時空序章~カーレッジ・黒影/たくっちスノーZEROラグナロク~   作:黒影時空

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黒影剣のサヤ

 アクアと松山が見せられたのは、密かに小さな人形となって生きながらえていた黒影剣であった。

 何百年経った痕跡があり、多少薄汚れているがガラス製の瞳がゆっくりと動いて覗き込み、細々とした形ながら精巧に話す姿は僅かながら生気を感じさせる、こんな現象をどう名付ければいいかと聞かれればそれこそ『魔法』と名称するしかない。

 

「といってもこれをやったのはワシではない、剣自身じゃ」

 

「えっと、君たちは……博士の知り合いだよね?」

 

「まあそんなところだが、よく出来た玩具じゃねえんだな?」

 

「うん、カーレッジの事を知ってるなら僕の事も知ってると思うけど、一応こういう魔法も使えたからね」

 

「なるほど、ハジマリアが魔法の世界だった以上それは納得がいくな」

 

 剣は説明した、ジルトーと剣は年を取らず若いまま成長せず生きるカーレッジを放置すればハジマリアは間違いなく悪化する、彼のそばで過ごしてきた自分達がなんとかする責任があるとジルトーは科学の力で体を改造して延命し、剣は魔法で魂を定期的に別の物に移して数百年間カーレッジに対抗する術となりそうな猟兵と呼ばれる存在の研究をしていたという。

 カーレッジがメイドウィンワールドで楽しんでいる間にずっと。

 

「しかしワシらはハジマリアのオブリビオンじゃから奴らの世界に入ることは出来ぬどころか一方的に殺されるじゃろう、しかしイティハーサ達を一度倒した猟兵は鍵を握ると思ってな」

 

「それに僕は仲間が欲しくて、冒険なんてしたいと言ったことは一度もない、ただ住処となる場所を求めて各地を転々としていたのをカーレッジが勘違いしただけだよ、それを伝えられなかった僕にも大きな責任はあるが……」

 

「あいつってメイドウィンワールドでも自分にとって女にちょっと優しくされると好意があると勘違いするからな、自分凄いって言葉に飢えてるってレベルじゃねえ」

 

「顔が良くなければ典型的な勘違いキモ男だな……ハジマリアにキャバクラとかあったらどうなっていたのか」

 

 人形を前になかなか失礼なことを言う3人、剣も若干動けるようで首を振って納得する。

 

「でもよ、この爺さんがいたとはいえ一人寂しくつまらねえ人生生き続ける覚悟とか出来てたのか?」

 

「それはもちろん辛いこともあったよ、でもこんなに時が経ったし僕は慣れっこだからさ……子供もいなかったしね」

 

 松山、マイティ、そしてジルトー達の3陣営。

 カーレッジは冒険を始めるための仲間を集めているはずが次々とカーレッジの役割を放棄して倒すために結束している、ヘイトが溜まってるやつが居ると1つになるとはいうが……。

 松山が人形を担ぎ上げて元の部屋に戻り、作戦会議を始める。

 

「それで現状どれだけ犠牲になったの?」

 

「カーレッジが言うには半数以上はもう……名前挙げたらキリがねえぞ」

 

「つっても爺さんが避難させている者も何体かいる、前もって逃がした奴もいるしな」

 

「むっ、話をしている場合ではない、奴じゃ! ワシが行ってくるから警備は任せたぞ」

 

 どんなに物語を始めても主人公狩りは止まらない、ジルトーは再び転送装置を起動して別の世界に移動する。

 その際に松山は剣人形を抱えて研究所の機材をいじると、テレビ画面にジルトーの様子が映るが、松山はライフルを構えて夜逃げの準備も始める。

 

「なんかあったらいつでも逃げるようにするぞ、あのジジイ死んだら元も子もねえが巻き込まれたくねえ」

 

「相変わらず薄情だな松山、俺はマイティ達を呼んでくるから監視は任せたぞ」

 +った以上それは納得がいくな」

 

 剣は説明した、ジルトーと剣は年を取らず若いまま成長せず生きるカーレッジを放置すればハジマリアは間違いなく悪化する、彼のそばで過ごしてきた自分達がなんとかする責任があるとジルトーは科学の力で体を改造して延命し、剣は魔法で魂を定期的に別の物に移して数百年間カーレッジに対抗する術となりそうな猟兵と呼ばれる存在の研究をしていたという。

