金返せニコ   作:SAMU

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2:I'll be back(俺は戻って来る)

 気持ちの良い朝――“だった”。

 

 ブラックのコーヒーを淹れて、卵の載ったトーストを拵えて。

 ポストから朝刊を取り出した時に、俺は見てはいけないものを見てしまった。

 それは我が宿敵ニコからの手紙であり。

 見たくはなかったが、放置することもできず俺はその場で手紙を開いた。

 すると、奴の字で書かれた短い文面には……。

 

《訳あってお会いできませんが、今月の利息分を送ります。それと、邪兎屋一同、日頃の感謝を込めて素敵なプレゼントもお付けさせて頂きました……怒らないで!》

「……」

 

 ポストの奥を見れば、確かに箱が入っていた。

 それを取り、俺は軽く揺すった。

 すると、カラカラと音が鳴っている。

 この時点で俺は嫌な予感がしたが。

 俺はそんな筈は無いと首を左右に振り。

 ラッピングを剥がしていく。

 

 家の中に戻り、静かに机に箱を置いた。

 そうして、暫く考えた後、ゆっくり蓋を取っていき……あぁ?

 

「……」

 

 箱の中には確かに金が入っていた。

 が、それは俺の記憶が正しければ硬貨であり……指で数えればたったの五百ディニーほどしかない。

 

 が、他にも入っている。

 お年玉を入れるような小さな封筒であり。

 中を開けていれば……あぁ?

 

「…………」

 

 クーポンだ。

 それもラーメンの替え玉無料券やハンバーガーショップの割引券。

 まだまだあり、厚みにすれば一センチほどはある。

 それらをパラパラと確認していけば、最後の方に紙が挟まれていた。

 そこには文字が書かれていて――血管がピキピキと浮き出るのが自分で分かる。

 

《多分、これでざっと五千ディニーくらいの価値よね!》

「………………」

 

 まだだ、まだ、怒る時ではない。

 箱の方に視線を戻せば、まだ何かある。

 今度は少し大きめの封筒で。

 俺はそれを手に持ち、封を開けて中を確認し……ぶちりと血管が切れる。

 

 それはニコの写真であり。

 笑みを浮かべながら水着なんかを着て。

 赤字でポイントを書き込んでいた。

 

 此処に注目……すけべぇ……自信あり……ふ、ふふふ。

 

 写真を見ながら笑っていれば。

 はらりと紙が落ちる。

 俺は床に落ちたそれを見つめて――あぁ。

 

《この写真一枚で五万ディニー……いえ! 十万の価値はあるわ! ということで、今月はこれで許してね♡》

「……ふぅ」

 

 俺は静かに息を吐く。

 そうして、近くにあったライターを掴み――写真を燃やす。

 

 怒りだ。

 この心に渦巻くのは確かな怒りで――俺は鬼となる。

 

 食事も無しであり、今すぐにあの女の元へ行く。

 奉仕活動を終えて、ようやく自由となったが。

 そんな事は関係ない。

 

 俺はタンスを開けて、中からレザージャケットなどを出す。

 そうして、仕事用のサングラスを取り出す。

 手を鳴らせば、天井から銃が出て来る。

 俺はその中からショットガンとリボルバーを取り出し携帯する。

 

「……今、行くぜ――ニコ」

 

 サングラスの奥にある俺の瞳は――真っ赤に輝いていた。

 

 〇

 

 冷房が効いた店内。

 邪兎屋のメンバーたちはかれこれ一時間近く棚にあるビデオを眺めていた。

 でも、私だけはビデオよりも出口の方をしきりに確認する。

 前々から考えていた計画を実行して……ちょっと怖くなっていた。

 

 小さくため息を吐く。

 すると、いつの間にか背後に立っていたアキラが私に声を掛けて来た。

 

「……で、何で君は此処にいるのかな? ニコ」

「な、何って。べ、別にぃ……あ、この映画良いわね! か、借りちゃおっかなぁ。いや、此処で見て行こうかなぁ?」

 

