雇った傭兵がチョコの怪物になって戦うんだが?   作:かな餅

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――観測ファイル:異人
基礎情報
【コードネーム】なし
【陣営】不明
【性別】男性
【戦闘経験】3ヶ月
【出身】不明
【誕生日】6月10日
【種族】不明
【身長】172cm
【専門】不明
【鉱石病感染状況】非感染

能力測定
【物理強度】普通
【戦場機動】普通
【生理的耐性】■■
【戦術立案】標準
【戦闘技術】標準
【アーツ適正】不明

個人履歴
チェルノボーグにおける大量失踪事件の調査の際、現地で発見された人物。
当時、拙い古いヴィクトリア語とウルサス語を併用していたという証言あり、我々の常識とは異なる背景を持つ存在である可能性が指摘されている。
感染者に対しては一貫して友好的に接しているが、同時に非感染者とも隔たりなく接する姿勢が観測されており、”鉱石病”という概念そのものに関心を示していない様子が散見される。
その態度は状況によって評価が分かれ、時に安心を与え、時に不可解さを際立たせる。

健康診断
不明(推測では非感染者と断定)
【源石融合率】不明
【血液中源石密度】不明


episode 2 怪物 Variation

――チェルノボーグ:中枢区画

 

 

 

 

 

「お母さんとか、お父さんはどうしたの?」「まいご」「僕と一緒?」「ん。」

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、1人で探してるの?」「……探してほしくてはぐれたの」「僕も昔似たようなことやった」

 

 

 

 

 

 

 大きな街並みに、小さな子供がひとり取り残されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここも元は普通に人が暮らしていたはずなのに――最近になって失踪が相次いだのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 道端にはドアが開け放たれた車、机に放置されたままのカビたパン。

 

 

 

 

 

 

 

 まるで世界そのものが一瞬で人を奪い去ったかのように、町は不自然なほど空っぽだ。

 

 

 

 

 

 

 

 不気味すぎる。

 

 

 

 

 

 

 

「お兄ちゃんは何処から来たの?」「すごーい遠い場所「どれくらい?」「月に行くより遠いかな」

 

 

 

 

 

 

 

 もしここが別世界なら僕は相当不味い、帰り方どころか住む家すらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 言語はギリ……共通点があるようだから喋れてるけど、日本語じゃないのはキツイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 親父さんとロシアに行っといてよかったよ、てかここロシアっぽいのかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 落ちてた雑誌の文字は読めそうであんまり読めない、時間をかければ多分読める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 子供でも読める字ではあるみたいだから……日本で言う漢字とかは無いタイプの言語かな。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……てかどこに向かってるんだろうね」「ままは学校に行こうって」「人が集まってるから?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……分かんない、パパとママの友達。みんな居なくなっちゃったの」「……いつから?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「えっと……3日」「……その学校ってどこにある?」「あっち!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――チェルノボーグ中枢区画:無人の学園

 

 

 

 

 

 

 

 ……今日は平日、休みあけで学校に行こうって感じみたいだから……今日は月曜日かな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 元々いた世界じゃ金曜日だったけど、それは別に気にすることじゃないしいっか。

 

 

 

 

 

 

  

 

 散乱した荷物を見る限り……直前まで人は数人くらいは来てたのかも。

 

 

 

 

 

 

 

 落ちてる鞄とか携帯機器は人肌の温もりが残ってる。不用心にロックしてないスマホは――。  

 

 

 

 

 

 

「び~んご」「泥棒良くない。」「消えたみんなを探しすためなら?」「じゃあ仕方ない」

 

 

 

 

 

 

 

 さて、おチビちゃんの力を借りながらまずは言語設定……う~ん、ヴィクトリア語に設定。

 

 

 

 

 

 

 

 

 これは……ほぼアメリカ英語かな?こっちならまだ文章も読み解きやすい。

 

 

 

 

 

 

 

 ニュースっぽい奴だと、この辺りの集団失踪に関する記事は無し。

 

 

 

 

 

 

 

 直近になって突然起きた出来事っぽいな、具体的な日時は3日前から。

 

 

 

 

 

 

 

「この最近見たシミの様な……何かが浸食したような痕跡、絆斗ならここでだるいって言う所だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしたの?」「ううん、君のパパとママさがそっか?学校の中にいるかな?」

 

 

 

 

 

 

 

