感想・評価もすごく励みになっています。これからもマイペースに頑張ります。
有栖という特徴的な名前。Aクラス。歩行に難がある。とキャラが立ちまくっていてる生徒と遭遇し、早々に原作時間軸の可能性が高くなった入学二日目。
どうなることかと不安だったが、あれ以降特に坂柳本人はもちろん、Aクラスの生徒から俺個人への接触も特になく時間は過ぎ、四月も終わりが見え始めた頃。
「山菜定食……?珍しいな。食事への出費はケチらない主義、と言っていなかったか?」
「柴田と昼飯賭けて負けたんだよ。水泳なら勝てると踏んでこのザマだ」
警戒しなさすぎるのも良くないとは思いつつも、だからといってこちらから何か出来ることもなく。俺は当初の予定通りこの特殊な高校生活を満喫し、クラスメイトとの交友を深めていった。
さすが優秀順で分けられる中でのBクラスというべきか。もちろん各々の個性はあれど居心地のいいクラスで、隣で昼食を共にしてる神崎。視界の奥でスペシャル定食なるものをウキウキ顔で受け取っている柴田の野郎を初め、友人には早々に恵まれた。
ちなみに今日の俺の昼食である山菜定食。価格はなんと0ポイント。つまりタダ──なのだが、普通においしくない。
定食というだけあって白米と味噌汁はついてくるのである程度の量は担保されいるし、食べられたもんでもないと言うほど不味いわけでもないのだが、育ち盛りの高校生の一食としは味はもちろん栄養的な意味でも満足できるものではない。個人的には節約目的だったとしてもポイントに余裕があるなら月に二回食べれば充分。そんなメニューだ。
「あぁ、それで。一角がやけに騒がしいとは思ったが」
「気付いてたなら輪に加わらずとも、何があったかを尋ねる。そういう一歩の積極性から生まれる一つの会話が友達を増やすコツだよ神崎クン」
「……一々からかうな。お前以外にも友人はいる」
「はははっ!悪い悪い」
そんな食事もこうして友人との談笑との中なら多少マシに……いや、あんまならないな。山菜が口の中に入る度に気が滅入る。許さん……!許さんぞ柴田 颯……!
そんなことはいい、と話を変えようとする神崎に、今日はよく喋るな、と嫌味ではなく本当に意外だったので耳だけでなく視線も向ける。
「もう四月も終わりが見えてきた。つまり次のポイントの振込日も近いということになる。だというのに昼食を奢る形になったとはいえ、この時期に山菜定食だ。何かあったんじゃないだろうな?」
「なんだ、心配してくれてるのか?問題ないよ。何なら直接確認するかい?」
箸を置いてポケットから端末を取り出すが、手で制されたのでしまい直す。多数の生徒がいる食堂での行動としては軽率ではあっただろうが、ノータイムで端末を差し出せる自信は伝わったのだろう。ため息一つでこれ以上の追求はなかった。
(まぁ神崎の不安が分からんこともないが……)
というのも、入学から一週間ほど経った頃に、神崎との会話の中で『この学校のシステムについてどう思うか』という意見を求められたことがある。
全員に10万を与え、敷地外へ出られないと言っても、その敷地面積が広大すぎるが故に不便に感じることは無く、だというのにそれ以上に厳格な校則で縛られていることもない。一週間も過ごせば不安や不気味さも当然出てくるだろう。
その時は、Cクラス内での暴動も耳に入ってきており、坂柳の件もあって目立つことを避けたかった俺は、持ってる知識を開示することはせず、かと言って何も考えていないようなのもどうかと思い、「いきなりポンと10万渡されるのは確かに怖い」「ひとまずそれに恥じない態度は示そう」という当たり障りない返答をした。
だがそんな返答をした──更に言えば、先の神崎の指摘通り、これを食べて節約するくらいなら食費はケチらないとも言っていた──男が、月替わりが見えてきたタイミングで0円定食を食べている。神崎からすれば不安にもなろう。
「……この際だ。もう一つ訊いておきたい」
「本当に今日はよく喋るな。どうした?」
「何故、振り込まれるポイントが変動する可能性をクラスに伝えない」
「うん?」
「惚けるな。お前は一週間の時点でそれを危惧していたはずだ」
惚けたつもりではないのだが。しかし神崎の性格や話の内容からしても冗談とは考えづらい。
しかし、一週間……となると
「学校のシステムについてどう思うかのアレか?」
「あの時、10万を受け取るに恥じない態度を示す、と言ったな。つまり態度次第では10万を受け取れなくてもやむなし、とも思っていたはずだ」
……なる、ほど。そういう捉え方になるか。これは俺が選択間違えたかもな。
「教室に設置されたカメラも、俺達の授業態度を監視するためと説明もつく」
……は?かめ、ら……?あ、あの教室の天井に付いてるヤツ! あれカメラか!