 カーレッジがメイドウィンワールドで楽しんでいる間にずっと。

 

「しかしワシらはハジマリアのオブリビオンじゃから奴らの世界に入ることは出来ぬどころか一方的に殺されるじゃろう、しかしイティハーサ達を一度倒した猟兵は鍵を握ると思ってな」

 

「それに僕は仲間が欲しくて、冒険なんてしたいと言ったことは一度もない、ただ住処となる場所を求めて各地を転々としていたのをカーレッジが勘違いしただけだよ、それを伝えられなかった僕にも大きな責任はあるが……」

 

「あいつってメイドウィンワールドでも自分にとって女にちょっと優しくされると好意があると勘違いするからな、自分凄いって言葉に飢えてるってレベルじゃねえ」

 

「顔が良くなければ典型的な勘違いキモ男だな……ハジマリアにキャバクラとかあったらどうなっていたのか」

 

 人形を前になかなか失礼なことを言う3人、剣も若干動けるようで首を振って納得する。

 

「でもよ、この爺さんがいたとはいえ一人寂しくつまらねえ人生生き続ける覚悟とか出来てたのか?」

 

「それはもちろん辛いこともあったよ、でもこんなに時が経ったし僕は慣れっこだからさ……子供もいなかったしね」

 

 松山、マイティ、そしてジルトー達の3陣営。

 カーレッジは冒険を始めるための仲間を集めているはずが次々とカーレッジの役割を放棄して倒すために結束している、ヘイトが溜まってるやつが居ると1つになるとはいうが……。

 松山が人形を担ぎ上げて元の部屋に戻り、作戦会議を始める。

 

「それで現状どれだけ犠牲になったの?」

 

「カーレッジが言うには半数以上はもう……名前挙げたらキリがねえぞ」

 

「つっても爺さんが避難させている者も何体かいる、前もって逃がした奴もいるしな」

 

「むっ、話をしている場合ではない、奴じゃ! ワシが行ってくるから警備は任せたぞ」

 

 どんなに物語を始めても主人公狩りは止まらない、ジルトーは再び転送装置を起動して別の世界に移動する。

 その際に松山は剣人形を抱えて研究所の機材をいじると、テレビ画面にジルトーの様子が映るが、松山はライフルを構えて夜逃げの準備も始める。

 

「なんかあったらいつでも逃げるようにするぞ、あのジジイ死んだら元も子もねえが巻き込まれたくねえ」

 

「相変わらず薄情だな松山、俺はマイティ達を呼んでくるから監視は任せたぞ」

 


 

「……ふむ」

 

 ジルトーはカーレッジがまだ近くまで来ていないことを確認すると訪れた世界で数日過ごし状況を確認する、どうやらこの物語は魔法使いが迫害され科学が台頭し魔法を滅ぼそうとしてい流れとなっている、奇しくもあのハジマリアの経験が真逆となったような環境となっていた。

 魔法が科学を淘汰したあの時期、ジルトーは若い頃を思い出し末路まで記憶が巡ったところで

 

「嫌な時代になったものじゃな……まあ、ワシが言えたことではないか」

 

 運がいいのは早急に主人公に該当しそうなキャラクターの関係者に接触出来た事、2周目の記憶を保持する松山とアクアが付いているおかげで情報が綺麗に回り、ジルトーも行動がしやすくなった。

 

(松山によると物語の導入で魔女が処刑され、その弟子である主人公が未来で復讐者となり世界を滅ぼす内容じゃったな、タイトルは『はめつのおうこく』……フ、案外ワシらの世界も物語になってみれば同じような名前かもしれぬな)

 

 カーレッジは間違いなく魔女を処刑するタイミングで主人公を始末するために現れるだろう、だがジルトーにとってはたとえ物語の展開を変えることになったとしても魔女を見捨てる事はできなかった。

 かつて魔法使いに人生を歪められ、家族を失い……魔法を根絶しようとした自分だが、魔法の発展で映ったのは醜い人類……。

 せめて綺麗な魔法使いだけでも守るとあの日剣と誓ったのだ。

 魔女達が科学者を受け入れるか? それだけジルトーは本気だった、彼女たちが受け入れられるかではなく自分が救いたいから救う、ある意味自分もカーレッジと同類なのかもしれない。

