時空序章~カーレッジ・黒影/たくっちスノーZEROラグナロク~ 作:黒影時空
どうなっても必ず行き着く謎の黒い粘液の研究が進められ、様々な成果報告が積み上げられていく。
まず分かったことは粘液を改造していけば元にした他世界の存在……便宜上『設定』と呼ばれるものを参考にした生物に変化すること、ただし模倣の元となる存在には実力も見た目も程遠い完全下位互換として生まれることから黒い粘液から生まれた生命体は『マガイモノ』と名付けられた。
『研究資料①』
マガイモノは生物を媒体にすると声帯や肉体構造、DNA……遂には記憶まで複製元の全ての情報を完全に複製する。
ただし肉体構造が不完全な為、複製した人物の記憶は途切れ途切れに残る。
『研究資料②』
マガイモノは時空共有監視媒体として他世界の情報源……『アニメ』『マンガ』『ゲームソフト』『ノベル』などから設定を学習して能力、技術、プロフィール……何もかもを真似するが原理や目的は不明。
『研究資料③』
これまで様々な思考実験を施したが生まれるマガイモノに精神的反応はない。
人の顔はしている、真似は出来るが……その目は虚ろで、人の感情はない。
最初から心というものが無いのだ、粘液が人の真似をしているだけに過ぎないらしい。
現状は何に使えるかも分からず危険性もある、生き物として欠陥だらけながらも黒影はマガイモノを元にした実験に没頭していた、彼にとっては時空と同じで未知の存在を作るようなもの、ましてや生命体なんて作ったことが無い。
イティハーサが自分達を作った時もこんな感じだったのだろうか?
黒影剣を模倣した何かを作っては細かい所が気に入らないと廃棄処分、もう既に時空には億を超える成分が不法投棄されており目に見える範囲で成分が時空間に蠢いている、世界に悪影響を及ぼすなら環境問題にもなりそうだ。
「局長! もうやめにしておいたほうが……」
「これしかない!! もうつるぎちゃんを作るにはこれしかないんだ!!」
「貴方の求めてるものは生き物として作れるものじゃないんです! ここでこねこねするくらいならトラックにでも轢かれて異世界転生ごっこした方が貴方は早いです!」
「消えろっバン!」
癪に触る発言をした部下を黒影は指を構えてその場で始末して時空間に捨てる、この時空でもすべてを作った者が正しいのがルール、この監理局地下内では誰にも情報が行き届いてないので取り繕う必要もない、ここでは黒影こそが絶対でマイティのように極端に強いやつなんて存在しない。
「いいか? 俺は皆が好きなんだ、そして好きじゃないやつはこの時空に存在しない、この意味が分かるなら余計なことは言わないほうがいい、生きたいならね」
「マガイモノか……なるほどのう、あやつの施設にしては中々進んでるのう、遠慮なくパクらせてもらうがな」
技術は時に盗んで覚えるもの、結果的に松山を通して同じテーマを長年研究していたジルトーは容赦なくメイドウィンの手柄を奪い取るようにコピーしていく。
使えるもの何でも使うのはメイドウィンも言っていたし、研究とはそういうもの、忘れてるかもしれないが彼は元々悪の天才科学者だ。
「つまり俺もそのマガイモノってやつのくくりでいいわけか、いい加減取り込みすぎてオブリビオンって名乗るのにも限界あったしな」
「それどころかお前さんはこの世で一番最初、原初ともいっていいマガイモノな上に人工ではなく例外的に変異した存在じゃ、しかも生まれた理由は全く分かっとらん……全身がブラックボックスのようなもので今でも解析が終わらん」
「まぁそりゃそうだよな……だが成分の結果は出たんだよな?」
「うむ、お前さんがこれまで言った通り全世界の技術や記憶、技に歴史など……奴の言う設定とやらの全てがお前の体にあるといっていい」
「じゃあなんで俺は俺のままだ? 松山那雄宏という1人の男の記憶とかしか感覚がねえ、別人格が出てきたりマイティの爆弾投げるやつとかも使えねえぞ?」
「そこはまだ調べる必要があるが……」