「う~ん。学校の近くではぐれたの」「そっか……この辺にママかパパの持ち物ある?」「ない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあパパとママはまだどこかにいるってことだ!お手柄だぁ」「んふ……えへぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 さて、どう探そうかなぁ。白狼みたいに鼻は良くないし。絆斗みたいに眷属は出せない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 てか別世界に来て早々僕は何をやってんだろ、こんなことやっても意味ないのに。

 

 

 

 

 

 

 

「……お腹空いた。」「あ~こっちじゃお昼か……なんかあったかな――おっ」

 

 

 

 

 

 

 ポケットを探って指先に触れたのは、小さな銀色の袋。開け口が少しヨレている。

 

 

 

 

 

 

 

 取り出した瞬間、ほのかに甘酸っぱい匂いが鼻をくすぐった。

 

 

 

 

 

 

「キャンディ?」「もぐもぐする方のお菓子、グミだよ。食べてみて」

 

 

 

 

 

 半透明の粒を掌にのせて差し出す。ミルク色に近い白さ。

 

 

 

 

 

 

 外側は砂糖の粒が薄くまぶされていて、光を受けると氷みたいにきらめいた。

 

 

 

 

 

 

 子どもが恐る恐る口に放り込む。

 

 

 

 

 

 

 噛んだ瞬間、きゅっと小さな歯ごたえがして、そのあとに広がったのは爽やかな酸っぱさ。

 

 

 

 

 

 

 

 ほっぺたをぎゅっとすぼめる仕草が可笑しくて、思わず笑いそうになる。

 

 

 

 

 

 

 

 でもすぐに、酸味の奥からやわらかな甘さがにじみ出してきて、子どもの目が少し丸くなった。

 

 

 

 

 

「ごめんね、対してお腹が膨れるものじゃなくて」「ううん、おいしい!」

 

 

 

 

 

 

 

 そうやって和んでると……足音が聞こえる、その音は学校のほうから。

 

 

 

 

 

 

「あの……貴方達は避難場所を探している方々でしょうか?」「そこで止まって、貴方は?警察の人?」

 

 

 

 

 

 

 黒い服に通信機、一般市民じゃない。武器はクロスボウ……自警団かな?

 

 

 

 

 

 

「学校の関係者って感じでもなさそうだけど、貴方は誰?自己紹介もなしに失礼だけど」

 

 

 

 

 

 

 

「……こ、怖がらないで大丈夫です!私はロドスのオペレーターでこの都市の調査にきました」

 

 

 

 

 

 

 

「公的な調査?」「ええと……いえ、慈善行為……の様な形で人々が多く失踪した原因を――」

 

 

 

 

 

 

 

 ロドス……調べてでてくるのは製薬会社ロドス・アイランド――失踪事件になんで関わる?

 

 

 

 

 

 

 

 それに横にいた子どもが小さく震えてる。袖をつかんで、じりっと僕の背後に隠れた。

 

 

 

 

 

 

「どうしたの?」「……その人、こわい」「なんで?」「……かんせんしゃ、だから」

 

 

 

 

 

 

 短い言葉に僕は息をのんだ。病気を持ってる?ゾンビではない……理性は感じられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 何処を見てそう思った、僕達と彼女との違いは?手首浮かんでる結晶?

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの腕を見て感染者だと思ったの?」「うん。」「あの人は何に感染してるの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、落ち着いてください……これは、確かにそうなんですが。私は……」「……」

 

 

 

 

 

 

 

「もし、君のお母さんが同じように感染者になってたら……怖いって思う?」「……え?」

 

 

 

 

 

 

 

 子どもは僕の顔を見上げて、目を丸くした。今まで一度も考えたことがなかった、という反応。

 

 

 

 

 

 

「お母さんが感染者なったらお母さんじゃなくなるってこと?怖い存在になること?」

 

 

 

 

 

 

 オペレーターの視線も子どもに向かっていた。言い返す言葉を待っているように。

 

 

 

 

 

 

 

 

 子どもはしばらく唇をかんで、それから小さく首を振った。

 

 

 

 

 

 

 

「……おかあさんなら、こわくない」「うん、じゃああの人は怖い人?」「……違うかも」

 

 

 

 

 

 

 

 