 私は適当に並べてあったビデオを手に取る。

 すると、アキラの背後からリンが出てきて私の持つビデオを奪う。

 それは恋愛ものだったみたいで、リンは目を細めながら私を見つめる……な、何よ。

 

「……なぁんか怪しいなぁ……あ、分かった! また金貸しのお兄さんから逃げてるんでしょ!」

「――そそそそそんな訳ないでしょ!? こ、この私がたかが金貸し如きに、ねぇ!?」

「……いや、ニコの親分。バレバレじゃんかよ、それ」

「ニコは大きな過ちを犯した。あの男に対して、自らの卑猥な写真を送って利息分をチャラにすると計画して、それを今朝実行した。恐らく、この後あの男はニコを捕まえに来る」

「……あぁ、そういう……はぁ、ニコ。君は彼に対してだけは本当に学ばないね。そんな事をしたらどうなるかくらい分かるだろ?」

「う、うるさいわね! い、良いじゃない! アイツだって男よ! 私の写真を眺めながら今頃は……た、楽しんでいるに違いないわ! そうよ! そうに違いないわ! アイツは得して、私たちもハッピー! 何も間違ってなんかないわ!」

「……それ、自分で言ってて悲しくないの?」

 

 リンは私の事を残念なものを見るような目で見て来る……仕方ないじゃない。

 

 今月は色々な出費がかさんでしまった。

 欲しいものが沢山あったのもあるけど。

 食費とか光熱費が上がったせいで従業員のおまんまだって危うかった。

 何とか切り詰めて頑張って……それでも、金貸しに返却できるだけの蓄えは無かった。

 

 私は自分の中でリストを作ったわ。

 何とかやり過ごせる人間とそうじゃない人間。

 やり過ごせる人間は色仕掛けでも何でも使ったわ。

 後は、騙されやすい小悪党共なんかは一芝居打てばすぐに食いついてきて。

 私たちが集めた中でも、そんなに価値のないものを態々高値で買い取っていったわ。

 臨時収入も出来て、何とか金貸したちにお金を利息分だけでも支払っていき……でも、ダメだった。

 

 最後の最後で、知り合いが尋ねて来た。

 そいつには仕事で借りがあって、どうしても報酬を払うしか選択肢は無かったの。

 このニコにもプライドがある。

 煽られた事でカッとなったのはいけないけど……で、でも! アイツは分かってくれるわ!

 

 アイツはなんやかんやでお金が本当に無かった時はね。

 後で良いって言って帰っていくわ。

 この前だって三人で草を見つめていたら、アイツが通りかかってご飯を奢ってくれたし……だ、大丈夫よ。

 

「……俺は言ったんだぜ? 見栄張らないで正直に言った方が良いってさぁ」

「私も言った。でも、ニコはあの男に馬鹿にされるのが我慢ならないらしいわ」

「……ふん。甘く見ないで! このニコが、何度も何度もあんな男に猫なで声で甘える訳ないじゃない! 次に会う時にはアイツ、絶対に私のブロマイドが欲しくなっているわ! えぇ、その時は勿論あげるわよ。そうねぇ、五百万ディニーにまけてあげましょうかしら! 涎を垂らして目をぎらつかせるあいつの顔が目に浮かぶわ! ほほほほほ!!」

 

 私は笑う。

 笑って笑って、笑いまくって――扉が開いていく。

 

 私の背筋が凍り付く。

 一瞬だった。

 音速を超える速さで、私は店のカウンター裏に隠れる。

 そこからこっそりと見れば――アイツがいた。

 

「……っ!!」

「……」

 

 レザーのジャケットを羽織り。

 背中には箱を背負っている。

 黒いサングラスを掛けていて。

 いかにもな風貌で現れた。

 がっしりとした体つきも相まって映画で見た機械人間の殺し屋とそっくりだった。

 サングラスの奥の奴の目が赤く光り店内を見渡す。

 まずいと思ったけど寸での所でビリーが気を利かせてカウンターの前に立つ――ナイスよ!