 

「魔法も科学も人の幸せの為に必要なものじゃ、ワシの手で必ず守り通してやる、バリアも山程用意した!」

 

 まず魔女を保護してラボに帰還し、主人公を守れば目的は達成される、後は松山達に連絡を入れて時空間に繋がる穴を作成すれば……。

 だが、忘れてはいけない。

 ジルトー達が見て来た傍迷惑な男は今は法律で封じられていた魔法使いじゃない、神なのだ、当然不意打ちもできる。

 装置を起動して安全な場所に瞬間、光線のようなものが魔女を貫いた、もちろん安全の為にバリア装置を始めとして様々な防御手段が用意していたが、その全てが一瞬で破られて大きな穴が開く、これまで一度も破られることがなかった装置が全部木っ端微塵のガラクタと化していった。

 

「なっ……!? わ、ワシの傑作が!? 幾度となくシミュレーションとメンテナンスを繰り返したかわいいマシン達!?」

 

「おっと、当てる奴を間違えた……まあいいや」

 

 光の先にいたのは……カーレッジ・フレイン。

 ジルトーからすれば数百年ぶり、ハジマリアが滅んでからは初めての再開となった、

 あれからすっかり年老いたジルトーと、あの時変化してから一切の劣化もない子供のような大人みたいな姿のカーレッジ、ただし衣装は子供向けのパジャマ姿みたいになっていて結構ダサかった。

 


 

「おいおい……出会っちまったぞ」

 

 この光景は通信で松山達も確認しており、アクアが呼び寄せてマイティやファリンをはじめとして数々の仲間達がギャラリーとして参加していた。

 かつてのマイティのようにカーレッジかどうか確信がなかったキャラクターも何人か居たが、この確定的な光景を見て言葉が出なくなる者もいる。

 そして剣にとっても数百年ぶりにカーレッジを見る、成人した頃には恋心以前に既に関心も見せてなかった彼が……もうシュウもいない、自分が一番彼から目を逸らしてはならないのだ。

 

「まさか博士の発明品が破られるなんて……過去にもそんなことはあったけど、まさかここまであっさりなんて」

 

「所詮爺さんは俺と同じオブリビオンの1つだ、いざって時に敵わねえってことかよ……」

 

「大丈夫なのか……?」

 

「つってもあの爺さんは俺達よりずっとアイツのライバルだ、どういう奴かよく分かってるし引き際ぐらい弁えてるだろ」

 

 ジルトーは打ち抜かれた魔女を見る、光弾のようなもので体を貫かれてなんとか心臓には直撃していないことを確認し即座に応急処置を行おうとするがたちまち皮膚が腐食して溶けていく。

 少し反応してももう手遅れ、瞬き数回で塵一つ残らず粉々に朽ちていった。

 

「お、お前……!! なんてことを!!」

 

「あれ? 誰だっけこの人、まあいいや次は当てるよ」

 

「カーレッジ・フレイン! 貴様分かっているのか! お前が殺したのは魔法使いだぞ!!」

 

 カーレッジはジルトーの魂の叫びを聞くと首をひねり考えるような素振りをした後にアレがジルトーであることに気付く、すっかり年を取って体の殆どを機械化したのに気付けたのは自分に文句を言ってくる人間に心当たりがあるとするなら彼しかいないからだ。

 

「あ、もしかしてドクター・ジルトー? なんで生きてるの?」

 

「ワシの事はどうでもいい! 貴様は魔法使いを……剣をあんなに大事にしていたではないか! なのに何故魔女を容易く殺せるという! あんなにも魔法を使っていたじゃろう!!」

 

「あのねジルトー、俺は別に魔法使いの未来なんてどうでもいいよ……つるぎちゃんが魔法使いで魔法っていう面白い物を持っていたから面白かった、それ以外の魔法使いなんて人間の頃からどうでもよかったよ、むしろ俺の魔法の凄さが薄れて邪魔だし、新しい魔法使いなんて見つけなくても俺だけいればいいって昔から言ってたんだけどね」

 

「貴様……!」

 

