三日月は流離う   作:がんめんきょうき

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もう暫くは他のキャラメインの話が続きますので、御了承下さい。

もう原作IFとして短編投稿すりゃ良いじゃん、とか言わないで下さると有難いです(汗


第四十九話 三日月と悪戯小僧と、呪眼と白桜と

 止めど無く連続して鳴り響き続ける轟音。そして時折その中には、柔らかい物が潰れ、弾け飛ぶ様な不快なものも混じっている。

 それが耳に入れない様にしているのだろうか。少し離れた位置にある瓦礫の影にて、両手で両耳を塞いだ状態で、全身を震わせながら座り込んでいる二桁にも満たない年齢であろう―――額にゴーグルの様な物を掛けた少年が居た。

 

 

「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…!!」

 

 

 彼はピカロの内の一人。その顔色は蒼白そのもので、尋常では無い怯えが浮かんでいる。

 その小さな口から洩れるのは謝罪。

 只管に同じ言葉を発し続けるその姿は、まるで壊れた玩具を連想させた。

 

 

「いい子になるから…もういたずらしないから…!! だから―――ッ!!?」

 

 

 ―――もう殺さないで。

 心の底からそう願う少年だったが、現実は非情。それが叶う事は無かった。

 何時の間にやら轟音の発生地点から飛来してきた不可視の弾丸―――虚弾の一つが、彼を瓦礫ごと跡形も無く粉砕したからだ。

 

 ピカロの能力の特性上、其処で即座に再生が始まる筈である。

 だが何時まで経ってもそれが起きる様子が無い。

 すると僅かに残る少年の肉片はやがて全て霊子と化し、特殊な音波に乗って他の個体の元へと移動して行った。

 

 それの向かった先は、轟音の中心部。先程少年を粉砕した虚弾が無数に降り注いでいる場所だった。

 其処で繰り広げられていた光景は、正に悲惨の一言。寧ろ虐殺と言っても良い。

 逃げ惑うピカロ達を、容赦無く叩き潰し続ける虚弾の嵐。

 再生途中であろうが何だろうが、一切の例外も無く、平等に。

 

 幼子の姿を持つ破面の一体一体を潰す度、己という存在を形成している最重要な何かが音を立てて崩れ去って行くのを、ノイトラは感じていた。

 だがそれでも尚、彼は攻撃の手を緩めない。

 

 宙に形成した霊子の足場に立ち、狙いをピカロの居る場所へのみ集中させた“虚弾・狂葬曲”で蹂躙を続ける。

 本来であれば無差別に放たれる筈の、ノイトラの全身に形成されている発射地点。それの狙いを絞った影響か、ピカロへ襲い掛かっている弾幕の密度は異常。幼子の体型であっても、擦り抜けられる様な隙間は皆無であった。

 

 降り頻る豪雨の中を、一粒の水滴すら触れずに駆け抜けろと言われて出来る者は居ない。

 それ程までに、ノイトラの攻撃は無慈悲極まりないものであった。

 

 

「…チッ、やっぱ胸糞悪ィなクソッタレが」

 

 

 ―――どの口が言うか。

 思わず漏れた言葉に、ノイトラは自分で自分にツッコみを入れる。

 こうなる事ぐらい、端から予想は付いていた。だが口に出さずにはいられなかったのだ。

 

 ピカロは現在、確認出来るだけでも個体数は二十を切った。つまり登場時の半減以下にまでその数を減らしている事になる。

 理不尽なまでの暴力を前にして、皆一様に恐怖に怯え、抵抗する意思すら削がれているらしい。直撃と再生を繰り返しながら、只管逃亡を試みては潰されている。

 その光景は正しく虐殺そのもの。まるで軍隊が所持している武力を存分に振るい、力を持たぬ民を殺戮している様を連想させる。

 

 己を縛る枷も何も一切無く、思う存分力を振るえる。そんな機会があれば大抵の者は心踊らせるものだ。それが相手を圧倒している状況であれば尚更。

 だがこれは違う。ノイトラはそう断言した。

 真面な戦いすら成立していない、薬剤を散布して害虫を駆除するかの如き一方的過ぎる展開。こんなものが爽快であって堪るものかと。

 

 文字通り血反吐を吐きながらも力を付けたのはこんな事をする為では断じて無い。

 目指すべき目的を阻む遥かに大きな壁を打ち砕き、何時理不尽が降り掛かったとしても撥ね退けられる様になる為だ。

 ―――憑依前の人格の名残なのか、より高次元の戦いを味わいたいからという思いも零では無いが、当人は気付かない振りをしていた。

 

 

「…そろそろ、か」

 

 

 如何に覚悟を決めたとて、所詮は凡人の精神。

 己の所業に対し、胸が痛む事もあるだろう。

 だが―――その程度だ。思う事はあっても、今更揺るぎはしない。

 

