現在、
おそらく色々と聞きたいことがあるだろうなと思った
「一応確認だけど、急にお邪魔していいの?」
「うん。多分……お母さんもいいよって、言ってくれると思う……」
そう言ってニコッと笑う燐子。かわいい。
「ところで……」
そしてふと思ったことが一つ、
「よく一目で僕だって分かったよね。なんで分かったの?」
おそらく、ただ偶然公園にいる青年を見つけそれが偶然
「えっと……なんとなく、かな」
「なんとなく」
まさかとは思ったがなんとなく
「……ねえコウくん」
「ん?」
「私ね……すごく、寂しかったんだよ……?9年と半年、かな?コウくんがいなくなってから、ずっと」
「……」
事情があったとはいえ人見知りが強かった彼女は近所に住んでいて尚且つ赤ん坊の頃から面識がある彼に懐いていたが、それこそ他の友達より(というよりあんまりいなかった)
「正直……もし生きていて、また再会したら、文句を言おうかと……思っていたけど……今日偶然見つけたら、それが吹き飛んじゃったよ」
「……ごめんね」
「謝らなくていいよ……。ちゃんと、戻ってきてくれて……生きているのがわかったから」
そう言って燐子は微笑んだ。そして
そうして燐子の家に向かうまで昔話に花を咲かせた。咲かせている中で、ふと思った。
(あれこれ昔何があったか聞かれるよな?いや絶対聞かれるなどうしよう説明どうしよう)
だがしかし、そんなことを思った時には既に燐子の家の前にいた。
燐子が直接言ったわけではないがおそらく聞きたいと思うだろう。いや、これは話さないといけない義務がある。そうなると彼にとっては少し厄介だ。なので……
「りんちゃん、ちょっと連絡しないといけない人がいるから電話してきていい?」
「あ、うん、いいよ……」
『どうした
「ああ会えたよだから助けろ」
『ずいぶん焦ってるな。緊急事態か?』
「緊急の中の緊急だ。僕の過去、なんて説明すればいい?」
『あ』
嘘だろお前……と思いながら頭の中で嘘の設定を素早く考える。
なぜ嘘の説明をしないといけないのか。それは
『……ま、どうにかなるだろお前なら』
「んなわけあるか!と言いたいところだがなんとかできそうではあるんだよなぁ……」
まあ嘘がバレた時の気まずさがやばいがな、と心の中で思う。
『とりあえずお前は俺の養子ってことにしよう。一応そういう戸籍で登録してるわけだし』
「……その方がいいか。けどこの9年半の具体的な中身はどうする?」
『俺との出会いとかを参考に適当に考えてくれ。お前ならいけるだろ』
「じゃあ適当に話しとくわ」
『おう。終わったら報告忘れんなよ』
「わーってる」
※
家に入ると燐子の母である白金
苦しかったが、同時にこんなに心配してくれたのかと嬉しい気持ちと罪悪感を感じた。罪悪感を感じた主な理由は、生きている連絡はもっと早くできたのに連絡しなかったからだ。
そして現在、なんとか3人を落ち着かせてリビングに戻り燐子がお茶を淹れてくれている間、
「お茶、持ってきたよ」
「あ。ありがとう」
燐子が戻ってきたので思考を中断。そしてお茶を飲む。
お茶の間の雰囲気が変わる。そこから感じるのは、好奇心や恐怖。
「さて……とりあえず改めて、ただいまです。あといきなりいなくなっててごめんなさい」
そう言って頭を下げる。それを見た3人は真剣な顔つきになった。
「多分、いや、確実に皆さんはこの9年半僕が何をしていたのかがすごく気になってると思います。それを今から説明します」
ただし、と一度間を置く。
「今から話すものは一見信じられないような話や少し刺激的な話になります。僕もその辺の表現はなるべくマイルドに話すようにします。それでもよければ、聞いてくれますか?」
「……ああ、聞くよ」
「覚悟の上よ」
「私も……」
「わかりました。では話します」
3人は頷いて話を聞く体制なった。それを確認した
※
行方不明になった
・約9年半前、燐子と遊んだ帰り道でとある組織に拉致された
・そしてそこで様々な実験を行われ、最終的に
・そして6年前にゴミ捨て場で食べ物を探している所にとある人に拾われ、現在その人の元でアルバイトをしている
ざっとこのような説明を3人にした。
それを説明してお茶を一口飲む。
「以上が僕が過ごしてきた9年間……9年と6ヶ月の間に起こった出来事です」
「「「……」」」
3人の顔から読み取れる感情は驚き、衝撃、あとは同情だろうか、そんな顔をしていた。当たり前だ。多少表現は濁して説明したとはいえ目の前にいる人間は自分達が想像を絶する体験をしているのだから。