 ジルトーは絶句する、カーレッジはずっと剣に惚れていたとばかり思っていたが全くの見当外れ。

 カーレッジが惹かれたのは未知の体験、あり得ない出来事の予兆、普通から外れた存在。

 結論から言えば、カーレッジは黒影剣じゃなくても奇天烈な事が起きればバケモノ相手でも成立するものを剣が自分にとって都合のいい性格をしていた人物だったから持て囃してもらう為にと曲解してこだわり続けていたことになる、蘇生計画が成功しないのも当然のことである。

 この事実は観戦していた松山やマイティ達も絶句、剣でさえも……ほんの僅かな時期でもカーレッジのことは思い出を残した友達と思っていたが本格的に裏切られたことになる。

 

「き、貴様……」

 

 ジルトーは両腕に備わった破壊兵器を起動してカーレッジを木っ端微塵に消し飛ばそうと構えを取るがその直後にメッセージが入る、松山にこんなときになんだと文句でも言ってやろうかと点けるとなんとそれは剣からである。

 

「博士、あんな奴相手にしなくていいよ、さっさとその人を安全な所に送って」

 

「……お、お前が言うならワシはそうするが」

 

「許せないよこんなの、僕も覚悟を決める」

 

「いやそうじゃない、ワシ上手くいくか? この流れで……!!」

 

 この状況で逃がしてくれるわけがない、カーレッジは背中の包丁を振るうだけで炎の柱を発生させる。

 先ほどの攻撃もあり防御も無駄と判断したジルトーはなんとか回避しながら目的である主人公を運ぶ。

 物語の流れで一度封印されることは知っていたので本来は前もってタイムカプセルに保管し、向こうで解放する予定だったのだが……。

 

「科学が魔法を迫害する歪んだ世界……ワシの死に場所はここかもしれんな……思えばワシは未だに思い上がっていた、今でもまだ科学なら人を守り通せると信じてこの始末じゃ、お前の大事な人が死んだのにはワシのせいでもある」

 

(もし目覚めた時にはワシを殺せ、アドニス)

 

 ジルトーは覚悟を決めタイムカプセルのみを送り、まだ未完成の究極兵器【ビッグバン】をカーレッジに直撃させるために自らは尽き果てる道を選ぼうとするが……。

 

「ファイヤーボム! ボンバーシュート!!」

 

 背後から世界移動装置が発動、マイティが垂直に爆弾を投げて松山が正確に狙撃、ここまで息を合わせてもカーレッジには当たらなかったが弾けるような爆風は集中を逸らすには充分だった。

 

「ん? なにあれ?」

 

(あいつら……すまぬ!)

 

 意図を読み取ったジルトーは隙を見てビッグバンを最低限の規模で放ちタイムカプセルごと一気に脱出、カーレッジは右肩を一瞬のうちに吹き飛ばされるが手袋を付け替えるが如く綺麗に再生

 

「まさかジルトーが生きてるとは……俺のことを悪く言ってた時期の人間がいると後々困るんだよな、ハジマリアは完全に滅ぼしたはずなんだけどなぁ」

 


 

 ジルトーはなんとか命からがら研究所に帰還し、次元装置の電源を切り仲間と再会する。

 松山は使ったばかりのライフルを何食わぬ顔で調整しながらタイムカプセルを受け取り適当な場所に捨てておく、アドニスはいつ目覚めるか分からないが解放されたとしてカーレッジの敵になるか、自分たちに協力してくれるかも怪しいところではある。

 

「すまん……お前たちに借りを作ってしまったな、一番しっかりせんといかんワシがこのザマか」

 

「何言ってやがる、てめぇ1人にカーレッジを殺されちゃ俺らキャラクター達はお気持ち表明100連発で浮かばれねえんだよ、だから手を貸してやったんだよなマイティ」

 

「……ああ、そうだね、あいつなんだ、シロボン……大丈夫だ、もうすぐ終わる、だから」

 

「自分や家族の人生を歪ませた元凶の心情がめちゃくちゃすぎて理解できなくて壊れちまったか、まあいいか」

 

