原作の方でもアリウスの話がありつつ。
その関係で矛盾もあるかも(今更感
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ありがとうございます。
「逃げた先にも希望がある。 でもそれは夢だったのかも知れない」
アリウス分校
今のトリニティ総合学園から意見の相違で弾圧され、秘匿された地を拠点に活動している学校
少ない物資を巡り内戦が起きて混乱していたところを、ベアトリーチェという異形の大人に掌握、支配されてしまう
そこからはトリニティへの憎しみや、それによる破壊活動等を正当化する洗脳教育を受けるようになった
そうして憎きトリニティとゲヘナが手を結ぶエデン条約の調印式にテロを敢行
先生を含む大勢の者が犠牲になった
その後、持ち直した先生と反逆したアリウスの特殊部隊、アリウススクワッドの活躍でマダムを追放、何とか鎮静化。
トリニティの介入も受け、最早力を失ったかに思えたが……
「裏切り者は幸せそうなのに、なんで、なんで私達は……差別されて、良いように扱われて……世の中うまくいかないとは思ってる。 だけど、こんなのはあんまりだよ」
生徒は嘆く。 この状況を。
今なお無きマダムの教えを信じ、廃墟同然の学校と土地に残って機を窺っていた
「虚しい。 そう、全ては虚しいもの」
生徒達は未だ銃を手放せない
学びも無く世界を知らず光を知らない
それで成せる事といえば暴力しかない
そういうかのように彼女達、アリウスの残党は教えに囚われ続けている
そして今日。
普及してきたATを用いて、トリニティへの無差別攻撃が敢行された
安くて修理も整備も簡単でそこら辺のゴミ捨て場に打ち捨ててあるから、手に入れるのは簡単だった
そうでなくても律儀な鍵なんて無いから、無防備に駐機してある物や企業の生産工場、ガレージにあるのをパクれば良い
意味なんて無い。
いや復讐心だ。 刹那的でその場限りの、建設的ではない無計画な憎しみだ
それで変わることなんて無い。
そんな事、分かってる
でも、それしか知らない
それを糧に生きていく術しか知らない
「私達に救いなんて、無い」
全ては虚しいのだ
ならこれも、教えの一部に過ぎない
嗚呼、マダムの教えは正しいんだ
「みんなみんな、壊れちゃえ」
相手の悲鳴も嘆きも、私達の苦痛でさえ。
「BOTOMS(最低野郎)」
それは彼女達そのものか。
或いは救いが無い世界への憎しみか……
「被害甚大!! 尚も拡大中!!」
「救援を! 我々だけでは手に負えません!」
「歩兵隊壊滅状態! 限界です!!」
「ツルギ委員長はまだなの!?」
「自爆!? どいつもこいつも狂ってやがる!」
「ATライフル班は何してるのよ!」
「あんなの役に立たないよ!?」
「対戦車戦闘班! 対物ライフルは!?」
「早くて当たらないって!」
「クルセイダー戦車隊は!?」
「ATのロケットランチャーでやられた!」
散々たる有様だ。
奇襲にトリニティ歩兵隊は蹂躙され、美しく手入れされた庭は火の海に沈む
その中にATの残骸と横たわる正実モブ達
アクセントのようにアリウス生がいたと思えば、次には幽霊のように消えていく
動いているのはアリウスAT。 装甲が無いライトアーマー仕様であり、高速で動く骨格は、痩せ細った貧困の生徒の姿でもあり、恐ろしい怪異にも映る
「ユスティナ聖徒会……またか亡霊め……」
意識を手放す刹那、エデン事件での戦闘を経験したモブは、恨み言のように吐き捨て意識を手放した
最早動いているのはアリウスATのみ。
弾薬が尽きたのか、ターレットレンズを左右に振り、倍率を変えて周囲を確認後、その高機動のままに何処かへと去っていく
「撤収!」
「了解」
赤い肩の機体───恐らく隊長機───を先頭にローラーダッシュしていくATの列
大きく遅れて、最後の1台が行こうとする
「最後尾! 遅れるな!」
「分かってる……ん?」
ガコン。
突然、足が何かに引っ掛かり止まってしまう
「なんだよ、故障かよ?」
ATだから最悪乗り捨てれば良いが、直せるなら越した事がない
そうコックピットを開けて下を見やれば、足に絡まるワイヤー。
そして関節に刺さっている対ATライフルのパイルバンカーの矛先───
「御免!」
「な、ぐはっ!?」