 

「お、おぉ!? き、奇遇だなぁ! こ、こんなところで会うなんてよぉ。あ、あはは……そ、そうだぁ! これも何かの縁だ! よし、ゲーセンで久しぶりの対戦――ぐぇ!!?」

「「び、ビリー!?」」

 

 奴は片手でビリーの頭を掴む。

 そうして、じたばたと暴れるビリーを上に持ち上げた。

 アキラたちが声を掛けるが、ビリーは暫くしてだらりと手を下げる。

 奴は手を離し、ビリーはごとりと床に倒れた。

 

 奴は目を更に光らせる。

 そうして、アキラとリンを見て低い声で言葉を発した。

 

「……ニコは、何処だ」

「え、えっと。その、ねぇ? あ! お、お茶でも」

「――ニコは、何処だ」

「「……」」

 

 奴は同じトーンで同じ質問をする。

 すると、アキラたちはゆっくりと指を此方に向けて来た――う、裏切りものぉ!!

 

 奴はゆっくりと歩き出す。

 私はすぐに煙玉を出し地面に叩きつける。

 

「アンビー!」

「了解」

 

 アンビーに声を掛ければ、すぐに彼女は動き出す。

 裏に止めてあった車に乗り込み。

 アンビーが運転し、私たちは逃げて行った。

 

 柵を吹き飛ばし、角を曲がって道路に出る。

 私は窓を開けてから、後方にいるアイツにサインを送った。

 

「ははは!! おととい来なさいってのよぉ!!」

「……はぁ」

 

 窓から中指を立ててやる。

 すると、奴は焦る事もせずに道路の脇に立っていた。

 

 アンビーはため息をつくが。

 こうなったら利息分を何とかして稼げるまでは逃げてやる。

 端末を出して、適当な仮宿を探して――

 

「――危ない!!」

「――え?」

 

 アンビーが声を上げる。

 顔を上げれば、道路の真ん中に――犬がいる。

 

 咄嗟にアンビーがハンドルを切り。

 犬を避ける事は出来た。

 が、乾いた音が聞こえたかと思えばタイヤがバーストする音も聞こえた。

 そのまま車は回転し、壁に激突する。

 

 私たちは頭を打ち付けて意識を朦朧とさせていた。

 何で、あんな道路の真ん中に犬が……な、何?

 

 意識が薄れていく中で視線を外に向ける。

 すると、黒塗りのバンが狭い道から出てきて。

 武装した人間たちが降りて来た。

 そいつらはタブレットと私たちの顔を交互に見て――――

 

 

 ##

 

 

 意識が戻り、周囲を見れば。

 薄暗い倉庫の中だった。

 武装した男たちが十人であり、隣にはアンビーが椅子に縛られていた。

 私も同じように椅子に縛られていて。

 そんな私たちを見ながら、目の前で椅子に座る男は下衆な笑みを浮かべていた。

 

「ふぅ、ようやく捕まえられたぜ。ニコ・デマラぁ。ひひひ」

「……クソ、この私が、こんな雑魚連中なんかに」

「あぁ? 俺たちが雑魚だってぇ? ……はは、そうだろうなぁ。何せ、強い強いテメェらのせいで、俺たちのチームはぶっ潰されたんだからなぁ!!?」

「いぎぃ!」

 

 狂ったように叫ぶ男。

 奴は私の髪を引っ張って来た。

 痛みを感じながらも手を放すように命令する。

 すると、奴はニタニタと笑いながら耳元でささやく。

 

「放すもんかよぉ? テメェにはこれからたっぷりと痛みと苦痛を味わってもらうからよぉ? テメェのちっぽけな正義感で稼ぎが奪われた俺たちの分まで、しっかりと絶望してくれやぁ。ひひひひ」

「う、うぅ。こんな奴ら、何時もなら」

 