「うん、じゃあお話してみようか?あの人に何を聞きたい?」「ん~……好きなお菓子?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だってさ?ロドスの人」「えぇ?……えっとカリカリしたポテトのお菓子が好きです……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕も好き。ごめんね、あまりにも人が居ないから居る人が逆に怖く見えたみたい」「い、いえ……」

 

 

 

 

 

 

 

  この犬の耳みたいなのがついたロドスの人はシラク―ザ出身の人でロドスに所属。

 

 

 

 

 

 

 

  ここに来た目的は消えた人々の調査ってより、消えた仲間の捜索をしに来たみたい。

 

 

 

 

 

 

 

  未だに武装してるのは謎だけどチェルノボーグの公的な人間じゃないのはよかったかも。

 

 

 

 

 

 

 

  肝心の僕自身もこの世界では部外者だし身分もない、だからこういう人間は都合が良い。

 

 

 

 

 

 

 

「てか君1人で調査しに来たの?」「いえ、他のにも仲間がいたんですが……その」

 

 

 

 

 

 

 仲間も行方不明。ざっと話を聞く限り、この学校に集まる予定だったらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 連絡が途絶えたのはついさっきのことみたいだ。

 

 

 

 

 

 

 

 本部との通信はまだ繋がるらしいから、完全に孤立してるわけじゃないんだろうね。

 

 

 

 

 

 

 

 それが逆に気になる……ここ数日、多分人が消えるのは大抵“固まってる時”だ。

 

 

 

 

 

 

 

 今日は平日で学校には人が集まる理由があるし、実際つい最近までSNSの投稿も残っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 普通に生活していた人たちが、急にまとめて消えた――そう考えるのが自然だ。

 

 

 

 

 

 

 

 やり口としては……バウエル社を思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 奴らは個別に狩るよりも、“人が集まる場所ごと”ごっそり収穫していく。

 

 

 

 

 

 

 

 普段はちまちまと偽バイトを使って人を回収。

 

 

 

 

 

 

 

 きなイベントや集団には複数の“優秀なバイト”を送り込んで、一度に丸ごと消す。

 

 

 

 

 

 

 

 今回の消失も、それに似た何かを感じる。

 

 

 

 

 

 

 もし騒ぎを最小限に抑えて動いているなら、必ずどこかに“目”がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……君って犬か、狼っぽいよね?」「……え?」「匂いで追跡……みたいなの無理かな?」

 

 

 

 

 

 

 

「一応得意不得意もありますが……ええと?やってみます。何を追えばいいですか?」

 

 

 

 

 

 

行けるっちゃいけるんだ……じゃあ、この黒いシミ多分菌か何かなんだけど」

 

 

 

 

 

 

 

「えぇ……」「よりこの匂いが濃い場所を探せないかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 ロドスの彼女が鼻先をわずかに上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 廊下の埃っぽい匂いの下に、黒いシミが一筋、床の目地に沿って延びている。

 

 

 

 

 

 

 

 ロドスの人が、廊下の角で指を二本立てた。濃い。たしかに濃くなってる。

 

 

 

 

 

 

 

 子どもの手を軽く握って、口の前で人差し指を立てる。

 

 

 

 

 

 

 

 ここからは、声より靴底の音がうるさい世界だ。

 

 

 

 

 

 

 体育館裏の搬入口。銀色の扉は半分だけ開いていて、隙間から冷たい光が漏れている。

 

 

 

 

 

 

 匂いはここで一段跳ね上がったのか。ロドスの人が顔を顰めだした。近いってことかな。

 

 

 

 

 

 

 

 覗き込むと……いた、さっき戦った奴の眷属だけじゃない――グラニュートも居る。

 

 

 

 

 

 

 

 黒いケースを開いて中から取り出したのは人プレス……ここは人プレス集積場?

 

 

 

 

 

 

 

 

 どの道何とかしないと、幸い……敵は2体。何とかまとめておびき出せないかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あれ、報告書にあった」「知ってるの?なら話が早い……装備はそれだけ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フラッシュバンとスモークは……一応前線オペレーターなので」「僕も似たような感じ」

 

 

 

 

 

 

「良い?よく聞いて――」

 

 

 

 

 

 

 

――無人の学園:体育館

 

 

 

 

 

 

 

『人プレスはこれで30個、散らばった人間は大体集まったんじゃねえか?』〘……〙

『無口だな……』

 

 

 

 

 

 

 

『まあいいさ、これで俺は闇菓子を得られる……ん?』

 

