時空序章~カーレッジ・黒影/たくっちスノーZEROラグナロク~ 作:黒影時空
待たせてすみません、ここからが本題となる世界観です。
結末の来ない物語『時空』が生まれる
一度時空が滅んでから10万年後、カーレッジは自分のミスでせっかく作ったものを台無しにしてしまったのでかなり凹んで虚無の中で何もせずに過ごすセルフ五億年ボタンを行なっていた。
だがいつまでもくよくよしていてもしょうがないとばかりにまた時空を作ることになる、メイドウィンの為にもこの空間は絶対に作らなくてはならない。
だがまた主人公に話を勝手に進めないようにすると前と同じように敵意を向けられる可能性があり、かといってそのままにしておくと物語が勝手に終わってしまうので悩んでいた。
「それもあるけど……もし作り直したアイツらが俺のことを覚えていたらまた俺の邪魔をしてしまう」
サヤや松山という前例もあり、自分が敵として狙われ、最後には死んでしまうかもしれないという立場になったことに焦りを感じているとこの騒動が起きる直前にファリンにメイドウィンの話をした時のことを思い出す。
マイティ達はメイドウィンのことを全く知らない、姿こそ似ているがメイドウィンとカーレッジは全く別の存在である。
「そうだ! 元々時空は完成して再開したらアイツの手柄にしてやる予定だったんだし、俺は今度からアイツの名前を名乗ることにしよう! 何、ちょっと借りるだけだし俺が生き残るために!」
こうして創造主は『カーレッジ・フレイン』の名前を捨てて『シャドー・メイドウィン・黒影』となった、整形して体格も少しいじり、口調も能力も人間関係もリセットして改めてメイドウィンとなった彼は時空の新しい案を考えて結末が来ない物語を模索していくことになるが……。
(もはや奴に何が出来る?)
イティハーサの方もサヤとの戦いでカーレッジでは猟兵との戦いになっても話にならない、もう限界と感じており新しい器になりえそうな存在を探していた、何せサヤはイティハーサから見ればまだ劣化版のようなものであり実際に相手取るとなるとアレ以上とまともにやり合わなくてはオブリビオンとしても論外の実力、所詮はハジマリアの頃から実力はたかが知れていたのだろう。
また新たな時空が出来るころには奴が死んでも構わないだろう、次に自分の力を与えるに相応しい存在は……。
「松山那雄宏……次なる器は奴だ」
「どうにかまた死なずに帰ってきたぞ爺さん、まあ死ねなかったって方が近いけどなクソッタレが」
そして松山は二度あることは三度あるというのか、時空が滅んでなお再生して生き残ったが余計に自身の体が悪化しているような感覚のままジルトーの元に帰ってきた。
どうやら更に崩壊した勢いで成分が過去の時空すら取り込んだらしく、もはや人間の形をしているだけの生命すら超越した『松山那雄宏』という名前をしただけの存在らしい、ここまでくると自分とは一体何なのか問いたくなるがそういう風に作ったのはカーレッジとメイドウィンだ。
「ふむ、お主の体を形成している黒い液体のような成分は更にねばつきおったわ、祟りでも混ざってるようにな」
「クソみたいな成果報告すんな……そういやサヤはどうなった、マイティ共が上手く逃がしていたことは覚えてるが」
「サヤは奥の部屋で10万年間修行中じゃ、カーレッジといえど自分が不利になることは繰り返さないじゃろうと」
「まあ確かにそうか、問題は次にあのバカが何をしてくるか……俺も今度からは生きてるとバレている以上、マジに引きこもる事しかできねえなつまらねぇ」
「お主の仲間がもし覚えていたら真っ先に行動すると言っておったな、今はそれの続報を待ちつつ研究を続けるんじゃ、ワシを手伝え」
松山はジルトーの研究所に籠り、アクアが何をするかを期待しつつ動向を伺う事にした……。
それにしても10万年経ったというのにジルトーは全然変わらないものだ、ジジイなので変化はよく分からないし機械で生きながらえてるからそういうものだろうか、サヤは人形なので分かる所もあるがどうにも引っかかる。
太陽の寿命は100億年だとかそういう比例を出すとまだまだスケール的にはしょぼい感じもするが……。
「皮肉抜きでさ、お前らよく10万年とかいうバカみたいな数字の長さで生きてやがったな」
