々なバリエーションとなっている。
「この灰色の状態は通信に出ることが出来ない状況を指している。その理由がどうなのかは解らないが……結果、こうなっているのは確かだよ」
「そう……ですか」
ハルカは落胆する。彼女が落ち込むのも当然かもしれない。それは彼女にとって一婁の希望となりかけていたのだから。
ダイゴはそれを解っていた。なるべく傷を付けないように嘘を吐くことだって考えた。
だが、嘘を吐くのは彼女のためにならないとも思った。だからこそ、正直にそれを言うのが、彼女にとって、一番であろうと思った。
「……というわけで、僕は今から連絡を取る。これでもそれなりに情報は集まってきているからね。そして……これから訊ねる『彼女への質問』の解答によっては……彼の居た場所が明らかだと言うことだ」
ダイゴはそう言ってエントリーコールを経由して、誰かに電話をかけた。その人物が誰であるのか、少なくとも今の彼女には解らない。