「敷地内のあちこちにカメラがついてるのも、それの延長線と……どうした?」
「なんでもない」
普通に単なる防犯カメラだと思ってました。
そうだよなぁ!規模がデカすぎて麻痺するけど『学校の敷地内』だもんなぁ!敷地内での行動はそりゃあ査定に入るよなぁ!
自分が惨めに思えて思わず手で顔を覆う。心なしか目の前の山菜定食も不味く……元から不味かったわ。何でこれ食べてんだっけ。ふざけんなチクショウ
「……言いたいことは分かったが、それで俺を責めるってことはお前も同罪になるぞ神崎」
「責めてるわけじゃない。単純な俺の疑問だ」
それもそうか。この解釈をした神崎が散財するはずもないし。責めるつもりなら、神崎を経由して別のクラスメイトが抗議しにくるだろう。
……というか、こいつと腹の探り合いみたいな事する必要ないよな?今の疑問にも、さすがに全部明かすことは出来なくても、特段バレてまずいことはないし。
「……先に言っとくと何か後ろめたい理由があるわけじゃないよ。単に必要ないと思っただけ」
「必要ない?」
「10万渡されて単純に怖い。金銭感覚が狂いそう。貯金が性に合う。一ヶ月で使い切る必要なし。それぞれが自分の考えでちゃんと管理している。さすがに全員とポイントの事でそこまで踏み込んで話したわけでもないけど、クラスの様子を見ても大丈夫そうだなとは思った」
「どういう事だ」
「全員の無遅刻無欠席居眠り0が10万継続の条件とするならポイントは減るだろうけど、少なくとも来月からいきなり1万2万で生活しろ、なんて言われるような問題児だらけのクラスでもないしな」
寝坊をした。トイレに行くのが遅れて次の始業に間に合わなかった。部活動の疲れでつい船を漕いだ。といった事は四月のうちでもちょくちょくあったが、どの学校でも起こり得そうな範囲でしかなく、概ね授業は真面目に受けている。という印象はある。
全体的にやや浮かれ気味な空気感は未だ抜けずとも、よく学びよく遊ぶを体現しているクラスだと個人的に思っている。
「まぁそんな感じで……なんだよ神崎。どうした」
──と、そこで
横に座る神崎が険しい表情でこちらを見ている事に気付いた。なんだ。今の何が引っかかった。
「ポイントの増減は個人毎だと考えていたが……クラス単位と断定出来ているのか。お前は」
やっっっっっっべ!!!!
・主人公
喋るたびに自身の思惑と違う方向に進んでいってる。何なら原作知識があるのに知識の部分で分からされた。原作知識持ちオリ主の姿か?これが……
介入か、静観か。それを決断しなければいけない期間は刻一刻と迫ってきている。
・神崎 隆二
主人公とは学校のシステムに関する有意義な対話が出来た事からクラスの中では地味に好感度が高い。
今回の疑問も、実は「もしかしたら自分が深読みしすぎているだけかもしれない」とも思っていたら知らん情報が出てきた。早く彼女に伝えなければ
・一之瀬 帆波
クラス全体が学校生活にも慣れ始めた頃なので、その日の放課後にポイントに関する意見を共有し、改めて気を引き締めさせる算段を取っている。
そんな彼女の元に一本の電話が鳴る