 探査神経で下の様子を探った後、抑揚の無い声でノイトラは呟いた。

 もはやピカロの霊圧は殆ど感じられなくなっていた。

 

 ノイトラは虚弾の連射を停止すると、全身に張った霊圧の膜も解除する。

 群体故か、バラバラに存在していた筈のピカロの霊圧も、今や一つのみ。

 それの位置へ視線を映せば、最後の生き残りらしい―――右側頭部に仮面を被った少女が地面にへたり込んでいた。

 

 

「ヒィッ…!!」

 

 

 ノイトラは静かに、少女の前へと降り立つ。

 最後に己の手で幕を下ろす為だ。

 柄を握る手の内に伝わるであろう、子供を叩き潰す感触が嫌だからと、終始飛び道具に逃げる様な真似はしない。

 

 直後に上がる小さな悲鳴。

 見れば少女は身体全身を震わせ、その瞳からは止めど無く大量の涙が溢れ出している。

 

 

「なんで…こんなことするの…?」

 

「………」

 

「わたしたち、なにも悪いことしてないのに…!」

 

 

 確かに少女の言い分は正しい。

 ピカロという存在自体は決して悪では無い。何もかもが未熟な子供として、極普通に振る舞っているだけだ。

 しかしその認識は力の有無だけで大きく変わる。

 ピカロが何の消耗もしておらず、且つ群体全てが帰刃形態となれば如何なるか。少なくともその実力は並みの遊撃要員の破面を超える事は確実であり、下手すると現下位十刃に匹敵するかもしれない。

 

 だが彼等はその意味を理解出来無い。

 故に無自覚な部分で周囲に破壊を齎してしまうのだ。

 手加減というものを知らず、自身より力の劣る者の手に触れれば容易く握り潰す。思い切り引っ張れば、腕の根元から千切り取る。

 相手が圧倒的な弱者であっても一切考慮せず、自身の感覚で思い切りじゃれ付く。例え途中でその相手が断末魔の悲鳴を上げたとしても、その手を緩める事はしない。

 

 他者を傷付け、終いに殺してしまったとしても何も感じないし、反省もしない。

 何故なら必要が無いからだ。ピカロにとって死というものは、遊びの末に至る在り来たりな結果の一つに過ぎないのだから。

 

 言うなればこれは―――無自覚な悪。

 ある意味最もタチが悪いと言える。

 だからこそ、ノイトラは幾ら泣き付かれようが、ピカロ抹殺の意志を曲げる様な事はしない。

 ―――こいつ等は子供の姿をしているだけの怪物だ。

 そう自身に言い聞かせながら、右手で斬魄刀の柄を握り締める。

 

 

「そうだな」

 

「…え?」

 

「確かにテメェ等が悪い訳じゃ無ぇ」

 

 

 ノイトラから返された突然の肯定に、少女は呆ける様な声を漏らす。

 ―――もしかして許してくれるのか。

 一瞬安堵し掛けたピカロだったが、その表情は即座に凍り付く事となる。

 

 

「只単に―――運が無かった。それだけの事なんだよ」

 

 

 憂いを帯びた右目を向けながら、ノイトラは冷たく言い放った。

 ピカロが現れたのがこんな状況下では無く、もっと前であったのならば、殺す必要性など皆無だった。

 恐らくこの御人好しに掛かれば、何だかんだ言いながら態々手間を掛けて躾を行う等の世話を焼き、周囲に馴染める様に尽力していただろう。

 だが今となっては何を言おうが詮無き事。

 

 いざ止めを刺さんと、ノイトラは斬魄刀を持ち上げた。

 巨大な刀身が作り出した影がピカロへと覆い被さる。見ればその表情は絶望に染まっていた。

 だがそれが振り下ろされる直前―――横合いから第三者の声が掛けられた。

 

 

「何らしくない事してんのよ」

 

「ッ、チルッチか…」

 

 

 暫し考える素振りをみせたノイトラは、その持ち上げた斬魄刀を一旦地面へ降ろした。

 その刹那―――彼の口から小さな安堵の溜息が漏れていたのを、チルッチは見逃さなかった。

 

 

「…ったく」

 

 

 何年も付き合っていれば、その理由は自ずと理解出来る。時折セフィーロからも話を聞いているので尚更だ。

 常時無機質で人形染みており、幾ら会話を重ねても仲が深まる可能性なぞ皆無に思えるウルキオラ。そんな彼の抱く疑問に対し、面倒臭がる事無く丁寧に受け答えをする等、交流を進めていたり。

 藍染にも無断で行動した結果、左腕を失う等の重傷を負ったグリムジョー。そんな自業自得とも言える彼を見捨てず、態々ロカに頼み込んで治療の手配をしたり。

 チルッチ自身も被害者だが、通路で偶然遭遇した際に挑発と暴言を吐かれた上に、元々相性が悪かったルピ。にも拘わらず任務の際には色々と彼を気遣ったり、その死にショックを受けていたり。