 

 

 

 

 

 

 初手はフラッシュバンか迷ったけど、こっちには鼻が効くプロが居る。

 

 

 

 

 

 

 

フェーズ1(スモーク)正面11時!(威嚇射撃)くそっ……襲撃か!――いや狙いは人プレス!』「確保!フェーズ2(フラッシュバン)!」

 

 

 

 

 

 

 グラニュートとは言え、バイトに駆り出されるのはゴロツキばかりのはず。

 

 

 

 

 

 

 

 正面からの衝突を視野に入れなければこうやって立ち回ることは容易だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 問題はこの後だ……逃げる勝負になると完全にこっちが不利、乗り物があってギリかな?

 

 

 

 

 

 

 

「人プレスは?」「予定通り!」「OKじゃあ子供はあっち側だから囮は任せた」「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 人プレスは"僕"の予定通り、袋に詰めて……尻尾に括り付ける。勿論ケースは僕が持って――。

 

 

 

 

 

 

 

「よし!行って!」「はい!また後で合流を……なんか尻尾が重い?」「はい!行った行った!」

 

 

 

 

 

 

 オペレーター側には向かった方には人プレスが入った小包と子供。

 

 

 

 

 

 

 

 僕の方には空のケースと……今は使えないお飾りのガヴ。

 

 

 

 

 

『この人間ども……待てぇッ!!!』「よし予定通り……って、あの子!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうする?新しく2人捕まえるか僕から集めた人プレスを取り戻すか!」『あぁ?……クソっ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、お兄さんは?」「そんな……話と違う。このままだとあの人が殺されちゃう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――チェルノボーグ:商店街

 

 

 

 

 

 

 

 

 やばい、無我夢中で走ったけどもう無理。しんどい……追ってきてるかな?

 

 

 

 

 

 

『何処に隠れたぁっ!?人間如きが早く人プレスを返さねえと捻り潰すぞッ!?』

 

 

 

 

 

 

 

 例えガス爆発を起こしてもそれで死ぬような生物じゃない、包丁は効かないだろうし……。

 

 

 

 

 

 

 

 反撃はやっぱり無しだ、隠れてやり過ごすしかない。

 

 

 

 

 

 

『……』「行ったかな?あー……別世界で人と合流できたのに1人になっちゃった。どうしよ」

 

 

 

 

 

 

 

――ば、バケモノッ!?――

 

 

 

 

 

 

 耳の奥を震わせるような叫び声。声変わりの途中にある、細く不安定な少年の声。

 

 

 

 

 

 

「や、やだッ……!いやだぁ!

 

 

 

 

 

 

 

 心臓が跳ねた。まだ消えてない人がいることは想定してなかった――僕のせいだ。

 

 

 

 

 

 

 

『見つけたぞォ……新しい人プレスだァ!』「た、助け――!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 その一言で場所が分かった。路地の向こう、ほんの十数歩の距離。

 

 

 

 

 

 

 

 

 今飛び出せば届く、でも飛び出した瞬間に自分も終わる――30人と2人は助けた、助けたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 これ以上は救えないし僕を犠牲にして助けられる状況じゃないし、元々絆斗を――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おかあさん……たすけて……やだ、あいたいよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

『お前の家族も友達もみーんな俺の腹の中に入れてやるから安心しろぉ?へへ子供は質が――』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「僕のことは諦めたってことで良いかな?」『あぁ?なんだ?そこにいやがったのか……へへ』

 

 

 

 

 

 

 

 

「人質のつもり?」『つもりじゃねえ……だが、人プレスを渡すってんなら?……分かるだろ?』

 

 

 

 

 

 

 

 あいにくその人プレスはもう手元にないんだよ、小袋に入れて尻尾に括りつけたんだから……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グラニュートはコンロって知らないだろうけど後ろの建物でガスが漏れてるんだ」『……?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「このライターを投げ入れたら直ぐにドッカン、質の良い人プレスは全部壊れちゃう……かな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

『本気か?』「……どう思う?僕の状況は土壇場、だったらなりふりは構ってられない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『人プレスが何なのか分かってんだろ?ヒビが入ったらその時点で圧縮した人間は死ぬんだぞ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前の胃袋の中に入るのとどっちが辛いかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『まぁ、待てよ……ならこうしようぜ?しばらく中に入る。それでお前らは逃げりゃあいい』

