スコープアーカイブ(完結)   作:ハヤモ

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前書き
あっさりやられる量産型ロボットをキヴォトスに放り込んだらどうだろうか
頑丈なキヴォトス人にはあっさりやられそうなATも、頑張れば活躍しそうな気がしてくる
※作者はにわか、無知です。ご注意下さい
何番煎じか分かりませんが宜しくお願いします
他作者様の複数の作品を参考にしつつも。
羞恥心で消すかも。ご了承ください


底辺モブと最低野郎

アーマードトルーパー、略称AT。

パワードスーツの1種。 歩兵の強化版。

或いは足の生えた駆動車。 底辺の量産型。

スコープドッグはその代表格の兵器である。

 

諸元:

全高3.8m巡航速度41km/h最大速度80km/h

駆動系マッスルシリンダー

足:グライディングホイール、ターンピック

カメラ:ターレットレンズ(広角、標準、望遠)

固定兵装:炸薬/廃莢式アームパンチ

主兵装GAT-22 30mmヘビィマシンガン

他例:背面上SMAT-36 9連装ロケットポッド

腹部SSM-21 2連装対戦車ミサイルランチャ

腹部GG-03サイドガトリングガン

腕部SAT-02アームソリッドシューター

サイドスカート両側に主兵装予備弾倉

 

ローラーダッシュによる機動力

被弾面積の低さ、たった1名による運用

整備性の良さ、狭苦しくも単純な操作性

状況に応じた手持ち兵装の変更が容易

それらの点で戦車より勝るが、砲弾どころか機銃を喰らえばあっさり貫通する紙装甲

全身に引火性の液体が流れていて爆発炎上する危険性が常にある

命度外視の紙屑な低コスト量産機、油断すれば歩兵にもやられて爆発炎上待ったなしの数だけ揃えた粗雑品に違いない

 

歩兵の上位互換。 或いは戦車以下の歩行器。

そして爆発し易い、火葬機能付きの棺桶。

色々な蔑称があり愛着もない。 生身よりマシな程度の存在で使われるに過ぎない。

トラック程度の全高で、戦車のような火力も防御力もなく、ここぞという制圧力もない。 できるのは歩兵と戦車の援護だけ。

歩兵隊相手なら強く、武装次第で機甲団を殲滅できるという謳い文句は、武装による重量過多を招き、強みの機動力を低下させて生存率を更に下げるお荷物。

しかしATの登場によって戦術の幅が生まれ、汎用性の高さから様々な戦場と用途に駆り出された。

人々を影ながら支えたのは確かだろう。 良くも悪くも。

 

そんな棺桶はキヴォトスでも普及した。

始まりは、とあるモブミレニアム生だった。

 

ある日のニュースを見ていた生徒。

治安の悪いゲヘナ自治区を守る、風紀委員会の特集を何気なく見ていた。

レポーターによると、温泉開発部や美食研究会とかいう己の欲の為に建造物を破壊しまくるテロリスト、数多いる不良、生徒会に該当する万魔殿なる上位組織からの嫌がらせで、委員長のヒナはゲヘナシナシナシロモップになっているという。

無論、行政官のアコや、幹部のイオリら含む多くのモブ委員も頑張ってはいる。

戦車のような装備品も所持し、火力もそれなりにある。

だが手が足りない。 ヒナのように強くないのもあり舐められ、返り討ちに遭う事すらあり、その皺寄せが委員長に寄っているのだ。

銃火器や装備を一新すれば、多少はマシになるだろうに、万魔殿は予算を寄越さず、嫌がらせばかりしてくると行政官のアコは嘆く。

彼女もストレスからか、首輪にリードをつけてヒナのペットになるという頭がオカシイ真似をしていた。

 

生徒は思った。

安くて誰にでも扱えて、それなりに強くなれるパワードスーツがあればモブでも活躍できるのではと。

モブ歩兵はやられ役だからどうしようもない、出来が違うと諦める中、生徒は諦めきれなかった。

 