 何とも繊細な事である。周囲の事なぞ知った事かと、心臓に毛が生えているのではと錯覚する程の態度を取っていた過去の姿が嘘の様だ。

 

 普段からこれである。ならば子供の姿をしているピカロを相手にするのは相当辛い筈だ。

 しかも理由は不明だが、明らかに仕留めに掛かっていると来た。それが必要だと判断したのだろうが、先程の溜息と言い、無理をしているのが丸判りだ。

 ―――世話の焼ける奴。

 チルッチは溜息を吐くと、ノイトラとピカロの間に入り込む。

 

 

「後はあたしが引き受けるから、あんたはあんたのやるべき事をやりなさい」

 

「…何だと?」

 

 

 その行動に、ノイトラは疑問の声を上げた。

 だが次の瞬間―――離れにて突如として膨大な霊圧の奔流が発生する。

 発生地点は二ヵ所。霊圧の種類は三つ。内二つは覚えのある霊圧であり、ノイトラが現状に於いて何より推移を気にしていたものだ。

 

 

「ほら、急ぎなさいよ。間に合わなくならない内に」

 

「…悪ぃ」

 

 

 何かを察したのか、チルッチは催促する。

 ノイトラは小さく謝罪すると、直後に響転でその場から消えた。

 

 

「…あ~、もう。こんなのあたしの性分じゃ無いってのに」

 

 

 ―――それもこれも全部あいつが悪い。

 バツが悪そうに、チルッチは後頭部を掻き毟った。そしてこの場に居ないセフィーロに対して内心で罵倒する。

 セフィーロの独断行動の件を言わなかったのは、ノイトラへの気遣いだ。明らかに余裕が無さそうな現状に於いて、別な事を考えさせる訳にはいかないとして。

 それにその行動の意図を殆ど知らなかったのもある。チルッチはあれから意識を取り戻した後、詳細を知るロカを問い詰めたが、返答は答えられないの一点張りで埒が明かなかった。

 

 その後、チルッチは怒りに任せて治療室を飛び出した。それなら今後も協力者である筈の自分を無視して好きに動けば良い。その代わり、此方も好きにさせてもらうと。

 だが数分経って冷静さを取り戻した途端、何をすべきか分からなくなった。

 セフィーロを追い駆けるのは論外。あの顔を一発殴りたい気持ちはあったが、堪えた。流石にチルッチも馬鹿では無い。今後の為に必要だとして、セフィーロは自分自身にしか出来無い事をしに行ったのだと心の隅では気付いていた。

 

 ―――ならば此方も出来る事をするとしよう。

 暫し悩んだ末、チルッチは決めた。ノイトラの補助をしに行こうと。

 とは言え、終始彼の後ろを付いて回るという訳では無い。簡単に言えば邪魔者や障害物の排除や、後始末等の雑務を引き受けるという意味でである。

 現状に於いて最たる候補は、眼前で座り込むピカロの最後の個体を完全に始末する事だろうか。

 

 

「さて、と。覚悟は良いかしら?」

 

「ッ!?」

 

 

 斬魄刀の柄に手を掛けるチルッチ。

 それを視界に入れたピカロは、反射的に両目を閉じてその場に丸まった。

 

 だが其処でチルッチの手が止まった。これで本当に良いのだろうかと。

 此処でピカロを殺せば、結局のところノイトラはショックを受ける事は間違い無い。

 逆にチルッチの手を汚させてしまったと、余計な罪悪感を抱く可能性すらある。

 彼女自身としては、別に必要とあらば誰を手に掛けても気にしないのだが。

 

 ならばどうすべきか。今一度、チルッチは悩んだ。

 ノイトラに何の影響も与えずに済む最善の手は何かと。

 

 

「…ねえ、あんた助かりたい?」

 

「………?」

 

 

 不意に放たれた問い掛け。

 ピカロは恐る恐る目を開けると、それを発したチルッチを覗き見た。

 

 

「…違ったわね。ノイトラに許されたい?」

 

「―――ッ!!」

 

 

 訂正された質問の意味を理解すると、少女は首を激しく上下に振って肯定の意を示す。

 この様子から解る通り、今ピカロが最も恐れているのは自身の滅びでは無い。ノイトラの存在そのものだ。

 彼の圧倒的な暴力によって齎されたものは、もはやトラウマにも等しい。

 故にピカロは懇願した。あのノイトラから逃れられる、または許されるのであれば、自分達は何をしても良いと。

 

 

「なら今から言う事を絶対に守りなさい。それが出来るなら、あたしからノイトラに言ってあげる」

 

「うん! ぜったい約束する!!」

 

「…こいつ等に一体何したのよ、あいつ」

 

