時空序章~カーレッジ・黒影/たくっちスノーZEROラグナロク~ 作:黒影時空
そして舞台は妖怪ウォッチの世界へ。
既に妖魔界はハカイモノとオブリビオンによって浸食され、エンマ大王の玉座にエルケーが鎮座している。
カーレッジは光景を見て思う、もう世界は手遅れ……作戦としては戦いで時間稼ぎしながら大量のハカイモノが他の世界に漏れないように妖魔界そのものを封印し、新しく作った世界や他の作品に避難させるという作戦を前もって考えてある、しかしエルケーには間一髪で逃げられてしまい妖怪たちとリベンジの機会を伺う……だが危機は食い止められた、そんなシナリオとなっている。
エルケーは創造主であるカーレッジとイティハーサに忠実、決して間違いが起こることはない、封印に誰かしら巻き込まれたとしても尊い犠牲として語り継がれるだろう。
「来たネ しょうこりもなくやってきたヵ」
「やれやれハカイモノめ、ここまで手を込まれた作戦されたらこっちも大焦りだけど……諦められないんだよね!」
合図と共にエルケーとの激しい戦いが始まる、とは言ってもハカイモノ達は意思を持たないため命令は出来ないがカーレッジの能力の匙加減で弱らせたり手加減したりも簡単、つまりは勝ちが約束された出来レースのために絶対にカーレッジやマイティたちが負けることはありえない。
マイティ達が攻撃をしている中、カーレッジは仲間が集まっているところから離れて飛び出しエルケーと一騎打ちのフリをしながら遠くに行き、このまま見失う流れに持ち込もう……ということにもならなかった、エルケーを逃がす流れはこれでもう何回目だと思っているのか。
「またくだらない茶番劇をしているみたいだね」
「サヤ……!」
サヤが到着してカーレッジに追い上げながらハカイモノを切り捨てて目の前まで現れる、持っている青い刀はジルトーが作成した特注品であり、ハカイモノを回収して得たデータから刃にウイルスを搭載してある。
軽く切るだけでハカイモノは異常が発生して消滅してしまう、完全に死なせることは出来ないが確実に仕留められる特別な武器だ。
サヤの刀とカーレッジの包丁が鍔迫り合いとなり抑え込んでいく、剣とカーレッジのご対面だが全く気づく様子もない。
しかし人形は精巧に作ってあるとはいえ中々パワー負けすることもなくぶつかり合いとなる、カーレッジ自体パワーは並外れているものの技術を磨いていないので強引に鉄の棒を振り回しているようなものだ。
「また俺の邪魔しに来たのかい、サヤ……!」
「僕はハカイモノを倒しに来ただけなのになんで邪魔になるの?」
「頑張るのは結構だけど今回は数が多すぎるんだ、もう封印するしかないんだよ世界ごと、それが最終結論だ」
「……お前はそうやって自分が過ちと思われていることを自己正当化する気なんだ?」
「?」
「貴方が他の世界やそれに生きる生き物を巻き込んで物語を作り、もう一度ハジマリアと似た事件を起こして繰り返すのは黒影剣と永遠に冒険するため? ならどうして失敗を活かして前より上手くやろうと思わないの?」
カーレッジ・フレインが時空で仕向けた事件は殆どハジマリア〜メイドウィンワールドの時と同じ……というのはマイティ達も調べて知ったが、辿る末路まで同じなことを知っているのはサヤのみ。
何故カーレッジはそのまま物語を再現したのか、剣が過去に後悔したようにもっとやり方があったはずなのに見向きもしなかったのか、仲間が多くいても模索しなかったのは、それは単純だ。
「過去に非難された事件の数々、カタストロフ歴とまで言われたあの頃を自分が作った世界でもう一回やり直して賞賛されることで『自分は間違ったことはしていない』と思い込もうとしてる……僕にはそんな風に見える、君はオブリビオン……過去にすがって歪んだ未来に染め上げる、あるべき世界を滅ぼす存在とはよく言うね……」