ジルトーと松山はメイドウィンとは別にマガイモノから生物を作る方向ではなく成分を徹底的に追求して劣化版にならない物を作る方向性を試していた、そんな中時空監理局の中であの主人公狩りのときと同じアラートが発生する、視線を向けるとどうやらメイドウィンが仲間と揉めているらしい。
喧嘩くらいならいくらでもあったが今回はさらに様子がおかしい。
「なんだ!?」
「よし、会話を繋げてみるぞ」
『プロジェクトを降りるだと!?』
『ああ、ボクがやっていたことは正しいことではないってわかったんだ、人造人間の作り方がわかったことに関しては感謝している、でも……ボクはこれから向き合っていかないといけない、これからの事とセーラ姉さんが帰ってこないという事実を』
『それもプロジェクトでなんとかなるじゃん、そもそも君は』
『それじゃダメなんだよメイドウィン、人間は好きなように作れても思い通りに甦らせる事は不可能なんだ、それで作ったとしても、それは君にとって都合のいい存在でしかない…………そう教えられたんだ』
『だからもうやめよう…………そんなものを作っても、何も満たされない』
「誰だ? そんな事を言った奴は……ああ、あいつか」
(なんだ…………一気に気迫が)
『始まったか』
『これで何回目だっけ?』
会話の内容の中でゴシック風の異様な服を着た女性と黒影が揉めていることが分かったが……。
「あやつめまたしても懲りぬものだな!!」
「無駄だ爺さんあいつはああいうやつなんだろ、大方アンタが言ってたように惚れてたと勘違いして、それなのに自分のやり方を否定されたような形でしかムカついたんだろう」
そこからは早かった、メイドウィンはその女性の関係者を呼び出して見せしめで別次元へと放り込む、主人公狩りはしなくなったが必要ないキャラクターを消すようになったことには変わりない。
そして女性は激怒し施設を破壊して成分を浴びる、体は変化していくが死ぬ様子はない。
「何!? 座標から消えたじゃと……あの変化も含めて気になるケースだがこれはあくまで映像保存に留める! 今はあの別次元へのワープ装置の改良型を10分で開発する事が第一だ!」
「相変わらず悪の天才科学者のくせに人命救助にはめざといジジイだな、じゃあ俺は出る」
この勢いではリメンバー・ツルギ・プロジェクトは崩壊する、今ならどさくさに紛れて監理局内に侵入して有意義な情報を何食わぬ顔で盗み出せるかもしれない、特にマガイモノの事は自身に関わることでもある。
ジルトーはなるべく犠牲を増やしたくない、目の前で誰か失うことになったら、それを見過ごしたらいてもたってもいられない……アドニスの過ちをもう二度と繰り返したくないという気持ちもあった。
こういう事は自身の管轄ではないのでジルトーに任せ、自分は見ていない隙を伺い転送装置を起動して監理局を構築する世界へと向かった。
「おーやってらやってら」
「殺してやる…………!!」
施設の中は大騒ぎだった、成分を浴びたあの女性が黒影に拳を振り上げて
彼女もまた4回作り直されたオブリビオンの為に戦闘能力が持ち越されているので黒影にも並ぶ実力があり、さらに黒影自身は力を出しすぎて時空を壊してしまった為迂闊に本気も出せない、彼の脳裏にはマイティの姿が浮かび恐れて逃げ惑う姿が松山には滑稽に見えて笑えてくるが夢中になってはいけない、今回ここに来た目的は火事場泥棒だ。
『迅、あいつを撃て』
『分かった!』
その女性は他の研究者に撃たれて頭を貫かれるが血は出ず成分が飛び出し、瞬く間に銃痕は塞がっていく、自分と同じマガイモノと化した人間……一度ジルトーが驚いたように生き物からマガイモノになる事例など自分以外だとこれまた異例。
騒ぎの最中研究の中で黒影の本性を知っていった者はこれ以上は利用する気にもならないと騒ぎに紛れて一緒に去る者まで現れる。
(あいつは興味深いが、そう長いこといられねぇな……早めに良さそうなものを見付け……おっ?)