「ああ、実際は十万どころか一年経ったかも知らんぞ? 考えても見ろ奴のそばにワシらの研究所に時計はあったか? 明日と言えばすぐ明日になるし五年後なんてあっという間」
物語を進める上でジルトーが気付いた重要な概念、この『物語』というものには時間の概念が存在しない。
考えてみればそうだ、自分は死んでから再生するまで時間がかかりすぎることになる。
物語の気分で時間が飛んだり年を取ったり取らなかったりする、カーレッジなんてあの頃からずっと変わっていない。
きっと骸の海が過去から離された歴史だから実際の時計の針は止まったままだろう、時間間隔に関しては『言ったもの勝ち』であると理解した。
そしてメイドウィンは考えた末に結論を出した、主人公が悪いのではなく簡単に終わってしまう物語の方が問題なのだと。
理想のメイドウィン小説ならそう易々と終わらない、悪役が倒されたり平和を取り戻したところで止まらない。
ということで物語自体を改変する為に目を付けたのが自身の神の力による不死身の技術、自身がこれまで不老不死になったこの力をイティハーサが自分に与えてくれたようにはじまりの書に与えてみると、ページが次々と増えていき一気に広げてみても最後のページに辿り着かない。
再び【スーパーマリオ】の世界で試してみると、クッパを倒してもピーチ姫を助けても一分もかからずピーチ姫が拐われて新しい事件が起きていく……実験は成功した!
何故試さなかったのかというと自分以外に不死身が増えるのはめちゃくちゃ嫌だったからだ。
「やった! これで正式に新しいメイドウィンワールドと終わらない物語が作れる!!」
しかし新たな問題が生まれる、終わらない物語は飽きが来ないように常日頃から様子を見て自分で細かい要素を弄らなくてはならないため監視の目を外せない、これではメイドウィンは一つの世界にしか手を回せない……おまけにマリオだけならまだしも残っている作品はまだ山ほどある。
参考までにこの物語を文字列として視認することが出来るとある世界において、とあるアニメ配信サイトで配信されているアニメの総数はおよそ6985作品、ゲームソフトはファミリーコンピュータのみで絞っても1053本。
その殆どが一つ世界其の物であり、先ほどの『スーパーマリオ』でさえ実際はかなりばらつきがある、この手段だとカーレッジはその全てを一人で確認しなくてはならない。
「うーん、イティハーサが言うには俺自体を増やしちゃダメらしいしいちいち他所まで面倒見切れないよ……そうだ、メイドウィンは仕事ってことにして元の世界から雇おう! 俺の力をちょっとコピーさせればちょっと出力が落ちても管理には支障が出ない!」
思いついてすぐにメイドウィンという存在は神の形をした役職になり、各世界から見込みのある人物に自分と同じイティハーサの力を与えて不老不死に変えて推薦し物語の管理を任せる、勝手が分からなくて断ったり困惑する人の為にメイドウィンはその作品のはじまりの書を与え、この本に書いてある通りにすればいいか、何かあったらルートを変更させろと押し付けた。
こうして次々とメイドウィンとなったキャラが就任していく、少し時間はかかったが主人公狩りに比べたら労力も時間も全く違う。
なお、メイドウィンとなる逸材を選んでいるのはイティハーサである。
カーレッジの件もあり見る目を鍛えておきたいのだろう。
後にメイドウィン自身も自らはじまりの書が元ではないオリジナルの世界を久しぶりの魔法によって作成、はじまりの書を必要とせず一番の思い出が詰まった魔法を重視していることから『魔導界』と名付けた。
どうしてメイドウィンはメイドウィンワールドを作らなかったかというと、時空をそういうものにしておけばスケールの大きさでアイツも喜ぶからだ、十万年の時点で察しているかもしれないが基本的に盛っとけばいいタイプの人間だからだ。
ハジマリアのメイドウィンにならなかったのは、あの世界は振り返ってみると気に入らないばかりだったのでとても手を付けたくなかった、要は私怨である。
立場になってからしばらくして、神様達の間で未知の技に覚醒する者が急増、それを見たメイドウィンはこの技を『メイドウィンブラスト』と名付けた。
こうして……【結末のない物語】たる時空は順当に完成していったのだった。
「キャラクター達も何の疑問も持たず事件を繰り返してる、これでよし!」