「サヤ……なんなんだお前は! お前は一体何者なんだ! 俺のことをここまで酷く言うなんて時空じゃありえない! 何者だ!」
「そりゃそうだ、僕は君から作られた存在じゃない……そうだね、君の敵は
「猟兵……!!」
イティハーサから一度だけ昔聞いたオブリビオン並びにメイドウィンを消し去る存在、骸の海の先に存在する神すら完膚なきまでに倒したグリモアの先にいる現実味のない存在。
サヤはその内の1人だという。
それを示すかのように、青い刀がカーレッジの包丁を切り落とす、急に強くなったわけではなく『切り落とされた』という事実が上書きされ貼り付けられたように反映される。
「驚いた? これが猟兵に与えられた不思議な力『ユーベルコード』だ、僕はまだ一つだけだがグリモアの先に行けば確実に3つは使えるやつが揃っている!」
「イティハーサ……聞こえてるだろ! イティハーサ!! 猟兵ってのは何人居る!!」
「……貴様がこの旅路で積み上げてきた仲間とやらよりも、ずっと倍、単位では答えられぬ規模だ」
「そんな……!」
サヤは刀を振るいユーベルコードの力でハカイモノを次々と倒す、過去の自分を知り、ハカイモノを斬り、そして自分にも刃を向けてくるのだろう、イティハーサを倒した存在ともあればさすがのカーレッジも勝てるか怪しいと思っている、あの刃に切られたら自分はどうなってしまう? 神はどう思っているのか、自分に命を預けているんじゃないのか、なぜ余裕そうに見物していられる?
「エルケー逃げろ!!」
咄嗟にカーレッジは近くにいるエルケーに叫んでしまう、ハカイモノの頂点であるエルケーに何かあったら作り直すのが面倒だ、しかしその言葉は遠くから聞こえてくるライフルの銃声にかき消されてエルケーの頭部が吹き飛びながら川に落ちる。
「え……?」
「オイお前ら、聞いたかよ……主人公様が悪役に都合悪くなったら逃げろだってよ〜? こんなことありえるのか?」
撃たれた方を見ると松山の姿が……ずっとこの一撃を叩き込める時を待っていた、出来ることならこの弾丸をカーレッジに打ち込みたかったところだが仕事はしっかりこなさなくてはいけないのが辛いところである。
「松山……!? 寄生ジョーカーの!? どうして!?」
「どうして……か、こればかりは俺にも分からねえよ、だがメイドウィンワールドでは随分世話になったなと言っておくか」
「しかもあの時の松山!? メイドウィンワールドに生き残りがいたのか、今時空が大変なんだよ!」
「おうおう、確かに大変そうだなお前ら?」
「え……?」
松山の直ぐ側にはいつの間にかマイティ達が集まっていた、殆ど全員がカーレッジを囲うように……こんな状況になってもカーレッジはよく分かっていない、こんな事が起きても絶対にありえないと信じて疑わない姿勢は逆に尊敬に値するのかもしれない。
「皆までどうしたの?」
「見たぜこいつら、ハカイモノの王様とつるんで出来レースしている決定的な瞬間をな」
エルケーは逃げたが松山達には今は根本を断てばいいとして、カーレッジを逃さないようにジリジリと追い込んでいく。
「出来レース? つるむ? 何をそんなこと気にしてるのさ、早く封印しないと……」
「おいおいおいお前らもっと聞いたか? 開き直ったぞこいつ、サヤの言う通りだったな、最初からそういうやつだったんだ」
「サヤ……お前、サヤの仲間になっていたのか!? まさかジルトーがしぶとく残っていた……」
「お前にしては察しがいいじゃねえか、都合のいい神様とやらにカンニングしてもらったか?」