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」『俺は10分絶対に建物から出ない、10分だ……みんな死ぬか、2人生き残るかだ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『俺もお前も気が短い、そうだろ?』「そうだね、僕は気が短い……正直お前が信じられない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『おい……まて、考え直せ。子供は離した……これで良いだろ?この距離じゃ俺は――』

 

 

 

 

 

 

 子供は手から離れた、よし良い方向逃げてる。ガスは本当、だからライターは後方に投げる。

 

 

 

 

 

 

 

 当然こいつは店の方に向かう、早いな……やっぱりこの距離でもこっちに手が届くじゃん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 後数秒で引火する、なるべく遠くに……あっ――爆ぜた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 轟音が肺を裏返すように鳴り、視界の端で白い閃光が壁を裂く。

 

 

 

 

 

 

 

 衝撃に押し飛ばされる瞬間、熱と風と一緒に何か硬い破片が腹へ突き刺さった。

 

 

 

 

 

 

 

 焼けた鉄の破片か、木片か、それすら分からない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 腹の奥が熱い、血の温かさが広がる感覚だけがはっきりしている。

 

 

 

 

 

 

 

 呼吸が、浅い。音は遠く、視界の輪郭は灰にかすむ。

 

 

 

 

 

 

 立ち上がろうとしても脚に力が入らず、ただ膝が崩れる……ヘマやった。

 

 

 

 

 

 

 

 爆炎に包まれたはずの店の入口。そこから、影がのそりと揺らめいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 グラニュートだ。焼け焦げた煙の中を、何事もなかったかのように突き破って出てくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 皮膚は煤で汚れ、獣じみた呼吸を吐きながら、爛々と光る眼を子供の逃げた方へ向けた。

 

 

 

 

 

 

 

『人プレスは……どこだ……?』「……はっ、最初からそんなものもっ――て……」

 

 

 

 

 

 

 

 壁に打ち付けられた。息ができない、破片が更に深く刺さった気がする。

 

 

 

 

 

 

『せめて……あのガキだけでも。』「……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こっち向けよ、まだ生きてるよ……こっちを見ろって……声を出せよ。

 

 

 

 

 

 

 まだ子供が逃げてないだろ。

 

 

 

 

 

 

 

 あの子のお母さんはまだ、居るのかな。じゃあ……ここであの子が捕まっちゃダメだ。

 

 

 

 

 

 

 

「ま……て、よ……」『あぁ?……ふん、そこでくたばってろ』

 

 

 

 

 

 

 何にも出来ないな、本当に自分1人じゃなにも出来ない。ベルトがあるのに……僕じゃ使えない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 いやだ、助けたい。あの子は……お母さんの元で幸せに暮らすんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 もう絶対に……奪わせない。この世界が何処でも……相手が化け物でも僕が弱い人間でも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぼ、くは……まも、る、んだ――あのご、を……ぜったいに。」『口だけでなにも出来ない奴が』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――あら?お腹空いたの?……グミでも食べる?――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……かあさん?」〔……み、いーと……ぐみ!〕いーとちょこ!いーとちょこ!「……」

 

 

 

 

 

 

 

 

〔イートスナック!イートスナック!〕「はんとの、ごちぞう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―― EAT GUMI EAT GUMI EAT GUMI ――

 

 

 

 

 

 

 

 

「……血清を……こぼれて、のめな――」〔ぼーちゃぽちゃぁ!!〕「……お前水羊羹?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 絆斗のゴチゾウ液体を操れるやつも居るんだ……てか、この世界に居たのかよ……――絆斗。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ありがとな、僕に力を与えてくれて」〔EAT GUMI! EAT GUMI!〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―― GUMI ――

 

 

 

 

 

 

 

 

『お前……なんでたて――!?……なんだそのガヴは、お前……グラニュートなのか?』

 

 

 

 

 

 

 

―― EAT GUMI EAT GUMI ――

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいや、人間だ。僕は……お前に勝てる、弱い人間だ」『おまえ、まさか仮面ライダー?!』

 

 

 

 

 

 

 

―― EAT GUMI EAT GUMI ――

 

 

 

 

 

 

 

 

「変身

 

 

 

 

 

 

 

 

―― HOPPING GUMI ――

 

 

 

 

 

 

 

 

