ATの酷さと有用性が見えてくる流れ
他作者様の作品を参考にしていましたが、展開が似寄り過ぎて盗作していると指摘があり、書き直し中
場合により削除します。ご了承ください
ゲヘナ学園風紀委員会
ATM-09-STスコープドッグの運用実験開始
「ああクソが!! 悪魔の奴隷かよ!!!」
「良いから撃てっての!!」
ゲヘナ自治区市街地。 ATの運用に全くの無知であるゲヘナは、犯罪者への罰則と実験及び棺桶処分も兼ねて、現場の最前線へ送られた
懲罰部隊のヘルメット団、不良達はモルモット、或いは悪魔達の見せ物のように扱われてしまう
故に士気は低い。 他校からして見ても悪魔的遊戯、悪魔の奴隷、運が無いのだと捉えられていた
挙句に学も無い不良だったが、そんな彼女達でも簡単に扱える操縦性と機動力は素晴らしく、生身の歩兵には持てない大口径機関銃は、装甲目標にも十分な損傷を与えていた
「くそっ、コンプレッサーをやられた!」
「油圧が上がらねぇ!」
「動けってんだポンコツ!」
「おいポリマーリンゲル液が漏れてるぞ!」
「何してる脱出しろ、爆発しちまう!?」
「ハッチが開かない! た、たすけてぇ!!」
「ひ、火がぁ! 誰か出してくれぇ!!」
銃撃や爆発はキヴォトスでは珍しくないが、それによる悲痛な叫び、悲鳴はやや異常
───何故ならATがそうさせる
多くのATが被弾、紙装甲が蜂の巣に。
銃傷から血のように引火性のポリマーリンゲル液が吹き出し、機体によっては間も置かず爆発してしまう
脱出する時間があっても、簡素な頭部ハッチが変形してしまい、逃げるに逃げられない子もいる
その内の1つは脚部を損傷。 動けなくなったATに不良が群がっては集団リンチ
団長のラブが気付くと、急いで30ミリをばら撒いて蹴散らしていく
搭乗している子は狭苦しいコックピットで気を失っているものの、見捨てる訳にはいかない
団長のラブは円匙や銃床で無理矢理こじ開けられたハッチ内に腕を突っ込むと、仲間をATの肩に載せて全速力で後方へ駆ける
そこに備えられた慈悲、医療テントにいる救急医学部のセナに任せる
「おや、また新鮮な死体、じゃなく負傷者が」
「真面目に頼む! 大切な仲間なんだ!」
「お任せを」
今回は相手が悪かった
元々クソッタレな装甲なのと操縦に不慣れなのもあり、歩兵銃にやられる機体も多かったが、今回の相手は金なし不良に見せかけて戦車を乗り回していたのだ
道路を塞いで壁となり待ち伏せて御満悦ときた連中は、その堅い装甲と主砲の火力に任せて抵抗してきた
しかも榴弾と機銃掃射による範囲攻撃で、直線上を移動するATは格好の的だった
あっという間に爆炎と鉄屑の山が築き上げられて、慌てて戦車が入り込めない路地裏に退避。
そこからはあっさり背後どりに成功し、至近弾で戦車を蜂の巣にしてやった
ただ、生き延びた随伴歩兵からの反撃も激しく、生き延びたのはラブと僅かな団員だけ
それらATもボロボロ。 コックピットを貫通し、頬を掠めた弾丸もあった
それでも無我夢中で戦った
走行中、片腕を捥がれてバランスを崩した時は、地面に向けてフルオート、その反動で立て直したし、弾切れを起こした時は固定武装の火薬式アームパンチで吹き飛ばしてやった
損耗率は高いが中途半端にやれる事が多く、休む暇が無い。 かつて学舎を追い出され、或いは自ら去った落ちこぼれである彼女達は、今や戦場の花形となりつつあった
「あれ見て、懲罰部隊のAT乗りよ」
「さっきはありがとう! 助かったわ!」
「正式にゲヘナの風紀委員会に入らない?」
様々な労いの言葉や、蔑む視線がラブ達AT乗りの背中に突き刺さる
