刀使ノ巫女 護国の御刀   作:山さん

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刀と艦隊

第一章 「いずも」への着艦

 

 轟音を響かせながら、灰色の空を切り裂いて海上自衛隊の輸送ヘリが進む。

 眼下には蒼黒の海と、そこに浮かぶ巨艦――ヘリコプター搭載護衛艦「いずも」の威容が広がっていた。全通甲板の上には整然と並ぶ隊員たちと、見慣れぬ鋼鉄の巨塊が目に入る。甲板の後方には翼をたたんだF-35B戦闘機が待機し、海と空を睨んでいた。

 

 「着艦まであと三十秒!」

 操縦士の声に、刀使たちは緊張と期待を胸に身を固くする。可奈美は隣の姫和の手をぎゅっと握り、舞衣やエレン、薫、沙耶香、そしてねねもそれぞれの表情で決意を浮かべていた。

 

 やがて、振動が伝わる。ヘリがゆっくりと「いずも」甲板に降り立ったのだ。

 ハッチが開き、潮風が吹き込む中、刀使たちは制服姿のまま、鋼鉄の甲板に降り立った。

 

 

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第二章 山口鈴花との邂逅

 

 出迎えたのは、制服に身を包んだ海上自衛官たち、そして彼らの先頭に立つひときわ堂々とした女性だった。

 背筋を伸ばし、鋭い眼光を持ちながらも微笑を浮かべるその姿――

 

 「第一護衛隊群司令官、山口鈴花です。ようこそ、いずもへ」

 

 その声は澄んでいながらも深みを帯び、艦上に立つ者すべてを包み込む力を持っていた。

 

 可奈美はすぐに笑顔で一礼する。

 「こちらこそ、よろしくお願いします!」

 

 その隣で姫和がふと眉を寄せ、目を凝らした。

 「……あれ? この方……ニュースで見たことがある。山口多聞提督の……孫娘よ」

 

 その言葉に他の刀使たちは驚きの声を上げた。

 「えっ!」「あの山口提督の!?」「伝説の海軍提督の……」

 

 鈴花は柔らかく笑い、手を振った。

 「ええ、よく知られていますね。祖父の名は光栄ですが、私は私の戦い方で、この海を守ります。今日はあなたたちと共に」

 

 その言葉に、刀使たちの胸に熱がこもる。

 

 艦隊幕僚が前に出て、事務的に声をかけた。

 「とりあえず作戦の説明を行います。ブリーフィングルームへどうぞ」

 

 

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第三章 ブリーフィング開始

 

 艦内の作戦室は薄暗く、壁一面に大型スクリーンが並んでいた。海図、敵荒魂の推定位置、そして艦隊の配置が赤と青のマーカーで示されている。

 

 鈴花が立ち上がり、全員を見渡す。

 「今回の敵は海中深くに潜む荒魂。刀使の皆さんは直接は手を出せません。よって我々がまず、P-1哨戒機と艦隊火力で叩き、海面へと燻り出す作戦を取ります」

 

 スクリーンには、哨戒機から投下されるソノブイ、アスロック、07式魚雷投射ロケットの映像が映し出された。

 「これら対潜兵器で敵を追い込み、浮上したところを――」

 

 映像が切り替わり、「いずも」の甲板から飛び立つF-35Bが映る。翼下にぎっしりと爆装を施した姿――

 「F-35Bをビーストモードで出撃させ、JDAMによる精密爆撃を行います。その後、いずも以外の護衛艦が主砲、対艦ミサイル、さらに『まや』に搭載されたレールガンで徹底的に弱体化させる」

 

 鈴花の声が響く。

 「荒魂が十分に弱った段階で、哨戒ヘリに分乗した刀使の皆さんが降下し、御刀で止めを刺す。これが全体の流れです」

 

 

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第四章 刀使たちの疑問と説明

 

 可奈美が手を挙げ、首をかしげる。

 「でも、海の中にいる相手を、そんなに正確に捕まえられるんですか?」

 

 姫和が静かに答える。

 「彼らは――サブマリンハンター。海中の敵を捕らえることこそ、海自の真骨頂よ」

 

 幕僚が補足する。

 「P-1哨戒機は世界でもトップクラスの対潜能力を持っています。ソノブイと磁気探知で荒魂の動きを捉え、艦隊のセンサーとリンク。網の目のような探知網で逃しません」

 

 その説明に、刀使たちは目を見開いた。

 舞衣は感嘆の声を漏らし、エレンは興奮気味に「スーパーね!」と叫ぶ。薫は腕を組んで「なるほどな」とうなずき、沙耶香は無言のまま目を輝かせた。

 

 

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第五章 F-35Bとレールガン

 

 鈴花は次に映像を切り替えた。

 F-35Bが翼下に爆弾やミサイルを満載し、ビーストモードで飛行する姿だ。

 「F-35Bは通常ステルス性を活かす兵装搭載ですが、今回は火力を重視します。ステルス性は低下しますが、その分だけ圧倒的な火力で荒魂を弱らせる」

 

 可奈美は「すごーい!」と子供のように声を上げた。

 「空飛ぶストームアーマーみたい!」

 

 さらにスクリーンには「まや」のレールガンが映し出された。

 「これは最新鋭の電磁加速砲。超高速の弾体を打ち出し、従来の砲弾を凌駕する威力を発揮します」

 

 刀使たちの間から驚きの声があがる。

 「これが……未来の兵器……」「すごい……」

 薫は「マンガの世界じゃねぇか」と呟き、エレンは「ハリウッド映画よりド派手ね!」と笑った。

 

 

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第六章 鈴花の決断

 

 鈴花は一呼吸置き、幕僚に指示を下した。

 「私の裁量権で、第一護衛隊群に配分されている弾薬の使用量を40%から50%に引き上げます」

 

 幕僚が目を丸くする。

 「よろしいのですか? 当初の計画とは違いますが……」

 

 鈴花は小声で幕僚に告げた。

 「この子たち、私たちの子供と大して歳は変わらないのよ。荒魂は御刀でしか祓えないのは理解している。でも、徹底した準備攻撃で弱体化させて、危険な棘は抜いておきたい。無用な犠牲は出させない」

 

 幕僚はしばし黙り、やがて深く頷いた。

 「了解しました、司令」

 

 

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第七章 出撃準備

 

 鈴花が全員に向かって声を放つ。

 「では、準備にかかって」

 

 その一言で作戦室の空気が一気に動き出す。幕僚たちが指示を飛ばし、通信士が各艦に伝達する。

 刀使たちは互いに顔を見合わせ、静かに頷き合った。

 

 姫和が呟く。

 「これが……海と刃がひとつになる戦い」

 

 可奈美は拳を握り、笑顔で叫ぶ。

 「よーし! 荒魂だって、みんなで力を合わせれば絶対に倒せる!」

 

 海と空と刃。

 日本の守りを担う者たちが、今ひとつの力となって荒魂に挑もうとしていた。

 

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