松山とサヤが裏でカーレッジを殺るために手を組んでいたという事実にようやく気付いた、考えることもやることも自分本意すぎてここまで想定しないのも松山の予想通りだった、だが……。
「何故だ松山、お前は昔から……俺より前からメイドウィンと仲良かったじゃないか! だって俺に会う前からメイドウィンワールドにいただろ!」
「何が仲良かっただ、ずっと目障りだったんだよ……メイドウィンも、それが生まれるきっかけだったお前も! とっくに終わった物語を続けて生まれたのが中身のない俺だろうが!」
松山はこれまでの鬱憤を晴らすが如く弾切れになるまで銃撃を繰り返す、カーレッジには当然指だけで跳ね返されるが弾かれても飛んでくる弾丸に変化が発生し爆発、カーレッジに初めてダメージにになるものを与える。
「カーレッジ、お前やメイドウィンはずっと物語の登場人物を出してるんじゃねえ、世界そのもの……ハジマリアみてぇに各々が人生を生きてるやつを引っ張り出したんだ、お前らはその人生を自分のエゴでめちゃくちゃにしやがった」
「何をわけのわからないことを! めちゃくちゃになったから俺が助けてやってるんじゃないか! 俺が物語で一番誰よりも活躍できるから主人公! 物語を作れる俺が常に正しいんだ!」
「その赤の他人の上から目線が気に入らねえってのがなんでわからねえんだ!」
「わからない! ワガママでしかない! 理由関係なく助けられたら普通はありがたいものだろ! 空を飛んだり魔法を使えたりとかどんな事でも一人で出来ない弱者はおとなしく施しを受けてなよ!」
「自分が褒められたいからわざと他人の畑を踏み荒らすようなマッチポンプに言われても説得力なんかねえよ!!」
「お前らまでハジマリアみたいな薄情者みたいなことを言うのか──ー!!」
カーレッジと松山の怒りの言葉のぶつかり合いの末に、カーレッジは猛吹雪を手から出してライフルの弾道を逸そうとする、松山はメイドウィンにとってもっとも近い存在で誰よりも恩恵を与えてもらって、あんなに活躍させてやったのになんて仕打ちだ。
このまま燃やしてやろうとした時のことだった、松山以外の方向から殺意が固まりとなって飛んでくる。
「ファイヤーボム……ボンバーシュート!!!」
しかし分かっていない、カーレッジの敵はサヤと松山だけではないことを。
雪の中から爆弾が飛んできてカーレッジは予想外に大ダメージを受ける、先ほどの松山の弾丸以上、炎に焼ける感覚は人間だった時でも早々なかった。
爆風で出来た風穴からマイティの姿が見えた。
「マイティどうして!?」
「よくそんなこと言えるなてめぇは!」
続くようにバーディの羽を飛ばす追撃、突き刺さったところに今度はサンダーボムが飛んできた、カーレッジは予想だにしないくらい傷を負う……というよりはこれまで神になってから再生に時間がかかる傷を負ったことなど一度もなかったため防ぐことしか出来ない。
「カーレッジ! あの吹雪は……あれはお前がやったのか!?」
「あのって言われても心当たりが多すぎて……いつの話?」
「とぼけるんじゃねえ! ボンバー星で起きた突然の吹雪! アレのせいで沢山の住民が死んだんだぞ!」
「お前がせこせこと主人公狩りなんてのをやってた時だ」
「……その時お前も居たはずだ、弟を殺すために!」
「弟……? え、兄弟いたんだ」
「その弟が主人公だよ、知らなかったのか?」
カーレッジが先ほど口にしたように、すべての作品を始まりの書から見たり調べたりはしても全部覚えているわけではない、マリオのようなメイドウィンワールドでもよく登場した人物くらいは記憶しているが、実の所ここにいる仲間……マイティやファリンの家族関係は全く知らない。