 マイティの心は以前から限界を迎えていた、元々の世界でも英雄のように戦ってきて疲労し、あの休暇を最後に引退しようと考えた際にシロボンの死という地獄のような連鎖。

 もはや彼の人生はファリンと同じくカーレッジ・フレインを殺さなくては終わらない、あるいは進まないのだろう。

 そしてそれはマイティだけに限らない、数多くのキャラクターが同じ状態である。

 さらには彼女も決意を改めた。

 

「博士、ごめんね……僕はまだ甘かった、カーレッジも話せばきっと分かるような人だと信じたかったけど、僕が思ってたより子供のままだった」

 

「剣……!?」

 

 隠し階段があった部屋から見慣れない女性が現れたが、ジルトーは出会って早々それが剣であるとすぐに分かった。

 これまでのゴシック人形とは違うマネキンサイズでアニメキャラのフィギュアのように顔は洗練されなおかつ引き締まった戦士のような身体になっていたが、球体関節となっているのでやはり肉体は人形のままのようだ。

 

「そんなもんどこにあった?」

 

「今作ったんだよ、僕は科学の方が使ってきた年月のほうが長かったし腐っても魔法の始祖だ、ここまで変わったら僕と気付くこともないだろう」

 

「しかしそれでは貴方も直接……」

 

「戦うよ、直接叩かれなくちゃアイツは絶対に分からない……魔法でも科学でもなんでも使って、あいつを倒す! 博士とシュウくんに教えてもらったから僕は両方使える!」

 

 こうしてカーレッジの剣を蘇らせて終わらない冒険を続けるという計画が見えない所で進行不可能なほど崩壊した、これに関しては人生の中で剣の好感度を全く稼いでなかった、というより見えてなかったカーレッジの自業自得な面もあるが……。

 剣は見た目も名前も変えてマイティやファリンと同じチームに入った、カーレッジの手によって改変されたキャラも全てが時空監理局に所属しているわけでもなく松山を筆頭に姿を隠して行動している者も多い。

 

 

「僕はこれからは『サヤ』と名乗る、みんなもそう呼んで欲しい」

 

 剣……及びサヤが現れてからカーレッジは遂に8割ほどの主人公狩りを遂行させて物語を進める……が、ここから先ははじまりの書を元に台本を作るまでもなかった。

 主人公を失い、はじまりの書の通りに進まなくなった世界にバグが起こり本来ではありえない展開へ進んでいるのだが、その全てが何故か陰湿で気分の悪い内容へと向かっていった。

 いつの間にかこんなことになっているが、カーレッジとしては物語が終わる気配が無いし見たことない展開で面白そうなので良しとした。

 問題は展開が変わったことによるキャラクターの変化……。

 たとえば最初に松山達が主人公狩りを発見した『スーパーマリオ』の世界、マリオを失った世界は無ずすべもなくクッパに支配された……なんてことは起こらず続くようにクッパが失踪し代わるようにMK(マスカレイド・キング)と名乗る謎の怪人が現れ、キノコ王国の秘宝を盗んでいくようになった。

 ルイージは……マリオを助けようとして溶岩に落ちた、以降は焼け爛れたルイージの死体が彷徨い「I HATE YOU」という言葉を囁いているという噂がある。

 それ以外にも色々あるが、全部書き出すとそれだけで一つの物語になってしまう可能性があるのでここでは省略する。

 

「なんか変なことになってるけど、もしかしてあれが?」

 

「世界から滲み出した過去の産物……オブリビオンの真の姿」

 

「始まりの本から生まれた世界でオブリビオンって……じゃああいつらはオブリビオンじゃないのか俺と違って、いやオブリビオンの世界からオブリビオンが……もうややこしいな! 別の名前つけよう! どうせオブリビオンを把握してるのは俺だけなんだし!」

 

 カーレッジはまだキャラクター達をオブリビオンと思っているので紛らわしくならないように物語を陰鬱に変える元凶と定理を押し付けて『ハカイモノ』と名付けた。

 ハカイモノは放置するとどんどん物語を露悪的に書き換えてしまう危険性があり、そのまま滅ぼしてしまうかもしれない。

 

 人面機関車達は実は人類を改造したものだった! 破壊兵器『G1』

 幼稚園の中に怪物を見た! 『バンバン・リターン』

 バグとエラーとスケルトン! 『Underworld』

 青いハリネズミは毒素で悪魔と化した! 『リヴィジョンズ』

 その他各世界で歪んだハカイモノ達が蔓延る物語は広がる……。

 