―― JUICY !!! ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『お前……あの傷でやる気か?死ぬぞ?』〖うん、僕もそう思う……でも死ぬのはお前だ〗

 

 

 

 

 

 

 

 

 脚に力を込めた瞬間、床板がゴムみたいに反発してくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 いや違う、僕の脚そのものが弾んでいる。膝を折った勢いが逃げない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 筋肉に残った衝撃がそのままバネになって、次の一歩へと押し出していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ダートグミとは違う……重心を前に傾けるだけで、視界が一気に迫る。

 

 

 

 

 

 

 

 

『ッ――この!』〖やば――くない?〗

 

 

 

 

 

 

 

 弾力の装甲が攻撃を跳ね返して、擬音が実体化して――そうか、元々こういう力なんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 足が沈んだかと思った瞬間、弾かれるみたいに身体が持ち上がった。

 

 

 

 

 

 

 

 床じゃない、擬音そのものが足場になっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 柔らかいのに沈み切らない、内側に隠れた弾力が僕の脚を押し返してくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の瞬間には――ムニュ。もう一つの擬音が空中に浮かんで、僕の足裏を迎えにきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 跳び箱の踏み切り板みたいだ。踏むたびに反動が増して、僕の身体はぐんぐん加速していく。

 

 

 

 

 

 

 

 相手の腕が追いつくよりも速く、俺は弾力の軌跡を描いて奴の懐へ――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 拳を握りしめた瞬間、最後の足場が破裂するみたいに跳ねた。

 

 

 

 

 

 

 

 ムニュッ!っと反動を背に乗せて、真正面から相手の顔面へ拳を叩き込む。

 

 

 

 

 

 

 

 遊んでるみたいに見えるかもしれない。でも違う。これは戦術だ。

 

 

 

 

 

 

 

『このッ――!?身体が空中にぃ!?』〖おお〜……結構跳ねた〗〔イートスナック!〕

 

 

 

 

 

 

 

〖君も戦う?よし!行こう!〗

 

 

 

 

 

 

 

―― SNACK ――

 

 

 

 

 

 

 

―― ZAKUZAKU CHIPS ZACHZAKU !!! ――

 

 

 

 

 

 

 

 残った擬音をバネにを宙へと飛び上がる、剣は2本……確かこの剣角度が大事だったかな?

 

 

 

 

 

―― CHARGE ME CHARGE ME ――

 

 

 

 

 

 

 

〖……そう言えばこの力には苦い思い出があるな〗〔ざく?〕〖なんでもない〗

 

 

 

 

 

 

 

―― ZAKUZAKU CHIPS FINISH !!! ――

 

 

 

 

 

 

 

『こいつッ――俺の皮膚を切やがった!?』〖……技一回使うとゴチゾウ消えちゃうんだった〗

 

 

 

 

 

 

 

ちょわちょわ!〖赤いチョコゾウ……白チョコの兄弟かな?〗

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―― CHOCO ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―― CHOCO DAN PAKI PAKI ――

 

 

 

 

 

 

 

 ぶにゅっとした擬音があちこちに散乱する前に敵が落ちた屋根へと飛び移る。

 

 

 

 

 

 

お前丈夫だね、ニエルブに改造でもされた?『ああ!?なんでストマック家のボンボンが。』

 

 

 

 

 

 

 なんか言い方が引っかかるな?ストマック家、ボンボン(お金持ち)

 

 

 

 

 

 

 

そんなにストマック家のお菓子は美味しい?『ああ?あんな"一般企業"の菓子と一緒にするな』

 

 

 

 

 

 

 

 こいつ、僕と同じ世界から来たわけじゃない。正確に言うならまだストマック家がある世界(グラニュート界)

 

 

 

 

 

 

 

 しかもストマック家が闇菓子と関係ないと来た……となると、元締めはやっぱり。

 

 

 

 

 

 

『待てよ……お前、ストマック家に改造でもされたのか?通りでそんな妙な力を』だったら?