 

 ―――マジギレして帰刃でも出したのだろうか。

 ピカロの素直過ぎる反応に、チルッチは呆れた様な表情を浮かべた。

 余程恐い思いをしたのだろうとは理解していたが、まさかこれ程の反応を示すとは予想外である。

 

 チルッチはピカロの封印される前の姿を知っている。だがその頃から、誰の言う事も聞いた試しが無かったのを覚えている。無論、藍染は別格だった様だが。

 しかもなまじ力がある分、少しやんちゃをするだけで相当な被害を周囲に齎していた。反撃しようにも、その不死性がネックとなって殺る気も削がれる。

 所詮は退屈凌ぎという、配下に加えた事情が事情なのか。稀に小言を言う程度で、直属の上司である筈のバラガンは半ば放置に等しい扱いをしている始末。

 これでは封印されるのも納得だ。

 

 

「…この後何か食わせてあげる。だから耳の穴かっぽじって、良~く聞きなさいよ?」

 

「ほんと!? わかった!!」

 

 

 しかし幾らノイトラの御蔭で素直になっているからと言って、只あれこれと命令するのも宜しく無い。

 少しは御褒美を与えても良いだろう。そう考えたチルッチは、治療室にある冷蔵庫という機械の中に、色々現世の食料が保存されていた事を思い返しながら言った。

 するとピカロは先程まで抱いていた恐怖も忘れた様に、満面の笑みを浮かべた。

 

 チルッチの選択が吉と出るか凶と出るか。それは誰にも判断出来無い。

 そしてこの時、彼女は気付いていなかった。己が無自覚の内に飴と鞭を使い分けていた事に。

 その結果、ピカロからの好意が凄まじい勢いで上昇していた事を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 虫の息と化しているルキアの首元目掛けて、ゾマリは迷い無く斬魄刀を振るった。

 寸分の違いも無く、その刃はルキアの命を完全に刈り取らんと迫る。

 

 

「な…!?」

 

 

 だが次の瞬間、その刃は既の所で急停止する。

 見れば柄を握っている右腕へ、何か霊子で構成された紐の様な物が巻き付いていた。

 

 

「これは…鬼道か!!」

 

 

 その霊圧が死神のものである事に気付いたゾマリは、即座にそれの正体を悟った。

 同時に焦る。紐の霊子構成は単純だ。その事から、これは恐らく低級に位置する程度の縛道であると考えられる。

 だが強度が想像以上に高い。これを引き千切る為には、ゾマリであっても相当な力を入れる必要があった。

 

 これは縛道の四―――“這縄(はいなわ)”。縄状の霊子を対象の腕に這うように纏わりつかせ拘束する低級縛道だ。

 だがその拘束力は非常に弱く、強者であれば簡単に引き千切れる程度でしか無い。

 

 主に敵の隙を作り出す為に用いられ、ルキアもアーロニーロとの戦いの中で一度使用している。案の定、即座に破られたのだが。

 しかし此処で一つ気にすべき点があった。

 鬼道の強さというものは、それを行使する者の霊力に比例する。

 例え低級であっても、隊長クラスが唱えるものは全く別次元の威力を持つのだ。

 

 ゾマリは自身の右腕を捕えているこの這縄の強度が高いと判断した。

 つまりこれを行使した者は、少なくともルキア以上の霊力を持っていると推測出来る。

 

 

「“―――雷鳴の馬車 糸車の間隙 光もて此を六に別つ”」

 

「ッ!?」

 

 

 何処からともなく聞こえて来たのは、若い男の声。

 それが鬼道の詠唱である事は、考えるまでも無く理解出来た。

 

 

「“縛道の六十一―――六杖光牢”」

 

 

 直後、ゾマリの胴体へ六つの光の帯が突き刺さる。

 すると彼の身体は身動き一つ取れなくなった。

 

 

「しまっ…!!」

 

 

 先程の這縄とは一線を画す拘束力を持った縛道をその身に受けたゾマリは、自身の背中から大量の冷や汗が噴き出すのを感じた。

 確かにこの縛道も、破ろうと思えば破れる。だがその為には全力での抵抗に加え、大凡五分程度の時間が必要だった。

 例え一瞬のみであっても、確実な隙というものは致命的以外の何物でも無い。

 この状態では帰刃どころか、真面な戦闘すら困難。為す術も無く嬲り殺しにされる未来しか見えなかった。

 

 

「―――暫しの間、そうしているが良い」

 

 

 焦燥に駆られるゾマリへ投げ掛けられる平坦な声。

 すると次の瞬間、眼前で倒れ伏しているルキアの姿が掻き消えた。

 咄嗟に探査神経のみを発動させたゾマリは、視線を横へ移動させる。

 