 だがカーレッジはハカイモノを世界(物語)を歪めて破壊する存在『悪役』と定めて戦うことを思いつく、元々オブリビオンはそういった役割だが誰が自分好みの歴史にするかという競争でもあった。

 時には一人で現れてハカイモノを倒し、また別の時にはマイティ達を出撃させて絶対に自分が美味しいところを持っていく。

 正直言って主人公狩りの時とやっている事は変わらないが、元々が実力者揃いのキャラクターであるためカーレッジがいなくともハカイモノを次々と撃退していく。

 しかし宿敵相手でもないので解決するわけでもないのでハカイモノはいくらでも復活する、その上カーレッジも絶滅しないようにイティハーサの力でオブリビオンを作るようにハカイモノを密かに作成していた。

 

「ファイヤーボム!」

 

「アイスクラッシュ!」

 

「ユニコーンヘッド!」

 

 マイティ達はハカイモノと戦いながらゆっくりと反撃の機会を伺う、倒したハカイモノを回収してジルトーに調べさせてもらったり、出来ることなら元の作品に戻せないか検索してみたり……ただし状況が改善していくことはなかった。

 

「え? イティハーサ……何? オブリビオン・フォーミュラ? 名称はなんでもいいよ、自らオブリビオンを作れる親玉作れってこと? そんなのもいるのか」

 

 そしてカーレッジに力を貸しているイティハーサの方は猟兵のような力を得ているマイティ達をかつて自分を完全敗北に追い込んだ『奴ら』と同等とみなし、イティハーサの力によって骸の海と数百の世界の断片を一つの生物にまとめて最強クラスのハカイモノを作り出そうとしていた。

 

「来たれオブリビオンの頂点よ……!」

 

「出来た出来た!」

 

「ォイラは……ハカイモノの王だョ」 

 イティハーサは複合の力で素材を一つにまとめて人型の虫のような生命体『Lunatic・Kink』を作成、頭文字を取ってカーレッジは『エルケー』と名付けた。

 エルケー誕生によってハカイモノが作られる勢いは増していき表向き上のラスボスが完成とそれに伴うシナリオ、カーレッジは長い長い物語の道筋を楽しそうに眺めていた。

 

「長かったけどやっと準備が終わった! あとはつるぎちゃんとメイドウィンさえいれば完璧な冒険が始められるんだけどな……メイドウィンもつるぎちゃんもいつになったら完成するんだ?」

 


 

「ふっふーん、ハカイモノによる多次元世界の滅亡を救えるかは俺たちにかかってるんだ、みんな頑張ろうね!」

 

 カーレッジが自分が目立つために積極的にアプローチをしたおかげでカーレッジ勢力とハカイモノの全面戦争はどの世界でも知れ渡ったものとなっており、今では各地にSOSのサインが鳴り止まない。

 求められている楽しさを噛み締めながらカーレッジは各世界に仲間を導いて少しずつ勢力を広げていく。

 

「……まだだめかな」

 

「いや、もう少し油断しきってからだ」

 

 その中でもマイティはジェッターズ時代に培ったカリスマを駆使してカーレッジ以上に仲間をまとめ上げていき、ファリンは元々戦闘力があった方だが何がが切れたかのように爆発的に成長していき人間ながらドラゴンに匹敵する存在となっていた。

 サヤはカーレッジには近付かず遠くから伺う、自分が絡めば形的にはカーレッジの目的が果たされてしまうこたになるのが癪に障るからだ。

 サヤにとってカーレッジの物語は悲劇を招く悪夢……今でも脳裏に思い出す、あの頃はまだ幼く大人になったからこそどうとでも言えるが、間違いなくあの時の行動で自分が動けば抑えられたかもしれない悲劇がいくらでもあった。

 これは自分が幼い時にカーレッジを自由にさせすぎた報いでもあるのだ。

 サヤは決して眠らない、カーレッジをこの手で息の根を止める以外に償う方法も心から安らげる事もないのだから。




 オブリビオン(ハカイモノ)化したキャラクター達も大体元ネタがありますが大半は海外のクリーピーパスタが由来です。

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