 

 

 

 

 

 

 人の声、人プレスから解放されたんだ。だったらあのオペレーターと子供は……。

 

 

 

 

 

 

 

――バケモノだ……バケモノが"2体"いるッ……――

 

 

 

 

 

 

 

 

……まあ、そっか。『聞いたか!?お前バケモノだってよッ!!!』うん……そっちもね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―― CHARGE ME CHARGE ME ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『そう何度も喰らってたまるか!!!』〔らいらいらい!!!〕わかった、追いかけよう

 

 

 

 

 

 

 

 

 僕もそろそろきついな……変身してるとは言えお腹に破片が刺さったままなんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 一時的に止血は出来てるみたいだけど……戦い終わったらどうしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 壁を走行するバギーの揺れでもちょっと効くのにいつ倒れるか分かったもんじゃ――あ、やば。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あの姿、やっぱり何処かで」「お姉ちゃん?」「ううん、大丈夫……あっちへ……え?」

 

 

 

 

 

 

―― CHOCO DAN FINISH !!! ――

 

 

 

 

 

 

 

 落ちてくる瓦礫はなんとか片付けた……けど、変身が――。

 

 

 

 

 

 

『選択を間違えたなぁ!?』〖グッ……耐えられ――る!〗

 

 

 

 

 

 

 装甲もなしにもろに食らったら流石に効くなぁ……流石に限界が近い。

 

 

 

 

 

 

 

〔わにゃ……〕〖大丈夫……まだ、戦える〗『この野郎……なんでくたばんねぇんだッ!』

 

 

 

 

 

 

 

 

〖……時期にくたばる、お前を倒した後で〗〔わにゃっ!〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―― HOPPING GUMI ――

 

 

 

 

 

 

 

―― JUICY !!! ――

 

 

 

 

 

 

 

 

〖……そう言えば、聞いてなかった〗『はぁ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

――どうする?――

 

 

 

 

 

 

 

――2度と闇菓子に関わらないか――

 

 

 

 

 

 

 

 

――それとも僕に倒されるか――

 

 

 

 

 

 

 

 

『闇菓子を手放せるわけねえだろ!?』〖……そっか――残念だよ

 

 

 

 

 

 

 

 

―― CHARGE ME CHARGE ME ――

 

 

 

 

 

 

 

 

『お前をぶっ倒して人間どもをまた――なっ!?』〖頷く訳ないよな、お前みたいな奴が〗

 

 

 

 

 

 

 

 

―― HOPPING GUMI FINISH !!! ――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このッ……人間に……こんな奴が――』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〖そうだよ、こんな奴も人間なんだ……どう足掻いても――

 

 

 

 

 

 

 

……腹、熱い。破片がまだ刺さってる。動けば動くほど、奥に擦れて血が溢れてる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 膝から勝手に力が抜ける。床に倒れ込む音が、やけに遠くで響いた気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 耳がぼやけてるのか、僕がぼやけてるのか。

 

 

 

 

 

 

 

 視界の端で、ゴチゾウたちが小さく跳ねてるのが見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……良かった。あの子も、あの人も……間に合った。

 

 

 

 

 

 

 

 重い瞼をどうにか持ち上げても、世界は灰色に滲んでる。

 

 

 

 

 

 

 

 これ以上は、たぶん無理だ。

 

 

 

 

 

 




【仮面ライダーガヴ(高橋翔馬):ホッピンググミフォーム】

ホッピンググミフォームは、高橋翔馬が“ホッピンググミゴチゾウ”を用いて変身する赤ガヴの基本形態。


戦闘時の姿勢は、中腰かつ前傾姿勢を維持し、じっと相手の隙を窺いながら、野獣のような気配で一撃を叩き込むのが特徴的である。その戦いぶりは正面からの突破力よりも、「待ち」「狙い」「一撃」という緩急を重視したスタイルに近い。


ホッピンググミフォームの最大の利点は、グミ装甲の持つ弾力性である。打撃の衝撃を吸収・反発する特性を持ち、近距離戦闘では敵の攻撃を受け流すような独特の立ち回りが可能となっている。

また過度な衝撃に対しては砕けることもあるが新しくホッピンググミゴチゾウをガヴにセットすることで装甲の再生が可能。

一方で、同じ基本形態であるダートグミフォームと比較すると、初速や機動力といった面では大きく劣っており、純粋なスペックの面で見れば下位互換とされる部分も少なくない。

実際、ホッピンググミから引き出せるエネルギー量は限定的。その反面消耗も少なくゴチゾウの生成ハードルも低いため、赤ガヴの戦闘では高い頻度での使用が確認されている。


――スペック
身長:192.9cm
体重:72.3kg
パンチ力:0.8t
キック力:1.35t
ジャンプ力:4.2m(一跳び)
走力 7.6秒(100m)
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