(まあ当然の反応だな)
「……
「なんでしょうか」
初めに口を開いたのは涼平だった。どんな言葉が来るかと
「……すまなかった」
「……え?」
なぜなら、涼平が頭を下げたからだ。
「……いやいやいや、なんで涼平さんが頭下げてるんですか?」
「君がそんな辛い体験をしていたとは知らずに君の過去を聞いてしまったんだ。申し訳ない」
どうやら過去を聞き出してしまったことに罪悪感を感じてるらしい。死んだと思っていた少年が唐突に帰ってきて、何があったのか、今までどうしていたのか等々、気になることはたくさんある。しかし、もしそれがつらいものであったのなら、言葉にはしなくとも聞きたいという雰囲気を出してしまい、気を使って話してくれたと考えたのだろう。
「別にいいんですよ、9年半前の出来事だし吹っ切れてるんで。それに、遅かれ早かれ話さないといけないですし、こういう過去の話は早いうちがいいって言うじゃないですか」
確かにいきなり拉致られて知らない場所に連れて来させられ、辛い思いをしたのは事実。しかし、これは彼の中で一種の経験として落とし込まれている、言ってしまえば過去のこと。なので話すこと自体は問題ないのだ。
「そう、なのか?」
「ええ。お二人には小さい頃からお世話になったからこそ話したがいい……いや、話すべきかなって思ったから今回話したんです」
「……そうか」
そう言うと涼平はどこかほっとしたような表情になった。
「はいっというわけでこの話は終わり。話題変えましょうよ。僕だって聞きたいこと、話したいことが沢山あるんですから」
その後、優子が作ってくれた料理を食べながら過去の思い出話に花を咲かせた。初めて出会った時のこと、一緒にピアノを弾いたこと、
また必ず来ると約束して帰ろうとしたのだが、それを燐子が必死に止める光景が出来上がった。
「こら燐子、
「で、でも……」
「……じゃあこうしようか」
「何かあったらここに連絡してよ。いつでも連絡していいからさ」
「……わかった」
若干不満げではあったが、納得した表情でうなずいてくれた。
※
『いやーなんとかなってよかった』
「ほんとだよ。帰ったら作戦会議だクソったれ」
帰り道、
『まー、これで無事会うことができてよかったよ』
「そうだな、僕が勝手に気まずさを感じてただけで会えてよかった」
『あるあるだな』
『なあ、これの後に言うのもアレだが……』
「ん?」
真面目な声色になったのでしっかりと聞く体制になる。
『今回その幼馴染……りんこちゃん、って言ったっけ。その家族にお前の過去を話したんだよな』
「うん」
『本当の話はするのか?』
「いや、しない予定」
『え、そうなのか?』
「信じられないような話っていうのもあるけど……もし話してそれでフィルターみたいなのがかかって僕を見る目が変わって大事な時にそれが足枷になるのが嫌なんだよ。あとその話の一部は一般人が知らなくてもいいし知っちゃいけない話も含まれてるからさ」
『……』
「それに嘘は言ってないよ?ただ背景や
『……それは俺らの、〈鈴音〉の活動の話も含めてか?』
「それもあるけど、僕の中で大きく占めているのは僕の話していない
化け物と言ってくる人々、必死に、その人たちのために戦ったのに、待っていたのは罵詈雑言の嵐。挙句の果てに
故に殺すしかなかった。殺すしか、道はなかったのだ。
実験体にされたのも本当、戦争に参加したのも本当。
しかしそこには別の真実が隠されている、話すにはまだ早い真実が。故に真実を一部省いた。
「というかさ、信じてもらえないと思うんだよねこの話。だって現実離れしすぎているし」
『一つ、聞いてもいいか?』
「何?」
『……お前が今までしてきたことについて後悔してるか?』
「……。いーやあんまり?でもちょっとだけあるかな。もう少しこう、いいやり方があったんじゃないか、こんな選択ができたんじゃないかって。ま、今更だけどね」
『……そうか』
「ところで、この後僕は休みか?」
『ああ。もし仕事しようとしたら軟きn「わかったから!ちゃんと休むから!」ならよし』
電話の向こう側で
「じゃあな後でな』
『おう』
そう言って電話を切り夜空を見る。その空には久しぶりに見るオリオン座が輝いて見えた。
りんりんの両親は公式の設定がわからないのでオリキャラとして出しました。
いたら……優しく教えてください(豆腐メンタル)