 まず真っ先に視界に入ったのは、死覇装の上に着用されている、護廷十三隊の隊長である事を示す袖無しの羽織―――背中の中心部へ刻まれたひし形の枠の模様、その内の六の字が特徴的な“隊長羽織(たいちょうばおり)”。

 見るからに高級感溢れる材質で作られているであろう、首元に巻かれた青磁色の襟巻―――実は尸魂界にて家十軒にも相当する値打である“銀白風花紗(ぎんぱくかざはなのうすぎぬ)”。

 頭部の中心と右側頭部に付けられた、計五個の髪留め―――貴族のみにしか着用が許されないという髪飾りである“牽星箝(けんせいかん)”。

 そしてその両手に抱えられているのは、先程姿の消えた筈のルキア。

 

 

「おのれ…!!」

 

 

 悔しげな声を漏らすゾマリを一瞥すると、青年―――白哉はその場から瞬歩で跳んだ。

 

 そして白哉が移動した先は、先程までルキアがアーロニーロと激闘を繰り広げていた宮の中。

 

 

「………」

 

 

 白哉は無言のままルキアを寝かせると、その右手を傷口に当てた。

 次第にその手が柔らかな光を放ち始めると、瞬く間にルキアの傷が塞がって行く。

 これは回道だ。基本的に不得意な分野が無い優秀な白哉の手に掛かれば、並みの四番隊隊士すら軽く上回る治癒能力を発揮出来る。

 

 

「…う…ぅ…」

 

 

 次第にルキアの口から唸り声が漏れ出す。

 傷が癒えるのと合わせ、その意識も戻り掛けているのだろう。

 そして予想通り、ルキアはその閉じていた瞳をゆっくりと開き始めた。

 

 

「…兄…様……?」

 

「…ああ」

 

 

 大切な義妹が無事だったにも関わらず、白哉は眉一つ動かさない。

 だが心なしか、その瞳が僅かに輝いた様に見えた。

 

 

「情けない…姿を…ゴホッ!!」

 

「無理をするな」

 

 

 敬愛する義兄に無様な姿は見せられないと、ルキアは上体を起こそうと、身体に力を入れる。

 だが肺に血が入り込んでいたのか、深く息を吸った途端、激しく咳き込み始める。

 途中まで持ち上がっていた上体は、再び地面へと倒れた。

 

 

「力を抜け。楽にしていろ」

 

「は…い…」

 

 

 慣れていないのか、ぎこちなさが目立つ。だが大切な物を扱う様な優しい手付きで、白哉はルキアの頭を撫でた。

 ―――後は自分に任せて、今は休め。

 傍から見ると、白哉はまるでそう言っているかの様に見えた。

 

 御蔭で安心感を得たのか、やがてルキアの瞼が閉じ始める。

 やはり先程までの消耗が響いたらしい。

 気付けば白哉の眼前からは小さな寝息が聞こえていた。

 

 

「―――油断しましたよ。ですが次はありません」

 

 

 完全に治療を終えた白哉は、再びルキアを抱えると、壁際へと移動させる。

 其処で小さく安堵の溜息を漏らした瞬間、拘束を破ったらしいゾマリが、穴の開いた壁から室内へと侵入。白哉の後方へと立った。

 

 

「申し遅れましたが、私は第7十刃、ゾマリ・ルルー。さあ、名乗りなさい侵入者」

 

 

 ―――あのまま自身に止めを刺さなかった事を後悔させてやる。

 内心でそんな怒りを滾らせながら、ゾマリは間髪入れずに名乗りを上げると、白哉にも自身と同じ事をする様に催促する。

 白哉は静かに背後へと振り向くと、その視線をゾマリに向けた。

 

 

「…一つだけ聞かせてもらう」

 

「?」

 

「ルキアをやったのは…(けい)か?」

 

 

 だが白哉は名乗り返すどころか、突如として質問を投げ掛ける始末。

 実に失礼極まりない態度だ。にも拘わらず、当事者は一切表情を変えずに平然と佇んで居る。

 ―――厚顔不遜、というべきか。

 ゾマリは白哉の態度からそう判断する。

 

 とは言え、礼を欠いた相手に過剰な反応を示しては、逆に此方の品位が問われるというもの。

 ならば致し方無いと、ゾマリは自身を納得させた。

 暫し間を置いた後、彼は素直に返答を返した。

 

 

「…ええ。ですが彼女は戦いの直後で消耗していた様でしてね…随分と簡単でしたよ」

 

 

 アーロニーロとの戦いが無ければこうはいかなかったと、そう言っている様にも聞こえる。

 だがゾマリの本心としては、そんな事は微塵も考えていなかった。

 例えルキアが全開の状態で交戦していたとしても、自身の勝利という結果は決して揺るぎはしないと。

 

 

「ついでに止めも刺す心算でしたが、貴方の邪魔が入った次第で…」

 

「―――そうか…」

 

 

