鍛冶師志望のTS幼狐   作:黒幼狐

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12話 二つ名

 

 

数日後、いつものように神様の部屋に呼び出された僕は、妙に改まった雰囲気に背筋を伸ばしていた。

 

「……カナデ。お主に、神々より“二つ名”が贈られたぞ」

「っ……!」

 

その言葉に、胸がどくんと跳ねる。

 

 

二つ名━━それは、冒険者としてランクアップした証であり、神様から贈られる最高の栄誉。

 

 

そして多くの場合、他者からは二つ名で呼ばれる事になる。つまり、今後の僕の冒険者としての顔になるわけだ。

 

 

(どういうのだろう……【孤高の鍛冶師(ソリタリィ・スミス)】……?)

 

一人きりで鉄を打ち、静かに刃を生み出す姿。まるで世捨て人みたいに、誰にも媚びず、ただ己の腕だけを信じる孤高の存在。

 

……くっ、かっこよすぎる!

 

(いや、でももっと戦闘向けのものもアリだ……【閃光の狐(フラッシュ・フォックス)】!)

 

稲妻のごとき速さで敵を翻弄し、一瞬で斬り伏せる。刃の残光を纏って消え去る姿を想像する。

 

(やばい、めちゃくちゃ強そうだし響きも完璧だ……!)

 

自然と口元が緩んでくる。

胸の奥で、期待がぐんぐんと膨らんでいく。

 

(どんな名前でも受け入れるつもりだったけど……これはもう、かっこいいやつが来るしかないよね!)

 

そして神様は静かに口を開いた。

 

「お主の二つ名は━━【子狐の鍛冶屋(リトル・スミス)】じゃ」

 

「……え?」

 

目を瞬かせた。

いや、聞き間違い……じゃない。

今、確かに子狐って言ったよね!?

 

「こ、子狐……!? リトル!?

な、なんでそんな……可愛い方向なんですか!?

僕もっとこう、かっこいいのを……!」

「神会(デナトゥス)で決まった事だ、異論は認めん。謹んで受け入れよ」

「で、でも……」

 

抗議の声を上げる僕に、神様はいつも通りの厳格な顔ではっきりと告げたのだ。

 

 

しかし、僕がいつまでも情けない表情をしているからか、神様はしょうがなさそうに再び口を開いた。

 

「……“子狐”とあるのは、ただ小さいからではない。狐は成長と共に賢く、強くなる。今はまだ未熟でもお主はいずれ、大きな存在へと至るだろう。そんな願いを込めて、神々は名を選んだのだ」

「……」

 

その言葉の前に自分の愚かさが浮き彫りになり、反省させられてしまった。

同時に胸の奥がじん、と熱くなる。

 

 

普段、神様は必要以上のことはあまり語らない。

ステイタスの更新でも、説明は簡潔で、余計な言葉をほとんど口にしない。

 

そんな神様が、今はこんなにも丁寧に━━僕のために、言葉を尽くしてくれているのだ。

 

(神様が、僕の未来を信じてくれてる……!)

 

さっきまで「恥ずかしい」だの「かっこよくない」だのと思っていた自分が小さく思える。

 

「……ありがとうございます、神様!」

 

深く頭を下げながら、胸の奥で強く誓った。

 

たとえ今は“リトル”でも。

必ず大きくなって、この名前に恥じない存在になる。

 

 

「僕は━━【子狐の鍛冶屋(リトル・スミス)】のカナデです!」

 

 

そう口にした瞬間、不思議と胸が誇らしくなった。

 

神様の瞳が、わずかに柔らかく揺れる。

その視線が、何よりも嬉しかった……。

 

 




神様とのやり取りだけで終わらせたくて無理矢理文字数増やしたからちょい微妙。後々修正するかもです。
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