 私は考える。

 どうすればこの危機的状況を打破する事が出来るのかを。

 考えて、考えて――私は懸けに出る。

 

「助けてぇぇぇぇ!!!! 邪兎屋のニコは此処よぉぉぉぉぉ!!!! お金なら幾らでもあるわぁぁぁぁ!!!!!!」

「あぁ? テメェなに言ってんだぁ? 頭おかしくなったのか? 叫んだって誰も来やしねぇよ。何せ、この倉庫の周りには民家も何もねぇんだから――あぁ?」

 

 奴が最後まで言葉を言い切る前に――扉の方から叩きつけるような音が響いた。

 

「……ふふ、そうよね。アンタなら来るでしょう。何せ――この私がいるんだから」

 

 倉庫の扉が強引に開けられていく。

 鍵は引きちぎられて、ガラガラと重いそれが開き。

 日の光を背に浴びながら、私を追い掛けて来た――金貸しがそこにいた。

 

 〇

 

 ニコが攫われた。

 俺はすぐに追いかけた。

 奴の身の心配などしていない。

 奴が消える事で、金が踏み倒される事だけを恐れていた。

 

 奴らの痕跡を辿り、めぼしのついた場所へと向かった。

 バイクに乗りながら、周囲を見て――奴の声をキャッチした。

 

 フルスロットルでバイクを操作し。

 そのまま見えた倉庫の扉にバイクを叩きつけた。

 そうして、武器の入った箱を背中に背負いながら。

 俺は倉庫の扉の隙間に手を差し込み無理矢理に開け放った。

 

 中に入れば、ニコ・デマラはアンビーと共に椅子に縛り上げられていた。

 サングラス越しの俺の視線が精確にニコの姿を捉える。

 

 

【NicoleDemara――KUZU】

 

 

 俺は悠然と進んでいく。

 すると、ニコを捕まえた奴らが俺の前に立ちふさがる。

 俺は箱の中身を取り出し――ぶっ放す。

 

「ぐげぇ!!?」

「「「……!!」」」

 

 ウィンチェスターM1887から放たれた銃弾。

 それがクズ共を吹き飛ばす。

 レバーを引いて空薬莢を排莢し、そのまま銃を出そうとしたクズを撃ち抜く。

 

 反撃はさせない。

 一瞬で無力化していく。

 瞬く間に敵を鎮圧していき……一人が残る。

 

「お、おい! こいつが見えねぇのか!! それ以上暴れるなら、こいつの喉を掻っ切るぞ!」

「うぐぅ!」

「……」

 

 カスがナイフをニコの首に添える。

 俺はカスを見つめながらゆっくりと近づいていく。

 奴は慌てふためき、必死になって止まるように叫ぶ。

 が、俺はそれを無視して進んでいった。

 

「う、うああぁぁぁ来るなぁぁぁ!!?」

 

 奴はその場にしりもちをつき。

 後ろに後退しながらナイフを振り回す。

 俺は奴の前に立ち、そのナイフをグローブ越しに掴む。

 そのまま力を加えて、ナイフをゴムのように曲げる。

 

「あ、あ、ぁ、ぁぅ、ぁ、ぁ」

 

 奴は恐怖で固まっていた。

 壊れた蓄音機であり。

 俺はレバーを引く音を響かせて薬莢を出しながら、敵に対して簡潔に伝えた。

 

「さっさと失せろ――ベイビー」

「あ、ああぁぁ!!!?」

 

 奴はわき目もふらずに逃げていく。

 俺は敵が完全に消えたと確認し。

 そのまま、俺の事を見つめるニコを――スルーする。

 

「ちょ、ちょっと!?」

「……アンビー、無事か?」

「……ん、大丈夫……ニコは?」

「そこにいる……先に外に出ていてくれ」

「分かった」

「ちょ、ちょっとぉぉぉ」

 

 アンビーの縄を切れば、彼女は素直に俺の言う事を聞いて外に出る。

 俺はさっとクズに視線を向けた。

 奴は引きつった笑みを浮かべながらだらだらと汗を流している……さて。

 