松山はメイドウィンが作っていたマガイモノ成分に目を付ける、一体どれだけ同じ成分を捨ててきたのだろうか……そしてここから剣を作ろうと……。
松山は試してみたくなった、ここに自分のこれまた未知の成分を混ぜたらどんな風になるのか……この世の全て、2つの時空そのものの設定をこの中に注ぎ込めばどんな変化と化学反応を……。
「ちょっとした嫌がらせだ」
松山はナイフで軽く自身の腹を切り裂いて溢れ出た成分をを混ぜ合わせる。
どうせこれも廃棄処分されてしまうんだ、後で適当に回収して研究に回せばいい、捨てられた成分はジルトーがリサイクルしているから関係ないことだ。
「あっ」
「あら」
しかしそんな事をしているとその女性とばったり遭遇。
このバーサーカーは自分まとめても殺す気なのだろうか、死なないがマガイモノ同士だとどうなるかもわからないので暇潰し及び実験のために会話でもする、人間らしさを保つための本能みたいなものだ。
女性はさっき松山が手を加えた成分に更に腕を突っ込む。
「お前その体は同類だな、あの黒いの浴びると人でも俺みたいになるのか?」
「話しかけないで、ボクは今コレに用があるんだ」
「奇遇だなついさっき俺も用を済ませた所だ、爆弾は仕掛けるなよせっかく俺の成分混ぜたんだから」
「そんなものは仕掛けない、仕掛けるのはちょっとしたプログラムだ」
「プログラム?」
「そう、ちょっとしたAIのような……擬似的に人のマネのような感情を作り出すプログラム」
「そんな機械的なものなんか入れられんのか? 生きてんだろそれ」
「逆に聞くけど君はこれが生き物に見える? ボクには汚い水っぽいだけの人工的なゴミにしか見えないね」
同類故にか一瞬で馴染み、黒影が作った成分は勝手に手が加えられて初めて感情を持ち全ての成分を持った未知の怪物へと変わり果てていた。
そうこうしてるうちに黒影が来そうなので松山は女を引っ張って退散しようと転送装置まで一気に成分を巡らせて移動させる。
「お前その見た目で科学者なのか? 手が空いてねえだろうがあの爺さんに会わせてみるか……そういや名前は?」
「……今のボクは魔トリョーシカだ」
「そうか、俺は松山、松山那雄宏だ」
こうして松山は魔トリョーシカを回収しながら研究所に帰還、案の定ジルトーの雷が飛んでくるがこの程度では全く動じない、成功したし不死身だから余裕ぶっていられる。
「この馬鹿者が! 気付かなかったワシも悪いが奴に見つかったらどうする!!」
「うっせーな爺さん、良さそうな科学者見つけてきたしいいじゃねえか」
「へぇ……あいつの地下施設以外にもこんなところがあったのか、その体はその博士が弄ったもの?」
「いや、ワシよりずっと前からな……おい、全部話すのか?」
「こいつはカーレッジの敵だし、ついさっきまでお前はこいつの知り合いを救おうとしてたんだろうが」
松山とジルトーは三周目までのことを魔トリョーシカに話した。
魔トリョーシカは助けようとしている女性は妹であることを明かし、ジルトーが本気と分かると研究所に残ることにして、黒影を潰すことはともかくでここで研究を続けることにした、テーマは新しい人類の創造。
「つまりボクも何回も同じ人生を繰り返していたわけだね、記憶はないけどその時はどうだったの?」
「さあな……俺は直接会ってねえから主人公狩りに巻き込まれてたのかもな、それよりそっちの番、なんかメイドウィンの話を聞かせろ」
「聞かせろって言われてもねぇ……ボクが人造人間の研究をしていたのは会う前からだし、あのプロジェクトも大体の人が設備を貸してくれるから付き合ったってだけでそのメイドウィン……いや、カーレッジとやらに好かれるほどの付き合いもないよ」
魔トリョーシカから得られた情報はリメンバー・ツルギ・プロジェクトのメンバーの8割がスカウトであり剣開発の計画には携わってないということぐらいだ、そのメンバーとも特別仲が良かった訳では無いが何か役に立つと思って名前が書かれたメモを渡す
メイドウィンと彼女は死人を生き返らせるというアイデアが被ってはいたが方向性も結論も違った。
