デルタへといたる道   作:natsuki

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 これにて「デルタへといたる道」から続くシリーズは完結となります。
 ありがとうございました。


エピローグ

 ミナモシティ、民宿モナミではユウキが見つかったことについて祝宴会が開かれていた。

 

「そいにしてもちょー遅かったね。ましゃか着いた頃にはもうどいでんが解決しよったなんて!」

 

 ラニュイがユウキに抱き着きながら、そんなことを言っていた。

 

「いや……。でもいいことだよ。やっぱり色々と解決したことについては」

 

 ラニュイの言葉にそう答えたのはダイゴだ。

 

 そして何も言わずにその光景を睨みつけているのは、ハルカ。

 

 そしてユウキは愛想笑いを浮かべるばかりで、何も答えることは無かった。

 

 まるで、心ここにあらず――そう言った感じだった。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 ユウキはベランダで空を眺めていた。

 

 星空に月がとても綺麗に見えていた。

 

「ユウキくん」

 

「ダイゴさん……それに、ハルカも」

 

 振り返ると、そこにはダイゴとハルカが立っていた。

 

「何か、祝宴会の間ずっと考え込んでいるように見えたからね。……もしかして、『助けてもらった人に恩返し出来ていないことについて』とかかな?」

 

「何故、それを?」

 

「解るさ。それくらい」

 

「ユウキくん……。私だって、ほんとうはもうあんな危険なことに入ってほしくない。けれど、あなたは、そのことを成し遂げたいんだよね。……それをダイゴさんから聞いたの。それで、私、決意した」

 

「決意……って?」

 

「遠いアローラという地方には、君が見たことの無いポケモンがたくさんいるだろう。……もしかしたら、世界を旅すればその人間の情報も掴めるかもしれない。僕はそう思ったんだ」

 

 そう言って、ダイゴは封筒を差し出す。

 

 その封筒を開けると、そこには船のチケットが入っていた。

 

「これは……」

 

「アローラ地方メレメレ島行きのチケットだよ。そこへ向かうのをお勧めするよ。あの地方はいいところだ。僕も昔行ったことがあるけれど、リゾート地としては格別の場所だ。もちろん、ホウエンもいいところだけれどね」

 

「ほんとうはね。私も行きたかったんだよ」

 

 ダイゴの言葉に割り入るように、ハルカは言った。

 

「けれど、思ったんだ。ユウキくんと居sh祖に旅をするよりも、ここで修業を積んで、ユウキくんがピンチになったときに、今度は私が助けられるようになりたい、って。だから、ユウキくん。その時はもっと私を頼ってもいいのよ?」

 

 そして、ユウキは――そのチケットを受け取った。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 ところ変わって。

 

 ハンサムはキンセツシティの公衆電話にて、国際警察への報告を済ませていた。

 

「それにしても、信じられんな。……まさか、君たちがウルトラホールを通ってこの世界にやってきた、とは。上司は信じてくれたそうだが……」

 

「私たちはウルトラビーストを追い求める為、ある場所へ向かう必要があるのですね?」

 

 シガナの言葉にハンサムは頷く。

 

「うむ。私は別の事件を解決せねばならないから、一度カロスへ戻らねばなるまい。カロスのあの家も随分と空けてしまっていた。それもこれも、フレア団が何か小細工をしていったからだろう。報告によれば、そのフレア団もボスの死亡をもって解散したらしいが……。まだ何か残っているようだ」

 

「それじゃ、その場所には私とユウキ、それに……」

 

 シガナの目線は自然にヒガナへと向かっていた。

 

「ええ? 私も行くの?」

 

「ダメですか?」

 

「私は、いいかな。そういう重苦しいのは苦手だよ。それよりも、龍神様に会いに行こうかな、って思っているんだよね」

 

「龍神様? ……レックウザに、ですか?」

 

「うん。龍神様に会って、今度こそ認めてもらう。私が、ほんとうの継承者だ、って。それがどれくらいかかるか解らないけれど……」

 

「……そうですか」

 

 深い溜息を吐いたのち、シガナはヒガナに笑顔を向けた。

 

「だとすれば、あなたと私はこれでお別れですね。もちろん、フーパを取り戻すことが出来れば……、きっとまた元の世界に戻ることは出来ますが」

 

「うん。だから、それまでのお別れ」

 

 ヒガナは笑みを浮かべてゆっくりと立ち上がると、そのまま歩き始める。

 

 そして少し離れた位置で立ち止まると、踵を返した。

 

「こういう時は、さよなら、じゃないんだっけ。そうだよね、また会えるはずだから。だからさ、こういう時は、こう言って別れよっか」

 

 ヒガナは両手に手をまわして、あふれだしそうになっていた涙を拭った。

 

「またね。シガナ、そしてユウキ」

 

 そして再び踵を返すと――今度こそヒガナはその場所から姿を消した。

 

 その姿を、ユウキたちはヒガナの姿が見えなくなるまで見つめていたのだった。

 

 

 ◇◇◇

 

 

「……話の腰を折って済まないが、目的地について教えておこう。そして、君たちがその場所で暮らす住まいについても」

 

 ハンサムがそう言ったので、ユウキとシガナはハンサムのほうを向いた。

 

 ハンサムは封筒を差し出した。

 

 封筒には地図とチケットが三枚入っていた。

 

「ヒガナくんも向かうと思っていたのか、三枚のチケットが入っている。まあ、それについては無視してくれ。あとは、場所だが……」

 

 チケットの行き先を見たユウキは首を傾げた。

 

「……アローラ地方?」

 

「そうだ」

 

 ハンサムはユウキの疑問に頷く。

 

「その場所はアローラ地方。人とポケモンがともに暮らし、ともに同じ関係を築く地方。そしてその地方はほかの地方とは少々風変りな因習がたくさんあって……、そしてエーテル財団の本拠地でもある。君たちはそこに向かって、エーテル財団とウルトラビーストの関係性を掴んでもらいたい。そして、君たちが追い求めるポケモン、フーパもきっとそこに居るはずだ」

 




光輪の魔神 完

「南の島の大冒険!! -Alola Generation-」へ続く。
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