更にメイドウィンは各世界を繋げるために世界に繋がる時空に以前のように道や階段などのインフラを作り上げ、いつでも他の世界からキャラクターを移動させる準備を整えていった。
今度は問題なく成功させる……きっと同じ出来事は起こらないはずだ。
「あやつめ!」
ジルトーもここまで来ると即座に新たな時空のデータを発見できる、主人公を消さずとも物語を無限に繰り返して続く世界、更にメイドウィンを個人ではなく種族であり職業に変えることで立場を増やす……すぐに状況を把握してサヤに連絡しつつ時空の解析を始める、以前作られた物と違い自体が収束してもそこからまた事件が起きて休む暇も無さそうだ、最初の目的を果たしてもまた何か起きる上に『ゴッドイベント』と呼ばれる避けられない事態まで起きる。
「ありゃどういう原理だ?」
「恐らく自身の生命力をエネルギーにして世界其の物に活力を与え続けているんじゃ、神というと聞こえはいいが実態はただのバッテリーじゃな」
「だがあの後からなった方のメイドウィンはバカに出来ねえだろ、みんなアイツみたいに不老不死ってことだろ?」
「更にメイドウィンブラストという必殺技のようなもの、元々お前らも同じ骸の海から作り直された新しい世界の存在なら何故そんな物に覚醒したのか心当たりがある……そう、サヤが覚えた『ユーベルコード』じゃ」
「オブリビオンも使えんのかよアレ、でもまああいつが使えたくらいだし……お前も使えるのか?」
「可能性はある……今の強くなった奴らならオブリビオンであることを自覚すれば誰もが……あるいはお前さんも」
「俺はいらねぇよ、ただでさえキャラブレブレなのに変な設定足されちゃたまったもんじゃねぇっての」
メイドウィン、メイドウィンブラスト、そして以前よりはマシな時空。
再び優位に進めるためにジルトーは研究と追跡を惜しまなかった、だが再び仲間を集めて結集し立ち向かうのは至難の業だろう。
今は情勢に乗りつつカーレッジの不審な動きを徹底的に見逃さないようにするのみだ。
メイドウィンが仕事を超えてもはや一種の種族になり1週間。
以前の苦労はなんだったのかあっという間にマイティをスカウトした頃以上まで発展してインフラ整備は済んだ、真っ白な空間だったものはまるで巨大すぎるショッピングモールのように拡張されて移動も調査も自由自在、メイドウィン達に任せるというのがここまで楽なこととは思わなかった、人を従わせるなんて普段やってなかったことだけに尚更。
「ファリンはレッドドラゴンに食われて……マイティは任務の途中で行方不明か、まあどっちも死んだよね? あとは二度と復活しないように指示すればいい」
自分を心の底から恐怖に陥れたあの2人のキャラクターはどうにかいなくなったことを確認する、あの執念なら作り直しても敵意を向けてきそうで恐ろしくて仕方ない。
しかしマイティもファリンも死んだ、絶対に帰ってこないように指示させる、物語に支障が出ても結末のない世界ならリカバリーも容易だし絶対に顔すら見たくない。
もしこのまま死んでも記憶を宿したロボットとか現れたり、人間を辞めてバケモノとして蘇生されたらと思うと……いや、そんな事はありえない、考えすぎだろう。
「サヤ……!」
それに問題はまだある、何故か人間だった頃のカーレッジのことまで知っている猟兵のサヤ、一番自分にとって厄介なのは彼女だ。
彼女は新しい時空で未だに存在を確認していない……猟兵がいるグリモアの世界とやらに隠れたのだろうか、更にサヤによって猟兵の仲間を呼ばれてもしたら時空は即座に壊滅してしまう、そんなことがもし起きたら何もかもがおしまいだ。
そもそも猟兵はどれだけ強いのか? 最初はイティハーサの本ですべてを知って想像だにしない冒険の予感に胸を高鳴らせていたがこんなにも強すぎるなんて聞いていない、自分達でも倒せるくらいを予測していた。
「もしサヤが俺のところに現れたら……せっかくここまで作ってきたのに全部無駄になる!」
サヤが居る限りつるぎちゃんとカーレッジと自分の大冒険は果たされない……実際サヤとメイドウィンの正体を思うと本当に不可能な事例なのだがサヤが死ぬところを見ないと安心できないのが彼、自分にとって都合が悪いもの、面倒になるもの全部追い出して理想の空間を作らなくてはならない。
サヤさえいなければ……!!
