ようこそうろ覚えな世界の教室へ   作:無名の誰かさん

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今のうちに言っておくと、主人公は各クラスのリーダーには到底及びません

Bクラスなのも単純に総合力的にAに届かないだけでA相当だけど何か問題を起こして、とか原作主人公よろしく実力を隠してなんてこともありません。

仮に原作知識を抜いてよう実に放り込んだら、ちょっと名前が出たことがあるモブで終わります。


坂柳 有栖(天才)

 坂柳 有栖は天才である。

 

 これは彼女の傲慢さではなく、純然たる事実だ。

 確かに才能、というものはあったのだろう。だがそれを磨き続け、『坂柳 有栖』という存在の輝かしさを証明してきたのは彼女自身である。

 彼女は自分の才を疑わない。いや、正しく認識している。と表現するべきか。

 

 そしてその事実は、この高度育成高等学校の中でも変わらない。

 確かにクラスメイトは優秀だ。初日に配布された10万ポイントも、入学した時点でその実力を認められているとはいえ、『高校生が無条件で毎月10万円を貰えるのか』という疑問を疑問のまま放置せず、その日のうちに減額の可能性をクラス全体で共有出来ている。

 

 そして彼女は、一部の上級生が自分達に対し、『配属されたクラス』に関心を持っているような発言があった事を認識し、Aクラスが学年全体でも優秀な生徒で固められているのであろう事を既に察していた。

 

 ならば都合がいい(・・・・・・・・)。元々クラスの掌握は前提条件。何人か担ぎ上げられる可能性もあるが、その程度の障害はあってくれないと肩透かしも良いところだ。

 

 そんな彼女だが、欠点もある。

 

 先天性疾患。これにより運動は『苦手』ではなく『禁止』されているレベルであり、杖無しでは歩行すら満足に行えない。

 だが先天性であるが故に、他者との接触を避けながら転ばないよう移動するのは慣れている。

 

 慣れているのだが、

 

「──っ!?」

 

 それでも常人より転んでしまう事は避けられない。

 受け身も慣れたものだが、やはり固い地面に放り投げられる痛みと屈辱は何度でも慣れそうにない。

 

 

「す、すみません!大丈夫ですか!?」

 

 接触した男子生徒が慌てた様子で駆け寄ってくる。声色や表情。そして接触した前後の状況から故意のものではないと判断する。

 

「問題ありません。私も不注意でした」

 

 どこにでもあるようなちょっとした接触事故。今回はタイミングの問題で有栖が転んでしまっただけ。

 だから差し出された手を取って立ち上がり、互いの不注意を謝罪し合う。これでこの件はおしまい。

 

 そうなるはずなのだが、

 

 ただこの時の有栖の中で、ほんの少しの嗜虐心が顔を覗かせた。

 転ばされた男子生徒への怒りは本当にない。ただ、有栖とて予想外の痛みを負った事による苛立ちは多少なりとも出てしまう。

 

 本来なら状況次第でそれを飲み込む理性も当然持ち合わせているのだが、今回はその苛立ちを些細な悪戯という形で吐き出すことを選んだ。

 

「怪我とかありませんか?えっと……」

 

「始めまして。一年Aクラスの坂柳 有栖と申します。本当に平気ですのでお気遣いなく」

 

 所属クラスまで付け加えた自己紹介。これが彼女の些細な悪戯。

 

 目の前の生徒は1年Aクラスの生徒ではない。そして現在の時間は昼休みを告げるチャイムが鳴ってから約五分。上級生が昼食より優先して入学二日目の一年生校舎を訪れる可能性は低い。万一、彼が上級生なら繋がりが作れたと思えばいい。

 

 この学校がクラス分けの時点で生徒の実力を反映している可能性は高い。だが入学時の成績だけが三年間全ての評価になるとも考えにくい。そして入学早々に配布された高校生には破格の小遣い。

 さすがに全容までは予測出来ないが、それでもAクラスという肩書がただのマウント以上に重要な役割を持っている確信が有栖にはある。

 

 詳細が一年生に知らされるのは一週間後か、一ヶ月後か。どちらにせよその頃には手駒(・・)の選別を終え、クラスの掌握にかかる。

 その時、『Aクラスの坂柳から不興を買っているかもしれない』と冷や汗の一つでも流せばいい。その程度の危機意識すらないのなら、他クラスの脆弱部分が早々に一つ露見するだけ。

 

 

(───は?)

