「そんなことが……本当に考えられることなのか?」
ホムラはいまだに半信半疑だった。当然と言えば当然かもしれない。簡単に敵と繋がったという一言を信じることは、出来ないことだ。それがもし出来るとするならば、それはきっと、相当相手のことを信頼していることだろう。
「……ええ、残念ながら、これは確実なことなのよ。スカイ団は確実に、レックウザを使って何かしでかす。それよりも先に、私たちがどうにかしてレックウザを何とかしないといけない」
「レックウザだけじゃない。フーパも、よ」
「そうだ。フーパも。フーパもどうにかしないといけない」
「むしろ、フーパのほうが危ないけれどね。フーパを奪われてしまったら、それこそ最後。あるいはフーパをうまく使って、過去のカイオーガ・グラードン事件を巻き起こす危険性だってある」
「それだけなら、まだかわいいほうかもしれないぞ」
ホムラの言葉を聞いて、カガリは首を傾げる。
「別に伝説のポケモンはホウエンだけじゃない。色んな地方に色んな伝説は居る。その数は四十匹近いとも言われているし、その中にはカイオーガやグラードン以上の『脅威』だって居る。そんなポケモンを呼び出されてみろ。それこそ、ホウエンの最後だ」
ホウエンの最後。
そう聞いた彼女は、肩を震わせた。
武者震いとは、正しくこのことを言うのだろう。
「……残念ながら、我らがリーダーはどこかに消えてしまったのだ。だから、ほんとうならばマグマ団のリーダーと我らがリーダーとが手を取り合ってこの事態を解決すべく活動してくれれば何ら問題は無いのだが……」
「リーダー……アオギリが行方不明、だと?」
こくり、と頷くイズミ。
イズミの話は続く。
「思えばこの前の隕石騒動から様子がおかしかった。でも私はそれに気づけなかった。それが何かの予兆だったかもしれないというのに!」
「……まあまあ、それがいったい何であるのか、まずは話してもらえないか? 悲しむ気持ちも解らないではないが、それでは何も進まない。前に進むためにはどうすればいいのか、それを考えなくてはならないのだから」
「……わかった。それじゃ、話を始めよう。一体全体、リーダーはどうしてしまったのかということについて」
そうして、イズミは話を始めた。
◇◇◇
ハンサムとマツブサ、それにユウキは対面する。
場所はバトルリゾート、ポケモンセンター。
「……私は国際警察の人間だ、それは理解しているよな、ユウキ?」
「ああ、それがどうかしたか。……もしかして、マツブサの心配をしているのか? だったら安心してくれ。もう、彼は罪を犯さないよ」
その言葉に静かに頷くマツブサ。
それを聞いてしまえば、ハンサムはそれを信じて頷くしかなかった。
「まあ、そういわれてしまえばそれまでなのだが……。ところで、ユウキくん。我々はこれからどうすればいい? 先ずは指標を立てない限り、何も進まないと思うのだが」
「実はもう、すでに敵の場所は掴んでいる」
そう言って、ユウキは頭上を指さした。
「……頭上? いったい、どこのことを言っているのだ?」
マツブサの問いに、ユウキは答える。
「空だよ」
そう答えて、さらに話を続ける。
「スカイ団のアジトは空だ。空に浮かぶ飛空艇、それが彼らのアジトで、彼らのボスもそこに居る。だから、そこへ向かわねばならない」