「ショコラが……妹が言っていたんだ、その人のことはその人にしか分からない、作ろうとしてるのはただ自分に都合のいい存在だって」
「まさにアイツが作ろうとしたものだ、そしてあの時空全てがアイツの都合のいい存在……で、その都合の良さがどんなに表現を盛っても足りねえぐらいという」
「確かにそうだ、ボクとしては黒影剣とやらが今も生きていることにびっくりしたけどね、そりゃ色んな意味で作れないはずさ」
「……ごめんね、君も巻き込むことになるなんて」
「まあいいさ、ボクとしては君らの手伝いをしたほうがショコラも浮かばれるはずだ、こっちのほうがショコラを助けてくれそうだしね」
とにかく今は時空監理局の事を調べることにした、メイドウィンの次にどんな奴がいるのか幹部格まで目をつけておきたい。
サヤのメンテナンスや改良も昔培った技術により改善して、魔トリョーシカの携わる人造人間技術によってより人に近い人形となり、ユーベルコードの解析も最適化された。
その頃黒影がマガイモノ共が勝手に手を加えた成分に気付いたのは3日後だった。
その成分は複製どころか見たものを真似する性質を得ており、完全に能力や見た目を1分もの間複製することが出来る。
これまでの事例は史上初、ちなみにこの時点でメイドウィンが作った剣の失敗作はこれで一京目、京というのは兆の次の単位である、これは盛った表現ではなく
「今回のは文字通り…………質が違うぞ!!」
しかし、しばらく実験をしているとこれもまた剣を再現することは不可能と理解したが、メイドウィンはこの無限に変身する性質とちょっとした感情に目をつけた。
メイドウィンは実験した、まず成分を監禁して誰とも会話ができないようにする、鍵は外側からしか開けられないので向こうから出ることは不可能。
更に成分の中に全てのはじまりの書のコピーを入れた、これを読めば実質アニメやゲームを視聴しているのと変わらない状態になり何もしなくても情勢を理解できる、ただしコピー故に細工が込められてある、あるプロパガンダ映像のようなものをサブリミナルに流すように。
時空監理局も完成して早数年、色々と手を尽くしてきたが……あんなのでもメイドウィン達は賢くなってきた、今のままでは時空犯罪者の繋がりからボロが出るのは目に見えている、そこでエルケーを作った時のように時空犯罪者の頂点を決める、この成分がそうなるのだ。
「物語には数年にわたって引っ張るような長々しい悪人が必要だ、それこそ誰にでも手を付けられない凶暴で凶悪なヴィラン……処分するのももったいない、ここでリサイクルだ」
とんでもないものが作られたとしても最悪自分が倒せると高を括っている。
自分が主人公で奴がラスボス、絶対的な関係性が決まっている。
故にマイティ達と違って何も起こらない、絶対に倒せるが強い悪役を作り出す、これによって真に永遠に続く物語が完成するのだ。
そして時は来た、鍵がかかっていた扉は破壊され、そこには首が存在しない……頭と肉体が分離した未知の生命体が煙の中から現れる。
「誰だ? お前」
「…………そっちこそ、見慣れない風貌だ、監理局の人間じゃないな」
「なら、紹介してやろう、この時空に存在する全てを変えるための存在」
「自分は!! この腐りきったキャラクターに鉄槌を下す! 舐めプしかしないキャラクター共に本当の力を出させる! 頭は最強【たくっちチャンネル】! 体は無敵の【BLACK-SNOW】! だから自分の名前は! ふたつ合わせてこの世で誰よりも強いマガイモノの王! たくっちスノー様だ!!」
こうして後に時空の全てを引っ掻き回して時空で様々な騒動を起こしまくる善でも悪でもある、メイドウィン最後のマガイモノ…………たくっちスノーは誕生したのだ。
松山の全成分、魔トリョーシカの疑似感情プログラム……これらが奇跡的な噛み合いを起こし、完全に知能を持ち自立する唯一無二の人工マガイモノ、それがたくっちスノーである。
「たくっちスノー! なるほど、なるほど…………」
(完成した……永遠の巨悪! ずっと物語を動かし続ける鍵が!)