 

 

 と、そこで

 

 既に(・・)有栖の姿に顔をひきつらせている男の姿に、思考が疑問で埋まる。

 

「あの……?」

 

「っ、あぁ、ごめんなさい。俺は1年Bクラスの───」

 

 

 顔にも名前にも覚えはない。彼とは間違いなく初対面だ。

 女性に不慣れ?転んだ自分にすぐさま手を差し伸ばせるのに?

 表情や言葉尻から恐怖も見え隠れする。もしや身体が不自由な知人を連想した?いや、それなら有栖が立ち上がり杖をついた時点で何かしらの反応があるはずだ。明らかに自己紹介後から様子が変わった。何か言葉選びを間違えたか。自分の発言を瞬時に思い返し──

 

 Aクラスという単語に反応した……?それが意味するところは

 

(彼も既に気付いてる……)

 

 有栖のように探索で辿り着いたか。それとも知人が在籍していたのか。どちらにせよ、初日で自分と同程度の情報を収集出来る行動力や思考力に、有栖は感嘆した。最も、それを簡単に読み取らせてしまうのは減点だが。

 

「せっかくの別クラスでの交流機会は惜しいですが、すみません。行かなくては」

 

「い、いや。こちらこそお構いなく。それじゃ気を付けて」

 

「えぇ。それではまた(・・)

 

 連絡先の入手くらいはしてもよかったが、彼もそこまで踏み込まれるのは困るだろうと、今回は退くことにした。

 

「Bクラス……ですか」

 

 有栖の予測が正しければ、自分のクラスの次に優秀なクラス。

 あくまでそんなBクラスの一人、さらに入学二日目での評価。今回は偶々で、後は有栖を失望させるだけかもしれない。

 

「ふふっ」

 

 しかし、それでも有栖は期待することにした。

 

 

 坂柳 有栖は天才である。

 

 彼女の中では、高度育成高等学校は踏み台に過ぎない。

 

 とある施設が生み出した偽りの天才を否定するための踏み台。

 

 それを為すにはここで躓くわけにはいかない。

 クラスの掌握は前提。運動が出来ないという欠点を補って余りある才と実力を、この三年間証明し続ける。

 

 

 だが、どうせ踏み台にするのなら少しでもハネが良い方が楽しめるというものだ。




・坂柳 有栖
Aクラスのヤベー奴
原作では一年生編で原作主人公に実質敗北。二年生で主人公に味方する前作ボスの定めか不覚を取る場面も見られたが、よくよく考えなくても普通に化け物。

アニメ一話でもあったDクラスをバカにする発言とか彼女が聞いたらこれくらいあっさり辿り着きそうだな、という作者の解釈のもと、本作では既に学校のシステムに大体の当たりはつけてる。やりすぎかとも思ったが原作が大概なので

オリ主に舐められない為の布石が即座にクリーンヒットした為、「もしかしてBクラスっておもろい?」みたいな感じでテンションちょっと上がった。



・主人公

原作知識という優位を一日で原作のバケモノに並ばれることになった可哀想な人。でも普通に相手が悪い。

杖がないと歩けない有栖を見て「あれそういえばそんなキャラいなかったっけ?」となり、もう原作時空かもしれないと半ば諦めてるが5月のポイント集計に一途の望みをかける。現実は非情である



・Bクラス

何か知らぬところでラスボスからのハードルが上がった
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