「このままではまずい!! サヤを探さなくては!!」
思い立ったが吉、黒影は即座にサヤの居場所を特定する為に再び時空規模の組織を作成することにした。
複数のメイドウィン達に呼びかけて優秀な仲間を派遣してもらい各々で心、技、体のチームに分かれる。
表向きは時空規模の犯罪を監視して鎮圧するということになっており、自分の一番の脅威となる存在の特定の為に作られたことは誰も知らない。
メイドウィンは時空全域を見張って自分にとって害になる存在を逃さないために組織はこう名付けられた……時空監理局と。
別の世界にある『時空管理局』とは全く関係ない。
時空監理局はどんどん仲間を引き入れた、人が多くなるにつれて細かく部署を分けた、マイティ達のような事はもう二度とありえないと言い切れる、あれは特別だっただけだ。
世界規模で見たこと無い奴も現れたので蟻の巣のように広がっていく、遂には時空監理局だけが存在する世界を作るまでに至った。
時空を発展させるために様々な分野のスペシャリストを集めて、より快適な場所に進化させるために活動する。
しかしサヤは一向に見つからない、彼女も居るジルトーのムゲンダイ研究所は骸の海でも離れたところ、時空から外れた場所……グリモアゲートに近い場所な上にかつてジルトーがカーレッジを通さなかった科学の国のプロテクトの発展版をかけているため、見つかることはない。
時空監理局局長、二つの世界のメイドウィンであり最高クラスの存在、これらの肩書を持つ者になったメイドウィン。
表向きは平和を守る時空監理局が治安維持の仕事をしていないと怪しまれないために密かに悪人を拾って他世界に侵攻してもらったり技術を与えることで今までにないほどの大事件を引き起こさせる、これらの存在は後に『時空犯罪者』と呼ばれるようになった。
時空犯罪者を監理局や現地住民で鎮圧しては終わりの無い物語を利用してそれを繰り返すことでメイドウィンは英雄と呼ばれるようになっていく。
とりあえず物語は安定してきた、もうここまで来ると後はサヤが来なければ平和なので黒影にも余裕が生まれる。
そこで黒影はメイドウィンワールドに遭遇して以来全く手を付けてなかった黒影剣を作り直す研究を久しぶりに行うことにした。
さらに今回はいる、使えるものは何でも使おうと監理局の地下に研究チームを作成し、さらに研究の為だけに協力者を他世界からスカウト、剣作成の手伝いでなくても設備を提供することで各々が好きなように開発し自分もノウハウを得る、これならつるぎちゃんもすぐ来てくれるかもしれない。
(そうなったらいよいよ物語の始まりだ!)