気を取られている間、ガスマスクをつけた白衣の天使が背後に現れて、そのままクソデカライフルでぶん殴られて気を失ってしまった
「鈍器としても使えるな」
などと言いつつ、白衣の天使……アズサは、伸びているパイロットを機体の外に落とし、代わりに己が乗り込んでハッチを閉める
鹵獲……完了である。
「どうした最後尾! 何かあったか!?」
有視界の距離で通信が入る。
声に出したらバレてしまう。 片腕、マニピュレーターで左頭側面の通信アンテナを軽く叩き、通信不良、通信機の故障を手振り身振りで伝えて誤魔化した
「通信機の故障か、拾い物だからな」
「ATは直ぐこれだ。 安かろう悪かろうだが」
「それでも私達には贅沢な乗り物だ」
「そうだ。 だが使わない手は無い。 行くぞ」
急いでいるのもあり、疑いもなく走り続けるアリウスAT。 その後をアズサはついて行く
「アリウス……それでも私の母校なんだ。 まだ苦しんでいるなら、終わらせないと。 これもケジメの1つなんだ」
通勤機器を弄り、アリウス自治区への侵入経路や現在地の座標を、後続が手掛かりとして使えるように正実の通信機やATの残骸に送信しておく
幸い、雑なATでも何とかなったし、バレずに済んだ。 偶然か、或いは見逃されたか
何にせよ、やるべき事だ
最後に出来るのは祈るのみ
「……ヒフミ、先生……頼む」
そして意外な人物達も巻き込みつつ、事態は進展を迎えるのだった
「ラブちゃん!?」
「先生!? な、なんでトリニティに!?」
「そっちこそ。 いやそれよりも」
トリニティ自治区、廃墟群。
その1つでラブ達ジャブジャブヘルメット団と先生が邂逅する
「この辺でアーマードトルーパー、スコープドッグのドンパチが起きなかったかい!?」
「ああ、なんか煩かったな。 まぁ珍しくなくなってきたし、私らには関係ないって無視したけど」
「ラブ、頼みがある!!」
「ふぇっ!?」
ガバッと小さな手が、先生の両手で包まれる
真剣な顔で近寄って、目と鼻の距離まで迫る
「私と共に来て欲しい!」
「え、えっ、ええ!?」
「とても情けないんだけど、護衛が欲しいんだ! 私だけでアリウスに向かうと忽ち捕まっちゃいそうで!」
「あっ……うん。 そういう感じか」
ラブ、急に上がった熱が下がるのを感じる
ナニを期待したのやら。 自分を責める
「で? 先生の頼みでもタダじゃ嫌よ」
「うっ! 時給制でこれくらい……」
「んー……分かった。 先生との仲だもんな!」
「さっきタダは嫌だって言ってなかった?」
「だから格安で守ってやるよ! へへっ!」
まぁこれも何かの縁。
過激なデートみたいなもんだ
そう思って仲間を集め、ATに乗り込む
向かう先は闇に屠られしアリウスだ
「おお、これがスコープドッグ!!」
「いや、もう珍しく無いだろ」
「多忙で間近で見る機会がなくて! いやぁ感激だな! 個人のカスタムバリエーションが一体いくつある事か! 正規の後継機や派生機が作られているとも聞くけど、やっぱこのターレットレンズやローラーダッシュ、固定兵装のアームパンチが良い! あと汎用性や拡張性、少し知識があれば簡単に扱える操縦性や整備性も! 直ぐ爆発してしまう儚さも、また1つの侘び寂びというか……」
「本当にロボットが好きなんだな?」
「男の子だもの!」
そんな無邪気な大人の笑顔を向けられ、また熱が上がるのを感じるラブ。 それを揶揄うモブ団員たち
「なにイチャイチャしてんスかぁ?」
「うっせー! さっさと仕事始めんぞ!?」
それぞれが最寄りのATに適当に乗り込んでいく
そして先生はというと……
「あの〜私の分は無いよね?」
「予備機は共食い整備の犠牲になったからな……私のコックピットで良いよ。 わ、私を膝に乗せて無理矢理座ればイケるだろ」
「えっ!? いや、そうだね! ありがとう!」
「変なトコ触ったら承知しねぇけどな」
「善処します」
今度は先生が赤くなる番だった。
少しは脈ありかな、期待するラブなのであった
後書き
《次回予告風》
鉄の騎兵が走る、跳ぶ、吠える。機銃がうなり、ミサイルがはじける
か細い足が、虚無の道を駆け抜ける
絶望の向こうに待ちうける、ゆらめく光は何だ
再び邂逅する、アリウス分校マダムの残滓
屑の本領発揮、大人の呪詛を打ち破る
次回「残滓」
ラブよ、牙城を撃て。