彼女達は死んだ目のまま、与えられた住まいの牢屋へと自ら踏み入れていく。 今の彼女達はとにかく休みたいのだ
ゲヘナ風紀委員会AT部隊。 或いは懲罰部隊
戦車以下の金で買われ、ミレニアムで開発されたマッスルシリンダーとポリマーリンゲル液(PR液)で稼働し、多少の知識さえあれば誰でも操縦が容易で、だから価値が上がらず良い様に酷使され。
戦術や武装次第で戦車を撃ち抜くATだが、パイロットの命すら部品にしているのを否めず、決して楽しい乗り物ではない
そして仕事が多い。 休む暇が無い
ゲヘナの治安はそれだけ酷いという事であり、ヘルメット団も数ある問題の1つに過ぎないのだ
そんな問題児を労働力に出来るなら、是非そうなって貰うし、多少中途半端で使い捨てになろうとも、正規の者達が楽になるなら休みなんて与えれる筈もない
「悪魔どもめ!! 私達は奴隷かよ!?」
牢屋に入った1人が鬱憤を叫ぶ
彼女達の睡眠時間は4時間あるかどうかであり、この休息も漸く手に入れたものだ
何か治安を乱す輩が現れたら、また出撃する
悪魔の行政官アコによる懲罰が始まってからというもの、心身休まる暇が無い
歩兵隊だけでは荷が重いが、火砲が足りず速やかな支援砲撃が困難
そんな時こそATだ。 防御力は無いが機動力と火力が高い。 そして、歩兵隊にとってATは早くも救いの存在となった
お陰でヒナ委員長の負担が減少したが、忠犬アコは気をよくして、更なる負担をATに押し付け酷使する
「もう寝かせて……少しでも横になりたいの」
ラブはそういい、パサパサしたレーションのクラッカーを纏めて口に押し込み、水で強引に流し込む。 そのまま気絶するように寝入れば、意識が失せて頭上のヘイローも消える
睡眠時間捻出の為には、まともな食事なんてしていられない社畜スタイル
シャワーを浴びるくらいはするが、後は如何に早く寝るかだ。 こんな過酷スケジュールは、ヒナもしていないだろう
ラブ達は地獄の地で悪夢を見た。 寝ている時ですら、ATの不快な揺れと爆発、仲間の悲鳴が脳裏に木霊する
精神的に病み始め、幻覚か現実かの境が曖昧な時すらある。 危険な状況だと理解しているが、アコや看守に直談判しても休ませてくれるような場所では無い
悪魔達に生かして貰う為、生き残る為、隣り合う団員の為にも彼女達は戦わねばならなかった
数時間後、ATの出動命令
温泉開発部への『補導』の為、ヒナ委員長含む幹部クラスが動けない場合を想定して戦闘行動を開始する
砲兵隊による最終弾着の後、残存するATを突入、テロリスト集団相手に、どこまで戦えるかを観察する
「冗談だろ、温泉開発部に突っ込めと?」
「元からここは地獄だ。 今更なによ」
「解放されるなら、もうそれで良いや……」
通達された者達は、そう呟いた
疲労によってマトモな思考なんて、誰もできる筈がない
ミレニアムから追加で購入された追加武装の数々……ロケットポッド等を両肩に取り付けられた。 使用後は爆発ボルトでパージ、機体を軽くして戦い続ける
温泉開発部は数もそれなりだし、部長の鬼怒川カスミは優秀な頭を持つ指揮官だ。 ATの事はとっくに知っている筈だし、対策も考えていると見た方が良い
そうでなくても火力不足だが、それでも彼女達はATに乗り込む
最早マトモな思考なんて出来ない
この地獄から一刻も早く逃げたい
死ぬ事すら救いに思えている彼女達の目に光は無い
《次回予告風》
食う者と食われる者、そのおこぼれを狙う者
牙を持たぬ者は、生きてゆかれぬ暴力の街
あらゆる悪徳が武装する、ゲヘナの街
ここは銃社会が吐き出したキヴォトスの市
鉄の躰にしみついた硝煙の臭いに惹かれて危険な奴らが集まってくる
次回「湯煙」
ヒナの飲むアコのコーヒーは苦い