宇宙センターではツワブキダイゴという青年が、博士とともにモニターを確認していた。
「……隕石、ですか」
「ええ。それも十キロメートル級の隕石です。過去に隕石が落ちてきたのは、あなたも聞いたことはありますでしょう? あなたもストーン・ゲッターとして有名ですからね」
「成る程。流星の滝、ですね?」
博士は頷く。
流星の滝はハジツゲタウン南西にある鍾乳洞である。洞窟の外にはかつて隕石が落下したクレーターが残っている。
隕石の調査結果によれば千年前に落ちてきたものらしく、その隕石からは特殊な赤外線が出ているという。しかしまだまだ研究する必要があるのもまた、事実だ。
「ところで……ダイゴさん。チャンピオンとやらは……」
「ああ。彼にエントリーコールをかけているんだが……、どうも繋がらないようでね。もう一度かけてみることにしようか」
「おー、ここが宇宙センターか」
声が、二人の会話を遮った。
◇◇◇
宇宙センターに二階があるなんて知らなかった。というか階段ってあったか?
俺はヒガナに引っ張られそこまでやってきた。そこに居たのはダイゴさんと……ああ、隕石を採集している博士だったか。確か名前は……。
「何なんだ、君はいったい。……おや、ユウキくんじゃないか。ちょうどいいところにやってきたね」
「ということはあれか」
ヒガナは笑みを浮かべる。
「はじめまして、元チャンプ。そしてソライシタカオ。……宇宙を見ることが大好きだった少年が、今やここまでになるんだね。いやあ、勉強の力って、夢の力って偉大だなあ!」
「何が言いたいんだ。君はさっきから勝手に……」
「勝手に? 別に勝手に言ったつもりではないよ。ただ観光がてら来ただけ。……どうせまた、あのエネルギーを使って隕石を破壊しようと考えているんだろうからさ」
「どういうことだ? 君はなぜ、∞エナジーのことを知っている?」
ダイゴさんが目をひそめる。
「お、おい。隕石ってどういうことだよ? それに∞エナジーって?」
これ以上していると話についていけない……そう思った俺は訊ねる。
「∞エナジーはデボンコーポレーションが開発したエネルギーだよ。無限に近いエネルギーを得ることが出来る。だから、ムゲンダイエナジーと呼ぶ……」
「ダメだね。具体的なところを言わないと。綺麗事ばかりじゃやっていけないよ」
ヒガナがダイゴさんの言葉を否定する。
ダイゴさんが歯ぎしりし、言った。
「だから、君はさっきからなにを勝手に……! 観光客というのなら、さっさとお帰り願おうか」
「別に構わないけれど、それは私が許さないんだよねえ。だって∞エナジーはポケモンの生命エネルギーを使っているんだから、さ」
それを聞いてダイゴさんは目を細める。
序でにソライシ博士も、だ。
ヒガナの話は続く。
「流石に知らなかった、とは言わせないよ。∞エナジーは三千年前の最終戦争、その時に使われた最終兵器、それから得られたエネルギーなのだから。そのエネルギーの源はポケモンの生命エネルギーだ。ホウエンに生きとし生けるポケモンのエネルギーを、勝手に使っていいと思っているのかい?」