そもそもの話、カーレッジはアニメやゲームを観ているのではなく『そういう話がなんとなくこういう形である』という形でしか認識できていない、こちらの境界線に合わせて例えるならwikiサイトで軽く名前とストーリーを流し見したくらいだろうか。
「お前が居たって証拠もある、弟や沢山の避難者を乗せた宇宙船を破壊する所が写真付きで載ってる、マイティもこの鳥もこいつからお前を見つけたんだってよ」
「えっ、そういうのって都合良く存在してないものじゃないの!? というかしっかり見てるの!? ただのおまけみたいな面々じゃ……」
「……!」
カーレッジは口を滑らした様子もなくあっさりと認めた、今までも事故か疑いたかったが確信になってしまった。
「どうして……どうしてシロボンを!! シロボンだけじゃない、ここにいる仲間達の大事な人だってお前が……」
「どうしてって、彼らが勝手に俺が作ろうとしている物語を進める上に終わらせるのが悪いんじゃないか?」
「は?」
言ってる意味が分からない、吹雪の中で聞こえる声にキャラクター達は全員そんな顔をしていた。
「だってこの世界や皆はメイドウィンワールドの頃から俺とアイツの物語を盛り上げてあちこちを発展させて広がる……アイツの考えついた『メイドウィン小説』の為に作られた存在なんだよ? 主人公の俺より先に物語を終わらせるなんて駄目だろ、やり直すのだって楽じゃないし言っとくけどマリオ達が消えたのは物語を永遠に続ける為には必要な過程だったんだ、これでも何回も繰り返して今があるんだよ?」
「そんな……そんなくだらねぇことの為にボンバー星にあんなことをしたのか!?」
「別にさ、そいつらがやれなくなってもその分俺が代わりに解決するし、皆きっとそいつがいなくなってもカーレッジの方がずっといい! って思う……」
数多くの人々の代わりになれるから劣化版となる元の主人公はいなくていい、カーレッジはそんな理屈だった。
「……なら、マルシル・ドナトーも必要な犠牲だったのか? ファリンの大事な親友は!」
「マルシル……? ファリンの、えーと誰? 脳内に数百万人もキャラクターの名前は一気に記憶できないよ、どの世界のどんな役? 何が出来てどういうストーリーを作れる?」
「ファリンが言っていた! 兄と親友をまとめて……!」
「ああ、アレってファリンの兄貴だったのか……それを庇って共死にしたみたいなのはあったかも……ああそうだ、もしかして皆勘違いしてない? アレは確かに死んだ扱いだけどそれは何度も言うように俺の物語を邪魔するから1回消しただけだよ! ちゃんと戻って来るんだ、俺達はオブリビオンだよ! 物語が進めばちゃんと生き返る、ただ命を落としただけで二度と帰ってこないわけでもないじゃないか!」
「…………ファリン、聞こえたかい? 僕ももう覚悟を決めたよ、許せないんだ、僕は初めてジェッターズとしてでも君たちの仲間としてでもなく……シロボンの兄ちゃんとして戦う、覚悟しろカーレッジ・フレイン!」
マイティの感情が遂に爆発した、それに連鎖するようにキャラクター達は一斉にカーレッジに群がって混戦が始まる
カーレッジを倒さなければ自分たちの未来はない、それ以上にこんな事の為に命を奪われ、更にこれから先彼らもまた命を道具として扱われては報われない。
「なんでこんなことになるかな! 俺はただ終わらない物語をつるぎちゃんと一緒に過ごしたかっただけなのに、ここまで上手く進めたのに!!」
仕方ないので奴らを敵と認識して一旦片付けることにした、どうせイティハーサの力でいくらでも作り直してあとから新しい仲間を用意すればいいことだ、この時空がある限り物語は不滅である?