 それを悟ったのか如何かは不明だが、白哉の纏う空気に変化が現れた。

 全身から滲み出す霊圧は激増し、しかも咋に周囲を刺激する攻撃性を持ち始める。

 冷静そのものだった筈の表情は僅かに変化。目は細まり、眉間に皺が寄る。

 つまるところ―――激怒していた。

 

 この様子から判る通り、一見すると白哉は常時冷静沈着で、感情の起伏が少ないと思われがちだが、その実は相当熱し易い性格をしている。

 まだ彼が少年だった頃。鍛錬中にも拘らず何かと悪戯を仕掛けて来る夜一に対し、去り際に投げ掛けられた挑発に乗り、ムキになって体力の限界まで彼女を追跡し続けた事もあった。

 そんな白哉が何より大切に、誇りに思っているルキアが傷付けられたのだ。どんな反応を示すかなど、容易に想像が付く。

 

 

「“散れ―――千本桜(せんぼんざくら)”」

 

 

 白哉は右手で斬魄刀の柄を握ると、迷わず抜刀。

 刀身が鞘から完全に抜かれると同時に、彼は間髪入れずに解号を唱え、始解を解放した。

 

 刀身が無数の花弁へと枝分かれし、桜吹雪の如く周囲へと舞い散る。

 その数は名の通り千。その無数の花弁は瞬く間に宮の中へと拡散した。

 

 

「な…!?」

 

 

 ゾマリは瞠目した。

 白哉の斬魄刀の能力は知らないが、本能が警報を鳴らしたのだろう。気付けば反射的に身体が動いていた。

 それは十刃最速の名に相応しい、音も無く消え去る様な凄まじい速度と技量を誇る響転。他の十刃の中でこれと同じ芸当が出来るのは、とある例外を除けば誰も存在していない。

 

 だが白哉も甘くは無い。

 考えても見て欲しい。あの尸魂界随一の速度を誇る夜一を知る彼だ。歩法の違い等、多少誤差があれども、捉えきれぬ訳が無かった。

 

 

「ッ!!?」

 

 

 ゾマリは細かな響転の連発により、花弁の少ない範囲へと逃れる。

 だが次の瞬間、彼の全身はズタズタに切り刻まれていた。

 

 見ると白哉はゾマリの居る位置へと向かい、その刀身の無い柄を振るっていた。

 “千本桜”は千にも及ぶ刃を操る分、相当な制御能力を求められる。その為、刃の移動速度には限界があった。

 だがそれは柄を直接振るう事で改善される。本来であれば白哉の念で操作する無数の刃だが、敢えて直接的な動作を加えるだけで、その精度と速力が倍加するのだ。

 

 

「…何?」

 

 

 だが白哉は突如として不審な声を漏らす。

 何故なら先程切り刻んで仕留めた筈のゾマリの姿が、まるで映像がブレるかの様にして消えてしまったのだから。

 

 

「驚きましたか? これは“双児響転(ヘメロス・ソニード)”。通常の響転に特殊なステップを加えて分身を作り出す、十刃最速である私のみが可能とした歩法です」

 

 

 表情を変えず、だが何処かしてやったりという雰囲気を醸し出しながら、ゾマリは白哉の周囲を駆け回りながら説明する。

 それが気に障ったのか如何かは不明だが、白哉は更に花弁を散開させる。

 盾の代用としてなのだろう。ルキアの周囲にも配置しながら。

 

 

「…成る程。これでは迂闊に近寄れない」

 

 

 ―――正に攻防一体と言うべきか。

 ゾマリは思わず内心で舌打ちした。

 この状況では幾ら響転を多用しようが意味が無いと。例え強引に攻撃を仕掛けに向かったとしても、自ら無数の刃の中に飛び込む様な真似にしかならない。

 しかも最も有効であろうと考えていた―――ルキアを人質に取る作戦すらも不可能となってしまった。

 

 

「随分と臆病な真似をするのですね。余程そこの娘が大切と見える」

 

「………」

 

 

 其処でゾマリは即座に作戦を変更し、直ぐ様実行に移す。

 内容は全く以て単純。挑発する事で白哉の態勢を変えさせようと試みたのだ。

 

 

「しかしそんな事をしていては、いつまで経ってもこの私に勝てませんよ。…さあ、どうしますか隊長さん?」

 

 

 ―――意図が透けて見える物言いだ。

 白哉はゾマリの言葉を耳にしてそう思った。

 

 恐らく此方が動きを見せた途端、その脅威の速度を誇る響転を用いて攻め入る。または花弁の防御が薄くなった途端、ルキアの身柄を確保して人質に使う魂胆か。

 だが―――白哉は敢えてその挑発に乗る事にした。

 通常であれば、其処で自身と対等であるかのように振舞っている勘違い野郎に対し、それが如何に間違っているかを語った後、圧倒的な力を以て叩き潰すべきだ。

 

