デルタへといたる道   作:natsuki

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第六話

 宇宙センターではツワブキダイゴという青年が、博士とともにモニターを確認していた。

 

「……隕石、ですか」

「ええ。それも十キロメートル級の隕石です。過去に隕石が落ちてきたのは、あなたも聞いたことはありますでしょう? あなたもストーン・ゲッターとして有名ですからね」

「成る程。流星の滝、ですね?」

 

 博士は頷く。

 流星の滝はハジツゲタウン南西にある鍾乳洞である。洞窟の外にはかつて隕石が落下したクレーターが残っている。

 隕石の調査結果によれば千年前に落ちてきたものらしく、その隕石からは特殊な赤外線が出ているという。しかしまだまだ研究する必要があるのもまた、事実だ。

 

「ところで……ダイゴさん。チャンピオンとやらは……」

「ああ。彼にエントリーコールをかけているんだが……、どうも繋がらないようでね。もう一度かけてみることにしようか」

「おー、ここが宇宙センターか」

 

 声が、二人の会話を遮った。

 

 

◇◇◇

 

 

 宇宙センターに二階があるなんて知らなかった。というか階段ってあったか?

 俺はヒガナに引っ張られそこまでやってきた。そこに居たのはダイゴさんと……ああ、隕石を採集している博士だったか。確か名前は……。

 

「何なんだ、君はいったい。……おや、ユウキくんじゃないか。ちょうどいいところにやってきたね」

「ということはあれか」

 

 ヒガナは笑みを浮かべる。

 

「はじめまして、元チャンプ。そしてソライシタカオ。……宇宙を見ることが大好きだった少年が、今やここまでになるんだね。いやあ、勉強の力って、夢の力って偉大だなあ!」

「何が言いたいんだ。君はさっきから勝手に……」

「勝手に? 別に勝手に言ったつもりではないよ。ただ観光がてら来ただけ。……どうせまた、あのエネルギーを使って隕石を破壊しようと考えているんだろうからさ」

「どういうことだ? 君はなぜ、∞エナジーのことを知っている?」

 

 ダイゴさんが目をひそめる。

 

「お、おい。隕石ってどういうことだよ? それに∞エナジーって?」

 

 これ以上していると話についていけない……そう思った俺は訊ねる。

 

「∞エナジーはデボンコーポレーションが開発したエネルギーだよ。無限に近いエネルギーを得ることが出来る。だから、ムゲンダイエナジーと呼ぶ……」

「ダメだね。具体的なところを言わないと。綺麗事ばかりじゃやっていけないよ」

 

 ヒガナがダイゴさんの言葉を否定する。

 ダイゴさんが歯ぎしりし、言った。

 

「だから、君はさっきからなにを勝手に……! 観光客というのなら、さっさとお帰り願おうか」

「別に構わないけれど、それは私が許さないんだよねえ。だって∞エナジーはポケモンの生命エネルギーを使っているんだから、さ」

 

 それを聞いてダイゴさんは目を細める。

 序でにソライシ博士も、だ。

 ヒガナの話は続く。

 

「流石に知らなかった、とは言わせないよ。∞エナジーは三千年前の最終戦争、その時に使われた最終兵器、それから得られたエネルギーなのだから。そのエネルギーの源はポケモンの生命エネルギーだ。ホウエンに生きとし生けるポケモンのエネルギーを、勝手に使っていいと思っているのかい?」

 


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