スコープアーカイブ(完結)   作:ハヤモ

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前書き
各話の前書き含め、一部書き直しました
不快な思いをされた方、申し訳ありません
読者様の意見を含めつつ続くのは不適切と判断した場合、作品を削除する可能性があります。ご了承ください

サブタイトル変更などありつつ。
モブ中心に進行するつもりが、やはり物語性やキャラを出さねばとラブちゃんに出て貰っています
ラブちゃん不良だけど可愛いし根は良い子そうですよね
便利屋が主役の漫画にも出ており、台詞やムツキとの戦闘で、性格等が掘り下げられている感もあったかも
底辺ロボには恵まれた子達より、愚連隊や可哀想な子が似合うと思ったからねしょうがないね


湯煙

温泉の為なら邪魔な構造物を勝手に破壊し、多方面に迷惑をかける、それが温泉開発部。

正確な部員は不明だが、温泉を掘る作業の度に増減するなど、真偽が定かでは無い謎もあるテロリスト集団である

 

とはいえ破壊と穴掘りだけの脳筋ではない。

モブや巨乳副部長のメグは純粋なおバカだとしても、彼女らを束ねる部長のカスミは頭脳明晰な悪党だ

 

トラウマのヒナを前にするのと、ち◯かわの如く泣き崩れて動けなくなるのだが、それ以外の相手と状況には太々しい。

そしてそれは、ATに対しても同じであった

 

 

「部長が言った通り、タコ頭が来たよ〜!」

 

「では見せて貰おうか! 棺桶犬の性能とやらを!」

 

 

遅かれ早かれ開発現場にやって来たAT。

部員達は温泉掘りで空いた穴を塹壕代わりに、立ち上る湯気を煙幕に、土砂を土嚢に、その上に重機銃や軽迫撃砲を置いて身構える

 

ATはターレットレンズをグルグルと回して此方を確認すると、射程ギリギリまで接近、横並びに。

刹那、両肩のロケットポッドを一斉射。

部員とATの間に煙幕とも牽制ともなる爆炎の壁をつくると、ポッドと機体接合部の爆発ボルトが起爆してポッドを破棄、体を軽くして一斉に突入してくる

 

 

「予想通りだ。 他の戦い方はまだ模索中といったところか。 結局は向こうから来てくれるんだ、ありがたいじゃないか」

 

「どうする? もう撃っちゃう?」

 

「そうしてくれ。 弾幕を張って、1発でも当たれば後は勝手に自爆してくれる。 逆に接近され過ぎると巻き添えを喰らうからね」

 

「は〜い! みんな、撃て〜!」

 

 

ATは独特の甲高いローラー音が唸りをあげ、次には30ミリの雨をプレゼントしてくる

それも行進間射撃、皆で蛇行することで狙いを定めさせないようにしている

 

だが、それも関係ないと部員は反撃。

機関銃の弾幕、迫撃砲による榴弾が戦場の爆炎を増やしていく。

加害範囲を優先した攻撃は、装甲の薄いATを次々と撃ち抜いては爆破。

コックピットの中にいるヘルメット団員は危機一髪の如く飛び上がり、黒焦げになっては冷たい地面に横たわっていく。

 

それでもATは止まらない

落伍者の救助には構えない

 

敵の弾幕に晒されながらでは無理だ

非情にも、それが当たり前となった

 

救助や回収は全て終わってから

けれど、今回はそれも出来ないかも知れない

 

 

「そろそろか」

 

 

刹那、最前列のATが沈んだ

地面に埋まり、動けなくなってしまった

 

或いは転倒。

速度のぶん、地面を転げ、手足が折れ曲がる

 

 

「みんなで沢山掘った甲斐があったね!」

 

「はっはっはー! 上手くいったな! ATは陸戦機だからな! 戦車のような全長もないから、ちょっとした穴でも飛び越えられず、転んだり嵌って抜け出せないのさ! 地雷原を敷設するよりエコで安全! 何より穴掘りは我々の得意分野だからな!」

 

 

動けない棺桶はただの棺桶だ

そのまま情け容赦なく次々と撃ち抜かれて、ATは爆発に次ぐ爆発。 一気に数を減らしてしまう

 

それでも何とか懐に飛び込んでくる機体もあったが、銃を明後日の方向に向けて乱射、同士撃ちすら始める始末

 

ターレットレンズが地面から立ち昇る蒸気にやられて曇ってしまい、外の景色が見えないのである

 

 

「"眼鏡"をしている者には、温泉の湯気は敵かも知れないな。 あんなのに乗せられる子達が可哀想だ。 風紀委員会も酷い事をするようになったものだ」

 

 

そんなATも、漏れなくカモで。

憐れまれても慈悲なくドカドカと撃たれまくり、やがて爆発してしまうのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ポンコツめ!! この程度も駄目なのか!」

 

「湯気で外が見えません団長!?」

 

「ハッチを開け! 裸眼で戦うんだ!」

 

「でもコックピットを守る装甲が無くなる!」

 

「どうせあって無いに等しいんだ! やるぞ!」

 

 

機関銃の弾幕や榴弾による攻撃は、装甲の薄いATの弱点だ。

それを突いてくるのは予想していたから、爆炎を煙幕代わりにし直線的な動きを避け、蛇行で狙いを定めないようにさせつつ接近していた

 

だが甘かった。 ATはローラーシューズを履いた二足歩行兵器だ、陸戦機である

 

地面との接地面積が少なく、縦に長く、全長は大して無い。

転けやすく、地面を利用した攻撃に弱い

 

そして落とし穴などという、奴等の十八番で地雷より安上がりであろう単純な穴掘り攻撃にやられてしまった

 

その後は温泉の湯気にレンズをやられた。

外が見えない事で混乱し、味方同士が撃ち合い、湯気に隠れた歩兵に好き勝手にされてしまった

 

それでも簡単な操縦で数が揃う強みがATだ

頭部のターレットレンズ付きのコックピットハッチをフルオープン。

搭乗者も邪魔なゴーグルを外し、裸眼で周囲を確認、湯気を浴びながら戦い始めた

 

 

「弾が持ちませんぜ団長!」

 

「拳があるだろ! 火薬式のな!!」

 

 

湯気に何人隠れているのかも分からない

けれど戦い続けるしかない。 燃え尽きるまで

 

 

「ふぅむ。 流石に何度も修羅場を潜ってきた懲罰部隊といったところか。 頑張るじゃないか。 特に団長の、ラブといったかな。 これは私も戦わねば無作法というもの。 メグ、この前作業用に仕入れたATを出してくれたまえ」

 

「良いの? 壊れちゃわない?」

 

「なぁに。 簡単だから直せば良いのさ……私はね、将来的にAT同士の戦闘がキヴォトスで当たり前になると思ってるんだ。 他より先んじて経験しておきたくてね」

 

「良く分からないけど、わかったよ〜!」

 

 

そして始まる、キヴォトス初のAT戦。

それは貴重な記録となるが、必死に生き残ろうと足掻くラブに気にする余裕は無かった……。




後書き
《次回予告風》
かつて、あの重々しき格子に送られた生徒達
悪魔への憎しみを薄い装甲に隠した、アーマードトルーパーの、ここは墓場
無数の悪魔たちの、ぎらつく欲望にさらされて無情にも引き出される、ゲヘナの奴隷な少女達
愛無き不良たちが、ただ、己れの生存をかけて激突する
次回「拳闘」
回るレンズが、熱い闘気で蒸し曇る
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