 俺はジャケットの裏から紙を出し、それをニコの膝の上に置く。

 奴はその紙を見てから、ゆっくりと顔を上げた。

 

「サインしろ」

「え、あ、な、何よこれ? ね、ねぇ? あ、で、出来ないなぁ。すごく書きたいけどぉ、先ずはロープを取ってもらわないとぉ」

 

 奴はふりふりと体を揺らしてチラチラと俺を見る。

 俺はウィンチェスターを投げ捨てた。

 そうして、大口径のリボルバーをホルスターから出し、その銃口をクズの眉間にあてる。

 

「――ガタガタ言うな。クソアマ」

「う、うぅぅ、うぅぅ!!」

 

 奴は両目から涙を流す。

 その涙に価値は無く。俺は胸ポケットからペンを出した。

 べそを掻く奴の口に俺は出したペンを噛ませて――――

 

 

 ##

 

 

「う、うぅ、何でこの私が、こんな工事現場に」

「おい! さぼってんじゃねぇぞ! 工期が遅れてんだ! さっさと運べ新入り!!」

「は、はぁい! うぅぅ!!」

「「……はぁ」」

 

 工事現場にてせっせと働くニコ。

 アンビーはやかんを持ちせっせと作業員たちにお茶を汲んでいた。

 ビリーはビリーで備品の数をチェックしている……よし。

 

「ん、どうぞ」

「おぉありがとな嬢ちゃん……くぅ! やっぱり別嬪さんが入れてくれた茶は格別にうめぇなぁ!」

「はは、ちげぇねぇ。あぁアンビーちゃんこっちお代わりね!」

「ん、今行く」

「ちょっとぉぉぉぉ!! 何でアンビーはお茶くみでこの私は肉体労働なのよぉぉ!! 明らかに人選ミスでしょうがぁぁぁ!!!」

「おい新人!!! さぼるんじゃ――うぁ!!?」

「うるさいわねぇぇ!!! 一々がなりたてるんじゃないわよ、このデブ!!」

「ななんだとぉぉ!! このぉぉぉ!!!」

「何度でも言ってやるわよ!! デブデブでぇぇぶぅぅ!!!」

「もうゆるさねぇぇえこのクソアマがぁぁぁ!!!」

 

 現場監督を怒らせたニコ。

 現場監督は他の作業員に羽交い絞めにされていた。

 アンビーはそんなニコたちを無視して茶を運び。

 ビリーは先輩に気に入られたようで可愛がってもらっていた……はぁ。

 

 そろばんを弾きながら計算する。

 三人の労働によって得られる対価から、返済分にこれだけあてて……あぁ、ダメだ。

 

 ニコのあの様子では一月が限界だろう。

 アンビーたちは問題ないが、アイツの性格ではダメだ。

 何でも屋ではあるが、アイツが誰かの下につく姿は想像できない。

 アンビーのように奉仕させるのも無理であり……今回も、無理だな。

 

「うぎぎぎぎぃぃぃぃぃ」

「…………」

 

 現場監督と顔を引っ張り合うニコ。

 俺はそれを冷めた目で見ながら写真を撮る。

 水着姿なんかよりも、こっちの方がずっと面白い。

 後でアキラ君やリンちゃんにも送ってあげようと考えて――奴が叫ぶ。

 

「あぁ!! 今私の写真撮ってたでしょ!?」

「知らね」

「嘘よ!! 一枚、一万……いえ、五万ディニーよ!! 払いなさい!! ほら、ほらぁ!」

「……ふっ」

「は、鼻で笑うなぁぁクソ野郎ぅぅぅぅ!!!」

 

 今度はニコが作業員たちに羽交い絞めにされていた。

 そんな奴を見ながらもう一枚写真を撮る。

 奴が叫んでいるが無視して、俺はさっさと退散する。

 慌ただしい日々であるが……うん、楽しい。

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