──イティハーサの力を見てきたサヤにとってそれが想定済みで甘い発想とも気付かず。
「モノノフ事変通りになるなら対策は簡単じゃ、お前らは流れでカーレッジを封印する……というのは表向きの作戦じゃな?」
時を遡ってカーレッジを倒す作戦会議中、松山はキャラクター達に重要な事を見つけたとしてジルトーの機械を操作してマイティが任務で戦っている際の映像をスローモーションで分析したもの、更に比較資料まで用意する。
「アクアと確認したからこそ分かったことだ、これはマイティのボンバーシュートとかいう技のデータについてだよ」
比較データはジルトーが解析したマイティの技と松山の身体にある成分からマイティの要素を抽出した同じ技の情報、確認してみると現在の出力は劇的に急増している。
マイティのみならず他のキャラクターたちでも同じ事例が確認されている。
「爺さんやアクアが言うには俺たちは本来もう3回同じ物語を繰り返しているそうだ、カーレッジのやり直しを含まずにな……どうやらお前らはこの3回の間に起きた経験や能力が今でも蓄積されて成長するようだな、『強くてニューゲーム』って言うとわかりやすいか」
カーレッジは知らない、自分が作った世界や始まりの書は物語の舞台ではなく実際に骸の海から復活させた本来の世界の複製体であることに……過去の集合体から成長したオブリビオンたちはしっかりと経験が沁み込まれている、サヤとジルトーは他世界の技術を取り込みメンテナンスやアップデートも施してる為、メイドウィンワールドその物になった松山とイティハーサの力を借りてるカーレッジだけがその中に含まれていない。
後から来たバーディはマイティからこれらを聞いて呆れる。
「作戦というよりは俺たちはカーレッジに対抗できるくらい強いってだけじゃないのか? ただ当たり前のように強くなっただけに聞こえるが?」
「あながち馬鹿に出来んぞ、カーレッジはこの世で自分以外に救えないと考える故に、自分より上の存在などいるわけないと常識レベルで思う、その根底が無くなれば奴は間違いなく動揺する! ……無論戦ったとしてこちらが死なない保証もないがな」
今回の作戦はカーレッジを倒すことが本筋ではなくとにかく追い詰めて心を折ることにある、自分たちはもうすでに彼の駒ではない、お互いにそれを理解するための戦いなのだ。
恐らく封印はできない、しかしもう二度とこんな思いはしたくないと心境を大きく変化させられる、少なくとも物語の駒として利用することは
そんな中アクアが挙手する。
「もし……この作戦の後もまた何か時空のようなものが生まれた時には俺が真っ先に動く、絶対にこの時の事も覚える、あの二人と違って俺には戦闘能力もない、役に立てるとしたらこんなことぐらいだ」
「はっ!!」
アクアいちかばちかの特攻、自分に出来る全て……囮を決行してもう慣れたものである死を迎える。
もう人間ではないのかそれだけ擦り切れたのか、どうせまた雨宮吾郎としてリトライすると察していたのか分からないが思ったよりも躊躇いはなかった。
「お前の顔は忘れない、俺は死ぬことなんか怖くないからな……やれ! マイティ!!」
「まだマイティは生きてるの!?」
カーレッジは予想外に苦戦……というより追い詰められていた、せっかく集めたキャラクター達が次々と勝手に消滅。
だがそれでも……その内のマイティとファリンの勢いが落ちる気配が全くなかった、ここから本当に穏便に済むのか? いよいよ本格的に自分が追い込まれるという初めての状況に達したことに焦る、かつて剣の魔法を見様見真似でこなせてた頃は天才児だったかもしれないが所詮は簡略化だけ上手かった男のままだったようだ。
「兄弟の恨みってのは恐ろしいものだ……忘れるな! 俺たちはもう既にお前より先を行っているんだ!」
そんな事はありえない、神である自分より上なんてあるわけがない、それなのに自分は苦戦している。
まさか本当に……それは思ってはいけない、それではせっかく作ってくれたメイドウィンワールドの約束が破綻してしまう。
叶えないといけない、自分のことを認めてくれたアイツのために、負けてしまったら自分と彼らの存在意義すら否定される。
「サニティボム!!!」
しかしマイティの執念はそれ以上だった、恐らく未来が違えば自分が死んでいたのかもしれない、それでも大事な人がいなかったり、弟の信念を糧にされる作られた未来に比べればよっぽど良い、それはファリンも同じだった。
「…………ゴースト、ボム!」
「氷魔法!!」
「!!?」
なんたる思いの奇跡か、ファリンはマイティのようにボムを作り出しマイティはファリンのようにサニティボムに魔法を込め始めた、お互いの世界の存在に深く貫入したからこそ起きた設定を分け合うという奇跡。
不老不死の身体に幼い心、その弱点が
「私達は不死身の神の肉体を潰さない……その心を潰す!」
「ファリンいくよ! ボムの力はボムに非ず心に在り!!」
「そしてこの心で……貴方の心を消す」
「ワッワッワッワ──ッ!!」
カーレッジでも分かる、あの爆弾に当たったら多分自分でもまずいことにかる、改めて気になることが増えてきた、イティハーサは自分が万が一死んだ時復活できるのか、というかさせてくれるのか、マイティ達と違って創造主の自分は死んだ時の保証が分からない、今は感覚が冴え渡るのでちゃんとした事が考えられる。
イティハーサはカーレッジが死んだところで焦るわけではない、たまたま依代になったのが自分だっただけ?