 だがそんな親切を働いてやる義理は此方には無い。

 奴は自身の誇り(ルキア)を傷付けるという、重罪中の重罪を犯した張本人だ。許せるものか。

 

 

「…良いだろう」

 

「ん?」

 

 

 直後、白哉は瞬歩でルキアの元へと移動。空いた左手で再び彼女を抱え込むと、周囲に散らしていた花弁を元の刀身の姿へと戻した。

 その行動を見たゾマリは首を傾げる。

 ルキアを抱えた意図は解る。手の内にあった方が護り易いという事だろう。

 しかし何故始解を戻したのかが不明。まさか自身の響転の速度を見ておきながら、通常状態でも対処出来ると考えた訳では無い筈。

 

 

「…その身に直接刻み込め」

 

 

 困惑するゾマリを余所に、白哉は斬魄刀の柄を逆手に持つと、その刀身を下に向ける。

 刹那、柄を握っていたその右手が開き、斬魄刀が落下する。

 そのまま地面に突き立つかと思われたが、そうはならなかった。

 しかも落下速度もおかしい。明らかに緩やかで、この時点で重力法則に従っていない状態にあるのだと判断出来る。

 

 

「幾ら足掻こうが覆る事の無い―――私と貴様の格の違いというものを」

 

 

 怒りの度合が上がっているのか、もはやゾマリに対する呼称も変化していた。

 自身と同等か、ある程度認めた目下の相手に対しての敬称として、白哉は“兄”という呼称を使う。

 つまり彼の中では、もはやゾマリ・ルルーという存在はそう呼ぶに値しない者と化していたのだ。

 

 

「“―――卍解”」

 

 

 刀身が地面に触れた途端、その地面が水滴の垂れた直後の水面の様に波打つと、静かに吸い込まれる様にして、斬魄刀全体が沈んで行く。

 呆気に取られた様に、ゾマリは只々それを眺め続ける。

 ―――後に其処で即座に動かなかった事を心底後悔する事になるとはいざ知らず。

 

 

「なんだ…それは…」

 

 

 ゾマリは喉の奥から絞り出す様にして呟いた。

 やがて白哉の周囲の地面より現れたのは、無数の巨大な刀身。

 百は優に超えているだろうか。それが一体如何なる攻撃能力、手段を持っているのか想像も付かない。

 だがその疑問は即座に解消する事となる。

 

 

「“散れ―――”」

 

 

 始解と同じであるその解号を耳にしたゾマリは、其処でやっと気付いた。

 ―――まさかあの刀身全てが枝分かれするというのか。

 慌てて帰刃の為の構えを取らんとするが、最早全てが手遅れだった。

 

 

「“千本桜景厳(せんぼんざくらかげよし)”」

 

 

 始解時の千を超えた数億にも及ぶ刃が、部屋中に舞う。

 その様は桜吹雪とは程遠い、花弁の濁流。

 やがてそれは宮全体を粉々に切り刻みながら、ゾマリ目掛けて飛来し始める。

 

 

「ッ!!! “鎮ま―――”」

 

 

 背筋にこの上ない悪寒を感じたゾマリは、自身の斬魄刀を横に倒し、胸の前で浮かせる。帰刃の為の儀式の為に。

 ゾマリの帰刃はやや特殊で、解放する為にはやや面倒な準備が必要となる。理由は肉体に多大な変化が起こる為だ。

 彼の帰刃形態は、下半身が幾つもの人面を持つ巨大な南瓜の様に変化する上、存在する計五十以上の目に見詰めた物の支配権を奪う能力―――“(アモール)”という特殊な能力が付与される。

 様々な能力を保持しているザエルアポロも、帰刃の際には態々斬魄刀の刀身を飲み込み、身体全体が膨張した後に帰刃形態へと至っている。

 備えている機能が多い機械程、起動に時間が掛かる。つまりはそういう事だ。

 

 それを考慮すると、アーロニーロも前述の二人と同列に見えるが、実際は異なる。

 彼は元より不完全な破面だ。しかも平常時に海燕の姿と能力を模した実績から、既に解放以前からその能力を使用出来ている事が判る。

 ある意味、普段から半分帰刃していると言っても良い。故に帰刃の際も特に手間が掛かる事は無いのだ。

 

 巨大化、鎧を纏う、腕が倍になる、羽や尻尾が生える等。解放後は身体に余り大きな変化も起こらず、身体能力が上がる程度の変化のみの場合。

 またはハリベルやバラガンといった破面化の完全な成功体の様に、解放せずとも日常的に能力を使用可能としている破面も、特に帰刃の際の制約は無い。

 故にゾマリには、無拍子で帰刃する様な芸当は到底不可能だった。

 

 

「…何……だと…」

 

 