「俺の名前は黒影、言ってしまえばお前の敵だ 」
「敵……? いや、斬るまでもないか、今回は見逃してやる、なんか……どこかであったヤツに似てる気がしてな」
ヒナの刷り込みのようにメイドウィンを本能で親と認識した、不思議と黒影に対しては手を出そうと思わずそのまま時空間へ飛び出していった。
(……ふふふふふふ、上手くいった……俺の計画は! 育児なんて、簡単じゃないか…………)
ところがそうでもない、剣が理想通りに作れるはずもないようにたくっちスノーもまた黒影の思った通りの悪役ではなかった。
もっと傲慢でワガママで気軽に世界を滅ぼすようなものを想定していたのかもしれないが、彼は違った。
確かに全ての作品のアニメやゲームで情緒教育は受けた上で心は生まれたが、それでもたくっちスノーの本心には物足りない何かがあった。
「悪……か、そもそも自分はどう悪者で、だとして何をするべきか? 自分はどういうやつなんだ? 何ができるんだろうか? ああは言ったけどなんとなくテレビに書いてあることを真似しただけだしな……」
「おい、さてはアレがお前らが細工したというやつの……」
「完全に裏目に出た……なんか思っちゃいねえよ、どうせあの馬鹿には扱いきれねえ代物だ」
そして松山の方もたくっちスノーを見て何かに使えると思っていた、現状黒影は『自分にとって都合のいい悪役』のつもりだが流れによっては悪役になったとしても別の方向性に行くことだってあり得る、何せこの時空で唯一生きている存在だ、どう転ぶかもわからないし何を考えてるかも予測できない。
なにはともかくたくっちスノーは存在するだけで彼の物語を大きく変化させることだろう。
「ねえ、メイドウィンを何とかする方法が思いついたんだけどさ……ちょっとその過程で試したいことがあるんだよね……ボク達の方でもう一人たくっちスノーを作ってみないかい?」
「はあ? そりゃ俺とお前がいればアレなんて簡単に作れるだろうけどよ……なんで?」
「だが興味はあるな、ワシらも色々研究しているがまだマガイモノ開発までは行ってなかったのう」
魔トリョーシカの提案もあり研究所では松山と魔トリョーシカのマガイモノ成分を混ぜた上で様々な薬品、あとはサヤの人工的な髪の毛を少し借りてプログラムを組みたくっちスノーにそっくりなモノが簡単に作られた、後は何かしら教育してやればアレに似たものを誕生させる事まで出来るだろう。
「で、こいつをどうしようってんだ」
「コレみたいな応用で黒影を作るんだ、もう少しマトモな性格にしてね……二人まとめてコンピューターファイルのように上書きしてやるのさ! そうすれば多少はマシな世の中になるだろ?」
「ほほう、アイデアとしては面白い……それでたくっちスノーを作ったのはワシらでまずこれを育てるというわけか」
「確かに僕達は教育に無縁だし……時空で生きる上でまずはこの子を通してちゃんとした真人間に出来るかだよね、アイツみたいに監禁して変なことはせず真っ当に育てていこうか」
「いや簡単に言うんじゃねえぞ!? ここの面子分かってんのか!? ジジイとマッドサイエンティストと人形とクソ野郎だぞ! そもそも俺はガキの育児とか出来る性格じゃねえんだよ!」
「そこはまあ各自で覚えていこー! って感じで」
たくっちスノーとして作られたそれは純粋な眼差しで一同を見る、感情が作られたての存在はそっくりなだけに大人っぽい見た目をしていてもまだ赤子同然なのだ、もう作り出した以上責任持って教育しなくてはならない。
「さてまず名前はどうしようかのう? 同じたくっちスノーでは混乱してしまう、分けるためにもこっちに名前を付けるぞ」
「名前、名前か……あんま愛着持つもんじゃねぇし軽い命名でいい、ミリィ……こいつはたくっちスノー達の身代わりとして作るからミリィだ」
ミリィと名付けられたマガイモノはこの個性しか無い4人のもとで分からない所がありつつも育てられることになる。
この2人の『たくっちスノー』はどんな変革をもたらすのか……。