生徒は考えた。

なぜ戦闘力の差が甚だしいのか。 親ガチャならぬ神秘ガチャを失敗したからか。 練度が低いからか。 それともモブを助けてくれる物好きがいないからか。

 

どれも違う。

正解は歩兵と戦車の間に兵器が無いからだ。

戦車がやられたら、そのままその火力が歩兵を襲って餌食になる。 ならばその中間を作れば良いじゃない。

 

戦車と歩兵を繋ぐ歯車、アーマードトルーパーは、このような発想で開発されたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっはっはっー! 今日は風紀委員長のヒナが珍しく休暇だ。 この隙に大胆にもゲヘナ温泉開発といこうじゃぁないか!」

「おぉー! これでゲヘナのみんなに温泉に入って貰えるね!」

 

 

テロリスト集団、温泉開発部。

部長のカスミは勝利を確信した豪快な高笑いをあげ、副部長のメグは純粋に喜んだ。

この間もモブ部員たちがツルハシを振り回しては、温泉が噴き出る場所を掘り進め、邪魔な建造物は爆破して退かしていく。 当然無許可で。

 

 

「おやおや、風紀委員会がきたようだね。 もう少し待ってくれたまえ。 温泉は間も無く出るだろう」

「ごめんね! もうちょっと待っててね!」

「馬鹿にして……!」

 

 

そんな無秩序に対し、これ以上好きにさせまいとモブ風紀委員が駆けつけるも、作業員の護衛役たちが即座に掃射。

1個小隊規模はあった筈が、あっさりと半壊。

生き延びた者が必死に応戦するも焼け石に水。

 

 

「なんで……! 私たちじゃ勝てない……!」

 

 

遮蔽物に隠れ、士気の低さのままに涙目になるモブ風紀委員。

自分たちはヒナ委員長とは違う。 鎧袖一触。 有象無象。 幹部クラスのような輝きも放てない。 青春の1つもなく、仕事1つ満足に出来ない己の未熟さと無力感に心が折れそうになる。

もう逃げたい。 投げ出したい。 怖くて痛いのは嫌だ。 でも駄目だ。

 

 

「怯むな! 撃て! 撃ち返せぇ!!」

 

 

涙を堪え、後輩を鼓舞する先輩。

だけどそれらは無法に対し豆鉄砲。 間も無く先輩は頭に被弾。 風紀委員を示す黒帽が外れ、そのまま気絶して倒れ込む。 悔し涙の筋が後輩に照り返した。

 

 

「もう……いや。 おうち帰りたい!」

 

 

もう退会届を出そう。

このまま何も成せず虚しく学生生活が終わるくらいなら、キラキラ部のようなギャルになってスイーツを楽しんだ方が良い思い出が増えるもん。

 

迫る絶望。 響く悪党の笑い声。

もう駄目だ。 治安なんか知るか。 いくらやったって無駄じゃないか。

プライドを捨て、白旗を上げようと思った瞬間、歩兵が持てぬ大口径ライフル弾30mmの雨が戦場を吹き荒らす。

 

 

「なんだ!? って、あれは噂の……!」

 

 

護衛は一瞬で砂埃に飲まれ、次には全員地面に寝転んでいた。 頭頂部のヘイローは消えている。 一瞬で気絶したのだ。

 

 

「遅いよ! 見捨てられたかと!」

 

「すまない! あちこちで引っ張りだこなんだ、ゲヘナだからな!」

 

 

見上げた先。 3.8mの人型兵器。

戦車とは違う風貌。 けれど足裏から伝播する無限軌道の音。 独特の甲高い音を立てて走りながらターンピックを使って回転し、気を失った開発部を蹴散らしたそれは、歩兵の友であり、簡易戦車であり、棺桶と揶揄されるパワードスーツ。

 

アーマードトルーパー。 略称AT。

ソレに乗る奴を人は最低野郎(ボトムズ)と呼んだ。




後書き
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