余裕が出来たメイドウィンは区別のために『黒影』と名乗るようになり、かなり久しぶりに黒影剣をこの物語に呼び戻すための計画を立てる、更に今回は自分ひとりではない、有力な研究者やその筋のプロが集まっている、彼らの協力を煽ればより高度那
こうしてリメンバー・ツルギ・プロジェクト略してRTPが始まる。
しかしそんな黒影の期待は簡単に消え去ることになる。
「どうして! 何故こんなに失敗するんだ!」
これまで黒影剣の失敗作は軽く数万を超えている、1日数百ものの失敗を繰り返しては試行錯誤、他の研究者たちが彼の技術に便乗して功績や成果を残している中はっきり言ってプロジェクトリーダーの黒影が一番結果を残していない。
技術や仲間が増えたことで以前よりはそれっぽいものが作れるようにはなったのだが、ほんの少しでも似ているような気がして全くの別なのが黒影の逆鱗に触れる、彼は100%しか信じられないタイプだった。
一度は完全にそっくりなものを作れたようで完成した頃には全くの別物だった時にはプロジェクトを密かに進めていた監理局地下施設は一種の地獄と化したこともある。
そんなわけで黒影剣を復活させる計画のみが全く目処が立っておらず、研究チームの面々もまた黒影の人物像を何となく理解してきたので全て終わったら赤の他人になろうと思っていた。
「おかしい、何でこの通りに作れないんだ」
黒影は求めている理想の剣の写真(魔法で作った)を眺めながら素材を適当にかき混ぜる、横を見てみると研究員の1人が真っ黒でドロドロとした物体……あの松山の体を生成するものと同じものを検査していた。
「それは一体何だ? 見たことないけぉ」
「あ、はい実はですね、色んな世界の薬や素材を混ぜてみたところ、どんな成分を組み合わせてもこの真っ黒でドロドロした謎の物体に変わってしまうんですよ、これ何かに使えませんかね?」
メイドウィンはこの事実を知らなかった、他世界の道具を試すことはまだやっていなかったのだ。
どうやら絵の具を混ぜるとどんな物を素材にしても真っ黒になるように別世界のものを掛け合わせると何を由来にしても最終的には黒くねばついた液体に変わり果ててしまう実験結果が出ている。
研究の結果例外なく全てそうなってしまう、これにより他世界のアイテムを組み合わせることによる最強の技術や兵器等を作ることは難しい結論を出したようだが……。
「確かにこれはおもしろい、ちょっと試してみたいな」
「ところで局長、今更ですが貴方は何を作成しているのですか?」
「この時空になくてはならないものだよ……彼女と再会して初めてこの物語は始まったものとなる」
メイドウィンは黒影剣作成の素材として厳重に保管している箱を取り出す、その中には毛が1本。
昔から保管して剣を作る為にキーパーソンになる存在、1日たりとも劣化も紛失もさせてない彼にとっての宝物だ。
「子供の頃から宝物にしてたんだ、つるぎちゃんの毛……毛にはDNAってものがあってそこから作れるって聞いたけど」
かといって数万年も前の上に1本だけなんて無理もいいところではあるが無いよりはマシ程度のものである。
さらにここからコピーするため遺伝子情報は非常に乏しい、これをマガイモノ成分と混ぜ合わせる。
「その方の毛ですか? だいぶ傷んでるので使えるか怪しいですし、なんか縮れてるような……」
「そりゃそうだよ、だって17歳の時に抜けた脇毛だもん」
「えっキッショなんでそんなもの持ってんだよ」
『ブチッ!』
今の音は小さな毛をちぎった音ではない、RTPが始まったを確認した松山が監視をしていたのだが黒影の衝撃発言を聞いてあまりにも生理的に無理すぎて思わず指が動いてカメラの電源を切ってしまったのだ、すぐに付け直して吐きそうになりながら黒影の動向を眺め直す、キモいが見過ごせない情報が流れてきた。
「おう爺さんなんかあまりにもキモくて消しちまった」
「気にするな気分的にはワシもそうじゃ、あそこからよく見れるなお前」
カーレッジの知らなかったというか知りたくなかった一面、人間だった頃からずっとそんなもの持ってるのも気持ち悪いしいつ手に入れたのかなんて考えたくもない。
もしかしたら抜けたというのも嘘で実際は妄想で作ったものの可能性もあるがそれはそれでヤバい。
とにかく身の毛がよだつ、松山の場合よだつ毛はもう一つ残らず成分なのだが。
「うわっ駄目だろどんどん考えるだけでキモさが出てきて顔を直視できなくなる、成分吐いていいか?」
「いいがそれで設備を溶かしたりとかするなよ」