 案の定、ゾマリが真面に取れた行動は斬魄刀を浮かせただけ。

 次に足を肩幅まで開き、その両手を合わせる為に腕を上げた直後だった。

 ゾマリの周囲を花弁の濁流の一部が一周したかと思うと、彼の両腕の肘から先が何処にも見当たらなくなっていた。

 

 ガシャリと、胸の前で浮かんでいた斬魄刀が地面へと落下する。

 ―――あの一瞬の内に、自身の腕を塵も残さぬ程に切り刻んだというのか。

 ゾマリは完全に消失した己の前腕を呆然と眺め続ける。

 

 

「貴様の階級、異名、能力。全てに於いて興味は無い」

 

「―――く…」

 

 

 次の瞬間、数億の刃が彼の周囲を完全に取り囲んだ。

 帰刃は不可能。“双児響転”も無意味。

 もはやこの勝負の行方は見え切っていた。

 

 

「貴様に残された道は只一つ。私の誇りを傷つけた事を…心の底より悔いて死んでゆく事だけだ」

 

「…くそおおおおおおおおおぉぉぉ!!!」

 

 

 全ては白哉が始解を戻した時点で動かなかった事。そして自身の帰刃が手間と時間が掛かるものであった事。

 それ以前にこの宮の中へ移動する際、事前に帰刃しておくべきだったのだ。

 白哉が隊長である事は理解していた。ならば何故そうしなかったのか。

 表面上は対等な相手だと考えつつ、その思考にそぐわない行動を取っている事から、やはりゾマリは少なく無い慢心を抱いていたのだろう。

 

 結局のところ―――ルキアに手を出した時点で、既に運命は決まっていたのかもしれない。

 そして史実通りに事が進んでいたとしても、単に早いか遅いかの差でしか無かったのだが。

 

 

「“―――吭景(ごうけい)・千本桜景厳”」

 

 

 叫び声を上げるゾマリを取り囲んでいた全ての刃が、次第に球体状へと変化。容赦無く内側に居る彼を全方位から押し潰しに掛かる。

 加減を一切捨てた白哉の卍解の前に、通常状態の鋼皮で対抗出来る筈も無い。

 断末魔の悲鳴を上げる余裕すら与えられぬまま、ゾマリは瞬く間に全身を斬砕された。

 

 

「…刃の(のど)に、吞まれて消えろ」

 

 

 やがて無数の刃が拡散すると、その中心には肉片一つ残っていなかった。

 十刃最速の名を冠する男。第7十刃、ゾマリ・ルルー。

 形は違えど、確かに彼は最速であった。

 

 

 




悪戯小僧、ちゃっかり生存。
済まぬさん「ダァーイ(♯`・ω・´)p」
最速(笑)さんはマジで最速だった…(唖然





捏造設定及び超展開纏め。
①結局主人公ウジウジしてんじゃねぇか(怒
・態度には殆ど出して無いからノーカン。
・“俺もう覚悟(笑)決めたし、何人殺してもどんな外道しても一切動じないんだZE☆”的な屑主人公にだけはしたく無かったんです、はい。
・もし↑みたくなってたら、もうそれは人間じゃないよ(真顔
②悪戯小僧はちゃんと躾すれば良い子になる。そして生存。
・小説版読めば解るかと思いますが、咄嗟に自分達を助けた死神達に対しても好印象抱いてたし、並みの理解力はあるかと。
・またはもっと絶望的な状況から助けてもらう様な真似をされれば、まずコロッといきそう。
・生存させた理由は、うちの鉄燕さんが惚れた男を思い遣る良い女だったからであり、そして何より私が好きなキャラだったからです(笑
③隊長クラスが使えば低級縛道でも強い。
・破道がそうなのだから、多分縛道でも同じかなと。
・六杖光牢の拘束時間についてはあやふやなので、最速(笑)さんが抜け出す為に必要だとした時間については適当です。
④済まぬさんは回道も優秀。
・原作では使った様子は欠片も無いけど、彼なら多分難無く使えそうだと思って捏造。
・「まさか私がこれを使う時が来るとは…」とか言いそう。
⑤済まぬさん無双。そしてシスコン。
・外面クールで、内面デレデレ。これはかなり需要ありますよ(確信
・オサレ展開的に相当焦らす感じで勝利するのも好きだけど、終始安定してスマートに勝利する済まぬさんも好きなんです。
⑥最速マジ最速。
・さすが最速(笑)!おれたちにできない事を平然とやってのけるッ!そこにシビれる!あこがれるゥ!
・最速(笑)さん「私は十刃(の中で敗ける速度が)最速でして…(震え声」
・別に彼の帰刃形態とか能力とかの描写が面倒だった訳では無いですよ?
・それに何だかんだ言って、この人も結構慢心レベル高いですから。初めから済まぬさんガチモードなら、こんなものかと。

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