焦りに焦り発狂したカーレッジはなんとかしようと考えて、つい技の出力を一気に上げすぎた。ボッ!! という効果音と共に全てが剥がれ落ちていく
「やった!」
「……サヤ! 貴方は逃げて!」
「マイティ、ファリン! 貴方達はどうするの!?」
「僕達は、この世界で生きていてもしょうがないんだ」
「また会うようなことになるなら、後のことは……」
……。
カーレッジは爆弾を壊すために出力を上げた、限界まで上げた。
その衝撃は全ての世界を消し飛ばすには充分だった、そう……せっかく積み上げてきた物語の基盤を、時空を自らの手で無に返してしまった、不敵な笑みを浮かべながらまだ消える途中のアクアの残骸と笑顔で散っていくマイティ、ファリンを前にしてカーレッジは絶望する。
「せっかく作ってきた俺の物語がああああああ!!!」
「ふむ……そうかマイティの奴め、本当を実行しおったか、奴の力を利用して時空を破壊させる……とんでもない手段じゃ」
「……生き残ったのはサヤとワシのみか、松山め……」
マイティ達はやりきった、何かあった時のためにサヤを逃がしてジルトーのもとに送り込んだ、
こうして主人公を失い、残虐で悲しい物語に捻じ曲げられ、最後には跡形もなく消え去ったこの時空は後に再構築された際に『史上最悪のバッドエンド』と呼ばれるようになる。
全て消えて無くなり無に戻った場所でカーレッジはいじけていた、作り直すことは出来るが途方もない苦労をして作ったものが一瞬で無駄になりまた1からやり直さなくてはならないのは非常にめんどくさい、それは誰でもわかることだし現にある意味ではこの時空の物語もそうだ。
「どうしてだよ!! 俺はただメイドウィンの為に物語を作ろうとしたのに、どうして俺が責められなければならないんだ! 皆が俺をいい気分にさせてくれないからその分俺が皆をいい気分にさせていただけだ! 俺が楽しくな」
(……ハジマリアから始まった儂の猟兵達への逆襲、この途方もない承認欲求や傲慢さを使えると力を与えたり依代に理想の存在と世界というお膳立てまでしてやったが……、所詮は自己正当化しか出来ぬ小物か、再度グリモアへ出向く頃には消耗品として真っ先に差し向けてやるか)
イティハーサも時空の現在の戦闘力は察しがついてきた、カーレッジが10万年後にでも機嫌を直して新しい世界を作る際には、もうあんな大きな顔は出来ないくらいになっているだろう、そしてそこにきてようやくグリモア猟兵達に匹敵する戦力となる。
そして、カーレッジはまだ自分が認められたようで利用されているだけとは思いもしない。
何ここまでの3周目崩壊までカーレッジは全く成長出来ない、いやイティハーサの力を注ぎ込んだせいで止まってしまったのだから。
マイティはここまで想定内だ、同じことを繰り返しても何度でも強くなって、いずれはカーレッジの居場所はなくなるだろう。
ここでバッドエンド紀は終わり本編の世界観である『4周目』へと突入します。
一度作ってからここに来るまで結構長くなりましたがここからがメイドウィン小説と呼ばれていた作品の世界観となっていきます。
かといって3周目までのキャラや出来事は忘れても良いということでもありません、どこかでまた会えることでしょう。
改めて時系列
ハジマリア期(各作品における原作ストーリーはここで消化)
↓
メイドウィンワールド期(原作で見える設定や描写のみキャラが召喚される)
↓
バッドエンド期(カーレッジが主人公を消して無理矢理話の流れを止めたことで全作品のオブリビオン化が活性)
↓
本編(完全に物語が全く別のものに変質)
ディケイドのリマジとかジョジョのメイド・イン・ヘブンの全創作版みたいなものと思ってください。