そういえばちょっと前にもファリンとかに旅先の女が自分に間違いなく惚れていると自慢していたことを思い出したのがトドメとなり松山は口から成分をゲロゲロ吐き出した、機械を汚さないように床に吐いたらスライムのように動き出して靴の先から取り込まれている謎のサイクル、とりあえずこの成分思ったより再生のしかたがやりたい放題らしい、メイドウィンワールドを取り込んでいるだけはある。
「ウヌ……しかも奴め、剣を作る際に手本にしていた絵が本人と全く別物ではないか」
「え? マジでオエエエエ!! そいつそれまで何見てきたんだよ、神様になってボケてきたんじゃヴォッホ!!」
「吐くか話をするかどっちかにせんか……見たいなら本物の写真残してあるぞ、機械化した後とはいえ見た目はほぼそっくりに精密に製造しておいたからな」
ジルトーはガラスケースから既に大昔のはずなのに全く色褪せていない写真を取り出して松山に見せる、松山は汚さないように成分を拭き取って抑えながら写真を手に取る、この時松山は初めて人間としての黒影剣の姿を見たが、確かにメイドウィンワールドで子孫の設定として作られたルミナというキャラによく似ている。
赤と青のオッドアイに黒髪、幼く見える顔までだ、こうして見るとサヤは確かに言われないと剣と分からないくらいには性格も見た目も別人にしてきた……隣を見るとそのサヤに似た男性も居た、それ以外にも色んな人物と楽しく写っており寂しさなんて全く感じさせない。
「コイツは誰だ?」
「ああ、ワシの助手のシュウ・ヒストリーじゃ、剣とも仲良くしとったな……あいつ、子供が産める体ならシュウとちゃんとした結婚をしたいと言っておった、ワシでもそこまではまだ出来なかったが」
「…………」
なんとなく松山は思った、もし剣が子供を作っていたら、作れていたらその時は『サヤ』と名付けていたのだろうか。
話を変えてメイドウィンがイメージする方の剣はというと、明らかに胸が大きい、大きすぎる……下手な絵で描いたお色気漫画みたいな表現の乳をしておりアンバランス。
そのくせ身長は低い、トランジスタグラマーという単語はあるがなんだか表現が不気味でしかも目も大きい、子供なのか大人なのかも分からない気持ち悪い姿をしていた、こんなもの生き物として作るには無理があるのではなかろうか、何よりコレを『黒影剣』と言うにはあまりにも長い旅をしてきた本人に対して……。
「もしかしてあいつ前々からボケてんのか?」
「ある意味ではそうかもしれんが違う、奴にとって剣とはあの姿のようなものが正しい……というよりはあるべき姿なんじゃろう、あのメイドウィンという男が元々奴が友人と呼べる存在として都合よく生まれたイマジナリーフレンドだったようにな」
「マジか……メイドウィンの時点でアレなのにアイツそんなキモい事考えてたのかよ、理想高すぎる上に現実とのギャップも理解できてねえ、さすが時空とかいう無茶苦茶を2度も作るだけはあるぜ……」
「あいつはお前さんが思ってる以上に昔から一途ぶってるようで自己顕示欲丸出しの男じゃったぞ、自分は普通みたいな顔しながら色んな女が自分に気があると思って余計な風評被害まで広げてしばらくワシまで大変だったわい……」
「俺たちはなんて奴のもとで生まれ変わっちまったんだ……」
「ねえさっきの話どういうこと?」
「あっ」
いつの間にかサヤが休みに来ていたのか松山の直ぐ側に居た、顔は笑ってはいるものの覇気があり青筋が立っていた。
青色の刀もまるで妖刀のごとくおどろおどろしい光を放って背中から強調してくる。
「いつから聞いてたよお前」
「シュウくんの写真のあたりかな」
パキッ!! 持っていたコップを握りしめて破壊しカーレッジのような人形を魔法で作りその場で首をねじ切る、どうやら触れてはならない逆鱗以前の問題らしい、松山もここは折角なのでストレス解消も兼ねて珍しく2人きりで絡む。
「おうサヤ、藁人形と金槌も出せないか? 2人分必要になってきたぞ」
「お安い御用だよ松山」
サヤと松山の想いは一致してその場で丑の刻参り。
その裏でジルトーはメイドウィンが手を出したあの成分を見ていた。
「この成分が遂に知られたか……また何か起こるかもしれぬな……」
上記の世界に関してですが例えば『スーパーマリオワールド』『スーパーマリオ3Dランド』『スーパーマリオギャラクシー』『スーパーマリオブラザーズ ザ・ムービー』など、それ以外もありますがこれ全部別世界であり、各世界に一人ずつマリオが存在します、これはカーレッジだった頃には主人公狩りによって連鎖消滅してたのが各メイドウィンの管理によって共存が成功した為です。
カービィでいえばペポとポヨとなのだとピポが別個体として存在します。